「怪説・世界のクワガタ」 第4回 ヒラタクワガタ (1)

A.CHIBA


 今回はヒラタクワガタで80oを超えない種を紹介しようと思うが、中でDorcus rama や Dorcus miwai等 は一般に日本名では、ラマオオクワガタ、ミワオオクワガタで通っている事が多いので、そのままオオクワガタとした。 日本名はやはり付いていると覚えやすく便利であるとの考えが有るが、外国産クワガタムシの日本名は紹介本や図鑑等によって、同じ種でも色々な名前が付けられている事が有り、さらに標本商のリストでも、それぞれまた違う日本名を付けて売っている場合もある。 日本産のクワガタは殆ど統一されていて不自由は感じないのだが、外国産のものに付いてはどのクワガタムシの事か解らないぐらいに、名が違っている事がある。 有名大型種はまだ良いとしても小型種などでは日本名の付いて無いものもあり、結局は学名で覚えておく方が無難である。


fig1
 
 まずfig1は Dorcus rama ラマオオクワガタで、この種はスマトラ島の特産種として知られている。大型は中サイズや小型のものと比べると内歯のカタチが変わってしまい、以前は写真一番左の歯型になっている大型の個体は見たことがなかった。 多くの個体が入ってくるにつれ見かける様になったが、この歯型のものはやはり少ない様である。一見すると次のDorcus reichei の大型個体に似ているがラマオオクワガタの方がかなり大きい。。北スマトラに多く産し標高1500o以上に棲息すると言う。 写真のものはBerastyagi N.Sumatera 産、最大のものでは75oを越えるがこのサイズはとても少ない。


fig2

 fig2左は Dorcus reichei ヨツバヒラタクワガタ北ベトナムSapa(Chapa)産、この種は北インドから東南アジア、中国の一部、スマトラ、ボルネオ、台湾等に広く分布しており色々な亜種名が付いているのだが、区別するのは結構大変で特に小型のものは良く解らない。 前回も少しふれたが台湾産は大きくならず他の産地の様な歯型のものは見たことが無い。以前は Dorcus clypeatus セスジオオクワガタとされていたが、世界のクワガタムシ大図鑑ではD.reicheiの亜種として扱っている。大体どの産地でも普通種らしく標本は入って来ている。 サイズはマレ−半島、ボルネオのものが大きくなるらしいが、70oは越えない様である。

 真ん中は台湾特産のDorcus miwai ミワオオクワガタ、台湾各地に分布しており、山地に多く場所によって灯火に集まり朽ち木でも採集されている。写真は南投県合望山で採集された個体。産地では普通に採集出来るが、大型サイズは少なく採集される殆が40〜50oぐらいのサイズだと言う。 この種の標本は良く売られているが、やはり60oを越えるものはなかなか見かけず65oを越えるものは非常に高い価格で売られている。大型になっても歯型は殆ど変化せず、外見はシンプルな感じのするクワガタだが大きくなると横幅も広がり迫力も出てくる。

 右はDorcus meeki ニュ−ウギニア島に分布しており、写真のものは IRIAN JAYA産61oで、島中央部の山地帯に産するようだ。サイズは大きいものでも70o前後にしかならない。この種はある程度標本も入ってきており、ミ−クオオクワガタの名で売られている。



「怪説・世界のクワガタ」第4回 ヒラタクワガタ(2)へ

3月号目次へ