21.痴呆の介護度が低すぎる
痴呆の介護度が軽く見られているのではないか?というのが重大な欠陥と思われる。痴呆症状が進むと、徘徊・暴言・寝返り等がなくなり逆に介護の手がかからなくなるため介護度が下がるという判定があったが、悪くなった方が介護度が下がり費用がかからないという妙な理屈が初めて分かった。これでは、介護の手を抜いて痴呆を進行させれば費用がかからないということにもなりかねない。介護費用を低くし、介護の人手を少なくすれば、痴呆は増えてしまう。
コンピューターにこう入力するとこう判定される!という裏マニュアルがでてしまうのではないか?(実際には、理性では理解不能な判定結果を出すので今のコンピューターシステムでは予測不能と思われるが、生活保護の認定と同じ問題がある)
22.考察
結局のところ、各要介護状態区分の状態像をよく読んで一次判定結果と照らし合わせて要介護度を判定した方が、コンピューターの一次判定結果よりも、判定の矛盾や不公平性の拡大が少ないということは、はっきりした。
コンピューターに判定させる理由はただ一点、全国的な一律性と公平性の確保にすぎない。しかし、今回の認定作業では、コンピューターの総合判定能力は人間より、はるかに劣るということでした。そもそも介護度の総合判定のような全体像を把握しなければならない作業にコンピューターによる判定は不可能。それを無理矢理コンピューターにさせた結果、個々の状態像をくらべた時、要介護度認定に著しい不公平が生じている。この点に関しては、認定審査員の認定方法についても未熟なところがあったようです。
23.マンパワーの確保
また、全国一律の判定結果などは、地域の介護体制の基盤整備の違いでもともと介護体制の一律性などは確保されないことは明らかです。施設が足りなければ可能な限り、ヘルパーや在宅関係のマンパワーを育成するなど地域での対処法が強く求められる。特に、ホームヘルパーの数の育成は高齢者雇用対策や自分の家族の介護やねたきりの予防に大きな効果が期待されます。積極的な育成に向けたPRが必要。施設不足を施設サービスが提供できるまで、在宅サービスを厚く提供するなどで切り抜けることも必要でしょう。
行政による民間の新規参入支援や機能向上への支援、調査員やケアマネージャー、ホームヘルバーの資質向上などに一層の介護福祉施策が求められます。
コンピューター判定を絶対視するのは、古代のデルフィの神託と同じです。現代のパソコンに神託をもとめたものにすぎない。
24.第三者機関
専門知識・経験があり公平・中立な立場の専門家が認定して、プライバシーに配慮してその過程を情報公開すれば、認定に不公平は生じえないし、コンピューターよりも満足すべき判定ができます。判定に慣れや情実が入ったときに不公平は生じやすいため、情報公開し、監視するオンブズマン制度のような開かれたシステムが必要。
厚生省は平成11年度に施設内に第三者を交えたオンブズマン制度を導入する法案を国会に提出するとのことだが、各施設のオンブズマンを統合した市内のオンブズマン制度も必要である。オンブズマン制度は施設サービスの向上や市の施策の調整・福祉サービスの改善・提供状況の情報公開などを通じて、市民に開かれた福祉サービスを推進するためのもので、決して監視・監督などに偏る機能ではない。
これに関して、99/3/2厚生省は第三者機関の設置を、社会福祉の基礎構造改革の関連法案として今国会に提出するとのこと。(どうも提出は見送れそうです。)
25.概況調査について
概況調査を判定に用いないとしているが、従来の措置制度では概況調査こそが措置決定に影響を与えてきたことを考えると大きな隔たりを感じる。家族等介護者が介護する場合には、家族による在宅サービス負担を施設入所サービス提供などに振り替えたりするのに十分対処できる施設があるのだろうか?結局は家族にしわよせがくるのでは?
独居で身よりのない高齢者に対して、コンピューターによって軽すぎる要介護度の判定が下されるおそれは大きい。それによって早期にねたきりになるという事態は、何らかの施策を講じて防がねばならない。
平塚市の老人保健福祉計画や障害者福祉計画などと、十分連携のとれたものとなるような方策を平行して確保し、その結果を介護保険策定委員会に報告されて、策定委員会にも反映させたい。
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