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ゴールキーパー論
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1日、札幌ドームでのサッカーとしては初のゲームとなるキリン杯(対パラグアイ、15:00キックオフ)を前に、日本代表トルシエ監督が記者会見を行い、「チャンスがあれば、新しい選手、新しい戦術にチャレンジすることも重要だ。メンバーはほぼ固定されたとしても、残り10%はまだわからないと考えている」と話し、優勝と同時に来年に向けての底上げをテーマに挙げた。また会見後には、日本代表が札幌ドームでの初練習(冒頭の15分のみ公開)を行い、それぞれ初お披露目となる芝の感触を確かめていた。
◆トルシエ監督の会見(以下、要旨抜粋):
「建築物としてすばらしいドームで、勝つしかないと思う。ドームの利点は天気を見なくていいことで、気温まで自分で調節できることだ。しかし、一方ではスポンサーをしてくれるメーカーの意向から(キリン)ビールを飲む適温、例えば30度くらいに設定されないことだけが心配だ。
キリン杯はコンフェデレーションズ杯の力を発揮して、また新しい力を見る大会になるだろう。相手2チーム(パラグアイ=明日対戦、ユーゴスラビア=4日に大分で対戦)は予想を裏切ることのないすばらしチームだった。幸い、選手交代枠は5人プラスGK1人だ。チャンスがあれば、新しい選手、新しい戦術にもチャレンジしたいと考えている。」
──廣山望(セロ・ポルテーニョ)を久しぶりに見て
監督 まず、日本ではまだまだスターだったということだ。彼は(パラグアイに行っていても)忘れられてはいなかった。この大会の目的は新しい情報を得ることなので、彼も多くの情報をもたらすはずだ。人間的な成長、非常にオープンで責任の取り方など、以前とは変わったとは思う。ハンディとして、ほかの選手と違い2年の(代表に選ばれていない)空白があり、差にはなっているが、きっとチャンスをものにするだろう。
──今年の年頭に、7〜8試合で10〜12人の選手を固定すると話していたが
監督 私の言いたいことをしっかりと確認しておきたいのだが、30人のプレーヤーはほぼ90%確定したと言えるし、来年のW杯メンバーは100%決定しているとも表現できる。しかし、90%で、残りを10%とすることで、すばらしいユース世代が入ってくることもあるし、ほかの選手にもチャンスがある。15人のメンバーはおそらくみなさんの予想通りでそう驚くような新しい選手はいない。アレックス(清水)の帰化などあるが、いずれにしてもW杯まで残り少なく、10%の争いは厳しいものになる。どこの国でもW杯まで1年を切れば、2、3のスポットをめぐって激しい戦いがあることは当然だ。
──秋田豊(鹿島)の加入はどう見るか
監督 個人的に秋田を見たかったということだ。(彼のプレーが)ここまで変わったとも、これから変わるとも思わないし、それは意識しているが、もう一度見たかったし、自分で決断をしたい。
──パラグアイでどこを注意すべきか
監督 私が心配しているのはただ単に明日の相手、パラグアイだけではない。もちろんユーゴスラビアも非常にアグレッシブなすばらしいチームだ。そして次に心配しているのは、自分たち自身だ。コンフェデ杯の結果をもって油断することのないように、選手には警戒を促してはいる。気持ちをしっかり持っていかねばならないだろう。
──ここ札幌の応援をどう思ったか
監督 札幌の選手がここにいないことは本当に申し訳ないと思う。ただ、私たちはどこに行っても日本代表が愛されていることを確認している。それに応えたい。
新しいスタジアムの披露は、選手自身のテクニックや感覚の披露の場にもなるのだろう。
新しいスタジアム、初めてのピッチに足を踏み入れたとき、選手がどんな風に「実験」をするのか、この日、わずか15分の練習が公開されただけだったが、こうした日ごろあまり見ることのない光景が、練習を見たほんのわずかな収穫だった。
ピッチに上がった小野伸二(浦和)は、まず芝を「手」で触った。何度も感触を調べてから、足をクロスさせて踏み込んで、キックの軸足を調べるかのような動作を繰り返してからボール回しに加わった。
中山雅史(磐田)と鈴木隆行(鹿島)は、ボールを高く蹴り上げて、バウンドを見る。バウンドを見ると、あまり弾んでいないように素人目には見えたが、彼らの感覚ではどうだったのだろう。川口能活(横浜FM)もまず、自分の守備範囲であるゴールの周辺に歩いて行った。
選手取材は行われなかったために正確なコメントはないが、長さ2.5センチに刈られた芝は冬季から隣の屋外で養生されたもので、コンディションは抜群と言われている。コンサドーレ札幌の選手がご意見番になって、照明や地面の堅さなどもチェックしているそうだ。
冒頭の練習では、DFの森岡隆三(清水)、松田直樹(横浜FM)、中田浩二(鹿島)、服部年宏(磐田)、宮本恒靖(G大阪)がフラット3のチェックを盛んに行い、監督からのマンツーマンチェックを受けていた。
初物、の新鮮さ、勢いに、代表もあやかって損はないはずだ。