3月11日

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サッカー

日本代表候補トレーニングキャンプ
(静岡県内、12日まで)

 21日のウクライナ戦、またポーランド遠征を控えての合宿が始まり、34人(GK4人、DF10人、MF14人、FW7人)がこの日午後、静岡県内のホテルで明日まで2日間のキャンプをスタートさせた。今回の合宿は、今後に控えている公式戦、本番に向けて人数を絞り込んでいく第1段階として重要視される。
 右脚太もも肉離れの再発で全治6週間と診断されている森岡隆三(清水)も、モヒカン刈りのヘアスタイルで登場、代表ドクターに診断をあおぐ目的があるとはいえ、1日だけの招集に、今回の合宿が短くとも緊張度の高いものであることをうかがわせた。
 11日は夕刻18時から陸上競技場で練習を行い、12日は90分の紅白戦で「セレクション」が行われることになる(非公開)。


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 W杯まで残り80日となったこの日、トルシエ監督は午後4時の宿舎集合の1時間半前にホテル入り、スタッフはその1時間以上前からホテルにスタンバイするなど、これまでとは多少違った「緊張感」が漂う合宿となった。
 選手の中では2番目に宿舎入りしたのは、故障で全治6週間と診断されたばかりの森岡だった。車を運転して到着。しかし、駐車場に車を入れずに、玄関につけるとそのまま中へ。駐車場から玄関までわずかに20メートルほどの距離も「歩けない」というほどの痛みがあるという。
 横浜FMの松田直樹も、同じ個所を痛めている。かろうじて開幕には間に合ったものの、試合中、まだ一度も右脚でのキックをしてないなど、完治とはほど遠い。同じチームの波戸康広は腰痛でやはり万全ではなく、ほかに合宿に招集されていないメンバーの中にも、左サイドもできる守備のスペシャリスト、服部年宏(磐田、急性腹膜炎)などコンディション難を抱える選手たちがいる。中盤の名波 浩(磐田)も昨年4月のスペイン戦で代表を離脱して1年と、寂しい。

 リーグ日程の前倒しし、変則的な日程、代表合宿そのものが異例の早さでスタートしたこと、W杯の特別な1年となる過大な緊張感とストレス、プレッシャー、こうした状況に少しずつマイナスの要素を受けた状態が、ケガとなって現われていることの一因だろう。いずれにしても「全治」だけではカウントできないコンディショニングでのズレは、非常に痛い、ネガティブな要素ともなってしまう。
 トルシエ監督は10日の試合観戦で、「選手にはドント・ウォーリーと言うことも大事。森岡にしても8週間の準備期間があればこれはポジティブに考える」と、前向きな姿勢でチームをリードする意欲を見せた。もちろん、ネガティブになったところで無意味だが、今後、こうした故障者多発の原因について何か対応策はあるのだろうか。

 前回のフランス大会では、メンバーがある程度固定されており、最後の最後、もっとも肉体的負荷がかかる4月に岡田監督が新しいメンバーに加えたのは、17歳の市川大祐(清水)と18歳の小野伸二(フェイエノールト、当時は浦和)だった。フランス入りの直前となるニヨン合宿(スイス)まで遠征したメンバーの中では、中山雅史(磐田)が半月版損傷を抱え慢性的な痛みに苦しんでいたが、これは磐田、代表のドクター、中を橋渡しするフィジカルコ―チの協力、連携によって、乗り越えていた。また出発直前、中田英寿(パルマ、当時は平塚)がアレルギーで離脱。しかし故障という故障は、井原正巳(浦和、当時は横浜M)がニヨンでの紅白戦で接触し膝を痛めたことだけだった(結果的に初戦には間に合う)。
 単純な比較はできない。選手のフィジカルも当時より現在のほうが高いだろうし、同じ監督のもと、同じシステム、メンバーで結束を図った4年をかけたチームの成熟度もアドバンテージである。
 しかし、競争の目的以外に、海外移籍、ケガ人続出のため「揃わない」代表の輪郭は、いまだにはっきりしてはいない。

 森岡が車を降りたとき、駐車場にいる報道陣を避ける意図もあったが、「玄関から駐車場からの20メートル程度も「歩きたくない」と言い、その姿は痛々しかった。ドント・ウォーリー、バット、ウォーリー。


短信
 21日のウクライナ戦をトルシエ監督が計画していた日本代表Bチーム(ウクライナ戦に登録される23人以外)対U−21日本代表との練習試合(19日に予定されていた)は、日程調整がつかなかったために中止になったことを木之元興三強化推進部副部長が明らかにした。今合宿後、13日にウクライナ戦、ポーランド遠征のメンバーが発表される。なおポーランド戦には川口能活(ポーツマス)、中田英寿(パルマ)、小野伸二(フェイエノールト)、稲本潤一(アーセナル)の4人も招集される予定。



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