ホーム > サイトマップ > 医療 > 医療関係論文 > 薬の服用方法 |
2004.07.26. 掲載
このページの最後へ |
目次
1.はじめに
2.薬の服用法総論
1)服用回数
2)食事との関係
3)服用時刻
3.薬の服用法各論
1日1回朝食前
1日1回朝食後
1日1回夕食後
1日1回眠前
1日2回朝昼食後
1日2回朝夕食前
1日2回朝夕食後
1日2回朝食後と眠前
1日3回毎食前
1日3回毎食後
1日3回毎食間
1日4回毎食後と眠前
4.まとめ
5.服用した薬の血中濃度と運命に関する用語
私が医師となった40年前は、ほとんどの薬の服用方法を「毎食後直ぐ服用」で済ますことができました。もちろん、睡眠薬の眠前服用とか利尿剤の朝服用などはありました。また、抗生物質はほとんどが静菌的なものだったので、有効血中濃度を維持するために6時間毎の服用を指示しましたが、それらは例外的でした。
ところが、最近は服用回数も1日3回ではなく、1回とか2回の薬が増え、食事との関係も、食直前とか食直後とか、食前30分前などと細かく規定される薬が増えています。
それに対して、その服用方法でなければならない根拠について、まとまった明快な説明は書物でもWebサイトでも提供されていないのが現状です。そこで、私なりに服薬方法についてまとめてみました。これもまた、自分自身のためのまとめですが、服薬方法について関心をお持ちの方にお役に立てば嬉しく思います。
医学書は「総論」と「各論」に分けて書かれることがよくあります。「総論」で基本的なことを述べ、「各論」でその具体例を説明するというやり方ですが、こういうふうに2方向で見ていくと、意外とものごとが理解し易くなります。マスコミで「総論賛成、各論反対」と言うフレーズを時々見聞きします。ある企ての主旨自体に反対はしないが、具体的問題になると異議を言い立てる場合に使いますが、このように「総論」や「各論」はもう市民権を得ていると考えても良いかもしれません。そう言うわけで、あえて「総論」「各論」としました。「基本」と「応用」と言い換えても似たようなものです。
薬の服用方法が決められている理由として以下のことが考えられます。
1.薬の効果を最も大きくする
これは一番大切なことで、効き難い服用法では、薬を服用する意味がありません。
2.薬の副作用をできるだけ少なくする
副作用を少なくすることもまた大切で、重大な副作用は致命的なことさえあります。
3.薬の効果を持続させる
一定の時間をかけて効果を持続させなければ、治療に役立たない薬もあります。
4.飲み忘れを防ぐ
飲み忘れたのでは薬効も副作用も問題外となりますが予想以上に多いものです。
薬の服用方法の総論として、1)服用回数、2)食事との関係、3)服用時刻の3要素に分けてまとめてみました。
これまで1日3回が多かったのは、食事と関係をつけて毎食後直ぐに服用するようにしておけば、飲み忘れがないということが大きかったのでしょう。当時は未だ効果が長時間持続する薬を製造する技術がなかったことも関係があると思います。
しかし、製薬技術の進歩と共に、12時間、24時間効果が持続する薬が作れるようになり、1日2回服用とか、1日1回服用するだけで3回服用するのと同等の効果のある薬剤が続々と作られてきています。
また、服用された薬物の生体内での推移が正確に把握できるようになり、生体のリズムも詳しく研究されて来た結果、薬剤の効果を最大に発揮するのに適した服用方法や、薬剤の副作用を最低に抑えるのに適した服用方法が分かり始めてきました。
これらを総合して服用方法を工夫することにより、飲み忘れを少なくするメリットだけでなく、薬の効果を最大にして、副作用を最小にすることも、かなりできるようになってきています。
1)効果が24時間持続する薬
半減期が長く、1回の服用で24時間有効血中濃度を維持できるタイプがあります。これは慢性疾患の維持療法や長期化した症状を軽くする目的でよく使われ、高血圧症、高脂血症、骨粗鬆症、抗アレルギー剤、ホルモン剤などがその代表です。
2)1日のある時間帯に薬効が発揮できればよい薬
睡眠薬、利尿薬、下剤などの薬です。
