かずえの鈴鹿日記 (上)

かずえってのは, 私の妻です. 元々それほど運転とかモータースポーツに興味があった訳ではないのですが, 私が遊んでいるのを見てだんだん興味がわいてきたようで, ある日「ワタシ, ホンダが鈴鹿でやっているドライビングスクールに行ってくる」 と言い出しました. という訳で, その参加日記を上下二編構成でお送りします.


1998年のモータースポーツの最後をしめくくるフォーミュラ・ニッポン最終 戦。秋晴れの鈴鹿サーキットの姿をVTRで見ながら(夜中まで起きて見ていら れるほど若くねーんだ、こちとら。)、私は一週間前の出来事を昨日のことの ように思い出していた。そう、私もあのサーキットを走ったのだ。シューマッ ハやハッキネンがついこの間走った、その同じ鈴鹿サーキットを。たとえ車は ドノーマルのホンダシビック1.5 l だったとしても。たとえラップは高木虎之 介にはるかに及ばなかったとしても。でも、彼らと同じ道を私も走ったのだ!、 この腕で・・・てなわけで、トーシロ主婦の鈴鹿サーキット体験走行記、いや、 走行体験記・・・あれ、どっちだ?(どっちも同じか。)

Chapt.1 出会いはある日突然に・・・

それは偶然見つけた一つの記事から始まった。何気なく見ていた JAF mate の巻末の広告ページにホンダドライビングスクール(以下HDS)の案内が小さ く載っていた。その中の「中級2日コース」に、私の目は吸い寄せられたので あった。「・・・場所:鈴鹿サーキット交通教育センター。1泊3食付き、¥ 42,000、サーキット体験走行・・・これって、鈴鹿サーキット走れるってこと? もしかして・・・」講習の内容は、その他に、危険回避、滑りやすい路面(ス キッドですね)、スラローム、スキッド旋回(これ何だろ)等。開催日:11月 22〜23日、定員20名。えー、これってなかなかいいんじゃん?まだ間に合うか しらん?(*これを見つけたのは10月の終わり頃だったと記憶している。)JAF に問い合わせてみると、まだ空いているとのこと。さっそく予約し、クリスマ ス・イブに成田で走行会をやると盛り上がっているダンナには、「あたし、す ずかにいくのー!」と宣言し、心は既に鈴鹿サーキット。実は、来年早々に計 画していた2泊3日札幌ツアーを、旅行会社のあまりの対応のまずさにキャンセ ルしたばかりだったこともあり、それなら鈴鹿に行って、サーキットも走れて、 運転の講習会も受けられる1泊2日の旅行と思えば、ただの観光旅行よりずっ といいやんけ。ちなみに、私はまだ鈴鹿に行ったことがなかったのであります。 (ダンナは過去に一度 F-1 を見に行っているんですが。)なので、’あの’ 鈴鹿、に行くというだけで、すっかりうれしくなっていたのでした。

Chapt.2 されど鈴鹿は遠かった・・・

11月22日(日)。午前5時起床。外はまだ真っ暗。さみーよー・・・。ファ ンヒーターとお友達になりながら、最後の支度。眠りこけるダンナを6時に起 こし(ごめんね、折角の日曜日だっちゅーのに)パワーアップした’NEW’ Today 58 馬力で荒川沖駅まで「魂の走り」をしてもらうことにする。ようや く夜も明け始めた東大通りを、時折前をふさぐ遅い車にいらつきながらも、気 が付くと25分で荒川沖駅に到着。次の電車までまだ15分もあるよー。7-11でも 行こうかな。

なんだかんだで予定よりもだいぶ早く東京駅到着。待つこと数分、ホームに 入ってきたのぞみに乗り込み、上野駅で買っておいた朝御飯を食べる。でも、 のぞみって車内はひかりと変わんないのねー、ぢゃ、何がえらいんだろ?(ち なみに、田舎者の私はのぞみに乗るのもこれが初めてだったのだ。ほんとはひ かりで行きたかったのに、間に合う時刻のがなかったのさ、ぐっすん。)定刻 午前9時東京駅発車。あー、確かに速いか・・・でも何か気持ち悪いな、この Gの懸かり方というか、みょーな浮力というか・・・。やっぱひかりのほうが いいや。速いだけで700円も高いっつーのは解せないなあ。うーん。JRの陰謀 だ。(お忙しいビジネスマンの皆様、ごめんなさい。)

とかなんとか言ってるうちに、名古屋駅到着。遥か彼方の近鉄のホーム目指 してえっちらおっちら歩く。ここからさらに白子まで近鉄特急で40分。車内は お伊勢参りのおばちゃん連れやグループ旅行のねーちゃん達でかしましい。白 子の駅は思っていたよりずっと小さくて、ここがほんとにあの鈴鹿サーキット のあるとこなの?って感じ。まあ、でも、つくばだって相当田舎だし、茂木だっ てあの山の中だし、サーキットのあるとこなんてそんなものよね。(だいたい うるさいしね。)バスで行けるだけまだいいか。というわけで、駅からバスに 乗ること十数分。遠くに見える観覧車をよそに、あちらこちらと回り道しなが ら、やっと着いたのは遊園地の入り口。運転手さんに「交通教育センターへは どう行けば?」と問うと、「すぐそこに道があるから、そこ左にずっといけば・・・」っ ちゅーので、荷物背負ってまたひたすら歩く。道の両脇は遊園地で、日曜日と いうこともあって結構賑わっている。あー、ジェットコースターだ、いいなー・・・っ と、おお、ここだ。ここ・・・だけど、歩道にフェンス立ってて、横断歩道無 いよ?どーすんだ、これ?さっきの交差点で渡っておけばよかったな・・・ど ないしょ?次の交差点は遥か先だし。しゃーない、ごめんしてねっっっ、と、 交通教育センターの目の前で交通違反をしてしまった私。でもなんとか時間に は間にあった。やれやれ。

Chapt.3 回る回るよクルマは回る!?

