ロックとポップの違い

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僕は昔からロックとポップの違いについて考えてきたのだが、遂に結論が出た。もしかしたら既に当たり前の話かもしれないのでググッてみたが、僕の考えたようなことを言っている人は見当たらないので、僭越ながらここに発表する。

ポップとロックは明確に分かれるものではない。それどころか、今や世の中に溢れるポピュラー音楽のほとんどはロック・アレンジで、ポップロックといっても良いようなものである。しかしながら、思うにロックとポップの本質ははっきりと違うのである。

ロックはエレクトリック・ギターのサウンドを追求する音楽で、ポップはヴォーカルが中心の音楽である。その根拠は以下のとおり。

1、ロックにはインストルメンタル(楽器だけで歌が無い)曲はあるが、インストルメンタルのポップというものは無い。つまり、ロックにヴォーカルは無くても良いが、ポップにヴォーカルは不可欠である。

2、ポップにはヴォーカルだけのア・カペラ曲というのもあるが、ア・カペラのロックというのは考え難い。つまり、ポップに楽器演奏は必ずしも必要無いが、ロックには楽器が必要。

3、ロックに必要な楽器は何か。ある楽器を単独で演奏した場合にどう聴こえるかを考えてみる。ドラムとベースはジャンルを規定しない。アコースティック・ギターを鳴らしたらフォーク、キーボードを弾くと(クラシックでもジャズでも無ければ)ポップ。独奏でロックたり得るのはエレキギターだけである。→ジミ・ヘンドリックス「The Star Spangled Banner」参照。

そういうわけで「ロック=エレキギター、ポップ=歌」であることが証明された。ということはロックは電気工学が一般に普及した20世紀後半以降の音楽であり、ポップは人類発祥以来の音楽であるともいえる。

ポップは歌が中心であるという意味でいわゆる民族音楽とも繋がっているし、どんな楽器によるサポートも可能である。それに対して、ロックはエレキギターが中心であるがゆえにサウンド表現に制約がある。要するに他の楽器はギターを邪魔しない程度にしか使えないのである。

ロックは20世紀の電気工学に固く結び付いているが、最近の電子工学の発達によりデジタルサウンドの演奏・録音技術がアナログなギターサウンドを押しのけつつある。エレキギターが鳴っていても、それが中心でなければロックではない。ロックは工学技術の変遷に伴って消えつつあるということだ。ロックはポップに吸収されかけているといえるだろう。

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