ICSB国際中小企業協議会第54回世界大会(ソウル)へ行ってきました (4)





 

 
6月23日

 大会第二日、がんばって朝の会場に参りますと、だいぶ出席者は少ないですが、全体会第三部が始まります。今度は「小企業は顧客対応のために、ITをどのように活用するか」と題し、いかにも今日的なテーマです。エイマン・タラビシー氏(ICSB事務局長)が司会で、チャールズ・マシューズICSB会長、ヘザー・ゴリンジ氏、Sang-Chul Park韓国工科大学教授の三人がパネリストです。このうち、ヘザー・ゴリンジ氏は英国で、ウィギーウィグラーという企業を起こした女性企業家で、2008年のDELL最優秀小企業賞を受賞しています。この賞はICSBとの連携で応募と決定がなされているようで、いわばICSBの「実践家」顕彰的な性格を持っており、この賞とともに、こうしたスピーチの機会に招かれるものと申せましょう。3年前のメルボルン大会の際にもそうですが、企業家の経験と意見披瀝が全体会では相当重要な位置を占めています。


 ゴリンジ氏が1990年におこした企業は、「エコガーデニング」として、鳥のえさ、えさやり機、コンポスター、苗木、花、芝、園芸用具や虫など、幅広い商品群を全国に向けて販売しており、顧客はのべ9万人、年商250万ポンド、そのなかば以上はオンラインセールスに依っているそうです。夫が農場を経営、鳥のえさを供給し、夫婦でうまく仕事を分担協力しているのでしょう。この企業はインターネットをうまく利用しているだけでなく、エコガーデニングの理念と実践をあらゆるところに広めるために、ポッドキャスティングによる「放送」を全世界向けに提供しており、そうしたことからIT利用の先進性とエコ性が広く評価されているようです。






Park教授は日本にも滞在したことのある国際通ですが、イノベーションシステムに関心を持ち、韓国から急速に広がっているITビジネス、特にオンラインゲームに焦点を当てて紹介をしていました。この分野では、米国や英国のみならず、日本や韓国の企業と製作者たちの世界的な活躍が目立っているそうで、そうした成功事例などをもとに、オンラインゲームの将来性にPark教授は力点を置いていました。



 このPark教授だけではなく、韓国からの参加者の口から、オンラインゲームを中心にしたIT・メディアビジネスに注目し、その担い手企業を研究する、あるいはまた将来性を展望するといったものがずいぶん聞かれました。たとえば前日の分科会で「韓国と英国のオンラインゲーム企業におけるイノベーションの制度的源泉」と題する研究発表を行った、韓国出身で英国で学位を取り、現在レディング大学で研究を続けているYounsuk Parkさんのものなど代表的です。彼女には昨年のベルファストで会っており、日本からの参加者をよく覚えていて、非常に好意的、特に日本での「オンラインゲーム業界とこれに対する政策」をよく知りたいと求めていました。これをお読みの方でお心当たりあれば、ぜひ彼女に連絡をしてみて下さい。

 ただ、「オンラインゲーム業界に対する政策」などというと、どうも日本ではいささか面食らってしまいます。ゲームだとかアニメだとかはいまや、間違いなく日本を代表する成長産業・輸出産業の一つと思いますが、「支援策」なんかあったでしょうか?今度の「経済危機対策」で、「アニメの殿堂を造る」なんていうのが盛り込まれ、物議を醸しているようですが、それ以外は基本的にほったらかし、あるいは「弊害」規制が問題となる、「ネット上のバーチャル世界での犯罪」対策が議論になるくらいでして、このようにすぐに「支援政策」なんて出てくるところが、10年前からこうしたIT関連やメディア関連分野を文字通り「国を挙げて」支援してきた韓国ならではの発想と申したら、ちょっとひが目に過ぎましょうか。


