東マレーシア



(シンガポール編から)

1.気分は殿様(ジョホールバルからクチン、6月17日、シンガポール編から)

 マレー側イミグレに着くと今回は「その他」は順調だった。 入国手続きを済ませてイミグレを出るとバスがなかなか来ない。 そこで汗だくになってガイドブックに出ていた空港行きバス乗り場のホテルに行くと「空港行きバス乗り場は移転した。」とのこと・・・。 ついてない。 さらに教えてもらった新しい乗り場があるビルに行くと「もう出た! 次のバスでは間に合わない。」

 こうなると手段を選べない。 新しい乗り場の係員にタクシーの料金を教えてもらってから殿様気分でタクシーに乗った。 空港は町の西側にあるのだが、やはり日系企業の工場があちこちにあった。 タクシーは約30分、1時間40分前に空港に着きチェックインに間に合った。

 これは私の準備不足だったのだが、S'pore発のバスに乗った方が安くて楽で疲れなかっただろう。(S'pore発バス12S$、MRT1.5S$+市バス0.9S$+タクシー25RM、1S$=2.2RM)

 空港は新しく、S'poreから客を取ろうとする意気込みを感じる。 なぜS'poreから飛行機に乗らないで面倒な事をしてジョホールバルから乗ったかと言うと、半額近く安いからだ。 とかく、「国際」が付くと高くなる。 S'pore、チャンギ空港自体経費がかかるからだろう。

 飛行機に乗ると下界は工業用地の造成で赤土が目立つ。 ちょっとするとビル群が見えた。 S'poreだ。 「こんなに小さかったの?」と思ってしまった。 その向こうにはインドネシア領のビンタン、バタム島だ。 ジョホールバル同様赤土が目立ち、乱開発を感じる。

 海上に出たあたりからなにやらいい臭いがしてきた。 なんと、国内線に国際線並みの食事のサービス付きだ。 72時間前までにリコンファームといい、日本の国内線とは大分違う。 もっとも日本の国内線では同じことをしたら処理できないだろう。 アテンダントが客に対して「Sir」を使ったりまさに「気分は殿様!」

 食事の片づけが終わると雲に隠れた大きな陸地が見えてきた。 多分、ボルネオ島だろう。 それから30分で無事、クチン国際空港に着いた。

2.国の中の国?(クチン、6月17日)

 空港に着くとガイドブックに書いてあった通り、イミグレがあった。 「マレーシア以外」に並んで役人にパスポートとジョホールバルでもらった出国カードを渡すと「あっちでここの入国カードを書いて。」と言われてしまった。 新しい入国カードを書いて役人に渡すと「休暇か?」、「どれくらいいるのか?」など、別の国に入国したかのように聞かれた。
 そう言えばジョホールバルでチェックインする時に片道の航空券だったので「どうするんだ?」と係員に聞かれて「バスでブルネイに行く。」と適当な事を言った。

 後で人に聞いたら、マレー国籍の人も出入りするのにパスポートが必要らしい。 なんでもここ、サラワク州は石油など地下資源が豊富で政府が国外だけでなく、西マレーシアからの人の流入による問題を恐れて出入りを管理しているらしい。

3.ネコの町(クチン)

 「Kuching」とはマレー語で「ネコ」のことである。 この国にはノラ犬はあまり見掛けない。 多分保健所にあたる所が駆除するからだろう。 しかしノラネコにかんしては日本同様寛容である。

 ある町の食堂にネコが3匹いたので店の人に「好きなの?」と聞くと「近くのノラネコだ。」とのこと。 好きでもないが追い出そうともしない。 ネズミが多い事もあるのだが・・・。 あと、暑い所なので店が風通しが良くしてあるので出入りしやすいのだろう。 スーパーにキャットフードが売られている所を見るとタイ同様ネコ好きなのだろう。

 この町は港町で市場には海の魚が売られていた。 中には日本で見た事のあるものもある。 そこでもネコが結構いた。

4.ダヤクの村(クチン、6月19日)

