「怪説・世界のクワガタ」 第7回 オオゴンオニクワガタ (1/3)

A.CHIBA


 今回の怪説では、オオゴンオニクワガタ 属 Allotopus とオニクワガタ属 Prismognathus を紹介してみたいと思う。 オオゴンオニクワガタは、色合いもその名のとうり黄金色に輝いている個体が多く綺麗で豪華!なクワガタとして有名。 それに80o前後にも達する大型種で迫力も兼ね備えている事も魅力である。 最近は多く入って来ており人気は益々高くなっているようだ。 詳しい生態はまだ良く知られていないようだが、標高が1500〜2000b程度の山地帯で採集されると言う。 マレ−半島とスマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島から知られていたが、近年、ミャンマ−からも採集されている。 「世界のクワガタムシ大図鑑」ではジャワ島産とスマトラ島産は区別出来るとして別種とされ、ミャンマ−、マレ−半島、ボルネオ島産はスマトラ島産の亜種とされている。 今回種名はそれに従った。(以前は1属4種とされる事が多かった) また、タイランドにも分布とされる文献を見た事が有るのだが信憑性は不明。

fig1


fig2

 fig1左は Allotopus rosenbergiで産地は西ジャワ Mt,Gede 産。 この属の中では一番大きくなり黄金色も鮮やかで艶が有り人気も高く、クワガタ好きの人ならば一度は手にしてみたいと思う種だろう。 この輝く黄金色だが湿度によって多少色が変化し、湿度が高いと黒っぽくなる。 また、擦れてくると下地?の黒が見えてきてメッキが剥がれたように見えてしまう。 ジャワ産は体を裏返して見ると下唇の部分がへこんでいて他の産地のものとは区別出来る事は良く知られている。 以前は少ない種とされていて入ってくる標本も少なかったのだが、最近は以前よりも多く見かけるようになった。 最大で80oを越えると言うが、そのサイズはかなり少なくて数年に一頭採れる位だと言う。

 fig1真ん中と右側の2頭は Allotopus moellenkampi moellenkampi 南スマトラ Lampong 産。 この属のうちでは一番体の艶が無く、サイズも平均して小さく最大でも70oを越えるものは見た事が無い。 (写真の大きい方は61o) 割と稀な種らしくあまり標本は見かけず高価。 スマトラ島の隣にあるメンタウェイ諸島のシベル−ト島でも採集されていると言う。

 fig2の左は、古くから標本を見ている人にとっては一番お馴染みの種 Allotopus moellenkampi moseri マレ−半島 Cameron Highlands 産。 他の産地のものと比べて大腮が長く伸びて、ジャワ産よりも体は細身に感じる。 サイズは80oには達しないらしい。 ミャンマ−産の Allotopus moellenkampi babai はこの種と良く似ている。 大型の個体では歯型の違いで区別出来るが、小型のものでは相当見慣れないと区別は難しいかもしれない。 ミヤマクワガタなどでは Lucanus lunifer lunifer と Lucanus lunifer franciscae は小型個体で外見上区別が付かないと言う、こういうものの小型個体は産地ラベルだけが区別の手段と言う場合も起きてくるのか!

 fig2の次ぎのペアは、Allotopus moellenkampi fruhstorferi ボルネオ島 Sabah 産。 稀種のようで、標本はあまり見かけず有っても高価である。 サイズも大きいものは見た事が無く載せた写真の♂は42o はたして大歯型の個体はいるのだろうか!
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