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クラシック雑感

 飛鳥II世界一周 2007 DVD 制作余話

2007.11.17. 掲載
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長い間クラシックをじっくり聴いたことがない。今ふり返ってみて、クラシックに熱中していたのは中学、高校までで、大学の教養課程の2年間はもっぱらコーラス三昧だった。それでも、いくらかはクラシックも聞いていたような気はする。医学部の専門課程に進んでからは、ポップスがほとんどで、クラシックを時間をかけて聞いた記憶がない。

結婚をして、HiFiのオープンリールテープデッキを購入し、クラシックを聞こうとしたのだが、妻に嫌がられ、それからは、ほとんどクラシックを聞いていない。その時から数えても40年になるが、実際は50年くらいになるだろう。

手持ちのCDの枚数を調べてみると、約450枚中クラシックは約70枚で16%になる。しかし、その内の50枚は製薬会社がくれた広告入りのもので、自分で買ったのは約20枚、4%に過ぎない。

手持ちの音楽関係の書物は、本棚の音楽関係の21ブロックの内、3ブロックで14%を占めているが、その内の1ブロックはシューベルト関係である。だから、クラシック関係の書物も極めて貧弱である。

このような私が、生年順クラシック作曲家名をまとめて、Webサイトに掲載するようになったいきさつ、その過程で思ったこと、まとめてみて分かった面白いことなどを書いておくことにする。


1.クラシックに注目したいきさつ

これは、この度の世界一周クルーズが大きく関係している。この旅行の記録のメインは、ハイビジョンカメラによる撮影だった。そのカット編集だけは終えたが、BD(ブルーレイディスク)のプレーヤーが普及する頃までには、BGMや字幕、できればナレーションも付けたく思ってきた。そのBGMだが、ヨーロッパには歴史を感じさせる重厚な文化遺産が多く、BGMにふさわしい音楽はクラシックである、とためらうことなく思った。

はじめは、ハイビジョンの編集の際にBGMとして使うつもりだった。ところが、先月高校のクラス会で出席者に「世界の写真CD−R」を謹呈したところ、「これをDVDプレーヤーで見ることができないか、ワインを飲みながら、世界の景色を眺めたいのだが、」というメールを頂いた。

そのメールから、写真をスライドショーにして、DVDに焼くことを思いついた。そして、これに字幕とBGMをつければ、より効果的になるだろうと考えた。そこで、急遽、手持ちのCDを試し聞きしながら、クラシックの曲目をMP3ファイルに落として行った。もちろん、BGMとしてポップスも必要だが、こちらは慣れ親しんでいるので、かなり的を絞ってMP3化することができる。


2.「生年順クラシック作曲家名」を知りたくなった理由

MP3ファイルに落としたクラシックの曲が90曲を越え、その整理には曲名でなく作曲家名で行なうのが選択しやすく使いやすいことに気がついた。ところが、書籍もWebでも私が望む形の詳しい音楽史年表が見つからない。なければ自分で作ろうと思い、個々の作曲家について、主としてWebのWikipediaを利用して調べ、まとめて掲載する羽目になってしまった。今、Google で「作曲家名」のキーワードで検索してみると、約 106,000 件中 2位と5位でこの「生年順クラシック作曲家名」がヒットする。どうやら、まとめて掲載する価値はあったようだ。


3.MP3化する段階でクラシック曲を聴いて思ったこと

前置きで、40年から50年間クラシック曲から離れていると書いたが、それでも、かなり多くの曲を知っていることに驚いた。また、BGMに使うための選択という目的でクラシックを聴くと、クラシックも退屈ではなく良いものだと思えた。

そして、頭と心が若い時分に、むさぼるように熱中したことの痕跡は、4〜50年が過ぎても、はっきり残っているものだということを覚った。実は同じことを飛鳥II乗船中にも経験したのだった。コーラスの男声メンバーの多くが下船して、不足しているということで、頼まれてコーラスに加わり、次々と譜面を与えられたが、50年振りに見る譜面が、昔と同じ程度に読めるのだ。教養課程の2年間は授業にほとんど出ず、コーラスで歌って帰るという生活だった。専門課程に進んで、コーラスをピッタリ止めたが、この2年間の痕跡は、今でもはっきり残っていることになる。


4.「生年順クラシック作曲家名」をまとめてみて、分かった面白い事実

これまでの音楽史的な説明では、バロック、古典派、前期ロマン派、後期ロマン派、民族楽派、印象派などグループ分けされているものがほとんどで、生年順で並べられたものを見つけることはできなかった。なるほど、ジャンル分けすることで理解できることがらは多いかもしれない。しかし、時系列的に並べることで、時代の影響や、他の作曲家の影響を推し量れるわけで、こちらが基本であろう。

