2月6日


サッカー日本代表
カールスバーグ杯翌日
選手記者会見(午前11時)、練習(午後4時半、小西湾運動場)

 5日のメキシコ戦に0−1で敗れた日本代表はこの日、午前中は休養し、午後から練習を行った。8日には3位決定戦を香港リーグ選抜と争う(午後6時、香港スタジアム)。
 会見は、グループ形式で行われ、中山雅史(磐田)、小野伸二(浦和)らが出席。午後の練習では、まず、フラット3の「早出特訓」が行われ、松田直樹、中田浩二、大岩剛の3人に加え、中澤佑二らDFラインだけでの確認練習に20分以上が割かれた。全体練習では、ピッチの真ん中にホワイトボードを入れて20分間も戦術の「青空説明会」が行われるなど、香港戦への軌道修正がはかられていた。

一問一答(会見から抜粋)

Masahide Tomikoshi/TOMIKOSHI PHOTOGRAPHY
中山雅史
 5日の試合後半で、GKに向かって飛び込んだ際に、顔面を強打。骨などの異常がなかったものの、「なんか鼻声になったし、鼻をかむと痛てえ、痛てえ」と、鼻をさすって登場。
──あのチャージの場面ですが
中山 骨も鼻血も大丈夫だったんですが、もう痛くて痛くて……。まああれで僕の勢いがあれば、ボールが向こうのゴールに入ってくれたんでしょうけどねえ(笑い)。
──若い選手、年代の違う選手が入って、どうでしょう、全体的なバランスは
中山 そういう意味での違和感はなかったんではないでしょうか。ポストにあてて落として、また、クサビになって、など、やろうとしていることに相違があったとは思えなかった。
──後半かなりスタミナを消耗したんでは
中山 そうですね、プレスはかなり積極的にかけられたと思うんです。ただ、例えば15分まではもっと積極的にいって、あとは無駄追いになる場面がないのかどうか、あれをずっとやり続けるというのではなくて、誰かの指示によるわけですが、もっと全体的なメリハリをつけるような工夫が出来たんじゃないかと思う。
──中山選手を見ていると、怪我との苦闘をずっと続けているような、ある意味でボロボロというようなイメージはなく、常にフレッシュな感じで臨んでいるようなのですが、どんなところに秘密があるのでしょう
中山 どうですか、リハビリがひとつの理由ですか。例えば年末にも手術をしましたが、そこでもオランダ人のPT(フィジカルトレーナー)に作ってもらったメニューでかなり厳しいですからね。それをやると、ああ、ここから早く抜け出して、みんなとサッカーをしたいって、すごく思うんですよ。本当にきついメニューで、もう体が動かないのに、飛べ、とかね、あれをやっていると、精神的にもきつい。(30歳を超えてからのケアは)特別なことはなにもないですね。食事は、奥さん(智子夫人)に任せてますから、基本的には家で食事を取りますしね。睡眠なども、自分がしたいように、したい時にやっていますね。
──昨日は小野選手とも試合後、反省をしたと聞いてますが
中山 さっきの話ですよね。メリハリの付け方ですか。平瀬とカズさんとは部屋の前でも話していたんですが、彼らのほうがもっとトルシエ監督の戦術は分かっているわけですからね。だから、若い世代の選手にもどんどん聞いて吸収しようと思ってます。
──結果がまだ出ませんが
中山 昨日は相手がメキシコだからで、負けてもいいとか、負けた理由にはまったくならないですが、やはり相手はそんな簡単に戦える相手じゃあないですね。(98年のW杯前のメキシコ戦と比較して)あの時とちょっと違う状況ですが、サイドチェンジなどは上手いですよ。昨日も、うちのウイングバックの方なんかは全然上がれない。それは向こうが3トップ気味で押してくるから、こっちが下がらざるを得ないわけで、キックひとつでも、ああ、アウトサイドにひっかけたミスキックかな、と思って見送ろうとすると、ちゃんと入ってるんだよね。ああいうので、こっちの守備にはどんどんプレッシャーがかかってしまう。カズさんとも話したんだけど、トルシエ戦術にプラスアルファでFW2人のアイディアでもっと突破できるチャンスもあったんじゃないかな。
──2002年への一歩という点では
中山 常にその気持ちでいますし、このレールから一端落ちたら、這い上がるのはかなり厳しいと思う。以前の代表に比べると、自分の年齢もあると思うが、かなりの緊張感と危機感を抱いて代表の練習に臨んでいるし、そうでなくてはいけないとも思う。ベテランというアドバンテージなどではなく、全員がフラットに並んでいる状況でも、自分はそれが心地良いし、やれるじゃんオレ、と思うことで、どんどんリフレッシュできる部分もある。
──香港戦にむけて
中山 相手は香港リーグ選抜で、ほとんどがイギリス人なんですね。ですから、本当に強い相手ですし、やっていること、やろうとしていることをグラウンドで出すことが一番重要だとおもう。

 小野伸二は、怪我をしてから初めての代表フル出場に、試合前は不安だったという。しかし、一夜明けて、得られたものが大きかったと手ごたえの方を喜んでいた。

Masahide Tomikoshi/
TOMIKOSHI PHOTOGRAPHY
── 一夜明けてどうですか
小野伸二 背中を打撲しました。痛いのはそれくらいで足に不安は全然ない。
──不安もあったと思います。具体的に聞かせてください。
小野 ええ、始まる前にはうまくいくかどうか、非常に心配で、本当に大丈夫なのかな、と思ってました。けれども試合中は必死で、今になると90分をいいプラス材料にしていこうと思えるようになった。代表でのプレーになると余裕がありませんね。疲れで判断が鈍くなったというのもあるんですが。
──体力的にはどうですか
小野 今のコンディションを考えればまずまずですか
──名波とのプレーなどはやりやすかったですか
小野 名波さんとか、誰とやりやすいんじゃないんですが、名波さんの受けるタイミングとか、常に前を見てるなど、自分にとって本当に勉強になった。
──怪我以来、イメージが沸かないと言ってますよね、それについてもう少し具体的に教えてもらえますか
小野 ええ。今はボールを止めることに精一杯なんですね。以前だと、ボールを受ける前にはすでにいくつかのアイディアが頭にあって、それができないまでも、きちんとここで受けたら、受けやすいだろう、とか考えられたんです。でも、今は、それこそ、淡々とプレーしてしまっていて、頭の中には、パス、パス、パスと、シュートまでのイメージもなかなか出てこないんですね。自分のことで精一杯で、なんだか相手を思いやっている余裕もなくて。でも昨日の90分については収穫として前向きに考えてます。
──始動としてはいかがでしょう
小野 自分はそんなに焦ってはいないんです、チームもそうだと思いますが、なんだかみなさん(報道陣)や回りが非常に焦ってらっしゃるんで……。ぼくらももちろん、結果に出ないことは悔しいし焦りはしますよ。でも、最終的には、今すぐに結果が出ないとダメとか、そういうもんじゃないでしょうから。1年の始動として、1試合を観て、ああダメだとか、ダメじゃないとか、そういうものですかね。
──フル代表で戦う意識はどうですか
小野 A代表という言葉にはやはり重みもあるし、言葉に緊張はします。でもいつも通りやればいいのに、なかなか力が入ってしまうものですね。今回はアピールをしたいし、コンディションを上げてイメージをたくさん作れるようにしたい。香港戦では、シュートを打っていこうという意識はあります。みんなが同じイメージを持って攻撃できるよう、まあ相手もあることで、とても強い相手ですから、そう簡単なことではないですが、何とかやろうと思います。

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