 確かにそのおかげで、韓国の映画やTVドラマは大輸出産業となり、日本などに「韓流ブーム」を巻き起こし、またIT・ゲームなどの分野でも着々と成功を収めつつあるようです。かたわら日本では、こうしたものは一部のマニアの世界となり、その貢献の一方で、アニメなどひたすら低コスト化が追求され、韓国や中国への外注化拡大、さらには超低賃金重労働でアニメなどの「作り手」たちは壊滅寸前とも伝えられるありさまなので、やはり「政策」は重要かも知れません。



 ま、私はネットゲームもなにもやりませんので、このあたりよくわからないのですが。50年前から通っていた秋葉原が、ついにアニメとゲームの「おたくのメッカ」になってしまったいまに、唖然とするくらいでして。しかしまた、アニメやゲームのキャラクターが韓国でも相当にはやっており、COEX地下の大ショッピングモールにもそういった店がずいぶんあるというのは、先にも書いたとおりです。


 ちなみに、今度のICSB会場のIT度を見ますと、受付ロビーにインターネット接続のPCコーナーが置かれていましたが、これでメイルを読もうとかいったひとは意外に少なく、いつでも空き機がある状態でした。ベルファストではこの「ネットカフェ」がいつも混んでいました。それは一つには、ホテルの部屋ではもちろん高速LANが使える(有料で、24時間25,000ウォンしたが)うえ、会場内に「プレビュールーム」があちこち設けられ、そちらがよく利用されていた観があって、ファシリティが整っていたためとも思われます。私は利用しなかったのでよくわかりませんが、これらのルームのPCは、発表予定者が自分の準備に用いる、あるいは他の参加者も配られたCD入りのプログラムやペーパーを事前に読める、そうした目的で用意されたようでしたが、またそこでインターネット接続もできたのかも知れません。そのへんはさすがに「IT立国」をめざしてきた韓国ならではです。

 また、ICSB事務局スタッフが会場内で撮影したデジカメ写真をすぐにICSBのサイトにアップロードし、「速報」するといったこともやっていました。






 全体会が終わるとすぐに各分科会に移り、第二日は分科会で一日大忙しでした。

 分科会はもちろんとても全部は回れませんので、日本からの発表者や知人、あるいはおもしろそうな題名のところのみ見に行きました。



 せっかくですから、日本からの分科会発表者のお名前と題名を、3日通して記しておきましょう。

分科会 発表者所属題名原題
PT03高橋信弘氏大阪市立大学大阪モデル 
 −日本における共同開発推進の新モデル
Osaka Model:
 New Methods of Promotion for Joint Development in Japan
PT22岡室博之氏一橋大学小企業の産学連携研究における信頼形成 
 −4カ国の比較研究
Trust Formation in the Research Collaboration between Small Businesses and Universities:
 A Comparative Study of Four Countries
PT24小竹暢骼名古屋工業大学エコ効率性と持続可能な事業活動に
 向けたコンサルティングプログラム
Eco Efficeincy and Consulting Programs for Sustainable Business Activities
PT29土屋隆一郎氏立命館アジア太平洋大学なぜ小企業は多くの新企業家を生み出すのか?
 −プル・プッシュ仮説のテスト
Why Do Small Firms Produce More Entrepreneurs?
 A Test of the Pull and Push Hypotheses
PT30ビクトリヤ・カン氏一橋大学移行期経済における新企業創業率の地域的決定要因 
 −ウズベキスタンの事例から
The Regional Determinants of New Firm Formation in Transition Economies:
 The Evidence from Uzbekistan
PT39宇佐美由紀氏豊田市トヨタ鉄工協同組合組合員企業の分析から見た
トヨタショック以後の中小企業の対応と公的支援政策 
A Consideration of SME's Reactions and Public Support after Toyota Shock
Through Analysis of Member of Toyota Cooperative Association of Iron Works 
PT49尾澤律子氏地域計画建築研究所小規模製造業のネットワーク事例研究
 −市場開拓に向けての連携事業推進諸要因の分析
A Case Study on Smaller Manufacturers' Network
 -Analysis of Factors to Promote Coalition Business for Market Development
PT61梅本勝博氏北陸先端科学技術大学院大学ハイテク中小企業の国際化
 −知識次元から
High-tech SME Internationalization: The Knowledge Dimension










