2003年2月17日

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サッカー

日本代表新スタッフ発表
(東京プリンスホテル)

 ジーコ監督が、3月から指導する日本代表の新スタッフを発表した。この日午前、監督をはじめ、テクニカルディレクターに就任する実兄・エドゥ氏、フィジカルコーチには里内猛氏、GKコーチにはカンタレリ氏が、川淵三郎キャプテンと会談を行い、「ジーコ監督には全幅の信頼を置いている。同じチームとして、難しい局面をも乗り切って一緒に戦って行こう」と激励を受けた。
 会見は2部制で行われ、この後、キリン杯をはじめとする2003年の年間日程が発表された。3月下旬に予定されていた米国遠征はアメリカ国防省の「レベル2」という緊急体制の段階引き上げと、国内がテロを恐れて現在も市民生活に影響が出るほどの事情を配慮、中止することになった。米国遠征の代替として、3月に日本でウルグアイともう1か国との対戦を予定していることを平田竹男ジェネラルセクレタリーが明らかにした。また、6月13日(または14日)にキリンカップサッカー2003でポルトガルを呼ぶことも明かされた。なお、ポルトガルとは10月上旬に予定される欧州遠征でもアウェーで対戦することになっている。

ジーコ監督「皆様の前で新しいスタッフをこうして報告できることは光栄に思っている。彼らを選んだ基準は、第一に彼らは専門分野でのプロフェッショナルであること、次に全ての面で、ピッチ外の生活の中でも手本であれるような人間であること、品格をも重視して選んだ結果である。みな日本人との仕事を長く経験しており、自信を持って戦っていけると思っている。(キリン杯、今後のことについて聞かれ)現役時代に、フラメンゴでカンタレリGKコーチと一緒に来たと思う。日本代表と戦ったが、あの時から短い時間で日本代表がここまで進歩したのは(スポンサーである)キリンのお陰。今年はとにかくアウェーでの戦いを含め、1か月に一度の対外試合を組んでいきたいと思う。今年のスケジュールの中での強化の中心は、コンフェデレーションズ杯である。日本がいかにアウェーで結果を出せるか、ファイナルのステージに駒を進めることだ。国内外の選手を結集して全力でぶつかる」

エドゥ氏「ジーコを通じて受けたオファーだが、私も日本で数年の仕事を通じてその分野では十分な力を発揮できると思っている。日本の全体的な印象では質の高い外国選手、また外に出て行くことによって、短期間で非常な進歩を遂げたと思っている。日本の売りとなる選手の特徴、世界のサッカーの現状や流れを彼(ジーコ)ほど知る人は世界にいないと思っている。このことからも何か新しい日本のサッカーが誕生をするんではないかと大きな期待を持っている」

カンタレリGKコーチ「とても感謝している。W杯まで全力を尽くして日本の進歩に貢献していきたい。日本の数年の伸びは色確かに著しい。ただし、その次のステップに進むのは非常に難しいことでもありそこを手助けしていければ期待している」

里内コーチ「日本のサッカーの進歩は非常に素晴らしいし、特にフィジカルはブラジル人にしても、欧州のコーチにしても、色々な努力を積み重ねている。今後は、海外での経験に身をさらして行くような中で海外を相手にどこまでできるかが重要になるし、私は日本人のフィジカルが海外に劣っているとは思っていない。むしろ自信と勇気を与えることが任務だと思う」

  ◆各氏のプロフィールはこちら(日本サッカー協会ニュースリリース)
  ◆日本代表の2003年スケジュールは
こちら(日本サッカー協会ニュースリリース)


