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三井の、なんのたしにもならないお話 その四十一

(2015.03オリジナル作成)



 
 
 スマホを買わんの記 −わがモーバイルPC格闘史20年 UMPC, the next rising star?

2018.10記述



UMPC、発展を開始


 
 先の記事を記してから半年、まあ私の期待通りに、いわゆるUMPCは広がりを見せています。

 
 ゲーム機のようなGPD-WINは無理線かと思えば、それなりに支持されているようで、昨日も大規模店Y店の店頭に展示されているのを見ました。そして二代目、GPD WIN2 も発売されるのだそうで。SSDを256GBに増強し、本格的な用途に対応するのだそうです。

 私的には、あまりに小さく、あまりにゲーム機端末みたいな使い勝手で、ちょっと魅力は感じないのですが。

 
 日本の代理店の謳い文句を引用すると、「GPD WIN2 256GBは、Windows 10 Home 64bitを搭載した6インチサイズの携帯型ゲーム機です。優れた処理性能と省電力性能を兼ね備え、最大2.60GHzで駆動する第7世代 Intel Kaby Lake Core m3-7Y30、内蔵GPU機能Intel HD Graphics 615を搭載、8GBのメインメモリと256GBのM.2 2242 (SATA 6G)ストレージ、ゴリラガラス4を採用した10点マルチタッチ対応のシャープ製6インチH-IPS液晶パネルを搭載しています。D-Padから3Dジョイスティックまで備えた多彩な入力キー、高速ワイヤレスLAN Wi-Fi 802.11acと、Bluetooth 4.2に対応、映像出力にMicro HDMI、周辺機器接続にUSB Type-A (USB3.0)を1ポート、充電用にUSB Type-C (USB3.0)ポート、Micro SDカードスロットを備え、最長8時間の連続稼働を実現する9,800mAhのバッテリー、45分以内に50%のバッテリーを充電可能な急速充電USB PD 2.0に対応しています」だそうです。これで、Micro HDMI端子も持っているのは大したものですが。

 

 そして、私も誘惑を感じるGPD Pocketの方も、やはり第二代のGPD Pocket2が、相競うように出るのだそうです。こちらも同じ代理店ですが、大々的に宣伝をしており、かなりの勢いを感じます。

 
 某ショップの謳い文句では、「Core m3-7Y30、メモリー8GB、グラフィックスはCPU内蔵のインテル HD Graphics 615、ストレージは128GB、OSはWindows 10 Home 64bitを採用。インターフェースはUSB×2、USB Type-C×1、microSDCXカードスロット、ヘッドフォン出力/マイク入力を揃えます。Surface Pro(Core m3搭載モデル)より優れたパフォーマンス性能を誇ります。バッテリー容量は6800mAhで、駆動時間は約6〜8時間」なのだそうです。ただ、15g軽くなっただけではなく、初代と違う操作系にして、キーボード右上の小型の光学式ポインティングデバイスを動かす方式に変え、そこは議論を呼んでいるようです。ポインティングスティックという初代の操作部分がいいのかどうか、過去にこれには手こずった経験のある私にも、何ともいいがたいところ。

 
 ともあれ、市場に定着してきていることはこれで間違いありません。それどころか、明らかにGPDPocketのライバル品というか、よく似ているOne Netbook One Mixというのも、既に市場に出ているのだそうで、こちらの方が先に光学式のポインティングデバイスを採用しているのだそうです。Atom x5-Z8350 4C/4T(1.44GHz 〜 1.92GHz)使用、128GBのストレージ、8GBのメインメモリなど、横並びの機能を備え、重さは若干重いですが、360度フルオープン可能で、タブレット同様に扱え、マニアの心を揺さぶっています。見たとこもよく似てますし。

 

 まあ、個人的にもいい流れと思います。これらのUMPCだけではなく、マイクロソフトが鳴り物入りで出した、Surface Goというのもこれらに近い観です。タブレット機なのにメチャ高いという従来のマイクロソフト的プロダクト路線が完全に失敗とわかって、マイクロソフトの方からすり寄ってきていると見えますな。Pentium Gold 4415Y使用、メモリー8GB、ストレージ128GBないしは64GBSSDです。あくまでタブレットなので、HDMI出力はなく、また10 インチ PixelSense ディスプレイ使用ですが、重さは522g。キーボード付きのタイプカバーをつければぎりぎり1kgくらいです。モーバイル機らしいマシンをリーズナブルな、手のでる値段で出す、といういき方に「世界のマイクロソフト」も転じたのでしょう。

