中国東北部



(韓国2編から)

1.辛い宿探し(大連、5月4,5日)

 船は昼前に大連の港に接岸したが、乗客の荷物が多いので下船と入国審査に時間がかかった。 結局、大連のフェリーターミナルを出たのは2時ごろだっただろうか? Lonly Planet社のガイドブック「China」に出ていた一番安い宿、勝利賓館に向かう事にした。

 近くを通ったバスに聞いてみると運転手にとりあえず乗れと言ったみたいなので乗ってみると運転手は勝利賓館を知らなかった。 しょうがないので勝利賓館のそばを通っている上海路に行くか聞いてみるとそこは知っていた。 上海路の近くで降ろしてもらうとザックをかついだ外国人旅行社が珍しいのか?道行く人に注目されたりした。

 問題の勝利賓館に着くと宿の従業員は英語が話せなかった。 従業員に筆談で部屋の事を聞くとあっさり「ない」と言われた。 「そばの旅社に行ってみたら? 外国人でも大丈夫だ」と言われたので行ってみるとそこは「外国人はダメ。 高級ホテルに行けば。」と言われた。 勝利賓館に戻って事情を話すと「4人部屋なら空いている。 1泊160元だよ。」と言われたがガイドブックには「40元でダブルの部屋をシェアできる。」と書いてあった事を聞いてみると状況が変わったのだろうか?ガイドブックの記述とは違うらしい。

 昔、よく中国の宿の従業員は働いても働かなくても給料は一緒だったので気分次第で働いていたらしい。 つまり、部屋が空いていても面倒だったら「部屋はない。」と言っていたらしい。 でも、様子を見ていた他の従業員達の態度からも本当に部屋が空いていない様だった。 彼らはこちらから何かを聞こうとするととりあえず意味が分かるまで聞いて出来る限りの事をしているようだった。
 2年前にNHKの衛星放送で夜中にやっていた中国のニュースで「精神文明建設」を強調していた。 その効果が出たのだろうか?

 そのうち、英語が少し話せる人が見かねて助け船を出してくれた。 この人はこのホテルに鶏肉を納めている業者の社長で彼に事情を説明すると、「サウナに行くと30元で泊まれる。」と言ったので案内してもらったが日本のサウナの仮眠室だった。 安全性に不安を感じたので骨を折ってくれた社長には申し訳ないが、そこは止めて他を探す事にした。

 何軒か賓館、招待所といった所に訪ねてみると大抵ダブルで150元だった。 日が暮れてきた5時頃に力尽きて、火車站近くの大連交通賓館の150元の4人部屋に落ち着く事にした。 しかし、デポジットとして200元請求されたので残り15元。 両替できる所は時間的に無理だった。 香港ドルも持っていたのでこれで代用できないか聞いてみたが人民元以外はだめらしい。 疲れて動きたくなかったのでその夜はシャワーを浴びてそのまま寝てしまった。

 翌日、外貨の両替が出来る中国銀行に行ってみた。 一般業務らしいことはやっていたが外貨の両替は、今は中国の連休中で3日後の月曜日まで休んでいるとの事だった。 高級ホテルならやっているとのことで、宿の近くのホリデイ・インに行ってみた。 さすがに英語が通じたがトラベラーチェックは宿泊客以外、扱ってないそうだ。 現金を持っている事を従業員に伝えると、受け付けてもらえた。 しかし、レートはイマイチの\10,000=746元だった。 \10,000=800元くらいと思っていたが疲れていたし、昨日の夜にお菓子を食べただけでおなかが空いていたので。 両替して746元を手に入れた。

 両替して食事をとってから、100元以下で適当な宿を捜す事にした。 タイでは大体1日\1,000くらいで旅行が出来るが中国はタイと比べて物価が高いので1日\2,000くらいとみていた。 しかし、150元の宿に泊まると宿泊費だけで\2,000近くになってしまう。 昨日、30元の宿があったのでそこに行く事を考えたが食事に向かう時に旅社を見つけたのでそこを覗いてみる事にした。

 そこは韓国か朝鮮系の人が経営しているのか?韓国賓館と書いてあった。 部屋はあるらしいが体を洗う場所が無いらしい。 つまり寝るだけの簡易宿泊所らしい。 大連には3〜4日いたかったのでそれではきつい。 多分どこかにサウナや銭湯があるのだろうが、通じなかった。
 しかし、よくよく従業員の女性に聞いてみると外国人が利用できる宿ではないらしい。 無理に宿泊して公安に見つかると私は罰金、宿の人にも罰金は請求されるのだろう。 迷惑をかけてまで宿泊するつもりはなかったので諦めて、大連市内に100元以下で外国人が宿泊できる所はないか聞いてみると「場所は知らないけど私設の所は出来るかも」多分不法な民宿だろう。 彼女はさらに「でも、そこは危ないからお金がかかってもちゃんとした外国人が泊まれる所にした方がいいよ。」と続けた。
 この国は最近犯罪が増加していて、物を盗むだけでなく殺してしまう荒っぽい強盗が多いらしい。 中国は罰則が厳しく、死刑囚の数が多いらしい。 強盗の方も捕まったら何をされるかわからないので死人に口無しで殺してしまうのだろう。