 これらのほか、もちろんたくさんの発表が予定されたわけです。


 日本からの発表者以外では、英国キングストンのジョン・キッチンとデビッド・スモールボーンのものは主題がなかなか面白いものでした。「2012年ロンドンオリンピックにおける公共需要とサプライヤ分散」と題し、要するに公共工事などの発注をいかに中小企業に回すかという政策課題の実態を取り上げたのです。

 日本ではこうした課題が昔からあり、いろいろな経緯や曲折を経ながらも、地方自治体などで推進されてきています。ただ、土木建設工事等では、競争抑制的だとか、「談合」を助長するなどの批判も少なくありません。その一方、現下の「経済危機対策」では、「官公需法」の存在が今さらながらクローズアップされ、、官公需総額に占める中小企業向け契約目標比率を昨年度の51.0%を超える過去最高の52.4%とする」といった目標値も示されています。また、米国の小企業政策の原点はそういった「set aside policy」そのものにあります。


 ジョンらの発表では、EU中小企業政策が前提に置かれます。まさに「Think small first」の原則が守られてるかが、官公需であればこそ一番問われるわけです。オリンピック開催のための施設の工事などは象徴的なまでの意味を持ちますから、英国政府はじめ関係当局も「中小企業向け発注の確保」=サプライヤ分散に神経を使わざるを得ません。彼らの発表によると、英国政府は公共部門契約の30%を中小企業に振り向けるよう、各方面の自覚を求めたそうです。もちろんこれには、主契約以外の下請契約参加もからんできましょう。

 しかし、当然ながら実態は難しいもので、多くの中小企業は経験不足や情報不足に直面しています。官公需への対応はいずこでも容易ではありません。また、公共部門の発注担当者は、官公需入札の原則や、発注内容が十分満たされない際のリスクなどとの


板挟みです。

 彼らの調査は、ODAロンドンオリンピック準備当局関係の発注状況を調べたものです。ODAの発注資格基準や発注決定方法などの実態からして、オリンピック関係の建設工事では中小企業は三次下請レベルでないと入れないこと、ODAは「平等」原則(人種等に対する)、EUの官公需指令、英国政府の官公需入札原則の三つの異なる基準への対応に悩んでいること、しかし中小企業への「積極的別扱い」の考えはないこと、ODAとしては支出に対する「コストパフォーマンス」と「納期までの完了」をもっぱら重視していることが明らかであるそうです。

 ODAは2008年1月から、インターネット利用による受注希望企業の登録制と、これに対応する発注情報の提供をはじめました。すでに相当数の企業がここに登録していますが、web上で実際の発注契約に至るコンペが実施されるという仕組みの複雑さなど、中小企業に使いやすいものではなく、なにより事業キャパシティや過去実績などの受注の資格要件が大きな壁になっているようです。ジョンらの見方としては、ODAはこれまでになく中小企業などへの発注拡大につながるような努力はしているものの、あくまでその「場」を提供するにとどまるものである、また中小企業の主な受注機会はむしろ今後にあり、その中での下請契約にとどまるだろうという予想でした。しかし、中小企業は資格要件や提出書類整備などに悩むし、政府は主契約者以下に対する影響を及ぼしがたい、その辺にまず解決すべき課題があるようです。中小企業が持つイノベーティブな能力を生かせる機会をもっと広げられるよう、環境や制度の整備を図るべきではないかというのが、彼らの結論でした。