 
 こういった世の中の関心の的に対し、国内外の既存のPCメーカーも関心を抱いてはいるようですが、なかなかに手を出しません。パナソニックのRZは唯一、近い存在と見えます。でも値段があまりにも、です。超軽量機を出したNECなども、パナよりは安いが、むしろ大きさ勝負で、こうしたUMPCの市場で勝負する気はまるでないよう。他方で、ネットブック残滓のような廉価機を出してきたAcerやASUSといった海外メーカーも同じで、様子見の感です。

 
 ワタクシ個人的には、非常に誘惑に駆られて困っています。パナのCF-RZ4AFPBPのWin7機には満足している私ですが、その値段を考えるに、諸リスクを念頭に置くと、常時持ち歩くにはためらいを感じさせるうえ、重さ200gの差にさえ、悩みを覚えさせられます。かつて、富士通LooxU/B50やU/G90などの、UMPCの先駆けを持ち歩いていた記憶は、容易に消せません。意地でもスマホなんか持たんぞという心理の裏返しでもあります。いつでもどこにでも持ち歩け、いじれるPC、それは私には一つの理想型に見えるのですが。恥ずかしながら、今さらにしてなんどもLooxU/B50を手に取り、そのつどいたく失望させられました。UMPCの先駆けを気取ってみても、動作のあまりの遅さはじめ、とても使えません。しかも、他方で大学授業用などに再度持ち出すようになったパナソニックCF-R9が危ないのです。以前に加熱などの問題を起こし、ひいてはついにリカバリでシステム再インストールをやったものでした。一度白紙状態にし、それを持ち出すようになったのですが。半年あまり後でまた同じ事態になり、リカバリをやり直すことになりました。アプリ再インストールを含めて作業に要した手間と時間は空しいですが、それ以上に、ともかく安心して動かせなくては何にもなりません。常時携帯機には戻せません。

 タブレットも悪くないんだけど、PCに慣れた身にはどうにも扱いづらく、しかも先に書いたように、「勝手にwindows更新」のおかげでえらい目にあわされました。Diginnos DG-D09IW2SLもキーボードをつければPC並みの重さ、大きさであり、PCほど操作しやすくなく、結局web見る、受信メイル読むくらいの使い勝手を容易に越えられません。だいたい、これではパワポなど写せません訂正:これにはちゃんと、マイクロHDMIコネクターがついていました。タブレット機ながら。マイクロHDMIのケーブルをもっていないので、まだ外部画像出力を試していないだけ。

 そうなると、UMPCの魔の手が、でも先立つものがないですから。実のところ、パナのCF-RZ4のような真のモーバイルPCに感じている悩みは、価格は別としても、大きい声じゃ言えないけど、そろそろ目にきつくなってきたのです。老眼ということではないと理解しますが、◇ヅキルーペのお世話にならなくてはならないかも。それならもっと小さいUMPCやタブレットならなおさらというところなのですが、意外にこちらだと見えるんですな。液晶画面の精度、ひいては画面画像の作り方も響いているのかも。




結局、スマホってなんだったんだ?


 スマホを買わん持たんの記ですから、利用者の立場は想像するしかないわけですが、観察者としての総括の時期には来ていると思います。

 須磨輔常時お持ちの方々はこれをいったい何に使っているのか?間違いないのは、「電話じゃない」という事実でしょう。須磨輔で電話かけている人、まあたまには見かけますが、滅多にいませんね。それだけ、電話の必要が減ってしまっていることもありましょう。頻繁にケータイでやりとりをする用のありそうなひとはよく、須磨輔と別に「フィーチャーフォン」端末を持っていたりします。「電話もかけられるスマホ」は、でもどう見ても電話使用に向いた形状や使い勝手になっていないんですな。あれを耳に押し当てている姿だけでも、違和感満載です。