バッハ、スカルラッティ、ヘンデルが同い年、ヴィヴァルディも7歳年上に過ぎないとか、ロッシーニがシューベルトよりわずか4歳年上で、ベルリーオーズはシューベルトより5歳若いだけだとか、88名のクラシック作曲家の内1800年代(19世紀)に生まれたのは66名で75%という大半を占めているとか、知らなかったことがよく分かる。

ピアノ曲で有名なショパンとシューマンは同い年、リストも1歳若いだけだとか、歌劇では、ドイツ歌劇のワーグナーとイタリア歌劇のヴェルディが同い年、サラサーテとリムスキーコルサコフは生年も没年も同じである。

短命の作曲家を調べると、27歳で亡くなった「乙女の祈り」のバダルジェフスカは別として、31歳のシューベルト、35歳のモーツァルト、37歳のビゼー、38歳のメンデルスゾーン、39歳ショパン、39歳ガーシュィンなど、天才は薄命であることをつくづく思う。私の一番好きな作曲家シューベルトは、その中でも最も短命だった。これらの短命の作曲家に共通するのは何かと考えて、それは美しいメロディーではないかと思う。

国別で見ると、最初のころはイタリア、ドイツ、フランス、ウイーンが中心で、それに続いてロシア、北欧、東欧に広がるが、イギリスやアメリカなどアングロサクソン系は少ないように見える。実際に数えてみると、イタリア18、ドイツ13、フランス11、オーストリア8、スペイン8、ロシア7、アメリカ5、イギリス4である。ラテン系、ゲルマン系が圧倒的に多く、アングロサクソン系は極端に少ない。

その代わり、20世紀はジャズ、ロックなど英米が世界の音楽の中心となっているのは、どういうことだろうと考えるのも面白い。


5.将来クラシックを愛好するのだろうか?

現在は、BGMに利用するということが、差し当っての私のクラシックへの対応であるが、これを行なうことによって、クラシックをじっくり聴いてみたいという気持になるかも知れない。しかし、したいことが多くて、したいことができなくなった時のためにとっておくことになるのかも分からない。つまりは、DVD蒐集と同じことになりそうな気がする。


6.スライドショーはどうなったか?

7月半ばに帰国し、7月の後半をハイビジョン関係に費やした。8月から、ブログに載せた航海記を整え、これに写真を付けてホームページに掲載することと、写真集を同時に掲載することに専念した。9月には、写真データを分類し、「世界の写真」を作り、ホームページに掲載すること、CD−Rに焼いて電子出版することでPCの前に座りっぱなしだった。

10月に入って、高校のクラス会の幹事の仕事が終るまで、妻は我慢に我慢を重ねて来たらしい。ところが、それが終わっても、メールをもらうとまた別のことを始めた。次から次へと、したいことを思いつき、それに熱中するので、こらえきれなくなったのだろう、厳しい顔つきになったと思う間もなく、激しく落雷した。

考えてみると、妻の言う通り、帰国以来トイレと食事以外はほとんどPCの前に座りっぱなしで、外出することも少なく、外出しても早く帰ろうとする。私は良いが、妻はたまらなかったのだろう。笑顔が消え、厳しい顔つきになってきたことに気づきながら、自分のしたいことを続けてきた。

落雷は10月15日、その瞬間、落雷の意味を悟り、PCからキッパリと離れた。思い切りの良いのが私のとりえ、そして自分がするべきことに取り組んだ。それは、片付けである。年末年始の入院と手術、それに続く世界一周クルーズで、私の書斎も保管庫も無茶苦茶になっていた。廃棄処分すべきPC関連も増える一方だった。

片づけを始めると、これが面白くなって、これに熱中した。余りにピタッとPCを止めたので、妻は困惑し、少しはPCを触ってくれと懇願してきたが、こちらが今の私のしたいことだと分かり、納得したようだ。その結果、かなり使いやすいように整理ができて、私は嬉しいし、妻は私のPC没頭が減って喜んでいる。整理を終えたあとは、PCにも少しづつ向かいはじめ、とりあえずは、クラシックについてまとめておくことにした。

そう言うわけで、BGM、字幕付きスライドショーのDVDの作成は、大西洋で終わってしまっている。アメリカ大陸は残っているが、これはいつか作るつもりだ。作成済みのDVDは誰にも謹呈していない。差し上げるなら、先ず最初は、良いヒントをくれた高校のクラスメートだが、今は、ちょっとその気になれない。私にしては珍しいことだ。作り上げたときには「見て見て!」だが、その興奮はすぐに冷めてしまう。送り付けられる他人様はご迷惑なことで、まことに申し訳ない。

(2007.11.1.)