午後1時。教室に集まった私たちの前に、時刻きっかりに指導員登場。本日 のメンバーは全部で9人。以外と少ない。女性は4人、私と同い年の横浜から来 たHさん(愛車は中古のCR-X)、長野県上田市(げっ!)から参加の2人連れ のおばさま方(失礼)。(このお二人は看護婦さんとのこと、住所が緑が丘と 聞いてダンナ曰く、「東信病院か?」ちなみにダンナは上田市出身であります。) 5人の男性陣はみな地元近辺の方々で、あまりに地元ゆえ今まできたことがな かったというHさん(ここから30分だと言ってらした)、自己能力開発休暇の 一環として参加したとおっしゃるKさん、大阪から来た’訳あり’プレリュー ドの二人組のおにいちゃん達、もひとり大阪の、’孤高の走り屋’的K氏。こ の御三方は二度目の参加で、結構場馴れしている様子。ともあれ、一通りスケ ジュール等の説明を聞いた後、いよいよ表へ出て実習であります。

車は二人に一台の割り当て。MT希望の私はHさんとペアを組み、まずはエン ジンルームの点検から。「バッテリーよし、オイルよし、えーと、ベルトの張 り具合・・・?どこだよ、おい?」んなもん、遥か下の方で他のパーツに囲ま れて手が入んねーやんけ。さすがホンダだあ。おっと、もたもたしてると置い ていかれてしまう。5台つるんで場内を移動。まず最初は”緊急回避”、前方 に点滅する信号のあるコースに40km/hで進入し、信号が変わったらその違いに 応じて即座に右か左にレーンを変えるか、急停止するか、というもの。あー、 これ、バイクの免許取るときにもやったような気がするな・・・あんまし好き じゃないんだよな。つられて反対の方向いっちゃったりするし。・・・案の定、 ハンドルを切る時に一瞬迷いが生じる。反応が鈍っているのも歳のせいかしら ん?

これを1時間半程やったあと、休憩を入れて次は”滑りやすい路面でのブレー キ実習”。短い秋の日は早や西に傾き冷たい風が吹き始めた中、私達が連れて 行かれたのはピチャピチャと水の流れるスキッドコース。ここでもって’タイ ヤをロックさせるブレーキ’っちゅーのと’アンロックブレーキ’っちゅーの をやるんだそーだ・・・うー、さみーよー。「エアコンかけていいですからね。」 と言われながらも説明は風吹きすさぶ土手の上。濡れた路面の上に最初は 50km/h、次いで60km/h、70km/hで進入し、フルブレーキを踏んでタイヤをロッ クさせて止まるというもの。「50km/hはまあ試しに1本やって、あとはそれぞ れ3本づつかな。」一人ぶっとおし7本。「次の車、スタート願います。」規 定の速度まで上げるのがなかなか難しい。思いっきり踏みこむのに70km/hに達 しない。と思う間に、スキッド。体をシートとブレーキペダルの間に突っ張ら せて、思いっきりブレーキを踏む。あ、ロックした・・・!そーか、こうなる のか・・・。続いて低ミュー路。こちらは40km/hで進入。「スピンしますから ね。思いっきり回っていいですからね。」と言われていた通り、踏んづけたと たん、くるくるくるー。うわー、こわいよー。思わずハンドルにしがみつく。 そうか、スピンするってこういう感覚なんだ・・・。今まで私はタイヤをロッ クさせたことも、スピンしたことも無かった。公道じゃ滅多にできませんのも ね、こんなこと。(あったら恐い!)ちなみにこれらの実習はすべてパートナー 同乗で行われます。横に乗せられる人はたまったもんじゃない・・・ごめんね、 Hさん。(お互いに。)

そんなこんなをたっぷり5時までやった後、室内に戻って後は救急法の講義 と明日のサーキット走行の説明。「朝7時から走りますから・・・そうですね、 6時40分位に集まれるかな?」うげ、起きれっかよー・・・6時起きで間に合 うかな。まいったね、こりゃ。

外に出ると日はすでにとっぷりと暮れ、遊園地の喧噪も収まりつつある。H さんの車(レンタカー)に乗せてもらって宿舎であるサーキットホテルに移動。 この後は楽しい晩御飯が待っている。が、ホテルにたどり着く道がえらくやや こしくて、おまけに暗いもんだから、二人して完璧に迷子状態。ゲートにいた ガードマンに尋ねていたところへ、後ろからK氏の車。ありがたや、と後をくっ ついて行き、なんとか部屋まで行くことができました。晩御飯には大遅刻。ど うもお待たせ・・・と、用意されていたのは焼き肉付きの和定食コースであり ました。アルコールも入ってみんな打ち解け、たっぷり食べた後はホテル内の 温泉へ。一日の疲れを落として、明日は朝からシューマッハだ!

1998 Copyright (C) Kazue Tsuchiya. All rights reserved.

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