3)日内リズムに対応した時間帯に服薬すると効果的な薬
喘息治療薬、副腎皮質ホルモン剤、潰瘍治療薬などがあります。
1)効果が12時間持続する薬
これは半減期が少し長く、1回の服用で12時間有効血中濃度が維持できるタイプの薬剤です。抗生物質や抗ウイルス薬、合成抗菌剤、降圧薬、潰瘍治療薬、喘息治療薬、抗アレルギー薬などがあります。
2)1日のある時間帯に薬効が発揮できればよい薬
利尿剤などがこれに当たります。
3)昼食時の服用を避けるため
学生や会社員などが昼食時服薬するのは困難なことが多く、飲み忘れが起きやすいので、昼に服用しなくてもよいタイプの薬が良く使われるようになって来ました。
普通の薬剤のほとんどがこれに相当します。また、消炎鎮痛剤などは副作用の発現を少なくするために毎食後に服用し、もしも、副作用が出た場合、早くそれを軽減できるように、短時間有効血中濃度が持続するタイプの薬剤がよく使われます。
1)静菌的抗生物質などで、有効血中濃度を6時間維持しなければならない場合
2)1日2回服用する薬を細かく4回に分けて服用する場合
3)1日3回服用する薬の用量を3割増しする場合
これは、単純ヘルペスや帯状ヘルペスに対する抗ウイルス薬のゾビラックスという薬の服用法です。この薬は1回の服用で有効血中濃度は5時間くらいしか維持できません。治療の効果を上げるためには、24時間有効血中濃度を維持する必要があるので、毎食後と午後3時と眠前の5回服用します。
ただし、最近有効血中濃度が8時間維持できるバルトレックスという抗ウイルス薬が登場したので、このような面倒な服用法に従う必要はなくなりました。
大部分の薬剤の服用方法は、食後とか食前とか食間というように食事と関係しています。その一番の理由は飲み忘れ防止でしょう。二番目の理由は、服用間隔をできるだけ同じにして、服用中の薬剤の血中濃度をできるだけ平均化し、薬効を高め、副作用の発生を減らす効果が考えられます。
しかし、中には服用方法が食事と密接に関係している薬剤もあります。また、その反対で、睡眠薬や頓服薬のように、食事と無関係に服用する薬剤もあります。
1.朝食前30分より前に服用
・食物と一緒になると薬の吸収が悪く薬効が極端に下がる薬
2.食前
・胃腸の働きを活発にする薬
・食欲増進剤
・制吐薬
・胃粘膜保護薬
・通常の血糖降下剤
(ただし、作用持続時間が6〜24時間と長く、食後服用でも効果はあまり変わらない)
これらの薬剤を食後に服用すると、食物の影響で薬効は少し減る可能性はありますが、無効になるわけではありません。
3.食直前
・食後過血糖改善剤(食事の中の糖質の吸収を遅らせる薬)
・速効型血糖降下剤
これらの薬剤は、作用持続時間が2〜3時間と短く、厳重に食直前に服用しなければ、無効となるので注意が必要です。
4.食後
一般には内服薬は胃などの消化管の障害が考えられますが、食事を済ませた後に服用すると、食事と薬が混じることで薬の胃内壁への当たりを和らげる効果があります。そのほか、消化を高める薬は、食後に服用しないと無意味になります。消炎鎮痛解熱剤とか消化酵素剤などがこれに相当します。
5.食間
食事の影響を受けない方が望ましい薬とか、早く確実に吸収させたいときの薬などは食前とか食間に服用します。胃粘膜保護薬、漢方薬、鎮咳薬、利尿薬、制酸剤などがこれに当たります。しかし、食後服用に変えても、少し効率が落ちるだけなので、服用しやすい方法を選べば良いと思います。
また、異なった作用を持つ2種類以上の薬を服用しているときなど、一方の薬を食間に服用することで、胃の中で薬同士が作用しあったり、吸収が悪くなったりすることを防げます。
咳止め、解熱剤、鎮痛剤、睡眠薬、下剤、抗不安薬、狭心症発作止めなど症状が強いときに臨時に服用する頓服薬がこれにあたります。12時間作用型や24時間作用型の薬剤は効果発現に時間がかかるので頓服薬には向きません。
これには、まず薬効の発現時間から服用時刻が決まってくる薬剤があります。例えば、利尿剤は夕方服用すれば、就眠中に尿意を催して眠れなくて困るから朝とか昼に服用する、睡眠薬は就眠30分前に服用する、下剤の多くは服用8時間後くらいで便意を催すので就眠前に服用するなどがこれに当たります。
