11.歩行の判定表現について

「歩行」については杖を使用、車椅子を使用など移動状況の詳しい記載を要望。

要介護者の移動状況、つまり要介護状態がイメージしにくい表現となっている。

例えば、壁づたいにやっと5-6メートル移動する人

床や畳の上をずって移動する人

杖をついてゆっくり移動できる人

車椅子でどこでも自由に移動する人

車椅子から崩れ落ちそうな人

歩行器を押しながらあちこち移動できる人

人に抱き抱えられてやっと歩行移動できる人など色々だが、歩行や移動の設問の判定記述から、どれが「自立」等の移動状況かイメージできない。

12.ケアマネージャーや調査員の研修について

モデル事業では、行政側の調査員に対する研修が不十分だったので、本番までに特記事項が詳しく書けるようにケアマネージャーや調査員の育成に力をそそぐべきです。

市としても独自に講習会を開き、判定基準のデータベースを集積すべき。

認定審査委員も今回のモデル事業に参加するまでは、調査員による特記事項とかかりつけ医の意見書が認定する上で、これほど重要であるということは知らなかったという意見がでていた。認定審査会を傍聴した調査員も特記事項の重要性については全く認識していなかった。

特記事項をどの程度書くのか、どこまで書くのか調査員として判断に困るので、国の方で特記事項についての目安を詳しく示してほしいと調査員から要望がでた。

調査に、十分な時間をかけられるマンパワーが必要。

平成11年10月からではなく、もっと早く丁寧に調査作業をすすめるべきでしょう。日によって状態が違うので、訪問調査は2回行ってほしい。すでに、施設に長期に入所している人などもいて状態が安定している人の分は認定を詳しくできる状況にある。

13.特記事項についてのその他

麻痺の程度の特記事項が記述しにくかったという意見有り。

四肢欠損は記載欄がない。四肢麻痺だけの記載では欠損者に不利であるので改善すべきです。

特記事項の調査に力を入れると、調査時間が2時間近くかかってしまう。また、実際に動かすことも危険なので、特記事項さえ書くことができないケースがあった。(調査員)

特記事項の記入欄のスペースに記入が束縛されてしまった。どこまで書いたらよいのか分からなかったので、決まった言葉があって、その言葉に該当するものを選ぶという形式も主観が入らないのでよいのではないかと提案有り。(調査員の意見)

調査の際、一部介助の概念や判定が困難な事例が多い

コンピューターの判定では、一項目の「一部介助」と「全介助」の違いだけで要介護度に差がでることがままあった。

14.<かかりつけ医意見書の薬の記載について>

全般的には「かかりつけ医意見書」はスペースも足らず、書きづらいという意見(医師)

薬が記入されていないものがあるので投薬内容の記入欄を別に設ける、投薬手帳を作る、調査の時点で調査員ができるだけ把握するなどの対処が必要(薬剤師意見)

医師の意見では薬の内容を、全て記述するのは無理ではないかという。しかし、高齢者の1-2割は投薬内容による副作用が生じているというデータも有る。医師にだまって薬局でサロンパスや便秘薬や胃薬・鎮痛剤を購入して使用していることなど、副作用と知らずに他の薬で対処している場合もある。

精神安定剤などで、副作用でねたきりとなっている症例はテレビでも報道されている。介護の現場でも薬が多すぎるのではという介護職の疑問に答えるシステムができていない。他の医師にたずねても、主治医ではなく診察していないから分からないということになる。結局は薬による寝たきりは無いということになる。

医師による記載が無理なら家族や本人やヘルバーから調査員が聞き取り、または薬局でお薬手帳に記載してもらうなど他の手段を考えることができると提案した。

「他科の受診有り」とかかりつけ医意見書に記載してあっても医師同士の連携がとれていない?のか省略したのか、他科の処方薬内容がまったく記載されていない。記述から見る限りでは、医師同士の連携はとれていないように思われる。広域病院の医師は処方内容を全部書く傾向があった。開業医は主要薬のみの記載と思われる場合もあった。

痴呆患者で精神科にかかっていても、その内容をかかりつけ医が知らない場合があり、多くの薬を飲んでおり介護認定審査の上では問題となります。特に痴呆患者は精神科医とかかりつけ医との連携がより一層必要ではないかと思われた。

痴呆患者では、精神科医への併診を薦める体制が必要ではないかと思われた。

15.かかりつけ医意見書の重要性を

意見書の記載内容の充実を医師会に依頼することが重要と提言された。

コンピューターの要介護認定度をくつがえすためには「かかりつけ医の意見書」が重要ということをかかりつけ医に再認識してもらう必要がある。

滅多に受診しない「かかりつけ医意見書」では症状の激変を繰り返す人は対応できない。

例えば、肺炎や脱水状態にかかりやすく、かかるとフラフラになり、なおるとしゃっきっとする状態を、何度も繰り返す痴呆高齢者がいるとのこと。

医師にはリハビリの効果・経過や見通しを、可能な範囲で記載してほしい。ケアサービスに対する、審査会意見を提言するのに参考となる。

意見書を、要介護者の主治医以外の医師に受診している家族が、無理やり依頼することがある。行政に、他の「要介護者の真の主治医の意見書」の添付を勧告してもらう必要性があります。


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