「遠隔操作と巡回指導」

 ジーコ監督は新スタッフの発表の中で、「今後は、ある選手を決め(現時点で5人いるとのこと)その選手の1日、2日を見るのではなくて、1週間、10日ほど、どんな練習をし、どんな調整をしているのか、(普段の練習を)しっかりと連続して代表として把握したい。そのために、エドゥやコーチに(各クラブを巡回のために)回ってもらうつもりだ。もちろん、クラブに土足で上がるような真似はしないし、むしろ、代表スタッフがクラブを訪問することによって、ほかの選手にも強いモチベーションを与えることができるのではないかと思っている」と、これまで話してきた「その時点でもっともコンディションの良い選手を選ぶ」といった選抜方法を、試合だけに限らず、「日常」にまで及ぼす、新たな手法を明らかにした。監督の話通り、すでい数人の選抜は終わっており、今後協会からクラブへ訪問を認めてもらった上で、代表選抜の巡回セレクションがスタートする。
 また、これまでジーコ監督自身が、鹿島で行なっていたが、試合を観客席から観戦するポジションにエドゥ氏を配置し、その「目」を通じて、ハーフタイム、あるいは試合中にも、戦術の変更や選手交代といった局面を決めるような大事な決断への情報を得ることを明らかにした。
「98年W杯で、私とザガロ監督が結んだような役割を2人でこなしていきたい。私は試合を平面でしか見ることができない。そこに上からの目を加えることによってもっと多くの情報を得られるはずだ。メッセンジャーを通じて緊急的なものもあれば、ハーフタイムにするものもある。決断はもちろん私がする」と説明。久々に兄弟の仕事になるが、「正直言って、隣にいる彼を、自分の兄だと思ったことがない。数々の監督経験から日本のためになると思って選んだに過ぎず、もし兄弟で、というならば、あと3人、サッカーに携わる兄弟がいるんで代表に入ってもらえれば」とジョークで会場の笑いを誘っていた。


Daily News 番外編

このデイリーニュースを待っていた方はいないと思いますが……青梅10km、2人とも完走です」

 先週、パリで行なわれたサッカー、コンフェデレーションズ杯の抽選会に急遽出張が決まったのが9日、11日には飛行機に飛び乗ったものの、不安だったのは、ジーコ監督のインタビュー以上に、青梅マラソン出場です。何しろ、我等が「グリーン・ランニング・クラブ」(GRC)の会長である報知新聞社・竹内達朗記者を「マネージャー」とし、箱根駅伝経験者である竹内氏にゼッケン獲得から待ち合わせ場所の指定、貴重品の保管といったことまでさせるわけですから、「出られません」では済まされません。

 もっとも、私は時差ボケという経験がないのです。いつもボケていることが第一の理由で、第二には、常に移動する生活を繰り返していると、基準となるべき「時差」の根拠が薄れてしまうわけですが、実際のところ、海外での仕事はそんなことを考える時間的余裕すらないのです。機内でも何でも「寝る」と決めたらどれほどでも寝ていられます。余談ですが、腹時計と言いますよね、睡眠より、この時計を狂わせないことが時差撃退のもっとも有効な手段いうのが私の持論です。
 今回、日本に到着するのは昼ですから、機内でぐっすり寝られれば、時差はありません。

 第一生命の山下佐知子監督からは「悪条件をまとめてこそ、トップアスリートです!」とわけのわからぬ無茶苦茶な激励をもらっていましたし、山口衛里選手(天満屋)からは「こうなったら、機内で調整してください!」と、荒技の指示も出ていましたんで、とにかくぐっすり寝ることだけを心がけ、日本に到着して17時間後、竹内会長が「GRC」の旗(あればですが)を掲げる青梅線・河辺駅に午前8時、川淵三郎キャプテンの秘書、飯塚玉緒さんと待ち合わせをしました。

 飯塚さんは、お仕事と同様に、今回の出場にとても真面目に取り組み「完走できなかったらどうしよう」と、制限時間70分(10kmですから1km7分はかなりいいペースです)に取り組んで調整していました。私も仕事同様に、真面目に取り組んでいましたんで(笑)、まず「タケウチ、いえ、タケウチ会長、新聞に所属GRCが入ってないじゃない!」と、出場選手一覧の掲載された新聞を手に申請の不備を指摘し、食事もばっちり摂り、新聞社の大先輩や仲間、後輩記者たちと冗談ばかり言い、「お前、歳なんだからな」などと心のこもったお言葉を受け、スタートラインに立ちました。「スタートラインに立てば、それがゴールだ」と、私はトップランナーたちに教わってきましたので、イカレた日程をこなして、憧れのマラソンの取材ではなくてレースに出られるんですから、はっきり言ってこれで終わった! と思い、気楽なものでしたね。

