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デジカメによるハイビジョン動画

2014.11.27. 掲載
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目次
1.はじめに
2.デジカメのハイビジョン動画機能の進歩
3.幼児の映像記録に最適
4.結果
5.デジカメ・ハイビジョン動画の作り方
6.まとめ



1.はじめに

私の動画歴は結婚披露宴からはじまり、47年となる。以来、その時代の撮影機を使ってきた。対象は非日常的なイベントや旅行の記録がほとんどだった。

6年前に初孫に恵まれ、その成長記録を写真で残そうとした。しかし、幼児は絶えず動き回るので、シャッターチャンスが少なく、撮ることだけで疲れてしまう。

そのとき、こどもは動き回っている行動自体が面白く楽しいのだ、ということを発見した。どのような名優も、こどもには勝てないと言われるのが良く分かる。

そうなると、孫の成長記録は動画撮影に限る。ハイビジョン・ビデオカメラは持っていたが、大きくて、幼いこどもの撮影に不向きである。そこで、最初はデジカメでSD画質の動画を撮っていた。2009年に準ハイビジョン動画の撮れるデジカメが発売されると、即、これに変え、翌年にフルハイビジョン動画の撮れるデジカメが発売されてからは、専らこれを使って孫の生活記録を行ってきた。

昔は写真撮影も、イベントや旅行などのような非日常的な状況の記録であった。デジカメが普及した今日、写真は日常的に撮られることも珍しくなくなって来ている。しかし、動画(ビデオ)が日常生活の記録に使われることは未だ少ないようだ。

私は孫の成長記録がきっかけとなって、フルハイビジョン動画撮影ができるデジカメを使い続けている。その際に体得したことを、 ファイルベース時代の動画保存動画制作システム などにまとめてきた。今回は、デジカメによるハイビジョン動画に絞ったまとめを書くことにした。

手のひらに収まる小さなデジカメが、充分実用的で、鑑賞に堪える画質であることや、私の使い方などをまとめてご披露しようと思う。


2.デジカメのハイビジョン動画機能の進歩

2005年に、民生用ハイビジョンビデオカメラとしてHDR-HC1が発売された。これはDVテープに動画を保存するタイプで、解像度が 1440x1080 、再生時に疑似的に 1920x1080 見せるHDV方式だった。

2006年には、AVCHD方式のハイビジョンビデオカメラ HDR-SR1 が発売され、動画の保存はHDDに変わったが、解像度はこれも 1440x1080 で、疑似的に 1920x1080 に見せる方式であった。

2008年からは、フルハイビジョン動画を撮影できる AVCHD ビデオカメラが発売され、急速に普及していった。

2009年には、ハイビジョン動画の撮影できるデジカメが発売されたが、解像度は 1280x720 で、疑似的に 1920x1080 に見せる方式であった。

2010年には、フルハイビジョン動画が撮影できるデジカメが発売された。動画撮影仕様はビデオカメラと比べても遜色なく、重量は4分の1である。表1はこれまでに使用したハイビジョン動画撮影機種である。

●表1.ハイビジョン動画撮影デジカメとビデオカメラ


3.幼児の映像記録に最適

幼児の映像記録に、デジカメによるハイビジョン動画が優れている点を列挙してみる。

1)小さくて軽く高性能

デジカメが小さく、手のひらに収まり、軽く、高性能であることは、私が使ったカメラの仕様(表1)から、明白である。2009年発売のビデオカメラXR520と翌年発売のデジカメTX7では機能的に変わらないが、重量は4分の1に過ぎない。

 2012年より愛用しているTX300V

2)撮影環境が広い

カメラが小さくて軽いということは、撮影できる環境が広がることになる。狭い場所、高い場所や低い場所で、角度の制限少なく撮影できる。幼いこどもを同じ目線のローアングルで撮影するには小さな軽いカメラに限る。

