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 爆撃目標についてー3

CIAの心理戦争

N.N.ヤコブレフ 著

井戸口 博 訳

1983年 新読書社 刊

pー52

第2章 戦略の選択・原爆戦争か、心理戦争か

 より3回目です。

 そこで現われたのが、反ソ軍事同盟による戦争計画である「ドロップショット」計画である。NAT○や他のヨーロッパ、アジアの諸国の仲間たちは、全体として二千万名を越える軍隊をわがソビエト連邦に対置することが考えられた。「ドロップショット」計画による世界戦争の準備に当って、アメリカの戦略家たちは、ソ連邦にはヨーロッパおよび近東を占領する能力があるという点から考えを出発させた。だがそれも、ソ連諸都市を覆いつくすであろう集中的な米国の原爆攻撃が、ソ連大企業の八五%を壊滅して、そのあと、ヨーロッパに進撃したソ連軍は、NAT○軍の二四ケ師団でもって西側から、さらにNAT○軍の五○ケ師団が黒海北西海岸に上陸してソ連軍の背後から攻撃し、ソ運軍は撃破されるであろうと考えていた。これに引続いて、待ち望んだ時、すなわちソ連邦占領の時がやってくるのである。事前の計画によってソ連は四つの占領地域に分割される。それはアメリカ軍二三ケ師団と四飛行軍団が占領、バルチック海と黒海には、攻撃用空母艦隊が進入することになっていた。アメリカ占領軍のニケ師団がモスクワに、そして、レニングラード、ミンスク、ムルマンスク、ゴーリキー、クイブイレェフ、キエフ、ハリコフ、オデッサ、セバストポーリ、ドン河畔のロストフ、ノポロレースク、バツミ、バクー、ズベルドロフ、チェルビンスク、タシケント、オムスク、ノグォシビルスク、イルクーツク、ハバロフスク、クラジオストックにそれぞれ一ケ師団の配置が要求された。

 戦争の開始は一九五七年一月一日に計画された。

 時間との競争でソ連邦は勝利した。一九五三年、ソ連邦は熱核兵器を完成し、そして一九五七年には、全世界は、大陸間弾道弾(ロケット)の分野におけるわが国の主導権を確認した。科学技術上の諸成果は、大祖国戦争のさい兵士の勇敢さと血汐によってかちとられたものを確認し、資本主義と社会主義の間の力の均衡を保証した。あらゆる分野におけるソ連邦の新らしい成功は、それ以後の、社会主義の有利な力関係の変化を意味するものであった。与えられた条件の中で、アメリカ合衆国の側からの軍事侵略は失放を運命づけられていた。だがワシントンの戦争準備の終結が考えられないことはもちろんであり、軍事競争は今日まて続いてきたし、今後も続くであろう。

 このような背景の中で、心理戦争は、展開された。「ドロップショット」計画は、つまるところ、戦争の頭初から、原爆の投下を予定されたソ連都市は七○ではなく、一○○都市となり、現在では、すでに二○○都市について語られており、以前に決められた計画と、ただ量的な差異があるだけで、戦争の様相自体にとってそれ程注目すぺき価値は無かったが、平和時における心理戦争の緊急の必要性が計画の中に定着したことの中に、質的な高さがある。「ドロップショット」計画の作成者たちは「心理戦争は、ソ連人民のなかでの異端行為や裏切行為に協力する上で非常に重要な武器であるっそれはソ連人民のモラルを傷つけるだろうし、国内に動乱や解体運動をつくり上げる種をまくだろう・…・。広般な心理戦争は、合衆国の重要な課題の一つである。その主要な目的は、ソ連邦の諸国民およびその衛星諸国民が、現在の支配制度に対する支持を停止することである」ことを強調した。

 「ドロップショット」計画の作成者たちは、とるに足らないほんの少数のものだと分っていながら「異端者」という用語をソ連に対する侵略計画に含めている。だが、わが人民のなかではそんなものたちをあてにすぺきではなかった。異端者とか背教者とか呼ばれている人々は、心理戦争における敵側の兵士であることを自認していた。異瑞者は、外国の援助なしにはソビエト権力に対する闘いのためのなんの武器にもなり得ない。「ドロップショット」計画には「西側諸国が、異端者たちに解放は近いと確約し物質的援助を提供して指導したその時だけ、効果ある抵抗や暴動が期待できる」と記されている。

 国家安全保障会議は、「ドロップショット」計画の作成と同時に、基本的な訓令、国家安全保障会議第六八号の作成に努力し、それは一九五○年九月にトルーマン大統領により裁可された。一九七五年に公開されたその訓令は現在に至るまでのアメリカの政策の、全般的方向を指し示している。そこには、ソ連邦に対する軍事的優勢をつくり出すためアメリカの軍事力の全面的な強化の必要性が指摘された。

 アメリカの戦略計画の出発点は、この第六八号訓令であり、核兵器を含んでいた。一九八○年七月、例えぱカーター政府は「限定核戦争」の実施を予定する大統領訓令第五九号を施行し、そのうえに、「第一撃」を加えることも考えている。訓令の文案は違った風に書かれているとはいえ、第五九号訓令の公開された目的は世界を慣激させた。ワシントンはなりふりかまわず、恥知らずにも核戦争への突入の可能性を認めた。〜

つづく