気分が良くなる方法

電子書籍「お気楽論」

気分が良くなるにはどうすればいいだろう? 気分がいいのはどういう時かというと、何かやってみて思ったよりうまくいった時である。でも、それを意識的にやろうと思ってもムリである。なぜなら、意識的な努力とは「思ったとおりに」やろうとすることだからだ。思ったとおりにやろうとすると、思ったよりうまくいきにくい。

意識的に何かをうまくやろうとすると、目標が明確になりやるべきことがはっきりしてくる。やるべきことが細かいところまではっきりしてしまうと、なかなかそのとおりにはうまくいかないし、どんな結果に対しても「目標と違うからうまくいかなかった」という評価しかできなくなる。つまり、思ったとおりにやろうとすると、「思ったよりうまくいった」という意外性が入り込めないのである。

意識的な努力のために目標を明確にすると、「思ったよりうまくいった」というのは「思ったより目標に近づいた」という意味になる。目標に近づくことは励みにはなるが、気分が良くなるネタではない。目標に近づいただけでは、目標に到達していない自分に不満が残る。目標に到達したとしても、何か予想外のことがともなっていなければ気分は良くならないのだ。思ったとおりに目標に到達すれば、目標に到達するための緊張からは解放されるが、それは気分が良くなるのとはちょっと違うのである。

ではどうすればいいのかというと、やりたいことをやればいい。やりたいことをやりたいようにやっていると「何となくうまくいったなあ」ということがたまに(だが必ず)ある。やりたいことをやる場合は「やりたいことをやっている」ということ自体が目標なので、うまくいこうがいくまいが既に目標には達している。だから、うまくいったらもうけものである。その時に「思ったよりうまくいった」と思えるためには、うまくやろうとしなければいいのだ。つまり、やりたいことをやりたいようにやればいいということになる。

やりたいことがない場合はどうすればいいだろうか。何かやってみないことには「思ったよりうまくいった」ということはありえないから、やりたくないことでもやってみるしかない。「やりたくないこと」というのは「やっても何もいいことがない」と思っていることである。だとしたら、これはチャンスだ。やっても何もいいことがないと思っているのだから、何となくうまくいったりしたら「丸儲け」である。何もいいことがないなんていうことはめったにないから、思ったよりうまくいくに決まっているようなものだ。

そういうわけだから、気分が良くなるためには「やりたいこと」か「やりたくないこと」のどちらかをやればいい。じゃあ何をやっても気分がよくなるのか?というと、ならない。我々がいつもやっていることは、やりたいのかやりたくないのか良く分からないようなことがほとんどなのだ。だから、まず「自分はこれをやりたいのか、やりたくないのか」ということをはっきりさせなくてはならない。それさえはっきりすれば何をやっても気分が良くなる。これは本当です。

 → 気分が良くて何が悪い?