3)撮影を意識されにくい

ビデオカメラは大きく目立ちやすく、撮られる側に意識されやすい。そうすると、自然な表情、自然な行動でなくなりやすく、映像記録として望ましくない。

その点、デジカメは小さいだけでなく、非常に普及しているので、撮られる側に意識されることが少なく、身構えられることも少ない。

4)携行しやすい

デジカメは手のひらに収まり、ポケットに入れて持ち運べるので携行性が高い。そのため、記録したい状態を撮り損なうことが少ない。

5)動き回る被写体を捉えやすい

幼児は動き回り、片時もじっとしていることがない。それを捉えるには、手のひらに収まるデジカメが最適である。

6)音声も同時記録され、データ量が多い

動画は同時に音声も記録される。撮られている側だけでなく、周りの者、撮っている本人の声も入る。これらが、記録された動画のデータ量を増やし、分析に役立つ。

7)動画からの切り出し画像が大きい

ハイビジョン動画が出現するまでのSD動画では、切り出せる静止画は 640x480 で、 L判で印刷するにも少し画素数が少なかったが、ハイビジョン動画から切り出すと、1920x1080 の静止画が得られ、L判はもちろん2L判でも充分な大きさである。

その上、PlayMemories Homeを使って切り出すと、 2304x1296 のサイズの静止画が得られる。これは、1920x1080 の20%増しの大きさで、より詳細な画像になる。

8)論文の根拠になる

幼児の行動を記録した生の動画クリップは、論文の客観的根拠になり得る。静止画と違って加工がし難く、加工の痕跡を残さないで置くことが難しいからである。


4.結果

1)論文の基礎データとする

「孫娘3歳までの成長記録」は、デジカメを使ってビデオ撮影をした動画を再生して、内容に説明文をつけ、それをデータとした。動画クリップ数:1178個、日数:84日。これに、動画撮影がなく、観察メモのある85日を加え、全部で169日の観察日とした。これは3年間1,095日の15.4%に当たる。

2)マスターファイルを作成する

動画は、これからはファイルとして保存する方向に向かうと考えられるので、BDに焼き付ける前の編集を終えた段階で、ファイルをマスターファイルとして保存している。現在ハイビジョン(AVC/H.264)で保存したマスターファイルは26個ある。

3)BD(Blu-ray)に記録する

孫の年別の行動記録、旅行やイベント鑑賞、参加など非日常的生活の記録をまとめ、編集してBDとして保存する。必要に応じてこれをダビングして複製する。ただし、将来は、BDを再生して視聴するよりも、動画ファイルを直接再生して視聴する方式が普及すると考えられる。

4)静止画を切り出す

デジカメだから、もちろん静止画を撮るのが本来の機能であるが、動画撮影に専ら使った場合でも、動画から静止画を切り出すことができる。

通常の切り出しでは、解像度は 1920x1080 で、これでもL判、2L判で印刷するに十分な大きさであるが、PlayMemories Homeを使うと、その20%増しの 2304x1296 のサイズが得られる。


5.デジカメ・ハイビジョン動画の作り方

1)機種の選択

これまで表1に示したデジカメを選択してきた。ハイビジョン動画撮影機能を最初に搭載した SONY のデジカメ TX1、フルハイビジョン動画撮影機能を最初に搭載した TX7、その後継機の TX100V、TX300Vを使ってきた。

現在はTX300Vを専ら使っている。これは生産終了となったが、同等の機能を持つ TX30 が2014年より発売されている。

2)日時の設定

これは使用する前に、分秒まで正確に設定しておく必要がある。

3)動画撮影前の繁用設定

仕様
AVC HD 28M (PS) 28Mbps 1920×1080(60p)  AVC HD 24M (FX) 24Mbps 1920×1080(60i)
AVC HD 17M (FH) 17Mbps 1920×1080(60i)   AVC HD  9M (HQ) 9Mbps 1440×1080(60i)

この内の、AVC HD 28M(PS)は、[60p] プログレッシブ走査で、この方式で記録した動画の保存や再生には、[60p] に対応した機器が必要になる。

それに対して、AVC HD 24M(FX)は、汎用性のあるインターレース走査 [60i] であり、その中で最高画質であることから、これを選ぶ。

4)静止画撮影前の設定

仕様
18M 4:3 4896x3672 10M 4:3 3648x2736  5M 4:3 2592x1944 VGA(0.3M) 4:3 640x480
13M 16:9 4896x2752   2M 16:9 1920x1080

静止画サイズは 10M 4:3 を選ぶ。10Mは10 MB = 10,000,000 = 1000万画素 。
4:3 を選ぶのは、写真用紙がこのサイズに近いこと、大きめのサイズを選ぶのは、トリミング、角度を変える、静止画から動画を作る場合などでサイズに余裕が必要だから。

