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募金について思うこと

震災で被害を受けた人たちにどのような支援が可能になるかと考えた時、我々が個人として出来ることには例えば、物資の提供、労力の提供、知識や知恵の提供、技術の提供、精神的なサポート等色々考えられますが、その中の代表的なものが「寄付」つまりお金を提供することでしょう。

その中で確実に現地の人々が自分に必要なものに利用できるという意味でお金は最も確実な応援の在り方の一つでしょう。

ここで、考えてみたいのは寄付をするとしてどこに(どの団体に)するのかということです。詐欺的団体に騙されるのは論外ですが、しっかりした団体でも今回の震災に対してたくさんの団体が募金先として名乗りを上げています。
その中のどこに寄付すればいいのでしょう。
具体的には、各テレビ局、新聞社、地元の自治体、社会福祉協議会など思い浮かぶだけでも色々考えられます。
では、例えば、テレビなら何チャンネルの局に、新聞なら何新聞に寄付したらいいのでしょうか。その違いはどうなっているのでしょうか。そもそも違いがあるのでしょうか。

この「違い」に関心をもって寄付先を考えてみましょうということが今回の「思うこと」です。

詳しく各団体の募金のお願いの案内を見ているとその使途が見えてきます。以下は、いくつかの団体の使途についてインターネットで調べて見ました。
(四月初旬のある時点で調べたものですのでその後の配分先の変化はあると思います。あくまでもある時点での参考資料です。また、インターネットでざっと調べて見つかった範囲の団体ですので、落ちている団体等お許しください。他意はありません。また、局名等は関西系です。)

毎日放送系列 : 日本赤十字社
関西テレビ系 : 日本赤十字社
テレビ朝日系列 : 岩手県 宮城県 福島県 日本赤十字社 ジャパン・プラットフォーム 国連WFP協会
読売テレビ系 : 皆様からお預かりした募金は、すべて被災された方への支援や復興に役立たせていただきます

京都新聞 : 被災自治体の災害対策本部
朝日新聞 : 日本赤十字社 宮城、岩手、福島、茨城の各県社会福祉協議会
読売新聞 : 岩手県(災害義援金募集委員会)、宮城県(災害対策本部)、福島県(同)、茨城県(共同募金会)および中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動支援のための募金」

ヤフー : 日本赤十字社

ローソン : 日本赤十字社
ファミリーマート : 日本赤十字社
セブンイレブン : 国内外から寄せられました義援金は被災された県へお届けします。



これらの情報から分かることとして、一つは具体的に寄付金の配分先が事前に明示されている団体もあれば、必ずしも事前にはやや抽象的で明示されていない団体もあるということがあげられます。寄付するときにこの配分先まで注目することは大切でしょうね。
また、配分先が明示されていない団体は曖昧だともいえますが、必要に応じた配分が可能ともいえるかもわかりません。このような場合には事後の報告(どのような団体にいくら配分したか)をしっかり注目したいですね。



二つ目に分かることは、「日本赤十字社」へ届けるという団体が多いということですね。
言い換えれば、別々な団体に寄付したつもりでも結果的には日赤に集約されることが多いわけです。そして、日赤のページを見ると
「この義援金は、今後、被災県で設置される義援金配分委員会に全額が送金され、同委員会で定める配分基準により、被災された方々に届けられます。」とあります。
また、中央共同募金会(赤い羽根のところ)についても
「お寄せいただいた義援金は、各行政に全額お渡しします。そのうえで、関係機関で構成される義援金配分委員会によって配分が決定され、被災されたみなさまの生活再建のために直接届けられます。」とあります。

つまり、いろいろな団体に寄付したお金はその多くが日赤などを通して県の「義援金配分委員会」に届き一人ひとりの被災者に配分されるということになるようです。

確かに、ばらばらに、各新聞社等が自分達の分かる範囲でそれぞれ募金を配分したりしていたら、重複があったり、逆に漏れがあったりして大変ですものね。一人ひとりに届けるためにこそ統括的な組織が必要になってくるんですよね。(福祉系の勉強している人は歴史に出てきたCOSなんかちょっと思い出しませんか。)

                  参考になりそうな記事
                   産経新聞<将来リンク先消えるかもわかりません。
                                         その時はごめん>
                   ○過去最高の義援金どう配分? 「早く届けたいが、公平性も…」