もう一つは、生物が日内リズムを持っているので、それに合わせた服用時間によって、薬効を最大限に発揮し、副作用を最小限に抑えようとする時間治療学(クロノセラピー)に基づく服用時刻です。治療が必要な時間帯に薬剤の濃度を上げ、治療を必要としない時間帯には薬剤の濃度を下げることを目標とします。
例えば、気管支喘息などは、深夜から早朝にかけて(午前4時頃)にかけてに起こりやすいので、午前4時頃に薬物血中濃度が高くなるようにコントロールすれば、最も有効に薬効を発揮できるし、また、その他の時間帯での副作用を軽減できます。
・特殊な骨粗鬆症治療薬(ホサマックなど)
(食物の影響を強く受ける薬なので胃に何も入っていない状態で服用するため)
・利尿剤(夕方以降服用すると、夜間尿意をもよおし、安眠を妨げるため)
・降圧薬(血圧は夜間に下降し、早朝覚醒とともに上昇するという日内変動を示すため)
・副腎皮質ホルモン(副腎皮質ホルモンが分泌される量は朝方が多いため)
・アスピリン
(血小板は朝の方が凝固しやすい上に、朝服用する方が血中濃度が高くなるため)
・ワルファリン(朝服用する方が抗凝固作用が高くなるため)
これは1日3回服用する薬の1回分として服用するのがほとんどで、そのほか、朝昼2回服用薬の1回分としての服用する場合もありますが、昼のみ1回服用する薬剤はありません。特に昼の服薬が優れているという裏付けがなければ、昼のみ服用する薬はこれからも発売されることはないでしょう。
・高脂血症治療薬(体内でのコレステロール合成は夜間に多く行われるため)
・胃酸分泌抑制剤H2ブロッカ(夜間に胃酸分泌上昇するため)
・気管支喘息治療薬(気管支喘息の発作は夜間から明け方に起きやすいため)
・異型狭心症予防薬(早朝に狭心発作が起きやすいため)
・ACE阻害薬(夜間服用した方が降圧効果が強く、「空せき」が起こり難いため)
・抗アレルギー薬
(アトピ―性皮膚炎は夜間痒くなり、アレルギ―性鼻炎は早朝に症状が強いため)
・消炎鎮痛剤(関節リウマチは夜間、早朝に痛みやこわばりが増強するため)
・睡眠薬
・抗不安薬(不眠に対して服用する場合)
・夜尿症治療薬
・下剤(服薬8時間後に効き始め、朝の排便時間と重なりなり都合がよいため)
・夕服用のところで取り上げた薬剤
(夕服用の薬は、本来は眠前の方が効果があるものが多い)
・抗生物質
(血中濃度を厳重に一定に保つ必要がある薬剤、半減期の短い静菌的抗生物質)
・抗ウイルス薬
(血中濃度を厳重に一定に保つ必要がある薬剤で、半減期の短い抗ウイルス薬)
頓服薬がこれに当たります。
各論では、現在当医療法人野村医院で使用している薬剤をとりあげ、服用法別に分類して説明を加えることにしました。服用法は以下の12通りにまとめました。
1日1回、朝食前 :食前は、食前10分前から食直前までを含める
1日1回、朝食後 :食後は、食直後から食後30分までを含める
1日1回、夕食後 :食後は、食直後から食後30分までを含める
1日1回、眠前
1日2回、朝昼食後 :食後は、食直後から食後30分までを含める
1日2回、朝夕食前 :食前は、食前10分前から食直前までを含める
1日2回、朝夕食後 :食後は、食直後から食後30分までを含める
1日2回、朝食後と眠前 :食後は、食直後から食後30分までを含める
1日3回、毎食前 :食前は、食前10分前から食直前までを含める
1日3回、毎食後 :食後は、食直後から食後30分までを含める
1日3回、毎食間 :食間は、食後2時間前後を指す
1日4回、毎食後と眠前 :6時間毎服用する薬剤もこれで代替する
食前を細かく分けず、食前10分前から食直前までを含め、食後も食直後から食後30分までを含めることにしたのは、薬剤を忘れずに服用するためです。それらの違いが薬効に及ぼす影響についてのデータがないのにも関わらず、徒に細かく分けることで服用が面倒になり、飲み忘れたり、飲むのを放棄されるのでは、本末転倒、有害無益以外の何ものでもないと私は思います。
