上海蟹の白子

白子でパンパンになった上海蟹の雄


年末に上海人と食事をする機会があり、どこに行こうかとちょっと悩んだのですが以前から気になっていた茶碗蒸を食べて見たいということで、牡丹園で食事をとることにあいなりました。 この店ははじめての予約なし。 しかも、日曜の夜であったにもかかわらずすんなりと入ることができました。

まずタイトルの上海蟹ですが、あい方が中国語で蟹を見たいというと小姐が雄と雌一匹づつのセット(注文は二匹単位(4000円))を持ってきてくれました。 ちょっと小さいかななどというやり取りもあったのですがもう12月に入っていたので雄二匹に替えてもらいました。 これが正解でしたね。 写真を撮らなかったのが悔やまれますがびっしりと詰まった白子の味は絶品でした。 蟹の白子はあまり料理に使われないので一般的には知られていないようですが、蟹黄(卵)よりずっと美味しいのではないでしょうか。 上海蟹に限らず蟹の卵で美味しいものにあたったことはあまりありません。 ちなみに蟹黄は地方によっては蟹膏とも呼ばれるそうです。 そういえばアモイの海鮮料理店で膏蟹(雌)にするか肉蟹(雄)にするかと聞かれたことがあります。 雄は菜蟹とか梅[虫尋]などとも呼ばれることがあるようです。 卵を食べるなら雌でしょうが、肉は雄の方が美味しいので私は雄を選ぶケースが多いです。 値段も安い上,希にですけど天然物があるのは雄のほうなのだそうです。 もっともこのあたりで珍重するのはハサミの大きいのこぎりガザミの類です。 これは中華では上海蟹の次に高価な蟹で特に寒い時期に子を沢山孕んだ雌を紅[虫尋]と言って珍重するようです。 ちなみに蟹油(蟹味噌)は肝臓の部分なので雄にも雌にもあります。

しかしこの店なかなかいいですね。 蟹も良いものをそろえてることは言うまでもなくタレがいいです。 これは結構甘いやつが多いのですがここのはそれほど甘くなく私にはぴったりでした。 でも日本人は相当甘味に鈍感なようで、あい方は美味しいけどちょっと甘いと苦情を言っていました。 そう言えば日本に和食の修行に来ている台湾人に試作品を食べて見てといわれたことがあるのですがさかんに甘味の程度を気にしていました。 私は現代の日本人としては相当甘い料理がきらいな方かなと思っていたのですが彼らのほうがもっと敏感です。 この二人は男性ですが一般的に甘いものが好きと思われている女性でさえ甘味を添加した料理を嫌う人が多いので感心させられます。 これだから、かの地の料理は美味しいのでしょうね。

最初に上海蟹の説明をしましたが、料理が運ばれてきたのは蒸牡蠣、海鮮茶碗蒸、上海蟹の順番です。 大人数で沢山食べるのなら牡蠣も蟹も前菜向きですが今回は小人数なのでただただ食べたいものだけを注文してみました。 一人とか小人数の時はこのほうが満足感が高くなることが多いようです。

さて最初に運ばれてきた蒸牡蠣ですがこれには添えられてきたXO醤をつけて食べます。 私はあまりXO醤に関しては積極的ではなかったのですがここのは良いですね妙な甘さもないし。 XO醤以前の香港では高級な店でも変な辣椒醤の出来そこないみたいなものとマスタードを乗っけた小皿を出してくるのが普通でしたがこれがもうどうしようもないのですね。 席に座るとすぐ横のほうによけてしまうのが御定まりでした。 ですから、香港人の辛味に対するセンすはまるで信用していないのです。 このあたりがXO醤といわれてもすぐとびつく気にならなかった原因のようです。 でもここのはいいですね。 辛味はあまり感じられませんけど・・・。

最後はここの定番とも言える海鮮の茶碗蒸です。 質の良い鹹蛋黄がトッピングされているのも嬉しいですが、白身ベースのところがホタテなどの海鮮類によくあい絶品です。 蟹の卵炒めなんかも本来は卵白だけでやるべきなんでしょうけど日本では黄身も一緒に炒めてしまいます。 一般的には冷凍の蟹なのでしかたがないですけど生きてるやつなら卵白だけのほうが蟹の身の旨味をひきたててくれるとくれるのではないでしょうか。 とにかく中華で卵を使うときは卵白が主役という大原則を日本の中華は忘れているようです。 最後に上海人のコメント。 「香りが良い,良いラードを使っている。」 なるほど・・・。


蒸し牡蠣とXO醤


海鮮茶碗蒸



牡丹園の基礎データ
住所 神奈川県横浜市中区山下町147番地(海員閣のある通り)
電話045-651-9168
営業時間 
お勧め料理茶碗蒸、蒸し牡蠣、上海蟹など
取材日時1999年冬




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