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キリンチャレンジ2000
立ち上がりの8分、DFのミスから割られたスペースにシュートを決められたが、この後、GK楢崎正剛(名古屋)を中心として守備陣は崩れず、逆に前半17分、復帰した三浦淳宏(横浜)のCKからボールは稲本潤一(G大阪)の頭上へ。記録上は稲本が触っていなかったためにオウンゴール。同点とし、流れを引き寄せた。 後半開始4分も、またもクリアミスからオウンゴールを誘い、14分には、2日のクウェート戦(長居)同様、後半から投入された本山雅志(鹿島)が、中村俊輔(横浜)からの折り返しのパスをダイレクトでシュート。ゴールポスト内側に巻き込まれる豪快な右足からのシュートで試合を決定づけた。 代表は、この後9日にシドニー経由でキャンベラに入り、14日の南アフリカ戦に備える。 試合後のコメント 中村俊輔(横浜)「ハッサン(国王杯)のときのように、すごい刺激を受けることができたのがよかった。相手はやっぱりレベルも高いし、すごくうまかった。(攻撃の)形がないとか言われることもあるかもしれないけれど、そんなに簡単にできるものでもないし……。そういうなかで決定機が作れたことはよかったと思う。前半、好き勝手にやらせてもらったんで、後半は相手がマンマークできた分、ヒデさん(中田英寿)をフリー動かすことができるようにしたつもり。流れの中で、前半の起点と後半の起点を変えられることができたのがよかった。僕は後ろ、ヒデさんは前、スペースを走り抜けるような動きを、ということを心がけた。ここにきて、ポジションが間に合った(定まった)。まあただ、アツさん(三浦淳宏)が右をやって、僕が左に入るかもしれないし、どこをやっても自分らしいプレーをしたい。自分が目立たなくてもいいから、人を活かすことができる、そういうプレーが勉強になったと思う。オリンピックでどうとかは、思わないね。ただ自分のレベルを上げたいだけ」
明神智和(柏)「2試合を戦って、うまくなれたという自信をすごく持てたと思う。僕がというんじゃなく、チーム全体にそういう雰囲気がある。2試合の目標は勝って自信を得ることだった。(右サイドに入った)前半は、イナ(稲本潤一)のワンボランチに全体的にとまどってしまった。サイドの仕事もできなかったし、ボランチ的な動きもできなかった。両方が悔やまれます。本番までいい体調でいきたい」 本山雅志(鹿島)「いつも通り、後半から行けと言われれば、そこでいい仕事をしようと思っていた。とくにきょうのプレーでこだわったりとかしたところはありません。自分に求められていることは、後半から入って、いいプレーをし、全体的なリズムを、新鮮にすることだと思う。こういう役割でも、先発出場でも変わりなくやりたいと思う」 中田浩二(鹿島)「相手はこちらのやり方をやはりよく研究していたと思う。そうは言ってもオリンピックに行けば、全部(のチームが)僕たちのことを研究しているわけですからね。2試合やってみて、ディフェンスに関してはうまく連携を保つことができたと思う。ただ1点目を取られたところなどは、もう少しお互いにコーチングをしっかりしたほうがよかった」 楢崎正剛(名古屋)「国立競技場は雨が降ると、ものすごくスリッピーになるんです。少し慎重にプレーをした。ある程度、ディフェンスとの連携はうまくいったと思うが、失点の場面などはどちらの間合いなのかもっと徹底させるべきだった、きょうはお客さんがとても多かったので、コーチング(の声)がお互いにしっかり聞こえない場面があった。もっと存在感をも持ってプレーしろと監督には言われているので、やはりコーチングは徹底させていきたい」 平瀬智行(鹿島)「まあいい場面を外してしまいました……。フォワードだから、入れなくちゃいけない。長居で1点取ったとはいえ、やはりもっともっと得点を取りたかった。ただチーム全体の流れはうまくいっているので、このままオリンピックにいい状態で臨みたい」
釜本邦茂サッカー協会副会長「(2試合を終わって)自信にさえなれば、形うんぬんなんかなんでもいいんだよ。ま、なんでもいいってことはないけれど(笑)。(「メダルは見えたか」の問いに)メダルは遠いんじゃない。遥か彼方だよ。もちろんチームがダメと言っているんじゃないよ」 川淵三郎サッカー協会副会長「僕は個人的にはとても楽しみなチームになっている。今が一番、選手の信頼感が伝わってくるところだ。中盤と前の連携、あるいは後ろと中盤との連携、こういうところでいろいろな工夫が見られていると思う。オリンピックではぜひとも予選を突破してほしいと思うし、その力はもう十分示したんじゃないかなぁ」 「忘れ物は……」
増島みどり著 この日の「持ち物チェック」の第一は、三浦の復帰だろう。この日は雨でスリッピーだったために右足首をかばう場面があったが、それでも前半に見せたCKには、三浦の持ち味がいかんなく発揮されていた。右足で巻いて入ってくるボールは、三浦がいつも細心の注意を払う回転のキックとなった。ボールにやや下をこするように蹴りだすために、ボールが落ちる。GKはこの「落ちるボール」に錯覚し、これに飛び込んだ稲本との交錯の判断ミスからオウンゴールを導き出したものである。 不安も抱える選択肢のチェックも行なった。
壮行試合2試合での持ち物チェックを終えた監督のリストには、プラスアルファの持ち物が加わったようだ。
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