ここまで見てくると、もう一つの募金先がでてきます。

つまり一人ひとりの被災者に平等に届けられる義援金とは別に、ボランティア等被災地支援をしているNPO等の団体に寄付をするという考え方です。

今活動している人たちを支えようとする考え方、後方支援ですね。
上に挙げられているので言えば、ジャパン・プラットフォーム 国連WFP協会等ですね。

例えば、
http://www.jpn-civil.net/support/contributions/post_2.html
このページなんか参考になりますね。
ここでいう、「義援金」と「活動支援金」の違いですね。
そして、活動支援金にも、配分型と個別寄付型があるんですね。


当然、どちらに寄付するのが正しいといったことはありません。
ただ配分先までしっかり知って、寄付するようにできるといいですね。

そしてその時に「活動支援型」の寄付も可能性に入れてみるとぐっと選択肢が増えてくると思うのです。またインターネットで公募しているような大きな団体でなくっても、地元のボランティアグループが被災地支援に入る、その時の活動支援の寄付をそのグループにするというのもありだと思うのです。
身近なグループの支援も含めて考えてみてください。(ただし、この場合も寄付金が私的な用途に使われたりしてはならないのは当然です。報告等をしっかりと確認していきたいですね。)



「今」現地に行くことについて1104090501

0501
下の文章(0409)から3週間たちました。
このゴールデンウィークにたくさんの仲間たちが現地に関わってくれることと思います。そして皆が全国に戻り仲間たちに発信し、事実や思いを共有してくることでしょう。
実は今日、親ページで「助け合いジャパン」のサイトへのリンクをはる作業をしていて僕のこのページより前の0407時点のとても素敵なメッセージを紹介し損ねていることに気づきました。
「慎み深さゆえの見合い」を越えて(湯浅室長より)です。ぜひ、ご覧ください。

まさに、僕が0409で言いたかったことはこれと重なりますよね。すみません。

少し長いですが、そしてそれでも一部なのですが湯浅さんのメッセージの一部を以下に引用すると、
日本人は「人様に迷惑をかけない」という道徳意識がとても強いと言われます。頼む側も頼まれる側も「迷惑をかけたくない」という意識が強くなると、そこに必然的に「見合い」が生まれます。
しかも今回のような災害時には、頼む側と頼まれる側がはっきりと分かれています。日常的に頼み頼まれるという互酬的な関係が成り立っているならまだしも、頼む側と頼まれる側が固定しているとき、両者はそれゆえに「相手に迷惑をかけたくない」という思いを強くし、それだけ「見合い」が起きやすくなる——そんなふうに感じます。それが個人間でも、行政間(自治体同士、市町村と県・国)でも起こっている。ボランティアに対しても同様ではないか。
私は、だから相手に対する配慮を忘れましょう、と言いたいわけではありません。配慮は必要です。他方で、配慮が強すぎれば「見合い」になってしまうし、どれだけ配慮した上で行動しても結果的に行き違いになることは、特に現在のような混乱状態の中ではいくらでもある。必要なことは、それぞれが「そういうこともある。そういうもんだ」と自分で納得し、相手もそう思ってくれるだろうという信頼感を相互に持ち合うことではないか、と思います。
ぜひ、全文をご覧ください。
どうか、皆さんこのメッセージを大切に関わりをもっていって下さい。

0409
今(=震災から1カ月弱)の段階で、被災地にボランティアが行くことには否定的な意見が多いようです。「役立つどころか迷惑だ」との声も聞かれます。
被災地にボランティアとして押しかけて来て、ただでさえ不足している食料や寝場所を侵害していった人たちの話も聞かれました。
確かに、現地が無秩序で無防備なただ善意のみの外部の人を、大量に調整して受け入れる余裕がないというのも事実でしょう。
例えば、この文章を書いている時点でhttp://www.jpn-civil.net/support/volunteer/post.html を参考に、東北各県の災害ボランティアの募集状況をチェックしてみると、市町村内在住者か通える人にボランティアを限定しているところがほとんどです。後は、新規申し込みを受け付けていないか団体のみ受け入れるといったところがちらほらと言ったところでしょうか。(事前にご確認くださいといった形で外部の個人にも受け入れの可能性を見せているところも皆無ではないですがとても少ないです。)

また、現地に行くというボランティア以外にも様々な出来ることがあるではないかと言う意見は全く正しいです。(これは全面的に賛成です。)
例えば、募金、物資の提供から始まって、情報提供も、こちらで生活の場所を提供する(受け入れる)ということもありでしょう。これは本当に検討していきたいですね。そして受け入れた人々を支える活動は今後とても重要になってくると期待します。
「今自分にできることは何か」という視点で考えていくことは大切だと思います。