 結局、彼女の忠告を受け入れる事にした。 今のホテルも従業員が結構親切で、同じフロアにいつも人がいたのでそこそこ安全らしく気に入っていたので宿は替えない事にした。 しかし、部屋はカーテンが無くプライバシーが確保されていたわけではなかったので、宿に戻ってダブルでシャワー、トイレ付きの160元の部屋に替えてもらった。

2.オシャレな港町(5月4〜8日、大連)

 中国の人には悪いが、大連に着いてから予想外に町がきれいで近代的なビルが立ち並んでいるのを見て驚いた。 前回の深[土川]は特別な地域なのでそうなんだろうと思っていたからさほど驚かなかったが。

 大連火車站前に勝利広場という商業地区があって、デパートの他に地下にショッピング・モールがある。 店の感じが日本や台湾とあまり変わり無く、日本人より少し地味だけどあまり変りない服装の若者で賑わっている。 さらにこの地域の人達は噂通り東洋系の中では大柄で、165cm以上の女の子や180cm以上の男の人が珍しくない。 日本や韓国と比べても肥満はまだ少ないのでモデル体系の女性が多い。
 この地域の人達は満州など北方系の血を引いているからと言われている。

 沿岸部のどの都市もこんな感じだろうと思ったが次に訪れた北京で実はそうでもなく、大連は特別オシャレな町らしいと言う事がわかったが。

3.お金があれば(5月8〜9日、大連→北京)

 今年は中国でも日本のような5月の連休があって、それもあって大連での宿探しに苦労した。 そのため、とりあえず大連で連休が終わるのを待って銀行で両替してから北京へ移動する事にした。

 連休明けの8日、銀行で両替のあとに火車站で並んで駅員に以下のメモを渡してみた。

今天我去到北京。
1.硬臥(2等寝台、日本ではB寝台)
2.軟座(1等座席、日本ではグリーン席)
3.硬座(2等座席、日本では普通席)

 ところが全て無いらしく、「軟臥」とメモに書いた。 以前、旅行者から聞いていたが代理店が切符を押さえているので硬臥は火車站では手に入りにくい。 代理店でいくらか手数料を払えば簡単に切符が手に入るらしい。

 そこで火車站のそばにあった高級ホテルの1階の代理店で聞いてみると少し待ってすぐに硬臥の切符が手に入った。 料金は260元。 あとで調べたら北京火車站で買うと237元らしい。

 代理店のおばさんがお札に紫外線らしいものを当てる機器を使って100元札をチェックしていた。 この国では普及しているらしく、あちこちで紫外線を当ててチェックしていた。
 丁度、英語が話せる女の子がいたので何を調べているのか聞いてみるとおばさんが機器を近くに持ってきて見せてくれた。 紫外線を当てると「100 YUEN」と文字が浮き出るのだ。

 この国では偽札がかなり出回っているらしく、銀行で受け取った100元札の中に偽札が混じっていたという噂すら聞いた。 恐らく、すかしや金属の線すらある偽札があるということだろう。 銀行に客が確認できるように機器を置いて欲しい。

 1時間前に火車站に着くと大勢の人が待っていた。 インドネシアの国営船を思い出した。 改札が始まると我先に自分の場所に向かって人々が駆けていった。
 車両は新しいもので、日本の寝台車とあまり変わらないきれいなものだった。 これも「精神文明建設」の成果だろうか? 乗客はこざっぱりした格好の人が多かった。 乗客はその辺にゴミを投げ捨てたりしなかったし乗務員の女の子が掃除していたので予想外に清潔だった。 料金が高いせいもあるだろうが、以前乗った寝台バスとは大違いだ。 夜は乗務員が通路に座っていたので確かに寝台バスよりは安全らしい。

 翌朝、明るくなった外を見るとまさに「大陸」だった。 延々と畑が続き、防風林が続いた。 昔の北海道はこんな感じだったのかと思った。 沿線の農村はイメージしていた「中国」だった。 大連で見たおしゃれな人達はどこにもいなかった。
 そのうち、家が増えてビルが見えるとすぐに北京火車站に着いた。

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