6月3日

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サッカー
FIFAコンフェデレーションズカップ2001
第3戦(ブラジル戦)前日監督会見、練習
(カシマスタジアム)

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 2日のグループリーグ第2戦で、カメルーンを2−0で下して勝ち点6を獲得、準決勝への進出を決めている日本代表はこの日午前、新潟から鹿嶋へ移動し、夜7時からはカシマスタジアムで公開練習を行なった。
 これに先立って、トルシエ監督が記者会見を行い、4日のブラジル戦は「新しい選手にチャンスを与えたい」と、選手の休養も考えメンバーの入れ替えをすることを示唆。
 また、10日の対ナポリ戦にスクデット(※イタリアセリエAでの優勝)をかけるASローマの中田英寿について、「準決勝に進出した以上、残ってもらう。もし3、4位決定戦に回った場合のみローマに帰す」と、代表招集を規定するFIFAルールを盾に中田を拘束する方針を明らかにした。
 一方、カナダと引き分けたブラジルは、2日のカナダ戦で左太ももを負傷したアンデルソンが診断の結果、「左大腿二頭筋の筋挫傷」で全治20日の治療を要することが判明し、夜の便で帰国した。

トルシエ監督の会見より(要旨抜粋)

 非常に満足している。選手も同じ気持ちだ。2試合して勝ち点6、得点5、失点0は完璧だ。ただ明日のブラジル戦があるだけに、落ち着いて準備することが必要だ。出場停止、フィジカル的な問題もあり、このダイナミズムを維持しなくてはならない。具体的には、新しい選手にチャンスを与えたいと思っている。繰り返すがコンフェデは、あくまでも色々な情報を得るための大会で(3戦目にメンバーを入れ替えるのは)こうしたやり方は私たちだけではなく、世界どの国もやっている。はっきりしておきたいのは、出場する選手が、責任を持って1、2試合目で使った選手の活躍を上回る働きをするよう努力してもらいたい、ということだ。それが競争というものだ。

(以下は質疑応答)
──中田はカメルーン戦であまり調子が良くなかったようだが
監督 彼は毎週試合に出ているわけではない。明らかに大会でのリズムが足りていない。時差もあり、疲労もあって疲れのピークだ。しかしながら、明日は彼を使うつもりだ(※この日の練習では中田のポジションをのぞくすべてのポジションに1、2戦目とは違う選手が入っていた)。

──新しい選手とは
監督 今の段階でそれを言うには早すぎる。ドクターとも相談して、準決勝を頭に入れて戦う。

──フランス、スペインでの敗戦が教訓になったのではないか
監督 フランス戦は明らかに貴重な体験だったし、フランスには心からありがとうを言いたい。アジアチャンピオンだからといって何の保証もないということをわからせてくれた。スペインでは多少修正ができた。

──フランスとの準決勝になったら
監督 今の段階では(相手が)フランス、豪州と言うのは早い。ただ、もしも準決勝がフランスならば大きなチャンスだ。パリでああいう試合をしたことを選手が覚えているからモチベーションを作りやすい。アウェイでの難しさは何も日本に限ったことではなく、フランスも時差、旅の疲れ、ベッドが小さいなど文化の違いにてこずる。

──鈴木、中田浩について
監督 いいコンディションでアントラーズが送り出してくれたおかげだ。私は鹿島のファンからの(明日への)期待もわかっているし、一方では広島ファンから久保と上村を見たいという声もある。横浜の波戸にもそういう声があるだろうし、ブラジル戦はファンの声を理解しなくてはならない。

──明日の試合について
監督 ブラジルのサッカー史上、もっともプレッシャーがかかる試合になるだろう。日本には(Jリーグの)ブラジル人監督、ファン、記者がいるので、彼らの心臓に悪くないように試合をゆっくりと始めよう。明日はペレも来る(実際にはベッケンバウアー、ボビー・チャールトン、クラマー氏らでペレは来ない)らしいので、あまり彼を悲しませたくない。明日は本当の意味で日本サッカーのお祭りになるようにしたい。私としては、スタジアムにブラジル人女性がたくさん来てくれるとうれしい。(勝利のために)今日は、1時間後に、20人のブラジル女性が来て選手とミーティングをする(ジョークのつもりならば、かなり品を欠くが=筆者注)。もちろんサッカーの打ち合わせだが、息抜きに選手の家族、奥さん、ガールフレンドに会って今日はコミニケーションをはかるだろう。


「私が決める」

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 長いシーズンの終盤を迎え、ただでさえ疲労しているところに時差、天候の違いなどさまざまなストレスがかかったとしても中田英寿が屈するはずはない。
 彼ならばどんなに物理的な苦しさでも、平然と乗り越える。しかし、こうした苦境のベクトルをつけておくことだけは、非常に重要なのではないか。
 トルシエ監督は、この日、ASローマのカペッロ監督と電話で話したことを明かし、「中田については(拘束することへの)抗議とか、反発よりもこれは私が判断すること。カッペロ監督からは電話があって、中田を30秒だけ使わせてくれと言っていた(ジョーク?)。私にはFIFAの(代表招集)ルールがあるのでプレッシャーは感じていない。これについて決定できるのは私だけで、私の要求とカペッロの要求とバランスを取りたい。10日のナポリ戦は重要だが、もし日本が決勝に進出すれば中田も決勝を戦いたいに違いない。3位決定戦に回れば、スクデットをかけてローマのVに立ち会うことは彼にとって重要な経験になる」として、準決勝までは拘束し、その後は勝敗で、綱引きをすることを断言した。
 日本協会はこれまで2試合で「十分な働きをしてくれている。結果とわず10日にはチームに返していいと思っている」と話しており、勝ち進むと同時に、中田をめぐる綱引きが激化することは心配だ。

Group A 勝点 得失点
フランス 2 0 1 6 +8
オーストラリア 2 0 1 6 +2
韓国 2 0 1 6 -3
メキシコ 0 0 3 0 -7

Group B 勝点 得失点
日本 2 0 0 6 +5
ブラジル 1 1 0 4 +2
カナダ 0 1 1 1 -3
カメルーン 0 0 2 0 -4

赤字のチームは準決勝進出。日本は次戦で勝つか引き分ければB組1位で、準決勝はA組2位のオーストラリアと対戦。敗れた場合にはB組2位となりA組1位のフランスと対戦することになる。



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