 でも、みんな持ち歩き、ヒマさえあれば須磨輔を弄っている、それはどう見ても、メイルのやりとり、そしてweb情報の閲覧がほとんどです。これは確かに須磨輔の便利さ、使い勝手の良さでしょう。いつでもどこでも、取り出して、簡単な操作で接続可能になるのは間違いないのでしょう。ただ、須磨輔のスクリーンキーでの操作では、長い文章やURLアドレス入力などは容易ではないはずなので、基本は日常的に決まったwebサイトへのアクセス、メイルの受信と簡単な返信などの送信と、ほぼそのようにルーティン化した操作であると思われます。そしてそのwebサイトへのアクセスも、最新情報発見のポータルサイトか、自分が登録しているSNSがほとんどのようです。URL入力はもとより、検索もそんなに容易ではない須磨輔の使い勝手から当然でしょう。


 webといっても、特にSNSへのアクセスの多さは特徴的ですね。電車などの中で須磨輔を弄っているひとの大部分はSNSを見ているのですな。そこで、「お友達」のあげた画像や情報を見る、それに「いいね!」する、さらには簡単な感想や意見や、自分の撮った画像をあげる、ある意味須磨輔はそうしたSNSでのやりとりに特化したケータイ可能端末であると、割り切れるのではないかと感じます。

 つまり、よく言われるように、全世界の情報とリアルタイムでつながれるインターネットの時代と言ったって、ほとんどのひとには、「お友達」範囲の人たち、知人友人とのやりとり、そこにある擬制「コミュニティ」の中でのコミュニケーションに終始しているのであり、だから「いつでもどこでも」つながっていたいわけです。別に、全世界の情報なんて関係ありません。友人知人とのつきあいが、こうしたバーチャルコミュニティに置き換わったおかげで、かつてないほど「濃い」ものになっているとすべきなのでしょうか。もちろんその友人知人らは、バーチャル世界で出会った、実際には顔も見たことないひとであってもいいわけですが。日常性の連続としての他愛もない「会話」と、「いま、なにしてる?」のリアルタイムのやりとり、これに尽きています。そして、単に文章や言葉の行き来だけではなく、画像や動画までをやりとりできる、これが須磨輔のスマホたる最大の利点でした。見ず知らずのひとのあげた画像や情報にも、ランダムにアクセスする機会でもあるのは当然ですが。


 かつて、ケータイ電話のおまけのように、おそるおそるついた画像撮影機能、それがいまや須磨輔の主要機能となり、そして「専用機たる」カメラやビデオカメラを駆逐しそうな勢いになっています。考えてみれば、(ワタクシのような)奇人変人かマニア、プロでなければ、日常的にカメラを持ち歩くことなど想像だにできませんでした。しかし、スマホの普及は同じ数だけの、動画も撮れるデジカメの存在、あらゆるところと場面への「お供」でもあるのです。その技術は日進月歩で、かつてのケータイのおまけの写りとは雲泥の差どころではありません。内部のソフト的処理により、背景とのコントラストを変えるくらいはお茶の子、画像合成・加工などで下手なデジカメなどはるかに凌ぐ写りを誰にでも約束してくれます。出来がよすぎて、実物との落差に戸惑うくらい。そして、それを簡単な操作で、メイル添付どころか、SNSに発信掲載できるのです。誰もが、いつでもどこでも、画像を撮り、それを「シェアできる」、ここに須磨輔の最も重要な存在意義と、そして危うさがあるわけです。「違法な」撮影画像、犯罪寸前、肖像権や著作権侵害、倫理的な危うさ、何でもかんでもありですね。


