美しいウソ

また、ケンウッドのメモリオーディオプレーヤーを買いました。

ケンウッドのプレーヤーについては前回イタイ目に遭っているので、自分でも「なぜまた?」とは思います。言い訳も3つ4つ考えたのですが、結局のところ

今回のは自社設計らしいから、前回とは違う...といいな(希望)

ぐらいの感じです。もう一つ、あえて言い訳を足すとすれば、今回のには Made in JAPAN と書いてあることでしょうか。実際のところはたぶん組み立てだけで、中の IC と基板には、韓国語と中国語が書いてあるんじゃないかと思うのですが。

Kenwood M1GC7とB&O A8

買ってきて、MP3 ファイルを入れて聞いてみたところ、小さく「ひゅるひゅる」という音が聞こえるのと、時々再生がとぎれて「ぷちっ」という音がするのに気が付きました。それで少し気分が凹んでいたのですが、「ぷちっ」の方はしばらくしてリコールがかかり、メーカー修理の結果そういう音は出なくなったので、気分はだいぶ回復しました。

私の場合、今回のリコールでは宅急便費用が往復で 1,520円ぐらいかかっているはずなのですが、これはもちろんケンウッド持ちです。当然といえば当然なのですが、これではたしてもうけが出るのか、他人事ながら気になります。ただでさえ、国産オーディオメーカーは絶滅危惧種だというのに、こんな商売をしているようでは...

話を少し元に戻すと、リコールで「ぷちっ」の方は無くなったのですが、「ひゅるひゅる」の方は相変わらずです。とはいうものの、OEM のころのノイズよりは格段に目立たなくなっているので、これ以上は気にしないことにしたいと思います。

思ったらそこでやめておけばいいのですが、やっぱりやってしまうんですよね。WaveSpectra。


まずは 10kHz -90dB の wav ファイルの再生結果です。前回間違えたので、今回は忘れずに再生音量を最大にしてあります。
なぜか 14kHz ちょうどのところに -90dB の信号が出ています。再生信号の振幅を変えるとこれ以外に謎のピークがあちこちに出ますが ^^; とにかくこの 14kHz のピークはずっと出ています。結局のところ、今回も S/N 比はおおざっぱに言って 90dB ぐらいのようです。このピークは「ひゅるひゅる」音とは違うのですが、筆者の耳は十分に老化していて、こちらには気が付かなかったようです(苦笑)。
「ひゅるひゅる」音の方は、上に書いた、振幅を変えたときの謎のピークの方に対応しているのだと思います。

ノイズ測定結果


この製品にもイコライザーが付いています。まずはノーマル設定で、20Hz から 20kHz をスイープした結果です。少しだけハイ上がりなようです。

ノーマル設定

次がバス設定です。これは比較的、効いている感じがします。

バス設定

次はポップス設定です。この図を見ると意図はよくわかるのですが、正直に言うとあまり効いている感じはしません。

ポップス設定

次はロック設定です。これもあまり効いている感じはしません。

ロック設定

次はジャズ設定です。波形を見ても、ロック設定との違いはほとんどわかりません。

ジャズ設定

次はダンス設定です。何ダンスなのはわかりません。

ダンス設定

最後がボイス設定です。別にボーカル設定ということではなく、「英語特有の帯域を補正し、英語学習に便利」なモードだそうです。確かに聞きやすくなるのですが、英会話で一番困るのは電話越しの声だと言うことを考えると、ここで楽をしても後で苦労するのではないかと思います。

ボイス設定

全体的に、この製品のイコライザーは効きが弱いと思います。イコライザーは所詮調味料なので、あまり効きすぎるのも考え物ですが、効いた感じがしないと客が困るような気もします。


この製品には、高音域の補完機能「Supreme」が付いています。メーカーが言うには

MP3 などの音楽データは圧縮により高音域成分が失われてしまいます。「Supreme」により、失われた高音域を補完して、原音に限りなく近い音質を実現します(以上、カタログを要約)。

なんだそうです。いろいろつっこみ所がありそうなのですが、とりあえず動きだけ検証してみました。

まず、ホワイトノイズを MP3 圧縮して、Supreme なしで再生してみます。ビットレートは 128kbps で、17kHz あたりでローパスフィルタがかかっています。

Supreme なし

同じ MP3 ファイルを Supreme ありで再生した結果が以下の図です。確かにソレっぽい周波数特性になっています。

Supreme あり

しかし、しかし。ホワイトノイズはいくらなんでも極端な例なので、逆の極端を持ってきて、バランスをとりたいと思います。こちらは 20Hz から 20kHz までのスイープ信号を MP3 化して Supreme なしで再生したもの、こちらは同じファイルを Supreme ありで再生したものです。メインの信号に対して整数倍の高調波がたくさん出ているので最初のうちはどっちもどっちと思うでしょうが、後半になると楽しい波形が見られます。

原音に限りなく近い

ねぇ...

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