クワ好きのための簡単ラテン語講座   by Erie


学名の読み方〜世界編〜

和名学名読み
plate 81-87
パリーフタマタクワガタHexarthrius parryiヘキサルトリウス パルリイ
ニグリトゥスフタマタクワガタHexarthrius nigritusヘキサルトリウス ニグリトゥス
リノケロスフタマタクワガタHexarthrius rhinocerosヘキサルトリウス リノケロス
マンディブラリスフタマタクワガタHexarthrius mandibularisヘキサトリウス マンディブラリス
ボーリンフタマタクワガタHexarthrius bowringiヘキサトリウス ボウリンギ
ダビソンフタマタクワガタHexarthrius davisoniヘキサトリウス ダビソニ
ビタリスフタマタクワガタHexarthrius vitalisiヘキサトリウス ウィタリシィ
オオシカクワガタRhaetus westwoodiラエトゥス ウエストウォオディ
シカクワガタRhaetus crenatusラエトゥス クレナトゥス
スペキオススシカクワガタRhaetulus speciosusラエトゥルス スペキオスス
plate 88-112
グラウトコクワガタDorcus groultiドルクス グロウルティ
ベルニカトゥスコクワガタDorcus vernicatusドルクス ウェルニカトゥス
プセウダキスコクワガタDorcus pseudaxisドルクス プセウダキシス
エレガントゥルスコクワガタDorcus elegantulusドルクス エレガントゥルス
セグーコクワガタDorcus seguyiドクルス セグイイ
デレリクトゥスコクワガタDorcus derelictusドルクス デレィクトゥス
アローコクワガタDorcus arrowiドルクス アルロウィ
ヤマダクワガタDorcus yamadaiドルクス ヤマダイ
ネパールコクワガタDorcus nepalensisドルクス ネパレンシス
ラティオキナティブスコクワガタDorcus ratiocinativusドルクス ラティオキナティウス
チュウゴクコクワガタDorcus sinensisドルクス シネンシス
スツラリスオオクワガタDorcus suturalisドルクス ストゥラリス
アンタエウスオオクワガタDorcus antaeusドルクス アンタエウス
シェンクリンオオクワガタDorcus schenklingiドルクス スケンクリンギ
タイワンオオクワガタDorcus curvidens formosanusドルクス クルウィデンス フォルモサヌス
パリーオオクワガタDorcus parryiドルクス パルリイ
ティティウスヒラタクワガタDorcus tityusドルクス ティティウス
ミワヒラタクワガタDorcus miwaiドルクス ミワイ
ラマヒラタクワガタDorcus ramaドルクス ラマ
ライヒヒラタクワガタDorcus reicheiドルクス レイケイ
ミヤマヒラタクワガタDorcus kyanrauensisドルクス キアンラウエンシス
オオヒラタクワガタDorcus titamus westermanniドルクス ティタヌス ウェステルマンニ
- - titanus- - ティタヌス
- - parawanicus- - パラワニクス
ダイオウヒラタクワガタDorcus bucephalusドルクス ブケプファルス
アルキデスヒラタクワガタDorcus alcidesドルクス アルキデス
ユールケファルスヒラタクワガタDorcus eurycephalusドルクス エウリケプファルス
トラキクスヒラタクワガタDorcus thoracicusドルクス トラキクス
クシゲヒラタクワガタDorcus taurusドルクス タウルス
ミークヒラタクワガタDorcus meekiドルクス メエキ
インテルメディウスヒラタクワガタDorcus intermediusドルクス インテルメディウス
パプアヒラタクワガタDorcus arfakianusドルクス アルファキアヌス
ミラビリスヒラタクワガタDorcus mirabilisドルクス ミラビリス

コラム 日本の固有な種・亜種として同定されているクワガタ虫は,外国人によって発見されたものが意外に多いのです.多くのものは19世紀に同定されておりますが,そのころまだ日本では昆虫採集は趣味としては一般的でなかったし,ましてや学問的に調査することなど思いもよらなかったでしょう.外国から日本へやってきて新種を発見した外国人たちは,日本産のクワガタ虫を記載し,それらにラテン語による学名をつけました.わたしが関心するのは,彼らが固有種の特徴を表すラテン語を用いて表記したということです.例えば,
コクワガタD. rectusの"rectus"とは"まっすぐな" と言う意味です.なるほど,コクワガタの大顎はまっすぐのびてますね.
これに対して,
ノコギリクワガタP. inclinatusの意味は"屈曲した"< です.地方によっては水牛ともよばれている湾曲した大顎の形がみごとに表されています.
オオクワガタD. curvidens binodulusはどうでしょうか? "curvidens"はやはり"曲がった"という意味で,"binodulus"は"bi + nodulus"で曲がっていて,2つの小隆起のある" と言う意味になります.つまり曲がった大顎,そしてこの小隆起は,おそらく頭部,大顎の付け根にある突起のことをさしているのでしょう.
さらに,ヒメオオクワガタD. montivagusの場合,"monti + vagus"で,"山をさまよっている”
と言う意味になります.なるほど〜ヒメオオは非常に足の早いくわがたとして有名ですね.
アカアシクワガタD. rubrofemoratusとミヤマクワガタL. maculifemoratusの2種はどちらも足の色に特徴がでています.すなわち"rubrofemoratus"は"大腿部が赤い","maculifemoratus"は"大腿部に黄斑のある"です.
ヒラタクワガタD. platymelusは"黒くて平べったい"
(そのまんまだね),スジクワガタD. striatipennnisには"羽に筋のある"(これもまったくそのとおり),そしてオニクワガタP. angularisは"角のある"(まさしく鬼ですな)と言う意味があります.「非常に理にかなった命名をしてくれたものだなあ」と思いませんか?

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