 その他の須磨輔の使い勝手もあることはあるようです。よく見られるのは、web上などで提供される地図情報、位置情報、道案内や交通案内などへのアクセスです。もちろん専用のソフトとサイトに契約しているひともいるのでしょう。これは私も認めるように、どこにでも持ち歩け、すぐにアクセスして情報の得られる、スマホ本来の、最大の利点でしょう。そのつどPCを立ち上げ、ソフトを起動しなどとやっていては役に立ちません。ですから、「お店情報」など含め、出先で、必要な情報を手に入れる、自分の現在位置表示と関係づけられるという用途は、意味が大きいと思います。まあだからといって、いまさら道案内交通案内などの専用端末機器などつくっても、誰も買わないでしょうが。それに正直、手元の須磨輔だけを頼りに未知の場所をなんとかたどろうとしている「インバウンド観光客」など目にするたびに、いい心臓しているなとも思いますよ。地図を手に、というのと似ているとも感じますが、それ以上に、そんなに当てにして大丈夫なのかと。おかげで改札で引っかかったりしています。


 さらに、テレビ番組や映画、あるいは好きな音楽など見聞きしているひともいますが、意外に少ないですね。どうも須磨輔はメディア利用よりもコミュニケーションツール的な存在のようです。また、ゲーム関係、ボケモン剛のようなバーチャル遊戯関係の用途が相当あると思うのですが、なかなかまわりで観察する機会がありません。君子危うきに近寄らずでもありますし。

 ただ、さすがに「お財布代わり」「切符代わり」の使い方をしておられる人はいまのところ滅多に見ませんな。「キャッシュレス社会が来る」などと、ためにして絶叫している向きに乗せられるひとは少数のようです。ま、須磨輔で自動改札機など通り抜けようとし、トラブっているひともよくいますしね。



 てなわけで、「現在完了形」としての須磨輔を「卒業し」、やっぱパソコンだよと戻ってくる、ないしは帰依する人が多いということも、まあないでしょう。ツールとしてのPCの価値は、大部分のひとたちには縁のないものでもあるのですから(学生がそれでは困りますが)。同様に、カメラに戻るひともやはり少ないでしょう。最大の壁は、使い慣れ以上に、カメラを用いると、(私のように)画像データを取り出し、加工処理し、そしてアップロードするなどという手間が相当であるところにあります。そこは須磨輔ならワンクリックです。内蔵ソフトが美人にも仕立ててくれます。しかも、せっかく撮った画像を保存するなどというチンケな考えなど捨てているから、須磨輔撮り全盛なんですよ。ですから、たまにはこの画像貴重なんでなんとかしたい、とっておきたい、あるいは写真で配りたいんだけど、どうしたらいいかわからない、みんな須磨輔の中にしまってあるんだけどと、お困りのひとも出てくるんですな。いっそうのこと須磨輔用プリンタでプリントしますか。富士など、これにいま大いに力入れてますから(でもせっかくの携帯プリンタなので、PCから画像プリントなどできるか、あるいはデジカメから?と聞いたら、ダメということでした。なんと使い勝手の悪いこと)。
 「そういうときにはね、これで須磨輔たたき割って、なかを探していくと、画像の元が出てくるんだよ」などと、ウソは私も申しません。




 早々に間違えてますな。WindowsタブレットのDiginnos DG-D09IW2SLの画像出力端子はマイクロHDMIじゃなく、ミニHDMIでした。実は早速にマイクロの方を買ってきてしまい、これでHDMIケーブルにつないで、画像をモニターに映そうとし、あれれとなってしまった次第。500円あまりの損失でした。

 このドジを含め、画像出力には関心が乏しすぎました。GPDPocket 2には実は画像出力がないのです。1型にはマイクロHDMI出力端子があったのに。だからダメと言うんじゃなく、USBからHDMIなどを出力できるアダプタの入手が奨励されております。Pocketの1型ではマイクロUSB2.0ポートもあり、2型ではUSBTypeCポートがついています。マイクロHDMI端子を持つGPD WINに比べ、画像出力軽視じゃないのかという観も否めませんが、GPD WINはゲーム機的なので、むしろ大画面への出力を前提にしているのでしょう。ただ、私的には、UMPCであればこそ、プロジェクタへの画像出力を重視してほしいと思うのですが。実際に私など出先で、持参のPCから画像をプロジェクタで写すことが多いのです。大学の授業からしてそうで、パワポ本位制で生きております。


 ということで、アダプタはいろいろ出ているとはいえ、UMPCにはちょっと躊躇いも生じました。手持ちのタブレットで外のプロジェクタやスクリーン、モニターに映すというのはまだ試みていないのですが、気を取り直し、ミニHDMIアダプタを買って、まずは試してみましょうか。せっかくHDMI出力がついているんですから。パナのPCには最近までRGB出力がついていたので(私の持っているRZ4、SZ5いずれも、RGBとHDMIを備えています。最新モデルだと、さすがにRGBはなくなりました)、あまり気にもしませんでした。アナログとデジタルじゃあって、気にするほどの差がないプロジェクタばかりつきあってきましたし。


では、モーバイルPCとは?