 宿は唯一のドミトリーがある「B&B Inn」(15RM)にした。 そこの近所のベットのイギリス人のおじさんから「オランウータンに餌をあげる所をタダで見れる所がある。」と聞いて行ってみる事にした。 そこは政府がボルネオの霊長類の研究のための施設で市街からバスで30分くらいの所だ。

 ところが、バスに乗ってみて看板を見落としたらしく終点近くで車掌の青年に「悪いけど通り過ぎてしまったから終点で折り返していった方がいいよ。」と言われた。 そうなると餌の時間に間に合わないので諦める事にした。 終点は青年の家がある村で彼は悪く思ったのか?バスの待ち時間に彼の家に招いてくれた。
 一見すると普通のマレーの家と変わらないが、彼ら特にお母さんと一番下の8歳の妹さん(お母さんそっくり)が肌が浅黒いが顔が日本人に似ている。
 ボルネオに着いて中国系が多いのだが、その他の土地の人は顔がぐっと日本人に似ている気がした。
 彼の家で出された食事のなかにバナナの葉で巻いた「ちまき」みたいなごはんが印象的だった。 バナナの葉の香りが良かった。 豚肉(彼らはクリスチャン)と魚は保存のため塩が多めに入れて調理するのが伝統らしい。 魚は近くのサラワク川から取れたものらしい。 50cmくらいの魚がいるらしいので豊かな所なのだろう。 あと、米と果物からできたワインのようなおいしいお酒もごちそうになった。

 外国人がほとんど来ないらしく、8歳の妹さんと同い年の甥っ子がニコニコしながら見ていた。 ちなみに彼は9人兄弟の6番目らしい。 出る前に近くにいた家族の人と一緒に写真を撮った。 災い転じて福となった。 サラワク州は自然だけでなく人の心も豊からしい。

5.あぶないこともある(クチン、6月22日)

 この日は宿の同室のデンマーク人とカナダ人のヤンと一緒にサルで有名なバコ国立公園に行く予定だった。
 昼食を取ろうとヤンと一緒に宿の近くの食堂に入って頼んだものができるのを待っていると向こうのテーブルにシンナーらしきものを入れたビニール袋を吸っていた怪しげな男がいた。 目を合わせないように男を時々見ていたが、一瞬目を離してヤンと話をしているとなんと、その男は何の前触れも無くヤンの後頭部をビールのグラスで殴った。
 ヤンの後頭部から血が出て彼はうろたえた。 とりあえず彼を食堂の人の車に乗せて病院に行った。 6針縫う傷だったが薬を処方しただけで先生は特に対した事無いと診断した。

 ヤンは男の存在に気が付いてなかったらしく(普段めがねをしている)20分間頭の中が真っ白だったらしい。
 でも、殴られなれていたのか?彼は私に「僕は今日は行くのを止めて部屋で休んでいるが、君はバコに行け!」と意外としっかりしたことを言っていた。 しかしかなりショックだったらしく1日ちがいでバコに行って宿ではまた同じ部屋になったが、夜は時々うなされながら寝ていた。 ちょっと心配だ。

 こんなことは日本では新聞で見かける事だが、目の当たりにしたのは初めてだった。 マレーシアでは詐欺があることを聞いていたがこんな事があるとは思わなかった。 どこでも周囲に注意を払ってないとダメらしい。

 こんな事があったが、クチンの人は西マレーシアの人に比べると穏やかで親切な人が多かった。

6.動物の楽園(バコ国立公園、6月22日〜24日)

 バコ国立公園は旅行者に人気がある所で行くつもりが無かったが、人の話を聞いてから行ってみる事にした。

 クチンから同じ宿のデンマーク人と最初の1泊だけ一緒だったオージーとスウェーデンのカップルと一緒に乗合バンに乗り、公園事務所までのボートをシェアして行った。
 噂通り、事務所周辺にはサルがいた。 宿(HostelA D10.5RM)に荷物を置いて周囲を散策してから売店で缶ジュースを飲んでいるとサルが近づいてきて威嚇してきた。 追い払ってから別のサルを見ていると、多分追い払ったサルだろうが突然缶を奪い去ってしまった。 近くにいた人が「多分、後ろから狙っていたんだと思うよ。」と言った。 後ろには確かに待機できる場所があった。

