99/12/24 <特報・教諭隔離>松戸市立幼稚園でカラ出張告発の女性教諭を隔離−松戸市 毎日新聞ニュース速報

千葉県松戸市立中部小学校付属幼稚園(山本龍蔵園長、園児47人)で、女性の主任教諭(56)が今年6月から「研究業務」を名目に空き教室に“隔離”されている。この教諭が同僚のカラ出張疑惑を告発したことから、「告発した者とされた者が同じ職場で仕事はできない」というのが理由。主任教諭は24日、無人の教室で2学期の終業式を迎えた。市内唯一の市立幼稚園で、園児不在の混乱が続いている。

トラブルは昨年10月、この教諭が主任として同幼稚園に赴任したのが発端。同園の総括的な運営を担当するうち、同僚の女性教諭2人がカラ出張で幼稚園から計約40万円を着服していたことをつかみ、今年1月、同市教委に申告した。

この問題は市議会で取り上げられ、沢間俊太郎市議は5月に千葉地検松戸支部に業務上横領容疑で2人の教諭を告発した。同市監査委はカラ出張と認定し、11月に2人から約40万円を返還させた。

ところが、市教委はカラ出張していた2人には一切処分を出さず、逆に山本園長が6月5日、告発した側の主任教諭に「21世紀の幼児教育の在り方」についての研究業務に専従する職務命令を出した。主任教諭によると、併せて(1)職員室の出入りは出勤簿への押印時のみ(2)トイレ以外は、空き教室から出ない(3)園児、保護者とは接触を禁止する――との指示を受けたという。同園では併設している小学校の教頭が主任職を代行し、さらにこの教諭に代わるパートの職員を採用。教諭は事実上、主任職を解任された状態だ。

主任教諭はこの半年間、給与は支払われているものの、出勤すると2階建ての施設の1階の空き部屋にこもったまま。同僚のカラ主張が認定された後も処遇は変わっていないという。

この措置について山本園長は「幼稚園の今後を研究してもらうため、私の裁量で指示した。報復や隔離ではない。市教委にも報告している」と説明。また市教委の山根恭平学務課長は「教育委員会が指示したものではないが、(園長の指示は)一連の問題とは関係ない。パート職員は、カラ出張問題後の同園の混乱に対応するためのもの」と話している。

一方、主任教諭は「カラ出張については、山本園長にも指摘したが取り合ってくれなかった。研究専従の命令について、園長は『告発された教諭の気持ちを考えた措置』と説明したが、明らかに私を排除するもの」と抗議している。

下村哲夫・早稲田大教授(教育経営学)の話 主任教諭の申告は公務員として当然の行為。それに対して園長の措置は報復とみられても仕方がない。研究テーマが1人で専従してできるものでもないし、必然性がない。主任職の任命権は教育委員会にあり、明らかに園長の職権乱用といえる。[1999-12-24-14:00]


(個人的なコメント)あきれてものがいえない山本園長の行為は、越権行為のみならず、不法行為ともいえる。公務員同士の身内の不正のなれ合いとかばいあい。教育委員会の学務課長の言い分も、一連の問題とは関係ないなどと、嘘の上塗り。恥知らずな言い訳ですね。こういう人間が、教育機関や行政組織のトップにいると思うとやりきれない思いがする。ことなかれ主義で、いざこざを避けようとする教頭・校長も少なくない。成績で採用するから、出身教職大学閥・教育ボスが存在するようになる。

公務員の職場の一端がかいま見える。告発するものへの見せしめ行為。私企業なら、カラ出張は詐欺罪で告発され懲戒免職、担当責任者は監督責任から訓戒・更迭でしょう。


1999年3-12月分の教育記事 文部省データの小目次に戻る 教育の大目次に戻る 11月の新着情報

最初のホームページに戻る  pf4m-atm@asahi-net.or.jp