私が使っているインクジェットプリンターPX-7Vに対応する用紙と必要画素数を表2に示す。通常、写真印刷は 2L判を使うので、5M で十分であるが、リサイズして縮小して使うことが多い。

●表2.エプソン系プリンターの必要画素数(ピクセル数)

5)撮影時携行するアクセサリー

予備用バッテリーを1個以上(通常2〜3個)、ズボンの右前ポケットへケースに入れて携行する。
AVC HD 24M(FX)設定で動画撮影時、使用可能時間は約40分である。


図1.バッテリーの残量表示

動画を連続撮影した場合、25〜29分で1/4(25%)になり、29分で一旦切れる(連続撮影可能時間)。
その後、再撮影をすると5分〜8分で温度上昇警告が現れ、画面が暗くなり、約1分で0/4(0%)となる。
撮影時間は合計40〜48分、1/4になって10〜14分で終了するので、その間にバッテリーを交換する。

ただし、連続撮影より短時間撮影の繰り返しの方がバッテリーの持ちが良いとか、寒冷地ではバッテリーの残量が速く減る、VBR方式が採用されているため、変化の多いシーンの撮影ではバッテリの消費が速いなど、バッテリー残量はいろいろの要因で変動する。

泊まりのある旅行ではチャージャー(専用充電器)、外国の場合は変換プラグアダプターも持参する。

そのほか、Micro SD 16GB を予備用に携行することもある。

6)撮影時の注意

左示指先を写しこまない、こどもの目線で撮影、水平線の傾きに注意、グラグラを避け、パンはゆっくり、撮影の前後に余裕を持たせ、撮影が終われば電源を切る。寒冷環境では、撮影直前までバッテリをポケット内で温めておく。

バッテリー交換は、残量が1/4になって10分後くらいを予想しておく。

7)撮影終了後のバッテリー充電

使用済みのバッテリーは、ケースに入れて、ズボンの左後ポケットに入れる。

撮影終了後、2個の充電器にバッテリーを装着して充電し、ランプが消えれば、ケースに入れ、充電器周辺に置き、充電済みであることを分かるようにする。カメラには充電済みバッテリーを入れておく。

バッテリー(リチウムイオン電池)を長持ちさせる方法は諸説あるが、経験的に以上のやり方で問題はなく、2010年製でも能力低下は分からず、2012年製と変わらない。

8)映像ファイルをカメラからPCに取り込み、分類保存する

「USB接続設定」が初期値の「オート」の場合、USB接続でカメラ内の動画をPCに取り込むと、ファイル名は、yyyymmddttmmss.MTS という撮影日時になる。

これを再生して失敗クリップであれば削除し、yymmdd01〜yymmdd99.MTSにリネームする。

このUSB接続で取り込んだ動画と静止画は、プロパティを見ると、属性の「読み取り専用」にチェックが入っている。動画の編集ソフトでは支障なく編集したものを保存できるが、静止画では編集後の保存が拒否される。

これに対しては、プロパティの属性のチェックを外せば、保存が可能となる。

9)映像ファイルのバックアップをとる

別のパソコンにバックアップをとる

10)動画より静止画を切り出す

動画編集ソフト(DV-7HD)で動画を再生中、1920x1080で切り出せる。
PlayMemories Home を使って切り出すと、2304x1296(1920x1080 の1.2倍)になる。

11)マスターファイルとして保存する

DV-7HDを使って動画の編集を終え、ファイル出力画面で「作品フォーマット(MPEG-2 TS 1080/60i 35Mbps)を選び、保存する場所を選ぶとレンダリングが始まり、書き出しが終わると動画ファイルが保存される。これを動画マスターファイル(MPEG-2)とする。

この動画マスターファイル(MPEG-2)を、TMPGEnc Video Mastering Works 5を使って動画マスターファイル(MPEG-4 AVC)に変換し、これを標準のマスターファイルとすることにした。

12)動画を編集し作品を制作する

マスターファイルからTMPGEnc Authoring Works 5を使ってBD、DVDを制作する。


6.まとめ

1)ハイビジョン動画撮影でのデジカメの有用性を述べた。

2)デジカメの活用法を、動画を中心にして実用的にまとめた。

3)デジカメによるハイビジョン動画を知ったことで、したいことが増えた。

4)孫の成長を、最新の技術を使い、できるだけ簡単な方法で、記録に残したいという欲求が常にあった。

<2014.11.27.>


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