・通常の血糖降下剤(作用持続時間が6〜24時間と長く、食後服用も可)
ダオニール(一般名グリベンクラミド)
グリミクロン(一般名:グリクラジド)
アマリール(一般名:グリメピリド)
・利尿薬
ナトリックス(一般名:インダパミド)
ノルモナール(一般名:トリパミド)
ラシックス(一般名:フロセミド)
オイテンシン(一般名:フロセミド)
ダイアート(一般名:アゾセミド)
ルプラック(一般名:トラセミド)
アルダクトンA(一般名:スピロノラクトン)
・降圧薬 α遮断薬
カルデナリン(一般名:ドキサゾシン)
テノーミン(一般名:アテノロール)
・降圧薬 β遮断薬
ナディック(一般名:ナドロール)
アテノロール(一般名:ビソプロロール)
アーチスト(一般名:カルベジロール)
アルマール(一般名:アロチノロール)
・降圧薬 Ca拮抗薬
アダラートCR(一般名:ニフェジピン)
バイロテンシン(一般名:ニトレンジピン)
コニール(一般名:ベニジピン)
アムロジン(一般名:アムロジピン)
ヘルベッサーR(一般名:ジルチアゼム)
・降圧薬 アンジオテンシンU受容体拮抗薬
ニューロタン(一般名:ロサルタン)
ロサルタン(一般名:カンデサルタン)
・強心薬
ジゴキシン、ジゴシン(一般名:ジゴキシン)
ラニラピッド(一般名:メチルジゴキシン)
・副腎皮質ホルモン
プレドニン(一般名:プレドニゾロン)
リンデロン(一般名:ベタメタゾン)
・血小板凝集抑制薬
バイアスピリン100mg(一般名:アスピリン)
バファリン81mg(一般名:アスピリン)
・抗凝固薬
ワーファリン(一般名:ワルファリン)
・甲状腺ホルモン
チラーヂンS(一般名:レボチロキシン)
・抗甲状腺薬
メルカゾール(一般名:チアマゾール)
・骨粗鬆症治療薬
アルファロール(一般名:アルファカルシドール)
・抗生物質
ジスロマック(一般名:アジスロマイシン)
ビブラマイシン(一般名:ドキシサイクリン)1日2回、朝夕食後も可
ミノマイシン(一般名:ミノサイクリン)1日2回、朝夕食後も可
・抗アレルギー薬
クラリチン(一般名:ロラタジン)
アレジオン(一般名:エピナスチン)
・胃酸分泌抑制薬 プロトンポンプ阻害薬(夕食後も可)
オメプラール(一般名:オメプラゾール)
タケプロン(一般名:ランソプラゾール)
・胃粘膜保護薬
ガスロンN(一般名:イルソグラジン)夕食後、眠前も可、分2も可
・高脂血症治療薬(朝食後も、眠前も可)
メバロチン(一般名:プラバスタチン)
リポバス(一般名:シンバスタチン)
ローコール(一般名:フルバスタチン)
リピトール(一般名:アトルバスタチン)
・気管支拡張薬 キサンチン誘導体
ユニフィル(一般名:テオフィリン)
夕食後服用で午前4時ごろ血中濃度が最高になる
・去痰薬
ムコサールL(一般名:アンブロキソール)
・降圧薬ACE阻害薬
(朝食後も可、夜服用する方が降圧効果が強く、空せきが少なくなる)
レニベース(一般名:エナラプリル)
タナトリル(一般名:イミダプリル)
・睡眠薬
・抗不安薬(不眠に対して服用する場合)
・三叉神経痛治療薬
テグレトール(一般名:カルバマゼピン)
・夜尿症治療薬
トリプタノール(一般名:アミトリプチリン)
・下剤(眠前服用で8時間後に効き始め、朝の排便時間と重なり効果的)
プルゼニド(一般名:センノシド)
アローゼン(一般名:センナエキス)
ラキソベロン(一般名:ピコスルファート)
・抗アレルギー薬
ジルテック(一般名:セチリジン)
キプレス(一般名:モンテルカストナトリウム)
アタラックス(一般名:ヒドロキシジン)
・気管支拡張薬 β受容体刺激薬
(眠前に貼付すると午前4時頃に血中濃度が最高になる)
ホクナリンテープ(一般名:ツロブテロール)
・抗狭心症薬(狭心症は早朝に起きやすいので、眠前貼付が効果的)
ニトロダームTTS(一般名:ニトログリセリン)
フランドル テープS(一般名:硝酸イソソルビド)
・異型狭心症の予防
アダラートL(一般名:ニフェジピン)Ca拮抗薬
アイトロール(一般名:イソソルビド)抗狭心症薬
・駆虫薬
コンバントリン(一般名:パモ酸ピランテル)
・1日1回、夕食後服用で取り上げた薬剤
