御蔵島探検記
 
爆発栄螺
 
わたくし爆発栄螺は中学生時代に1度挫折があります。何処かのデパートの昆虫展でドイツ箱いっぱいに並んだ色んなカラーバリエーションのミクラミヤマクワガタを見て魅せられました。世界で唯一御蔵島・神津島にしか生息しないというのも大きな魅力です。しかし、当時は船の便も 悪く、学校を2週間も休むなんてのは当然出来る事ではありませんでした。地図を眺めてはため息をつき、志賀昆虫で黄紋型の標本をこずか いつぎ込み1頭3500円で買った記憶があります。現在では三宅島〜御蔵島のヘリコプターが1日1便就航しているので、可能ではないか? と思い御蔵島に渡る事を決意しました。 しかし、ところがどっこい・・・。 
6月14日(月)
 クワ馬鹿被害者の会会長御尊父と朝5時30分に、茨城県涸沼を出発し羽田空港に向かい常磐道を ひた走った。7時に着くとAPSパーキングに電話連絡し、車を預ける。(空港のパーキングはとても高いた め)御蔵島へ行くので帰りの予定は分らないと告げると、「先日やっぱり御蔵島へ行って1週間遅れた人が いましたよ。」と言われた。覚悟はしているもののやはりビビリがはいる。はたして会社の机は帰って来た時 に残っているだろうか?8:40発三宅島行きのエアーニッポンは「悪天候のため着陸不能の場合は羽田に 引き返します。」との条件付きだった。
 ぬあんと、運転席の窓が開く。 
自動車の三角窓のようだ。 
咥え煙草で運転できそうだなーと思って 
ジロジロ見ていたら、パイロットと目が合ってしまった。 
う−む、気まずい。 
機体のあまりの小ささにビックリ。 
なんか遊園地の乗り物に乗るみたいでワクワクします。
機体が小さいため、天井には荷物を載せる場所はありません。 
荷物は座席の下に詰め込みます。 
乗客は我ら2名を含む14名でした。 
こりゃ寂しい。 
三宅島の滑走路は短いため、YS11が廃止になると路線廃止になると 
聞いています。飛行場を延長するお金がないんです。 
路線廃止になるという話はリアルに感じます。 
スッチーは2名乗務。 
お約束の救命用具の実演付きです。 
搭乗時間があまりに短いため、機内サービスは新聞のみです。
初めて乗るYS11はとても楽しみだった。どーもジェットは機体で飛ぶというよりもエンジンの馬力で強引に飛ぶイメージがあったからだ。プロペラ機はいきなり墜落はしないと聞いている。(高校の時の先生は飛行機の通信兵で打ち落とされても大丈夫だったとか経験を聞かされた事がある。)タキシングが終わり滑走路を加速したYS11はあっけなく機体を空に浮かした。まったく景色が見えないまま順調に飛行。着陸予定時刻間際になると、徐々に高度を落としフラップを伸ばし始めた。雲の切れ目に海面がかすかに見え始め、手の届きそうな位置まで高度を落としてきた。しばらくするとアクセル全開の音とともにYS11は機首を上にあげた。「当機は上空にて天候回復をまち着陸復行いたします。」とのアナウンスが流れた。しかし、我々を載せたYS11はその車輪を三宅島に着ける事なく機首を北に向けた。戻って来た時、曇ってはいるものの羽田は雨が上がっていた。カウンターで行き帰りのチケットを払い戻し、ヘリコプターと宿の予約取り消しの電話をし、私の御蔵島は終わった。


Page 1/9