 では、私にとってのモーバイルPCとは?過去に、富士通だけではなく、ソニーやソーテック末裔の工人社はじめ、こうしたものを市場に送り出した企業は少なくなかったし、いまではメジャーにはパナソニックだけになってしまったとはいえ、「須磨輔なんかじゃ満たされない」ニーズは多々あるはずです。

 いまどき、インターネット接続、それもwifi利用が可能というのは当たり前すぎるので、パスします(ちょっと前までは、イーサーネット接続可が標準で、無線LANが使えるといいんだけど、位でしたが、それじゃあ誰も買いません)。それで第一には、もちろん常時携帯可能なような、大きさ、重さです。ある意味、パナのRZの大きさが限界、望ましくはさらに小さく、軽くでしょう。10インチの画面にこだわる必要はなく、GPD Pocketのように、7インチでも可視性が十分確保されれば大丈夫でしょう。5.6インチのU/B50、U/G90Bでも画面がよくできていれば、もっとよかったのでしょうが、既述のようにちょっと厳しめでした。以前はこのくらいのPCがかなり出ていたのですが。年寄りにはこたえます。それ以下になると須磨輔と同じです。重さは必ずしも制約条件ではなく、1kg以下であればまあ持ち歩くに不便はないものです。ですから、CF-R9を持ち歩くことにも抵抗はありません。ただ、あの厚みはもう時代遅れですね。


 第二には、並みのPCレベルの互換性、性能と機能です。そうでないとそれこそ、持ち歩く意味ないですね。ですから、いろいろうらみはあってもwindowsです。そして、常用するソフトがインストールでき、制約なく使えないといけません。web見るのとメイルのやりとりができれば、というような須磨輔世界に閉じこもっている方々とは違うのです。もっとも、その点ではスマホの先駆けであったPC的モーバイル端末も同様で、だからいきづまったのでした。代表格はザウルスをはじめとするシャープの端末機、かつてのPDAの類でしょう。

 それはもちろん処理速度と処理・表示能力の問題、あるいはまたディスクドライブや内部メモリのキャパシティの問題でもあります。SSDの普及で、HDの大きさ、容量、電力消費の制約が大幅に取り払われたのですが、それをいい形で生かしてくれないと困ります。それとともに、操作系、キーボードなどはPC同様でないと使えません。キーボードというのは日本などの多くの方々にいまだなじみが薄く、むしろそれが壁になっている観もぬぐえませんが、タイプライター以来の長い歴史を考えるに、一般的な入力装置としての普遍性は高く、PCの歴史もそれとともにあるわけです。日本語の言葉や文章をこれで入力するために、日本語ワードプロセッサによる「かな漢字文」への変換という固有の技術さえ開発され、普遍化されたのですから。その意味、やはりメジャーになれなかった端末はキーボード「もどき」の入力系の採用にとどまり、PC並みに「使う」のが無理だったのでした。デスクトップ機並みのQWERTY配列フルキーボードはどこまでも欠かせません。スクリーンキーボードなぞ、あくまで「あればいい」くらいのものです。他方でほかの操作系、カーソル移動関係などはいろいろ選択可能です。パナLet'sNoteのようなタッチパッドは非常に使いやすくて抵抗感がないと思うのですが、本体にある程度の空間を確保できないと採用できません。それを除けば、まあそれぞれ一長一短でしょう。タッチスクリーンは嬉しくないですが。ただ、モーバイル機ではマウス、っていうわけにはいかないですね。


