クワ好きのための簡単ラテン語講座   by Erie


学名の読み方〜日本編〜
さあ,それでは実際に学名を読んでみましょう.まずは日本のくわがたからです.

和名学名読み
ツヤハダクワガタCeruchus lignariusケルクス リグナリウス
マダラクワガタAesalus asiaticusアエサルス アシアティクス
ルリクワガタPlatycerus delicatulusプラティケルス デリカトゥルス
コルリクワガタPlatycerus acuticollisプラティケルス アクティコリス
ルイスツノヒョウタンクワガタNigidius lewisiニギディウス レウィシ
チビクワガタFigulus binodulusフィグルス ビノドュルス
マメクワガタFigulus punctatusフィグルス プンクタトゥス
チャイロマルバネクワガタOdontolabis insularisオドントラビス インスラリス
タテヅノマルバネクワガタOdontolabis saundersiiオドントラビス サウンデルシイ
ミヤマクワガタLucanus maculifemoratusルカヌス マクリフェモラトゥス
アマミミヤマクワガタLucanus ferrieiルカヌス フェルリエイ
キンオニクワガタPrismognathus dauricusプリスモグナトゥス ダウリクス
オニクワガタPrismognathus angularisプリスモグナトゥス アングラリス
ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusプロソポコイルス インクリナトゥス
アマミシカクワガタRaetulus recticornisラエトゥルス レクティコルニス
ヒメオオクワガタDorcus montivagusドルクス モンティワグス
アカアシクワガタDorcus rubrofemoratusドルクス ルブロフェモラトゥス
スジクワガタDorcus striatipennisドルクス ストリアティペンニス
コクワガタDorcus rectusドルクス レクトゥス
ヤマトサビクワガタDorcus japonicusドルクス ヤポニクス
オオクワガタDorcus curvidensドルクス クルウィデンス
チョウセンヒラタクワガタDorcus consentaneusドルクス コンセンタネウス
ヒラタクワガタDorcus platymelusドルクス プラティメルス
原名亜種ーーpiliferーーピリフェル
ツシマーーcastanicolorーーカスタニコロル
タカラーーtakaraensisーータカラエンシス
アマミーーelegansーーエレガンス
トクノシマーーtokunoshimaensisーートクノスヒマエンシス*
スジブトヒラタクワガタDorcus metacostatusドルクス メタコスタトゥス
ネブトクワガタAegus laevicollisアエグス ラエウィコルリス

*注 日本人には「徳之島」という言葉が固有の地名を表すものとして理解できてしまう.この亜種名を定めた人が日本語の発音をローマ字の綴りでもってラテン語として表記したためこのような訳のわからないものになってしまった.外国人には " tokunoshima " はトクノスヒマであってトクノシマではないのである.もし,日本語の発音に近いようにつづるのであれば " tokunosimaensis " とすべきであった.これなら日本人には「徳之島」であり外国人にはトクノシマである.あくまで原則論の話である.人名の場合など,つづりを代え難いものがある(何人か知らないけど個人の名前は泣かせてくれます).どうやったって読めないぞというような場合もある.そういう場合はしかたないので,母国語の読み方にならって読むしかあるまい.自分の名前を学名(亜種名)につけるのはあまり得策ではないように思われる.その個体を表す根拠が何もないし,個別認識するときには,その個体の形態的特徴,個性を意味するラテン語に置き換えて表記したほうが覚えやすい.実際に記載者の名前は記録として残るうえに,3名法の後ろに名前つけて表記することもあるのだから.

さあ,続いて世界のクワガタ虫です.けったいな名前のものもあるし,なんとも美しい響きの種もあります.



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