1月18日

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日本サッカー協会理事会
(東京プリンスホテル)

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 日本サッカー協会の今年最初の理事会が行われ、今年5月30日から6月10日まで行われるFIFAの大陸別チャンピオンによる「コンフェデレーションカップ」の会場として、新潟(新潟スタジアム)、茨城(鹿島サッカースタジアム)の以上2会場で第1ラウンドの3試合で行い、準決勝の一試合、決勝は横浜で行うなど、詳細が報告された。両会場は交通の利便性を第一に考えて選出された。

 コンフェデレーションカップはFIFAの主催で日韓が共同で開催し、2002年のW杯プレ大会として行うことになっている。参加国は、前回優勝のメキシコ、欧州はフランス、南米はブラジル、北中米はカナダ、アフリカはカメルーン、オセアニアは豪州と、日韓の8か国。2グループはFIFAランキングによって公平に分け(予定では3月、韓国の済州島で抽選が行われる)、上位2チームずつ合計4チームで決勝トーナメントを行う方式となる。

 しかし、そもそもはFIFAの大会であるために、重要な収入源となるべき放映権が日韓に入らず、またW杯そのもののロゴ、マスコットなどが決定していないためにこうしたグッズでの売上げにも頼ることができない。赤字覚悟の開催になるため、今後解決しなければならない問題は山積されている。事務的折衝の責任者である協会の小倉副会長は、今後、2月上旬までに自由価格での切符の値段設定など行っていくことを明かし、「強気の算段でもトントン(プラスマイナスゼロ)、弱気なら赤字になる」と苦しい台所事情も説明した。


「1分の重みの格差?」

 選挙風にたとえるならば、コンフェデレーションカップの試合、予選6試合には「1票の格差」ならぬ「90分の格差」が生まれざるを得ないことになる。
 ランキングによって8か国を均等に分け、日韓は当然、自国開催のグループに入るが、頭が痛いのは、日本戦以外の試合の集客状況がまったく読めない点である。小倉副会長は、「強気案と弱気案、その両方をFIFAに説明して赤字の場合はどうするかの保証を考えてもらった」と話す。例えば日韓、またフランス、ブラジルが絡まないケースの場合どこまで関心が集まるのか、キリン杯、単体でのAマッチと違ってこうした総合的な大会の開催実績がないために読みきることは難しい。
 日本は現在、試合開始時間を1試合目16時半、2 試合目19時で提案しているが、これも鹿島、新潟の場合、時間的な問題とリンクして国立競技場の想定をすることとはかなり違う。

 小倉副会長は第一の関門として切符の値段を挙げる。今回は申し合わせで、日韓は別金額を設定し、自由な価格を決めることで合意しているが、例えば、日本戦は満員(鹿島=約4万人、新潟=約3万人)を予想して価格を上げ、そのほかの試合では価格を下げるといった、あまり例のない、いわば「オープン価格的」設定も必要となるケースも出てくるだろう。
 もとはといえば、協会が独自で予算を取って行う国際試合とはまったく違い、本来はFIFA主催の大会が、FIFAの都合でW杯のリハーサルとされてしまったために起きた問題である。FIFAは、放映権を主な収入源とするW杯予算(ドイツの衛星テレビ・キルハからの放映権収入)1200億円(2006年までで2400億円)を保持しており、小倉副会長は、もし赤字が出た場合には、ここからの「損失補てん」をFIFAからしてもらう約束をブラッター会長から取り付けてはいる。財政委員会に諮って審議されることにはしているが、それでも数字が読めないまま行うビッグイベントへの不安をぬぐい去るのは簡単ではない。地方自治体にしてみれば、さらに混乱するはずだ。
 両国にとって切符の入場収入だけが「命綱」の現状にあって、欧州のリーグ戦も終わっていない時期だけに「ファーストチームで」(ベストメンバーを組むように)といったお達しも、FIFAから各国に出されている。
 日本の強化にとって非常に重要な大会のひとつである。しかし一方で両国のファイナンシャルには大きな犠牲を強いるものになりそうだ。

 抽選は現在、3月中旬の予定だが、早まる可能性もある。切符の値段など大会の団体契約書は近く届く予定で、小倉氏は「日韓とも2月の4日をめどに決定していく方針」としている。

■短信:川淵チェアマンが甲府を訪問予定
 川淵三郎・Jリーグチェアマンは理事会終了後、19日に自ら甲府を訪問することを明らかにした。現在、クラブ存続の危機にありさまざまな方法で生き残りを模索しているヴァンフォーレ甲府について、山梨県知事、甲府市長、また地元関係者らがチェアマンと会談を持つ。
 チェアマンは「何とか自治体を中心にサポートしたい。絶対にクラブをつぶさない方向で検討していきたい、とお話してくださっている。こういう時代にありがたいことだと思うし、市民一体のクラブ志向に意識も変わってきていると思う。私が行くことで、何かのアピールになれば、と伺うことにした」と、Jリーグ自体は救済措置を取れないが、さまざまな支援をしていきたいと意向を示した。

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