本来は夕食後服用が望ましいが、便利さから夕食後にしている薬が多い。
・利尿剤
1日1回、朝食後服用で取り上げた利尿剤
・通常の血糖降下剤(朝夕食後も可)
1日1回、朝食前服用で取り上げた通常の血糖降下剤
・高コレステロール血症治療薬
コレバイン(一般名:コレスチミド)
・消炎鎮痛解熱剤
インテバンSP(一般名:インドメタシン)
クリノリル(一般名:スリンダク)
・抗生物質
L-ケフレックス(一般名:セファレキシン)
セフテム(一般名:セフチブテン)
クラリシッド、クラリス(一般名:クラリスロマイシン)
・抗ウイルス薬
タミフル(一般名:オセルタミビル)
シンメトレル(一般名:アマンタジン)
・降圧薬
アダラートL(一般名:ニフェジピン)
ニバジール(一般名:ニルバジピン)
ランデル(一般名:エホニジピン)1日1回も可
・下痢止め
ロペミン(一般名:ロペラミド)
・抗アレルギー薬
ニポラジン(一般名:メキタジン)
アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)
タベジール(一般名:クレマスチン)
ポララミン復効錠(一般名:クロルフェニラミン)
オノン(一般名:プランルカスト)
・高トリグリセライド血症治療薬
ベザトールSR(一般名:ベザフィブラート)
・高コレステロール血症治療薬
シンレスタール(一般名:プロブコール)
・抗不整脈薬
リスモダンR(一般名:リン酸ジソピラミド)
・抗狭心症薬
アイトロール(一般名:一硝酸イソソルビド)
フランドル(一般名:二硝酸イソソルビド)
ニトロールR(一般名:二硝酸イソソルビド)
・尿酸生成阻害薬
ザイロリック(一般名:アロプリノール)
・抗アレルギー薬
ザジテン(一般名:ケトチフェン)
アゼプチン(一般名:アゼラスチン)
・胃酸分泌抑制薬H2ブロッカー(1日1回、眠前服用も可)
タガメット(一般名:シメチジン)1日4回、毎食後と眠前も可
ザンタック(一般名:ラニチジン)
ガスターD(一般名:ファモチジン)
アシノン(一般名:ニザチジン)
・胃粘膜保護薬
プロマック(一般名:ポラプレジンク)
ガストローム(一般名:エカベト)
ガスロンN(一般名:イルソグラジン)
・気管支拡張薬 β受容体刺激薬
スピロペント(一般名:クレンブテロール)
・気管支拡張薬 キサンチン誘導体
テオドール(一般名:テオフィリン)
・血小板凝集抑制薬
パナルジン(一般名:チクロピジン)
プレタール(一般名:シロスタゾール)
・食後過血糖改善剤
グルコバイ(一般名:アカルボース)
ベイスン(一般名:ボグリボース)
・速効型血糖降下剤
スターシス(一般名:ナテグリニド)
・通常の血糖降下剤(食後も可)
ダオニール(一般名:グリベンクラミド)
グリミクロン(一般名:グリクラジド)
アマリール(一般名:グリメピリド)
・制吐薬
プリンペラン(一般名::メトクロプラミド)
ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)
・高脂血症治療薬
エラスチーム(一般名:エラスターゼ)
・胃腸の働きを活発にする薬
ガナトン(一般名:イトプリド)
ガスモチン(一般名:モサプリド)食後も可
・食欲増進剤
ペリアクチン(一般名:シプロヘプタジン)
・消炎鎮痛解熱剤
ブルフェン(一般名:イブプロフェン)
ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)
ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)
・消化酵素剤
ベリチーム(一般名:合剤)
エクセラーゼ(一般名:合剤)
・漢方薬(一般名:)食後も可
・抗生物質
サワシリン(一般名:アモキシシリン)
ケフレックス(一般名:セファレキシン)
・胃酸分泌抑制薬H2ブロッカー(1日2回朝眠前服用、1日1回眠前服用も可)
タガメット(一般名:シメチジン)