 日本の状況や政策課題につながる点も多い研究として、この発表は面白く聞きました。中小企業の問題研究は世界共通のものになる性格があると、ここでも確認できましょう。






 これに対し、韓国の若手研究者のひとのうちで、「事業破綻」がもたらす企業家たちへの「コスト」という視点での研究発表を行うのがあって、それ自体は興味を引かれるものでした。これは要するに、事業に失敗した際の「再起」の困難さを取り上げるものであり、それがまた起業をためらわせる要因にもなっているという指摘です。家族・親族などの「縁」社会のつよい韓国ではとりわけ、事業に失敗すれば大きな「恥」となり、抱えた負債などにとどまらず、大きな心理的ストレス負担としてものしかかってくる、またそのために「退出」も困難となり、経済社会に停滞をもたらす、このようなことが主張されました。それを事業失敗経験のあるものないものを含めた企業家たちへのアンケート調査で検証、「企業的意図」変数に対する回帰分析を行って、負債などの財務的要素だけではなく、社会的地位の喪失や家族のうちでの不名誉などの非財務的要素と強い関係を持つと指摘するわけです。だから、こうした「スティグマ」をできるだけのぞけるような、また再起可能な財務的制度的環境を整えるような策が必要だと、結論として主張するのです。

 この発表は面白いものですが、私として若干疑問を覚えました。確かにそのような「再チャレンジ」可能な環境を整えることが重要という主張は日本でも、またEUでもつよまっている。EUのSBA小企業議定書の第二項でもそのことが取り上げられている、しかしそこでも「失敗した正直な企業家には、速やかに第二のチャンスが与えられるように」と記され、「正直」ということがわざわざ挙げられている。実際に企業倒産を利用して人をだましたり、詐欺を働くような犯罪例も後を絶たないし、倒産の被害は債権者にも大きい。今後の制度を構想するには、そういった悪用を防げる、公平妥当であるという原則もいるのではないか、このような点を質しました。しかし、私の英語がヘタだったのか、彼氏はもっぱら、「欧州でも同じ考え方が広まっている!」ということに感激してしまい、私の疑問としたところには答えずじまいに終わりました。


 韓国ではこのように起業しにくい環境だという説と、いや、だいたい思い立つとぱっと起業する、しかし困難にぶつかったりすると、すぐに飽きてやめてしまうとか、ほかの事業に転じるとかいったひとも多い、そういったイージーさを指摘する説と、どうも、見方は分かれるようです。いろいろな話しのまくらにそういった理解がそれぞれ顔を出します。どちらにしてもかなり「通念」を振り回すのみという傾向にあるので、外国人にはよけい判断がつきません。

 そのようなところを、起業にまつわるさまざまな側面や背景要因まで含め、比較を意識しながら、突っ込んで研究検討するというのが、GEMが主役の一人だった今回のICSBの課した今後への課題という気もします。奥の深い、なかなか難しいテーマなのですが。


 余計なことながら、会場では休憩時間でのコーヒーサービスだけではなく、ミネラルウォーターがクーラーに入れてあっていつでも無料提供されるなど、サービスは満点でした。韓国は日本に似て、自販機もかなりあるのですが、ここでは必要ありませんでした。






 第二日の午後遅くに、重要な会合がありました。ICSB運営委員会の呼びかけで、「ICSB会員組織をどのように作るか」との説明会が開かれました。これには、ICSBマシューズ現会長、R.ヴァンデルホスト元会長(オランダEIM)が参加し、タラビシー現事務局長がもっぱら説明に当たりました。日本側では、三井のほか、井出氏、岡室氏、小竹氏らが出席しました。ほかに、パキスタン、南アフリカ、ナイジェリア、タイなどからの参加者が同席していました。




 説明では、ICSBの各国への拡大と連携のために、その歴史と組織、役割、参加の意義などに関し、細かいことなども含めて率直に語られました。特に重要なことは、各国ないし地域を代表する団体会員制度としての、ChapterとAffiliateの存在(いずれも訳せば「支部」ですが)、それぞれの特徴、権利と利点、会費などです。前者は比較的小規模の組織を対象とするもので、入会金は不要ですが、会費は組織の構成員あたり年間65ドルとなります。後者は50人以上の会員からなるところを主な対象とし、雑誌Journal of Small Business Managementの配付のほか、ICSB情報の配付、世界大会の案内、団体代表者によるICSB理事会メンバーの選挙権被選挙権などがあります。詳しい規定がweb上に掲載されているということです。会費は、入会金として2000ドル、組織構成員あたり年間25ドルとなります。また補足しては、Affiliateに大会開催を引き受ける義務があるわけではない、大会の件は三年後をめどに、理事会会議で提起し、そのつど手を挙げてくれる国と交渉をして決めているということです。

