99/9/6 受験者が定員下回れば全員合格を=高校入試で中教審が方針 時事通信ニュース速報

中央教育審議会(文相の諮問機関・根本二郎会長)は6日までに、高校入試の合否判定にあたり、合格には一定の成績や適性が必要とする「適格者主義」の考え方を撤廃する方針を固めた。進学率が約97%に達する中、高校を「事実上すべての国民が学べる機関」ととらえ、学ぶ意欲があれば高校に入学できるよう都道府県教育委員会や各高校に徹底する方向。[時事通信社][1999-09-06-12:42]


99/9/6 中教審「高校全入」答申へ 読売新聞ニュース速報

中央教育審議会(文相の諮問機関)は五日までに、高校入試で成績が一定のレベルに達しない受験生を不合格にする「適格者主義」を改めるよう提言する方針を固めた。年内にもまとめる答申に盛り込まれる見通し。進学率が97%に上るなか、高校を「事実上すべての国民が学べる教育機関」と位置づけ、学ぶ意欲や適性があれば、入学を認めるべきだとの考え。各都道府県の高校入試に影響を与えることは必至で、文部省では早ければ来春の入試から、全国の「定員内不合格」が大幅に減ると見ている。

少子化の進展で、全国的に定員割れとなる高校が増えているが、一定の能力を入学の前提とするいわゆる「適格者主義」を維持し、定員に余裕があっても「学力不足」を理由に不合格者を出す県教委や高校も少なくない。受験生が定員を下回ったのに不合格者を出した公立高校は、昨春、文部省が調査した全国四千六百三十二学科中、少なくとも六百七十学科に上った。

同省は一九六三年の通知で、「高校の教育課程を履修できる見込みのない者をも入学させることは適当でない」「高校入試は高校教育を受けるに足る資質と能力を判定して行う」と、「適格者主義」を鮮明に打ち出した。

その後、八四年に「高校入試は各高校、学科の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性を判定して行う」と、現場に判断をゆだねる柔軟姿勢に転換した。

しかし、この時期は高校進学者数がピークに近づき、定員割れも少なかったため、通知の実効性は小さかったと見られる。少子化が進み、高校進学率が97%に達した今の時期に、中教審がさらに踏み込んで「適格者主義」の廃止を呼び掛けることは、学校を選ばなければ、意欲ある生徒は全員、高校で学べることにつながる。

高校入試の合否判定は基本的に各高校長に任されているが、実態はまちまち。

鹿児島県は「高校は『全入』ではない。高校教育を受けるに足る能力、適性があるか、各学校で慎重に判断している」と、適格者主義を維持する立場。愛知、茨城、高知県なども、「三年間の高校教育に耐え得るかを十分踏まえて合格を判定している」としている。

逆に、東京都は「試験中に立ち歩くなど態度によほど問題がある場合を除き、学力試験の結果は低くても定員まで生徒をとるのが原則」と明言。昨春、定員内不合格がゼロだった神奈川県も、「できるだけ不合格を出さないよう各校長にお願いしている」という。

一方で、中教審は大学について、高度な専門知識を身に着ける場として「適格者主義」を維持すべきだとの見解を示す方針。[1999-09-06-12:02]


99/9/6 <高校全入>「適格者主義」の撤廃方針固める 中央教育審議 毎日新聞ニュース速報

文相の諮問機関、中央教育審議会(根本二郎会長)は6日までに、高校入試において一定の成績や適性が必要とする「適格者主義」の考え方を撤廃する方針を固めた。高校進学率が97%に達している現状を追認する措置だが、これにより受験者全員が入学できる道を広げるものとなる。

中教審では高い進学率の状況を考えた場合「盲・ろう・養護学校まで含めて、すべての進学希望者を後期中等教育に受け入れるよう適切な受験機会の提供や条件整備に努める必要がある」としており、年内にまとめる答申に盛り込む。

今回の方針で定員割れになっている高校は大幅に減ることになりそうだ。

文部省の調査によると、昨春、受験者数が定員を下回ったのに全員を合格にせず、不合格者を出した公立高校は全国4632学科中、670科に上った。これらは「適格者主義」に沿った結果だ。

同省は、希望者が高校で学べる機会を拡大すべきだとして、1984年に「適格者主義」を改めるよう各県教委などに通知。岩手、神奈川、広島、徳島の四県では昨春、受験者が定員を下回った学科では全員が合格した。

今回、中教審はこの考え方を一層進めたもので、文部省では今後、学ぶ意欲があれば全員が高校に入学できるよう都道府県教育委員会や各高校に徹底させることにしている。

[1999-09-06-20:10]


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