30年後のAZ−1の相場を予測する

 と、タイトルには書いたものの正確に予測できない。ただ、おもしろい例が存在する。AZ−1は4000台しか作られなかったが、かのトヨタS800も昭和40年から44年にかけてほぼ同数の3131台が生産されただけなのだ。このトヨタS800という車は、水平対抗2気筒800ccのエンジンを搭載した2シーターのライトウエイトスポーツである。屋根を取り外しタルガトップにでき、今で言うならカプチーノと性格を同じくするものであった。現在のS800の相場が200万円前半ということを考えると、30年後の相場を現在の価格に換算してこの程度の価値には上昇すると思われる(インフレと新車販売当時の定価の違いのことを考えると額面的にはもっとあがる)。ただし、これより上がるか・下がるか、大きくわけて2つの不確定要素が存在する。
 1つは現在の中古車価格。AZ−1は生産中止とともに極端なタマ不足となりかなりの勢いで価格が上昇している。この過熱現象が生産中止直後のS800にもあったかである。もしあったならば、同じような道をたどり上で予測した程度の価値に落ちつくだろう。しかし、もしなかったならば、そしてこの過熱現象が将来も続くならば、AZ−1はとんでもないプレミアがつくことになる。
 2つめは希少性の問題である。S800は生産された3131台のうち、現在600台〜1000台生存しているといわれている。あるものは事故で、あるものはオーナーの都合で一生を終えたものもあるだろう。しかし昭和40年前半の車であるため作りがわるく、シャシーが腐って自然消滅した車もかなりあると考えられる(実際S800はレストアしないとやってられない)。その点AZ−1は長寿であると予想される。ボディーがプラスチックだから絶対に錆びないし、メンテナンスフリーのエンジンに、たくさんトラブルが起こるとは考えにくい。そう、希少性が高くなりにくいのだ。この希少性の違いが相場にどう出るか。
 というわけでよくわからずじまいだったが、将来プレミアがつくのだけは間違いあるまい。しかし、この素人考えを鵜呑みにしてAZ−1を投機対象として購入して損しても、私は一切関知しない。