 第三は、インターフェース関係です。これもPCとの互換共用性が不可欠です。過去の歴史を見れば、そこで数々のモーバイル機が躓いてきたのでした。昔はPCカードだの、CFだのともありましたが、これらは既に絶滅。いま、ほとんどのPCなどで標準化しているUSBコネクタとSDカードスロット、これが互換的に使えないと、そこで詰んでしまいます、まずデータのやりとりだけで。ただ、いまはUSBも種類が多様化し、SDカードもモーバイル機やスマホにはマイクロSDが標準搭載されています。特にこれは、いまのデジカメがほとんどフルサイズSDカードを使用しているだけに、壁ではありますね。また、うえにも書いたように、いまの私はPC持参でプロジェクタに写すという機会が多々あります。「残務」で週一回行っている大学院の授業でもそうです。その際、いまだ多くのAV機器やプロジェクタはRGBアナログ入力対応なのですな。しかし、パナなどを除き、かなり前にRGBは消え、パナも廃止の流れです。逆に、GPD Pocket 2のように、HDMIでのデジタル映像出力も持たない機種も珍しくありません。まあ、だから壁というわけでもなく、さまざまな変換や互換用アダプターを用意すればいいわけですが。USBを経由するというのはいまどき多いようですね。


 第四にはモーバイル使用である以上、電池の持ちというのがあります。ただ、これにあまりに過剰に期待すると、それこそ重さ大きさとトレードオフになるうえ、須磨輔を見てもわかるように、電源持参でどっかで充電するというのが当世当たり前化しており、電池は使っているとなくなるものと割り切るしかありません。いまどき、見る見る電池の残容量が減っていき、めまいを起こしそうというのも少なくなりました。SSDのおかげでもあります。CPUも非常に省電力化しております。むしろ、その意味、大きさ重さ等電源の持ち歩きやすさの方が重要かも。


 そして第五は価格です。もちろんこれは誰にとっても最大の問題であり、財布と相談をまずせねばなりません。そうしたaffordabilityに加えて、私なりの価値観もあります。モーバイルで持ち出す以上は、落下などの事故損傷、紛失、盗難といった非常事態の起こることも覚悟せねばなりません。家にだいじにしまってあるわけじゃなく、娑婆に持ち出すんですから。まあ、私自身はこれまで幸いに、いずれにも遭遇はしておりませんが、記してきたように、マシンの調子がおかしくなった経験はあります。そしてそうした際の「損害額」やバックアップの問題以上に、私に重要なのは「値頃感」なのです。端的には、自由に使いこなせるモーバイルPCでも、まあ「10万円以下」であれば万一の時にもあまり惜しくはないかな、というところです。買ってすぐにこんな目にあっては、がっかり感が半端ないでしょうが、ある程度使ってきて、まあ元は取れたかぐらいであれば、諦めもつくでしょう。その目安が10万円というところではないでしょうか。これも決して少ない金額の話しではないですが。

 その意味で、パナのLet'sNoteはちょっときついですね。モーバイル機の模範のようなRZシリーズ、どれも20万円以上はします。私がいま使っているCF-RZ4AFPBP/ win7ダウングレード版機は、中古ながら16万円ほどしました。新品なら20数万円ですね。これをなくしたり壊したりしたら、やはり泣けますね。CF-R9だって、買ったときには確か10万円以上しましたから。ですから、「惜しくはない」と割り切れる目安が、いちおう10万円以下ということで。

上記またも、即訂正。
 調べてみたら、8年前のLet'sNote CF-R9の価格は約18万円(!)でした。それじゃあおろそかにできないと言うより、これだけ時間が経ってしまった以上、いまはかえって、常時持ちだして使いまくらないと元が取れません。しまっておいても、買うのに費やしたゼニのムダ使いになります。ともかく、パナはずっといい商売しているね。この値段でも売れるんですから。




