3月28日

「ナイキフープサミット」田臥勇太
(フロリダ州タンパ大学内ボブマルティネスセンター)

 日本人として初挑戦となった田臥勇太(18歳=能代工卒)は、前半スタートメンバーからは外れたものの、開始から7分で交代し、全米の舞台に初出場を果たした。
 前半には、ドリブルで切れ込んで外に出すパスがアシストとなり、また、速攻では完全に相手を振り切るパスを決めるなど、何度も場内にどよめきを起こさせた。
 後半にも残り8分から出場し、すでにNCAAの超名門、デューク大学への進学を決めている全米ジュニアNo.1ガードのウイリアムズ(17歳)と対面。パワーでは劣るものの、スピードでは圧倒的な存在感を見せて、17分の出場時間を果たした。
 試合は、107対95で全米ジュニアが勝ち、これで対戦成績は全米の3勝2敗となった。田臥は31日に日本に帰国する。

「やっていても、ベンチで見ていてもすばらしい体験だった」

 試合後のインタビューは以下の通り。

――全体的な試合の感想は
田臥 試合に出られたことが良かった。試合をしていても、ベンチに座っているときでさえも、見ていて面白かったし、すばらしい経験になった。
―−自分らしいプレーをしたい、と言っていたが
田臥 はい、ボールの運びなど(ウイリアムスのマークが)厳しかったが、力は出し切ってやりました。ベストは尽くしました。
―−何度か会場が沸いたのは
田臥 はい。よく分かりました。
―−アメリカの高校生と対戦しての感想は
田臥 パワーもあって、サイズも大きくて、個性の違ったテクニックがあって、しかもスピードもある。どれをとっても自分とは比べ物にならないと感じた。
―−日本のメディアがあなたのためにきょう35人も来ているそうです。うれしいですか
田臥 はい、うれしい気もするし、正直なところ、すごく迷惑なときもあります。
―−全米No.1高校生のウイリアムズとの対戦はどうでしたか
田臥 きょうはそのことを知ってプレーをしていたのでやはりうれしかった。すごい選手でした。自分もドリブルで抜いた? いえ、彼が流して行かせてくれただけです。
―−米国の監督は、あなたがあまりに速いのでよく確認できなかった、と言ってました
田臥 普段とは疲れ方が全然違う。速いといっても、こちらはものすごいスピードを出さねば向こうについていけなかった。タイプも違う。
―−今後の課題は
田臥 技術よりも、まず体を作ることだな、と思いました。(実際の進路は)いい経験にはなったけれど、どうなるかは今は全然分かりません。今回、ヨーロッパの人たちがどんな風に練習をしているのか、アメリカのプレースタイルは、などと実際に見ることができたのが良かった。エンジョイできたと思う。
―−ところで、ガールフレンドは何人いますか
田臥 エッ、ガールフレンド、1人に決まってますよ。1人。

ガンバ監督の話「彼はよくやった。2つ課題を与えるのなら、もっとアグレッシブにプレーすること。速いセットからのピッチショットを覚えること。この2点だ。未熟さを埋めるには、五輪、アジアでの試合、国際試合と、多くの経験を積むしかない」

米国カーリングコーチの話「日本人の選手は非常に独特な雰囲気を持っていた。小さいとかそういうものではなく、彼のスピードにはあまりの速さに目を見張ったし、クレバーだと思う。NCAAでのプレーは可能だ」

観戦していた小浜日本代表監督「これまでも随分、かれを代表に入れようかいれまいか考えていたのだが、きょうのゲームを見て、あのスピードがこういったところで通用することが十分わかった。是非代表に(今年は五輪予選)入れたい」

観戦していた加藤三彦監督(能代工)「周囲で見ているほど、相手のプレッシャーなどは簡単なものではなかったはず。その中では本当によくやったし、きょうはいわば入学式だと思う」

「スカウトの評価は」

 この試合は若手の発掘大会でもあり、この日は前日のファイナルフォーの後でもあり、シカゴブルズのGM、などNBA関係者も勢ぞろいしていた。
 NBAの関係者の話しでは「速くて非常にいいパスをする。しかし、もっと自分勝手にプレーをしてもいいし、主張が足りない。私は個人的には有名な強豪大学でできる素質があると思う」、「パスには驚いた。体をもっと鍛えていかねばならない。NCAAでは名門よりも小さな大学でやるのがいいと思う」と、おおむね2つの意見に分かれていた。いずれにしても、技術的な問題点をあげるスカウトはおらず、スピード◎、フィジカル△というところだろう。

 きょうまで数日、田臥君のレポートには、予想以上の方が興味を持ってくださったようです。ありがとうございました。きょうこれから日本に戻るために、速報レポートはこれで終えすぐに移動をしなくてはなりません。
 今回の取材はドキュメントとして4月中旬に放送されます(テレビ朝日系、日曜日)ので、変なレポーターに質問される田臥君をどうぞ見てあげてください。
 みなさまの健康をフロリダ州タンパでお祈りして。

世界選抜メンバー/監督:Allesandro Gamba
名前 ポジション 年齢 出身国 備考
Antonis Fotsis フォワード 18 ギリシャ  
Vlatko Illievski ガード 19 マケドニア 先発
Guilherme Joanoni ガード/フォワード 18 ブラジル  
Ivan Kartelo フォワード/センター 19 クロアチア  
Alexander Miloserdov ガード 19 ロシア 先発
Bostjan Nachbar フォワード 19 スロベニア   
Olumide Oyedeji フォワード/センター 17 ナイジェリア 先発
Vladimir Radmanovic フォワード 18 ユーゴスラビア  
Bruno Sundov センター 19 クロアチア  
Yuta Tabuse ガード 18 日本  
Liberto Tetimadingar ガード 18 フランス 先発
13Jesse Young センター 18 カナダ 先発

全米ジュニア選抜メンバー/監督:Ron Carling
名前 ポジション 年齢 出身地 備考
Nick Collison フォワード 18 アイオワ 先発
Michael Dunleavy ガード/フォワード 18 オレゴン 先発
Chuck Eidson フォワード 18 サウスカロライナ  
Kevin Gaines ガード 18 ネバダ  
Kirk Hinrich ガード 18 アイオワ  
Casey Jacobsen ガード/フォワード 17 カリフォルニア 先発
Joe Johnson フォワード 17 アーカンソー  
Jason Parker フォワード 18 ノースカロライナ  
Casey Sanders センター 19 フロリダ  
Marvin Stone センター 17 アラバマ  
Travis Watson フォワード 17 バージニア 先発
Jason Williams ガード 17 ニュージャージー 先発

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