「怪説・世界のクワガタ」 第6回 シワバネクワガタ (1)

A.CHIBA


 今回は、南アメリカ大陸に産するシワバネクワガタ属( Sphaenognathus)と、コガシラクワガタ属(Chiasognathus) を紹介してみたいと思うが、シワバネクワガタ属はまだあまり良く整理されていないようで、今後シノニムとして処理されるものや、新しく種が増える場合も有ると思う。日本には入って来ない種も多く、元々あまり馴染みの無いクワガタでもあり、Dorcus 野郎?が多い日本では、「こんなのクワガタか!」と言う人も多いと思われ、あまり興味が持てない人もいるかもしれない。しかし、日本産など見慣れた種とは違う何とも言えない形態や、さながら繊細な金属細工を思わせる上翅もなかなかのもので、見慣れると捨てがたい魅力が出てくる。両属とも資料不足(力不足)であまり詳しい生態などは解らず、解説は簡単になってしまったが、ご容赦願いたい。


fig1

 fig1は、Sphaenognathus feisthameli 写真のものは南米ペル−産のペアで左が♂75o、右の♀も変わった格好をしている。日本名ではオオシワバネクワガタと呼ばれる事が多い。南米アンデス山脈に産地が広くあるらしく、ボリビア、ペル−、エクアドル、コロンビア、ベネズエラなどの国のアンデス山麓に沿って分布していると言う。採集される場所の標高はかなり高いらしく、採集地点は標高2500m以上になっている事が多いが、標高2500m以上のどの様な環境の場所に棲息しているのか興味が湧いてくる。大腮から、頭部、前胸にかけて微毛がはえ、からだ全体に金属光沢が有る個体が多く非常に美しい。かなり稀な種であると言われ採集される数も少ないらしく標本は高価。最大では80oを越えるものがいてこの属の最大種である。


fig2

 fig2左は、Sphaenognathus garleppi ♂60oボリビア産。前種に似るがより小型で全体に銅色の金属光沢が有り、前足が真っ直ぐに伸びることで区別出来る。現在日本入って来ている標本は前種より少ないと思われる。

 次ぎのペアは Sohaenognathus spinifer コロンビア産。体はそれほど金属光沢は無く、割と地味な感じの種で、体長も♂40〜45oでそれほど大きくならない様だ。この種と良く似た種は多くいて、整理されるとどの種かシノニムで消える可能性も有るそうだが、写真の標本は同定ラベルが付いていたのでこの名で載せてみた。

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