倫敦塔


 「ロンドン塔は今も人々をとらえて離さない」
 ロンドンの地下鉄に貼られていたポスターの文句に誘われて、(実は)出来心からロンドン塔を訪れました。このコピーのどこがふるっているかと言えば、ロンドン塔が監獄として機能していた背景があるからです。エリザベス1世の姉、メアリ1世をはじめとして、多くの囚人がここで命を絶たれました。
 ロンドン塔はもともとはロンドン市を守るための城でした。天守閣の建造時期はドーバー城と同じ頃で、本来の形態はドーバー城と酷似していたようです。それが改修を繰り返して現在の姿になりました。ドーバー城は20世紀半ばまで軍事的に現役でしたが、ロンドン塔は早い時期に退役してしまい、その違いが現在の姿の違いというところでしょうか。
 現在、ロンドン塔には戦利品の兵器や中世以来の武具や甲冑、武器類の展示があります。また、圧巻として歴代英国王の紋章(1人に1つずつある)や王冠などの展示があり、特にヴィクトリア女王の王冠にはめられた、ものすごく大きなダイヤ(名前、忘れた)は見るものの目を奪います。宝石なんぞには一片の興味も抱かない私でさえ、「あれ、欲しい……」と思ってしましました。友人と「すごいねー」と日本語で言っていたら、番の人に笑われてしまいました。宝物館には映写ホールがあり、エリザベス2世陛下の戴冠式の様子が放映されています。
 とにかく、松本城なんぞメじゃない、圧倒的な質と量の展示で、決して出来心で訪れて良い場所ではありませんでした。じっくり見れば1日、下手すると2日以上かかります。心してお出かけ下さいませ!
 ……もう1度、行きたいなぁ。


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テムズ河上から見たロンドン塔

 犯罪者の出入りに用いたトレイターズ・ゲートはテムズ河に面し、小舟で出入りしました。現在は閉鎖されています。上流からカナル・ボートで下ってきたホーンブロワーも、この姿を見たのでしょうね。

中庭には戦利品の大砲

 フランス陸軍の野砲、12ポンド砲です。フランス陸軍の大砲は砲自体の大きさに比して車輪の直径が大きいのが特長で、高速での移動を実現しました。ナポレオン軍の行軍の速さはここにも起因します。

何門もある戦利品

 たくさん、並んでいました。パリの廃兵院にあるものより保存状態が良いようです。何より、ちゃんと砲架に載っているのが嬉しいですね。フランスの大砲を見るなら、ロンドン塔。でも、英国の大砲は廃兵院にはありません。

中庭の警備兵

 近衛兵ではありません。英国陸軍ですが、所属連隊は不明です。やはり、近衛兵に比べると、所作がぎこちなく、一瞬、モデルガンを担いだガードマンかと思ってしまうほどでした。どーも、決まらないんだな。なお、ロンドン塔でも深夜に近衛兵の儀式があるようです。

英国陸軍のマスケット銃とサーベル

 武器庫には鎧や大砲など、様々なものが飾られていました。しかし! 全てガラスの向こうだったり、いろいろあって、ろくな写真がありません。1眼レフを失ったのは痛かったです。

英国国内最多のマスケット銃

 1カ所にこれだけ並んでいるのは英国でもロンドン塔だけだそうです。とにかく、見るところが盛りだくさん。松本城程度だろうと甘く見た私も悪いのですが、訪れたのが夕刻だったために駆け足で見るはめになってしまいました。じっくり見ると1日以上、かかります。

ピストル

 これもナポレオン戦争の頃のもの。考えようによっては、とても贅沢な飾り付けです。当時の英国の物量が偲ばれます。日本史家は日本における火縄銃の大量生産を誇っていますが、これを目にしたら、アッテンボロー提督ならずとも「それがどうした」と言いたくなります。

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