6.ミヤマクワガタの蛹化から羽化まで

飼育の要

前蛹になったら湿度を低く、温度は高く。

蛹になったら湿度は低くなく高くなく、温度は高く。

羽化したら温度変化の少ない暗い場所へ。


ミヤマクワガタの蛹室は繭のような部屋をケ−スの端に作ります。前蛹から羽化までの時間は温度に比例します。低い温度だと長く時間がかかり、高い温度だと短い時間で変態します。このデリケ−トな時間を早く通り過ぎるのは生存率を上げるために加温を必要とします。また、羽化時の湿度は羽化を上手にさせる為、低くしなければなりません。湿度が高いとなかなか後羽が堅くならず、羽化不全の原因にもなります。
前蛹飼育
乾燥防止のために蓋に挟んでいるサランラップとかビニ−ルを取ったり戻したりしてマットの湿り気を調節します。湿り気はビチャビチャでなく、カラカラでなくという状態にします。試しに飼育容器内のマットを 少量取り出し、乾燥させます。かなり、色が薄くなり白っぽくなるはずです。この完全に乾燥したマットを基準にして、乾きすぎない程度の状態に飼育ケ−ス内のマットの湿りを 調整して下さい。湿り気が多すぎると前蛹の状態で死んでしまう事が多くなります。
蛹飼育
ケ−スの底や端に蛹室を作ります。ミヤマの場合は蛹室が見えない場合が多く1頭でも見えるものがあれば、他のものも蛹化したものと思っていいでしょう。メスはオスより3ケ月程度早く蛹化します。またメスの中には他のメスに比べ4ケ月早く羽化し活動したものもありました。これは他クワガタなどにも見られます。意図的に早く羽化するグル−プを持つようです。我が家では30頭に1頭位の割合で発生してます。
蛹飼育
蛹になったら、早く羽化させるために温室に入れます。15度以下になるようであれば死ぬ恐れもあります。蛹の期間が長くなる事には縮んで小さくなるとか、死んでしまうとかのデメリットだけで、何のメリットもありません。
羽化
微かに覗けていた蛹が見えなくなったら、羽化が終了しているものと思って下さい。中で動くためプラスチックケ−スの壁が汚れるためです。蛹室の中にカビが生えてきたら、残念ながら中で蛹は死んでいます。
成虫回収
前蛹も蛹も羽化も写真撮れませんでした。初めての累代なので失敗を恐れてです。今年は撮るつもりなので、撮ったら修正版の飼育マニュアルを作る予定です。なんの写真もないのは寂しいので、96年産まれの成虫回収を98年2月に行いましたので、ご覧いただきます。親は宮城県産のフジ型と基本型だったのですが、エゾ型も発生しました。またフジ型は親とはぜんぜん似てない形になりました。収穫は楽しく嬉しいものです。苦労が報われる瞬間です。
成虫回収 その1.
新聞紙を広げその上で、飼育容器の蓋を取り逆さまにして、容器の底を叩きます。すると、ボロッとマットが丸ごとマットが落ちます。すると「居ました居ました。」蛹室で休眠するオスが出てきました。逆さになったので背を向けていますが、蛹室の中では仰向けで寝ています。




















成虫回収 その2.
逆さにしてマットがどうしても落ちない時には、諦めて上から慎重に堀ります。無理に底から叩くと飼育容器を割ってしまいます。マットをちょっと乾燥させすぎました。カチンカチンです。溶岩みたいにガチガチなのがマットです。「おおおっ、こりゃ結立派だ−。」




























成虫回収 その3.
早速体長を計測してみましょう。「動くな動くな−。」61.5mmありました。ワイルドにはいない歯型ですね。細くて歯は太くて変わってます。これはこれで格好いいですね。満足満足。
























成虫回収 その4.
これが基本型・フジ型から生まれたエゾ型です。上のやつと比べると「やっぱり兄弟」って歯の並び方しているでしょ?不思議なものです。これは温室の外で飼ったもので最低温度15度位の環境のものです。




























成虫回収 その5.
すべてがうまくいった訳ではありません。これは羽化不全のオスです。乾燥させ過ぎたのが原因みたいです。乾燥により蛹室が小さく縮んでしまったためです。この他にも羽化不全のものが少なくなく発生しました。ちょうどいい湿度、難しいものです。




























成虫回収 その6.
1996年9月生まれの成虫達です。メスの方が多いです。
















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