運用指針3 情報の分散化を阻止する

 情報の分散化とは、様々なHPができてしまうことで、いろいろな情報が各HPに分散してしまうことです。これにより各HPの内容が薄っぺらになってしまいます。またHPを見る者にとっても、「この情報はあっちのHP」「あの情報はこっちのHP」という具合に、非常に使いにくい物になってしまい、活気が失われてしまいます。ですからHPを運用する者としては、是非とも回避したい問題です。
 おもしろい例があります。Yahoo!には99年6月現在、AZ−1ビートロードスターという3種類の車のHPが計76ほど登録されています。ちなみにこれらの車はどれも二人乗りという共通点を持っていますが、生産台数はAZ−1が4000台、ビートが3万9千台、ロードスターが50万台と、ほぼ10倍づつ違っています。それらのHPのアクセス数を見てみると、99年6月現在で、最も生産台数の少ないAZ−1のHP(私のHPですが)のアクセス数が一番多く20万件以上、最も生産台数の多いロードスターのHPはどれもほぼ7,8万件程度で一番少なくなっているのです。4000台のAZ−1に対し、その約100倍の生産台数を誇るロードスターのHPのアクセス数が、AZ−1に負けるとはいったいどういうことなんでしょうか。単純に考えると、オーナーがAZ−1の100倍いるわけですから、2000万件のアクセス数があってもおかしくないはずです。


HPへのアクセス数と、自動車の生産台数、Yahoo!の各カテゴリにおける登録数の関係

生産台数と、Yahoo!への登録台数は対数軸。HPへのアクセス数が、Yahoo!の各カテゴリにおける登録数に反比例していることがわかる。

 実はこれが情報の分散化による活気の低下を具体的に示すものなのです。上記3車種のYahoo!への登録数を見てみましょう。それによると99年6月現在で、AZ−1は6件、ビートは16件、ロードスターは54件にもなり、生産台数に比例してYahoo!への登録件数が増えていることがわかります。しかし、登録されているHPの数に反比例して、即ち登録されているHPの数が多くなるほど、アクセス数が減っているのです。つまり、たくさんのHPが存在することによりHPを見る人が分散化し、その結果情報が分散化が起こり活気が低下するということです。このような状態では、何の情報の蓄積もできません。もちろん様々な考え方の人がいるからこそ、いろいろ分かれるのでしょうが、異なった考え方の優れたところ同士を取り入れて発展することを議論する共通の土台(HP)がないため、発展できないでしょう。事実、ロードスターのHPでは、各HPが何の連携もなく単にドライブしたり車を並べて喜んだりしているだけで、意味のない活動を繰り返しているという状況にあります。活気が失われているというか、発展性がないというか、悪い見本といえるでしょう。そもそも「企業の大合併時代」と呼ばれる現代において、細かく分散してしまうという状況は、明らかに時代に逆行しているのです。このことから考えても、インターネット上で発展するには、情報の分散化を避けることこそ最重要ポイントであると考えています。
 では情報の分散化を阻止するためにはどうすればよいのでしょうか。「新しいHPを作るんじゃない!」と喧伝することでしょうか。残念ながらそればできません。HPを作ることは個人の自由なのです。それを妨害することは許されません。しかし、1つだけ有効な手段があります。それは先ほど述べたコンテンツの充実を図ることです。というのは、コンテンツが充実・緻密に網羅されると、他の人が後からHPを作ろうとしても内容が重複してしまうため、そのHPには何の存在意義も見いだせず、物事を合理的に判断できる人ならば、新たなHPを立ち上げることは考えないためです。従って、情報の分散化をくい止めることができると同時にあなたのHPには情報が集積し、リピーターの人も日を重ねるごとに増えていき、ますます繁栄することとなるでしょう。
 ちなみにAZ−1のページでは、この実践によって発展しているのです。