 がっかりして部屋に戻るとベットの上に置いてあったクラッカーが袋を破ってかじられていた。 後で同室のクチンから一緒だったデンマークの彼に聞くと「小さい動物が上のベットからどこかに行ったよ。」と言っていた。 部屋に穴が空いていてそこから出入りしたのだろう。 クチンで同じ宿だったスウェーデンのカップルに話をすると「部屋に食べ物を置かない方がいいよ。」とアドバイスしてくれた。

 しかし愚かな事に小さいザックに残りのクラッカーを入れてファスナーを閉じたまま寝てしまった。 翌朝、ザックを見ると破られていてクラッカーがかじられていた。 同室の彼もコーヒーと砂糖を持ち込んでいたがファスナー付きのビニール袋に入れて臭いが出ないようにしたので被害はなかった。 おそらくネズミかリスのしわざだろう。

 ひどい目に会ったが、バコ自体は自然が豊かで海があるので泳げるし夜は星が見えるいい所だった。 動物との付き合い方を知っているといい所なのだろう。

7.インドネシアへ(クチン、6月26日)

 なぜ東マレーシアのクチンに来たかというと、選挙の開票中にペナンからガラが悪い事で有名なスマトラ島のメダンから入るのは抵抗があったからだ。 また、東マレーシアからフィリピンのミンダナオ島を経由して比較的安全でツーリストの多いスラウェシ島に入れるのだが、なんとなくカリマンタン(インドネシア側ではボルネオをそう呼んでいる)のマハカム川を溯るのに興味がでてきてそれなら最初っからカリマンタンから入ればいいと思ったからだ。
 もし、カリマンタン側で選挙に関する問題が発生しても先に述べた東マレーシア→ミンダナオ島→スラウェシ島のコースをたどる事ができる。

 事前に最新情報を入手したかったがクチンの宿にいた旅行者のほとんどが東マレーシアに遊びに来た人で、中にはカリマンタン行きを「止めた方がいい。」と注意してくれた人もいた。 そんなわけで不安があったが、一人カリマンタンからクチン入りしたアメリカ人のカレンさんの「インドネシアはアメリカより治安はいいし、いい人が多い。」という話を聞いて安心してカリマンタン入りをする事にした。

 バコからクチンに戻ってすぐにクチンから出ているインドネシア・ポンティアナ行き国際バスのチケットを手配した。 1日買い物にとって置いて翌々日の26日土曜日の朝7:00発のバスの予約ができた。 だが、その日はマレーシアの休日で「座席番号33」。 かろうじて取れた感じである。

 ジョホールバルの件で懲りたので、今回は最初からタクシーの予約をした。 6時10分過ぎに宿を出て、6時半過ぎにバスターミナルに着いた。 そこには明らかにマレー人ではないらしい人の集団がいた。 引越しするかのようにたくさんの荷物を持っている人もいた。 多分出稼ぎの帰りだろう。

 出発予定時刻の7:00になってもバスは現れなかったが7:30に運転手がマレーシアとインドネシア国旗をフロントガラスに貼り付けたバスのトランクを開けた。 何人か座席に座ったので33番の座席に座ると運転手が手招きをして事務所に連れて行かれた。 どうも、チェックインが必要だったらしい。 そこでインドネシアの出入国カードをもらって完了。 それから数分でバスは出発した。 もしかしたら私のせいで遅れたのでは・・・。 でも恐くて聞けなかった。 ちなみにチェックイン時に見た乗客リストから乗客のほとんどはインドネシア国籍(中国系含む)、数人のマレーシア国籍でその他は私一人だった。

 出発してから30分は交通量のある普通の国道、それから人気の無い山道を30分行くとマレー側イミグレに着いた。 そこで例によって簡単な出国審査をして歩いて悪名高いインドネシア側イミグレに向かった。

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