2018年10月の大事件


 すでにFBにも書いたのですが、ベストタイミングでとんでもないことがおこりました。大学の授業で使うつもりで携行したCF-R9、電車の車内でいじっていたら、フリーズしてしまったのです。どうにもならないので、リセットをかけたのですが、再起動しません。途中の表示で止まってしまいます。アウトです。おかげで、授業でもpptの投影ができませんでした。そしていちにち、インターネット接続のできない状態になりました。出先でこういう状態というのは、さすがに近年経験がなく、どうしてもフラストレーションになります。土曜のことですから、重要な業務関係連絡や緊急情報などまずないだろうと思いつつも、完全に情報遮断状態です。ほかのツール、DVDプレーヤーとかも持っていなかったので、授業関係以外にやることもありません。
 非常用には、私の元祖須磨輔である、PHS端末で、特定アドレス宛のメイルの受信はできるんですが。また、最悪ケータイメールも送れます。まあ、土曜なので、前記のように授業関係以外に重要なメイルは来ないものですが。


 CF-R9は危ないなとは思っていました。夏がおわって、最近起動しようとした際も立ち上がりませんでした。デスクトップにいっぱいファイル並べすぎ、それなのに長期間未稼働ということもあったのだろうと思い、リカバリ再インストールを行いました。これで二度目のことです。ただ、その際にもどうも動作が怪しいという感はしました。立ち上がり方と、HDへのアクセス状況です。それでも一応、各アプリも再インストールでき、通常の機能は発揮できているようにも思えたので、上記のようにこいつはもっと使わなくちゃ元はとれんと考え、持参したわけです。夏前の授業でもずっとこれを携行していましたから。

 そしたらこの始末、完全にギブアップです。8年前に買ったものじゃあ無理ないと割り切るには未練も残ります。以前記したように、私のR9にはトラブルの種もこれまでにあったのですが、ともかくモーバイル機としての条件はそろえてあり、今もって同様の機種はないのです。RZ4以降はこれに代わるもので、一段と小型軽量化が進んだことは間違いないものの、R9で十分対応できる場面は多々あります。それに、マレーシアミリだ、ミャンマーネピートーだなどと、あちこち持ち出しました。まあ思い入れがかなりあります。今日的な水準にはかなり遅れていますが。



 しかしなお、未練もあるので、授業後の帰路秋葉原にまわり、SM社はじめあちこちの店の中古PCを見て回りました。よくわかったことは、R9など影も形もない、そしてこの年代とそれ以前の製品というのはまず店頭にはない、という冷厳たる事実です。だいぶ以前には、中古店で見かけることもあったのですが。並んでいるのは、win7機でも、せいぜいこの5年くらいのものでしょう。考えてみれば、メーカーの補修部品保有期間は6年となっています。それを過ぎたものは基本、修理できない、メーカーは責任を持たない、というのですから、中古店なども容易に売るわけにいかないでしょう。つまり、ちゃんと動くR9を新たに入手するのはほとんど無理となります。修理を依頼することもできません。完全に詰みですな。R9の電池など手元にあるんですが。


 皮肉にも、秋葉の店先には、GPDPocketやGPD-WINの中古品がかなり出ていました。後者の新製品もY店には展示されていましたな。GPDPocketの方も新製品待ちで、中古ではかなり安い値で並んでいると感じました。4万円台です。新製品に乗り換えるべく、手放す人も少なくないでしょう。
 ただ、こういった製品では中古には抵抗があります。十分な品質・性能が保証されると言えるのかどうか、です。新たに世に出た製品群でもありますし。


 そういった色気はどうあれ、ともかくR9の穴埋めをまずどうするのか考えなくちゃなりません。一週間後にはやはり授業です。pptのスライドを投影する手段が欠かせません。
 選択肢は、パナRZ4をあえて常用携帯機とするか、タブレット機DG-D09IW2SLをなんとか「仕事用」に用いるか、といったところがまず思い浮かびますが、何ともです。いまのウルトラZは、いったんリタイアしたCF-S9の現役復帰です。元もと中古で買って、大学に置いておいての授業用に割り切って使っていたものですが、撤収後は出番がなくなっていました。重さも1.3kgありましたし、こうしたモバイルの用途に2スピンドルである必要もありません。けれども、ともかく使用可能です。上記のポリシーに反するものの、担いでいけないわけではありません。これもできすぎの偶然ですが、ちょっと前に、LooxU/B50を完全にあきらめる代わりのような気持ちで、CF-S9を「お蔵」から引っ張り出して点検整備し、インストール済みアプリなどから、通常のモーバイル使用に問題ないと確認したところでもありました。

