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下痢の食事療法

2006.03.05. 掲載
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1.対症療法

病気の治療にとって、対症療法が原因療法に劣らず大切な場合が多くありますが、特に下痢の場合は、食事療法などの対症療法が重要です。

2.下痢の対症療法

下痢の対症療法の中で、一番良い方法は、水分とか電解質や栄養分を点滴注射で補給し、その間は絶食を続けて、胃腸を休ませることです。しかし、それができない時には、食事療法が重要となります。

3.胃結腸反射

人のからだは、胃の中にたくさんの物が入ったり、冷たい物が入ってくると、反射的に大腸の動きが高まり、大便をしたくなるような仕組になっています。これを「胃結腸反射」といいます。下痢の時には、腸の動きが非常に激しくなっていて、「胃結腸反射」も大変敏感になっています。そのため、少し食べても、すぐに腸が激しく動き、下痢になりやすいのです。

4.下痢の食事療法の原則

そこで、下痢の食事療法の原則は、1)胃腸を刺激しないものを、2)できるだけ少量づつ、3)その代わり何回にも分けて与えることです。例えば、1回の量を10分の1に減らす代わりに、10回に分けて与えるのです。このように、少しづつ胃に入れてやると、ちょうど唾液(つば)が胃の中に入っても「胃結腸反射」が起こらないと同じで、反射的に腸の動きが高まることはありません。このようにして胃の中に入った唾液の量は、大人では1日2000mlにもなると言われているので、馬鹿にできない量なのです。

5.適した食事

下痢に適した食事として、湯ざまし、番茶、ポカリスエット、うすいハチミツ、重湯、かたくり、リンゴジュース、野菜スープ、味噌汁などが良いでしょう。牛乳は下痢をしやすいので避ける方が安全です。粉末ミルクはこれまでの半分くらいにうすめて(1/2乳)与えます。これらの食事を、少しづつ、何回にも分けて与えることです。下痢が治っていくに従って、徐々に普通食に戻していきますが、決して急ぎ過ぎないことが大切で、こじらせると、なかなか治り難くなります。

6.良くない食事

下痢に良くない食事は、1)冷たいもの、2)センイの多い野菜や果物、3)豆類、4)卵、5)脂肪の多いもの、6)刺激物(コーラ、サイダー、コーヒー、アルコール、特に冷えたビール)、7)一度にたくさん急いで食べること、などです。

7.絶食

絶食は胃腸を休ませる意味で良いことですが、点滴注射で水分や電解質を補給する必要があります。点滴注射ができない時には、食事療法で水分や電解質を補給することになりますが、良くない食事の仕方で、2000mlの水分摂取ができたとしても、下痢で4000mlの体液を失えば、差し引き2000mlの脱水を引き起こすわけで、それよりは、絶食だけの方がましということになります。そういうわけで、下痢を強めない食事療法が大切です。下痢に適した食事を少しづつ、何回にも分けて与え、決して一気にたくさんの量を胃に入れないように!

(1980年1月16日、記)


<2006.3.5.>

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