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リンゴ3話

2010.03.21. 掲載
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昨年末から3ヶ月近く、ほとんど毎日リンゴを食べてきた。このような経験は過去にない。このところ、肩のこる記事の投稿を続けたので、この美味しいリンゴを中心に、リンゴにまつわる、たわいもないお話を書いて、息抜きにしたい。

1.サンふじ

いただいた信州産のリンゴ・サンふじがあまりにも美味しかったので、これは特別なのかと思っていた。しかし、近くのスーパーで売っている青森産のサンふじも変わらぬ味であるのを知って、風呂上りに、冷やしたサンふじを食べるのが習慣になってしまっている。夕食は腹十二分目だが、ビールが中心だから、この時間になると、胃はリンゴ1個分など十分に受け入れることができる。そして、満ち足りた気持ちで眠りにつく。幸せだ。

私たち夫婦は、2年半ほど前から、アフター5ウォーキングと称して、午後5時前後から梅田まで歩いて出かけ、デパ地下で買い物をして帰宅することを続けている。最近は、そのコースの最後に、スーパーへの立ち寄りを加えた。リンゴはこのスーパーで買うのだが、リンゴの価格と味について面白い発見があった。他の商品の値段はまったく知らず、覚える気にもならないが、リンゴの価格だけは毎日注目しているのがおかしい(笑)。

このスーパーの青森産サンふじは、毎日のように値段が変わる。1個88円を最低に、89円、99円、100円、128円となるが、それがアトランダムで、多くは1日で変わるのだ。値段が違えば味も違うのではないかと食べ比べてみるが、128円も88円もまったく変わらない。不思議なスーパーである。スーパーで買う前に、デパートで300円以上のリンゴを買ったが、不味かった。そこで知ったのは、リンゴの値段と味は関係しないという事実だった。ほんとに、どうなっているのだろう?

リンゴに蜜が入っている方が美味いと言われているようだが、実際に蜜の部分を食べても味は変わらないし、蜜の入っている方がリンゴ全体としても美味しいということもない。ということは、蜜入りは見た目が悪いから、それをカバーするために作られた話ではないかと考えてしまうのだが、穿ち過ぎだろうか?

3ヶ月近くリンゴを食べ続けているが、味は未だ変わらず美味いのに驚く。いつまで続くのか興味津々だ。一度、柔らかいのに当たり、もうリンゴの季節も終わりかと思ったが、それはただの一度だけだった。だから、あれは、違う種類のリンゴが紛れ込んだのではないかと思っている。

このサンふじの美味さは、歯ごたえのあるシャキッとした硬さと、ドイツワインに通じる品の良い甘さにあると思う。これを、できるだけ冷たい状態で食べると、最高に美味い。昔のリンゴはこれほど美味くはなかったので、美味いリンゴは品種改良の成果なのだろうが、ありがたいことだ。

2.ジュース

リンゴそのものを、これほど長く美味しく食べ続けたことは、これまでなかったが、リンゴをジュースにして、毎日平均5個分を、1週間むさぼるように飲んだことがあったのを思い出した。鉄砲水のような猛烈な下痢に襲われた時のことで、これが生涯で一番ひどい下痢だった。猛烈な下痢腹痛の体験記に、そのことを書いている。

下痢の食事療法に適した食事として、リンゴジュースを患者さんに勧めてきたが、自分がそれを飲むのはこの時が初めてだった。下痢では、水分だけでなく、カリウムが多く失われるため、下痢の際の食事には、カリウムが豊富に含まれていることが、いちばん重要なことである。カリウムが豊富で、手軽に食べられ、その上美味いのだから、下痢にはリンゴジュースがお勧めとなるのは、致し方あるまい。

3.歌

リンゴに関する歌と言えば、並木路子の唄ったリンゴの唄となり、戦争に負けて焼け野原になった巷にこの歌が流れ、日本人の心に希望と勇気を与えたという話が付きものとなっている。当時、確かに、安物の拡声器からガンガンこの歌が流れていた。しかし、そのころ9歳から10歳の年齢だった私は、この歌がバカみたいに思えて嫌いだった。それに、この歌がそれほど多くの人に愛されていたとは信じられない。

当時の日本人に、時代が変わったことを強烈に印象付けた歌は、リンゴの唄の2年後に出た、笠置シズ子の東京ブギウギだったと思う。

リンゴに関する歌では、美空ひばりの唄ったりんご追分や、津軽のふるさとが絶品だ。いずれも米山正夫作曲である。

最近YouTubeで面白いことを知った。美空ひばりはこの2曲を、発売当時はいずれもE minor(ホ短調)で唄っている。譜面を見ても同じだ。ところが、晩年の美空ひばりは、それらをB minor(ロ短調)かA# minor(嬰イ短調)で唄っている。4度も低いのだ。これでは低すぎて、私などにはとうてい唄えない音域である。いつからこのような低い音域に変わったのだろうか?

クラシック系の歌手が津軽のふるさとをよく唄うが、調子は、原調のE minorか、それよりも高い。

外国では、ビートルズの歌を発売した会社の名が、アップルレコードである。

<2010.3.21.>

サンふじが柔らかくなり、味が少し落ちてきたので、毎日食べるのを止めることにした。12月末から4ヶ月以上に亘って、ほとんど毎日りんごを1個食べてきたが、このような経験は生まれて初めてである。


<2010.5.11.>

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