 飯塚さんがピストルと同時に、猛ダッシュで出て行った後ろ姿を見ながら、ああ、彼女大丈夫だと、さらに安心し、私はいつも通りウォームアップ代わりの最初8分ペースで行くことにしたんです。
 ほとんど最後尾グループで沿道からは「もう(集団が)終わりだぞお」と声がかかりましたが、有森裕子氏には「絶対にマイペース」ということアドバイスされてましたし、山下監督からは当日のメールでも「マスジマさんが止めたって誰も迷惑しないんですから」と、アドバイスというより、ほとんど釘を刺されてましたので、折り返し(4.5km)まではゆっくり、と思いペース配分しました。私は走っているので寒くはありませんが、青梅では、寒い中、本当に多くの方が沿道で応援をしてくださるんです。選手がよく言っています。「孤独な練習より応援があるレースのほうが、何百倍も走れる力が湧く」と。GRCの場合は、練習から騒々しいですが、そういう気持ちは実感として理解できましたね。

 折り返してからは、これなら大丈夫だな、と600人抜きくらいで(笑)、後は残りの表示を見ながら、70分は切れることがわかり、かなり楽な後半となりました。会長には「ゴールへの曲がり角になるローソンが見えたらまくってください」と実践的アドバイスをもらい、その通りにまくって、おそらく1時間を切ったのではないかと思います。
 私が日刊スポーツの新人時代にお世話になった先輩記者の皆さまの、沿道から飛ぶ「マスジマア!」と全然可愛くない応援にも励まされ、寒さも、直前のパリ強化合宿からみればまったく問題なく、2年半も世界中を走っていた、ジーコ監督の言う「アウェーにいかに勝つか」を目標とした練習の成果は(笑)何とか出たというところでしょうか。飯塚さんは私よりも1分ほど良かったようですし、何より昨年の初レースの10kmよりも8分も記録を短縮しているわけですから本当にたいしたものです。

 早速、キャプテンには電話を入れ、大変喜んでいただき(もしどちらも完走できなかったら……、何しろバリバリの体育会系キャプテンですからねえ……。罰としてあと1周とか言われたんじゃないかと)、私のところにも選手たちから電話が入ってきました。
 飯塚さんはマラソンを走ることができると思うので、次はハーフを走れるよう是非頑張っていただきたいものです。私は……また体脂肪撃退のため世界でトボトボ走ろうと思います。会員の皆さん、幽霊会員のみなさん、次は駅伝ですよ、会長に2区間くらい走ってもらって!

 さて会長が自ら書いた原稿は、報知新聞社の社内的事情からか、デスクの好みからか(笑)没になったようです。飯塚さんの原稿は掲載されておりましたので、会長兼マネジャー兼記者の、「珠玉の雑感」(新聞で、本記の回りにある短い原稿を雑感言います)合わせてお届けして、無事完走の報告とします。自分のことが「人気ライター」と書いてあるところですでに噴き出し、「結果に満足している」で腹を抱えていますが……。

 ちなみに(報知新聞によれば)10kmの参加は2964人、完走2956人、30kmは1万27人、完走8290人。参加者に配布したカイロ6000個、飴玉4万8000個、ありがたいボランティアの皆さん3200人とのことです。

マネージャーとしては、まずは無事にレースが終わったことにホッとしています。短い原稿ながら、魂を込めて書いたつもりです。それにして、飯塚さん、増島さんのご健闘ぶりには、しばらく眠っていたランナーとしての血が騒ぎ始めました。自分自身もまたレースにチャレンジしようと思います。(竹内達朗)
川淵キャプテン秘書

 日本サッカー協会勤務の飯塚玉緒さん(37)が10kmに挑戦。自己記録を8分も更新する59分でゴールした。「青梅マラソンを走れて感動しました。やっぱりスポーツはいいですね」。ゴール後、早速、川淵キャプテンから祝福の電話を受けてニッコリ。「よく練習していたし、ペース配分とかランニングについても勉強もしていた。よくやった!」。川淵キャプテンは秘書の健闘に満足そうだった。

人気ライター

 マラソンからサッカーまで幅広く取材し、活躍しているスポーツライターの増島みどりさん(41=GRC)が10kmを走破。取材を通じて親交が深い有森裕子(リクルートAC)、山口衛里(天満屋)らトップランナーのアドバイスを受けた練習メニューの効果で、初レースながら1時間を切る大健闘を見せた。「昨日(15日)までサッカーの取材でパリにいました。スケジュール的には大変だったけど、結果には満足しています」と笑顔を見せた。



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