 とりあえずこれをあてにすることになるか、というのもいささか寂しい思いです。マシンとしては当たりの方で、異常も不調もなく、使い勝手も悪くないのですが、この大きさ重さのを担いで行かなくちゃならんのかと思えば。世代的にはR9と同じでもありますし。




続き


 さあどうする?一日悩みました。前期日程ではもっぱらCF-R9であった、大学の授業に持っていくPCは少なくとも用意せねばなりません。ご臨終を迎えた(再インストールも途中でストップで、完全ギブアップ)R9の代わりは必要なのです。


 昨日アキバをさまよい、今日もネットオークションや通販を捜してみたものの、あらためて、8年前発売のR9なぞ売られているわけもないことがわかりました。あるいはたまにあるのかも知れませんが、「本来の」モーバイルPCを代表していたとも言えるR9はすぐに買われてしまうのでしょうか。

 そうなると、一つの選択肢は「代わりのモーバイルPCを買う」ですが、これが意外に困難。近年の市場では、R9のようなワンスピンドル機は主流ではないのですな。貴重なワンスピンドルモーバイル機と言えるRZになると、だいたいがwin10かwin8であるうえ、中古でも値段は一桁違います。いま持っているCF-RZ4AFPBPはwin7機で、私にとってのまさしくR9後継であるわけですが、これを普段に持ち歩くのには価格的抵抗感あるのは、うえに記したとおりです。そう言う割にかなり持ちだしていますが。

 かといって、手の出る中古機を見ていくと、まあまあ、4-5年もので手も出せそうなものもないわけではないものの、大きさ重さは本来のモーバイルの枠を超えるものばかりです。業務向けとおぼしきワンスピンドル機でもそうなんですから、あまり意味がありません。そうすると、急遽取り出したCF-S9とほとんど変わりありません。いくら安くても、わざわざゼニを出す意味を認められません。


 さすれば、結論は「S9を担いでいく」です。大きさ重さは我慢の範囲と悟るしかありません。DVDドライブ内蔵、画面も大きいなどで電池起動での持続使用時間は気になるものの、これも我慢するしかないでしょう。だいたい、週一必ず要るという大学の授業での使用も、もう残り4ヶ月程度のことです。その際には教室で電源につなげられるのですし、以前は実際このS9を使っていたのですから(そのためにRAMも増強しています)。



 逆に、モーバイルもどきのPCの現行品に手を出して、銭失いを実感するというのはやりたくありません。それだって、CPUやメモリ関係などいまどき使えそうなレベルのものとなれば、7-8万円はするのですよ。時代遅れにのろい、画面見にくい、そのくせ1kg以上もあるようなのを敢えて買えば、後悔は大でしょうね。じゃあ思い切って、個人的欲望の的のUMPC、超小型軽量のGPD Pocketをこの際買っちゃうか?その選択肢は思いとどまります。先に記したように、win7じゃないというのもありますが、やはり出来の不安感はあるわけです。中古でなら、アキバの店頭で4万円台というのも見ましたが、信頼性にはもっと不安がありますね。モデルチェンジのGPD Pocket2が出たとこというのもワーストタイミングです。それに、これらの用途はかなりマニアックな局面想定で、大学の授業用というのも場違い観ありです。

 一年前購入のタブレットという選択肢はまず考えられません。いろいろ試しもして、やはりこれはPCではない、そういう風には使えないという結論でした。ちょっと出かける際に持参し、メイルを読む、web上の情報を見るくらいの範囲でしょう。逆に、大学の授業の際に、これでpptを写そうなどというのは想像不可能です。実行不可能でもないはずですが、まずUSBメモリどうするんだ、から。


 ということで、財布の紐を締め、S9に最後のご奉公して貰うという無難な結論に至りました。これはキータッチを含めて結構使い心地もいいのですよ。むしろ機能と操作はR9の親戚なのですから。重さはエクササイズの一環ということで。まあ、私のように自宅用デスクトップ、持ち歩き用モーバイルなどとあれこれ使い分けなどしているのが最後の贅沢なのかも。





その十へ