「薬剤シリーズ」は数えてみるとこの「服薬方法」で4タイトル目となります。その最初のタイトルは、「患者さんのための薬の説明集」で、このサイトを開設した直後、96年8月に掲載しました。その頃から、「医者にもらった薬が分かる本」などが発行され、よく売れているようでしたが、それと比べてみて、自分のまとめたものの方が、分かりやすいのではないかと密かに自負しておりました。それも改訂を続け、先月第5版を掲載しました。おそらく、これが私の現役最後の改訂版となるでしょう。
今年に入ってから、「医薬分業と院内処方」「後発薬品(ジェネリック)」をまとめ、このサイトに掲載しました。これは、患者さんのためというよりは、自分が行って来た31年間の診療のまとめという意味合いが強く、実際には、患者さんのお役に立つことが少なかったかも分かりません。どちらも、薬剤に関して、最近勢いを増して来た流れであります。私はそこにマヤカシを感じ、客観的データを使って、異議を申し立てたのですが、患者さんには、興味が少ない話だっただろうと想像しています。
今回の「服薬方法」は、私が知りたかったこと、まとめたかったことで、患者さんにもお役に立つところがあるのではないかと思っています。医学部の学生の頃から現在に至るまで、服薬時間や服薬方法について、まとまった講義を受けたこともなければ、それをまとめた書籍を見たこともありません。
今回、服薬方法をまとめるに当たって、医学書やWebサイトを調べましたが、それを総合的にまとめたものを見つけることはできなかったので、あるいは、これが「服薬方法」に関する、最初のまとめになるのではないかと思ったりしています。もし、他にこのような「服薬方法」のまとめをご存知の方がいらっしゃれば、ご教示いただければありがたく存じます。
この「服薬方法」を以て、私の「薬剤シリーズ」の最後と致します。
薬の服用法の理解に役立つように、「服用した薬の血中濃度に関する用語」と「服用した薬の運命に関する用語」を付録として付け加えておきます。
薬が使用された後、薬の血中濃度は吸収が終わって最高濃度となり、平衡状態に達した後、時間の経過とともに代謝・排泄によって一定の速度で減少して行きます。
この最高の濃度を「最高血中濃度:Cmax」、それに達するまでの時間を「最高濃度到達時間:Tmax」と呼びます。それに続いて、代謝・排泄により血中濃度が減少すして行きますが、ある時間の血中濃度の半分の濃度になるまでに要する時間を「半減期:T 1/2」と呼びます。
また、薬を継続して使用する場合、薬物の血中濃度は上下しますが、そのときの最低値を「最低血中濃度:Cmin」と呼びます。
「Cmax」はピーク値とも呼びますが、高すぎると有害な濃度になる可能性があります。「Tmax」は、薬理効果が発現するまでの時間と関係します。「Cmin」はトラフ値(Trough value)とも呼びますが、これが低すぎると薬の有効域以下になって無効であるばかりか、耐性を誘導させる可能性が高くなります。
薬が効いてくるには、薬の「半減期」の4倍の時間、飲み続ける必要があり、また、1回使用した薬物は「半減期」の6倍の時間でほぼ体内から消失するとされています。
薬を服用すると、薬は主に小腸の上部で「吸収」されて肝臓に運ばれ、そこで一部代謝され、残りは全身の血管を循環します。
薬は血液に運ばれて体内のいろいろな臓器にいろいろな濃度で分布します。これを「薬物分布」と呼びます。この薬の一部は血漿蛋白と結合して貯蔵型となり、血漿蛋白と結びつかない遊離型の薬だけが血管から細胞内へとり込まれ、作用部位で効果を発揮したり、肝臓で「代謝」されたり、腎臓で「排泄」されるのです。
脳には薬が移行し難いのですが、それは脳の血管内皮の構造が薬を移行させにくい仕組みになっているからで、これを血液脳関門(blood brain barrier)と言います。
薬を化学処理して別なものに変えることを「薬物代謝」といいます。脂溶性の薬は肝臓その他で「代謝」され、水溶性を増してから「排泄」されます。薬は、一部はそのまま、一部は「代謝」されて、腎臓から尿に、または、肝臓から胆汁を通して糞便に「排泄」されます。
ホーム > サイトマップ > 医療 > 医療関係論文 > 薬の服用方法 このページのトップへ |