ただそれらを承知の上で、あえて論ずるならば、「それでも現地に行くボランティアだってありだろう」と思うのです。
迷惑になっちゃ元も子もないのは確かです。今自分が生活しているところでできることだっていっぱいあるはずだしそのことを考えていかなきゃいけないのも確かです。(前者は当たり前!です。そして後者はとても魅力的!です。)

でも、今ここでできることをしていくことと同じ程度に、現地の人たちに直接何か出来ることがないだろうかと感じる人がいてもいいと思います。行けるものなら現地に行きたい。何でもいいから必要とされることをしたい、と感じることを我儘とは言えないと僕は思うのです。実際いくかどうかは別としてそのような思いをもつこと自体を「はた迷惑な悪い事」のようには感じないでほしいと思うのです。

阪神淡路大震災の時に同志社の福祉学科では学生たちが自発的に救援グループを作り現地に関わってくれました。途中からはある程度組織的な活動が始まったのですが、一番最初に同志社福祉の現役学生で現地に出て行った人たちは、教員から見ていわゆる優等生では必ずしもありませんでした。授業態度や教員との関係ではどちらかと言うと「良い子」ではない学生たちが先ず、現地に飛びだして行ってくれたのです。
その時、優等生たち(あえて不適切な表現を使います。そして僕はここで好意をもって使っています。)は、「現地の迷惑になるのではないか。」「本当の現地のニードはなんだろう。」「我々は何が出来るのだろう。」と身動きがとれずにいました。
実は当時も「現地に入ることは迷惑」とは言われたりしていたのです。そして、そのことが真面目な学生たちにとって、何か行動を起こしたいと思うことを躊躇ってしまうような状況を作っていた気がするのです。
しかも、阪神淡路の時は「迷惑だし無理だ論」が比較的早い段階で収まっていったのが、今回はもっと長く続いていく気がするのです。(もちろん状況が違うからではあります。)

「迷惑かけたらあかん」のは当たり前。でもそのことと、「迷惑かけるの心配だからしたらあかん」というのとは違うと思うのです。
被災地の現実に共感し、繋がっていきたいという思いが、「迷惑・邪魔論」よって委縮してしまうことを恐れます。

現地に入り、ニードをもつ人々に関わりたいという思いをもっている人、どうぞ、その思いを長持ちさせてください。いつか時が来ます。
少しずつ受け入れ態勢が整ってきていますよ。

要は、関心をもち、関わりたいという思いを恐れないでほしいのです。
そして、様々な選択肢を大切にして欲しいのです。

Newsweek日本版の413日号に「ボランティアは押しかけていい」という記事があります。
インターネットでは同名のタイトルのインタビュー記事があります。

当然、極端すぎるという議論は出ますが、参考になります。


今ここでできること110609
上で、「今現地に行くこと」は決して無謀でもおかしいことでもないと思うことを四月の文章でも五月の文章でも書きました。今もそう思います。(0409,0501)
そして、いよいよ四月の文章に書いた、
「また、現地に行くというボランティア以外にも様々な出来ることがあるではないかと言う意見は全く正しいです。(これは全面的に賛成です。)
例えば、募金、物資の提供から始まって、情報提供も、こちらで生活の場所を提供する(受け入れる)ということもありでしょう。これは本当に検討していきたいですね。そして受け入れた人々を支える活動は今後とても重要になってくると期待します。
「今自分にできることは何か」という視点で考えていくことは大切だと思います。

という段階も来始めたように思います。

実は、関西にいる我々は、震災当初から「こちらに避難してこられる人たちを支援できるのではないだろうか」と考えていました。公営住宅を利用される方もそうですし、各種福祉施設にも大量に入ってこられるのではないか、そしてその部分を支援できるのではないかと僕たちは考えました。
しかし、予想以上に(そしてそれは気づけば当然のことでもあったのですが)被災した人たちの現地に留まりたいという思いが強く、募金や物資を送るといったこと以外の関わり方が表に見えにくい状態が続いていました。(もちろん頑張っている人や組織もたくさんあるのですが)

例えば、京都ではついに「県人のつどいin kyoto」というプログラムが、京都災害ボランティアセンターによって行われます。
0612が第1回ですが、今後も継続的に続けられるそうです。
当日は、福島県、宮城県、岩手県の職員・県人会の方をお呼びしての情報交換や、京都に避難されている方を対象としたボランティアのマッチングを実施します。また京都へ避難されているみなさまが自然とつながり、京都での暮らしを楽しんでいただく為に、茶話会の開催や、なんでも相談、家財・物資など提供可能な物資を展示したブース等を設けます。京都に避難されているみなさまや、支援物資をご提供いただけるみなさまのご参加をお待ちしています。
とのことです。

いよいよですね。色々な可能性が広がると思います。