7.飛鳥II世界一周2007DVDを完成

あることがきっかけで、飛鳥II世界一周2007DVDを完成させる気持になり、(1)アジア・ヨーロッパ編と(2)北米・中米編の2枚のDVDに分け、それぞれに800枚の写真をスライド・ショー形式で収めた。それに使ったBGMと各チャプターの再生時間をここに記録しておく。


飛鳥II世界一周2007DVD BGMと再生時間

1.アジア・ヨーロッパ編:73分23秒

●飛鳥II世界一周クルーズ:6分19秒
1.神戸出港:八十日間世界一周(映画音楽)
2.飛鳥II内部紹介:サマータイム(ガーシュイン)
3.シンガポール:慕情(映画音楽)
4.マーレ:ひき潮(ポップス)

●エジプト・スエズ運河:8分52秒
1.アラビア海、紅海:オンブラ・マイ・フ(ヘンデル)
2.エジプト:牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)
3.ピラミッド:G線上のアリア(バッハ)
4.スエズ運河:アイーダ「凱旋行進曲」(ヴェルディ)

●地中海1:9分44秒
1.イスタンブール:samaria(ギリシャ音楽)
2.ボスポラス海峡:白鳥(サン=サーンス)
3.コンスタンツア:Adonis(ギリシャ音楽)
4.ピレウス、アポロ神殿:Alexis Sorbas(ギリシャ音楽)

●地中海2:15分19秒
1.ヴァレッタ:アダージョ(アルビノーニ)
2.リヴォルノ:交響曲イタリア第1楽章(メンデルスゾーン)
3.ピサ:コメ・プリマ(カンツォーネ)
4.エクス・アン・プロバンス:メヌエット「アルルの女」より(ビゼー)
5.マルセイユ:太陽がいっぱい(映画音楽)
6.バルセロナ:アストゥリアス(アルベニス)

●大西洋1:19分18秒
1.オポルト:暗いはしけ(ファド) 歌アマリア・ロドリゲス
2.ボルドー:カノン(パッヘルベル)
3.ヴェルサイユ宮殿:平均律プレリュード(バッハ)
4.パリの夕景:パリの空の下(シャンソン)
5.パリの街:オー・シャンゼリゼ(シャンソン)
6.ルーブル美術館:展覧会の絵(ムソルグスキー)
7.アントワープ:トロイメライ(シューマン)
8.ブリュッセル:シシリエンヌ(フォーレ)

●大西洋2:13分51秒
1.ロンドン:グリーン・スリーブス(イングランド民謡)
2.大英博物館:展覧会の絵(ムソルグスキー)
3.リヴァプール:ヘイ・ジュード(ビートルズ)
4.湖水地方:イエスタデイ(ビートルズ)
5.聖パトリック大聖堂:主よ、人の望みの喜びよ(バッハ)
6.ダブリンの街:ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡)

2.北米・中米編:66分43秒

●ニューヨーク:14分4秒
1.入港:交響曲第6番新世界より(ドヴォルザーク)
2.メトロポリタン美術館:展覧会の絵(ムソルグスキー)
3.ミッドタウン:マンハッタン(リチャード・ロジャース)
4.国連本部:ラプソディー・イン・ブルー(ガーシュイン)
5.出港:スターダスト(ホーギー・カーマイケル)

●中米・パナマ運河:14分46秒
1.ナッソー:ラ・パロマ(イラディエール)
2.プラヤ・デル・カルメン:Esperos(ギリシャ音楽)
3.コズメル:バリ・ハイ(リチャード・ロジャース)
4.パナマ運河:交響曲第3番第1楽章(ベートーベン)

●北米西海岸:21分48秒
1.カボ・サン・ルーカス:エストレリータ(ポンセ)
2.厨房見学:トゥルー・ラブ(コール・ポーター)
3.サンフランシスコ湾:想い出のサンフランシスコ歌(ポップス) 歌トニー・ベネット
4.ゴールデンゲート・ブリッジ:花のサンフランシスコ(ポップス) 歌スコット・マッケンジー
5.ピア35:この胸のときめきを(カンツォーネ)
6.フェリー・ビルディング:想い出のサンフランシスコ(ポップス)
7.世界一曲がりくねった坂道:真夜中のブルース(映画音楽)
8.ケーブルカー:雨にぬれても(バート・バカラック) 歌B.J.トーマス
9.ヴァンクーヴァー:カナダの夕陽(ポップス)

●アラスカ:16分5秒
1.BelaBela:四季から冬のラルゴ(ヴィヴァルディ)
2.鯨ウォッチング:愛の夢第3番(リスト)
3.スキャグウエイ:白い夜霧のブルース(ポップス)
4.ハーバード氷河:シャルメール(ポップス)
5.ブラックストーン氷河:タイスの瞑想曲(バッハ)
6.八十日間世界一周(映画音楽)


<2007.11.17.>

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