 こうした説明を具体的に当てはめてみると、たとえば日本中小企業学会の場合、入会金は別としても、この1人あたり年間25ドルの拠出金を払うというためには、3000円からの会費負担を全会員に求めないと、会員数500人あまりの学会組織では現状ではとうてい負担ができません。それはかなり困難ではあります。


 さらに重大な問題は、すでに「日本支部」を名乗っている組織があることです。しかしそこは近年ほとんど連絡が取れない、払い込んでくる会費も減る一方で50人にはとうてい満たないということで、ICSB事務局は困っているようです。今度のソウル大会も隣国開催だからと働きかけを試みたのですが、返事もなかったそうです。日本からの今回の参加者で、この「日本支部」を通じて申し込んだとか、情報を得たという人はもちろん誰もいません。その「日本支部」問題を何とかして貰うことが、日本サイドの第一最大の課題だと、明確に指摘されました。

 実態からして、ICSBは中小企業研究のための国際学会的性格をいまや十分に備えています。これに対し、日本の中小企業研究者らの方から、もっと積極的にコミットし、情報発信や研究発表、交流をすすめることはもう先送りもできない、いまや焦眉の課題と申せましょう。なにも日本中小企業学会がこれを「独占」する必要も理由もありませんが、では誰がどのようなかたちでICSBとの関係を構築していくのか、本音で話をつめていかねばならない段階でしょう。井出氏も言われていますが、ISBCと日本中小企業国際協議会の強い関係はそう簡単に変えられはしないし、またISBCとICSBの性格や構成の違いもある、ICSBとは日本の学会がもっと主体的に関わっていくのが筋ではないか、これはもっともなことです。

 大きな宿題を日本サイドは突きつけられました。






 その夜はガラディナー、会場は同じですが舞台がしつらえられ、恒例のあいさつ、歴代の功労者(とおぼしき方々)へのジョージソロモン氏からの賞贈呈の行事、食事とともに韓国の伝統舞踊や太鼓などの芸が勇ましく、また華麗に披露されました。もうすばらしかったですね。

 ちなみに、韓国での大会ですから料理も韓国風、というわけではなく、日曜日の政策フォーラムでの昼食弁当やその夜のウェルカムパーティを別とすれば、毎日の昼食やこのディナーは基本的に「洋食」でした。この夜のメインはビーフステーキでした。味はもちろんなかなかよかったです。このディナーは参加費のうちで、全員がご招待です。












 宴もたけなわ、食事も終わり、アルコールも十分回ってきますと、雰囲気も盛り上がっていよいよ第二部です。場内の明かりが落ち、舞台前、正面に空けられたスペースに向けスポットライトが当たり、歌手つきバンドの演奏が始まり、「ユーカンな」人々が飛び出してダンスが始まります。70年代的雰囲気ですが、続いてはお年をかなり召した方々も元気よく登って踊り出し、あっという間にクラブ的(むかしのディスコ?)状態になります。

 ここで日本人を代表して、女性の手を取り中央に駈け出たのはなんと井出氏、連日の出ずっぱりでさぞやお疲れと思うに、ダンスにまで打ち込むエネルギーがどこに残っているのでしょうか。「いやね、この前のベルファストの時もそうだったけど、ダンスパーティとなると日本人が誰も出ない、それじゃいかんなと思って、今回は勇気をふるって出て行こうと決めたんですよ」、もう頭が下がるばかりです。私のように、勇気も芸も何もない人間は恥じ入る(またうらやましい)のみです。私はさっさと逃げました。









(5)に続く