日記:バックナンバー


2004年2月


2004年2月1日(日) 晴れ :酒と録画の日々
 目覚ましは十時にセットしたのだが、起きたのは十一時近く。休みの日にスヌーズ機能付の目覚ましを使ったってムダ、という事である。
 朝食は定番のフレンチトースト。
 食べながらアバレンジャーを見る。一時はどうなるかと思ったが、ちゃんと最終回に向けて盛り上がっている。俺様的には、仲代ミコトが「良い人」になっちゃわなかったあたりを評価したい。仮面ライダー555の草加もそうだが、きっつい奴はきっついままを貫いて欲しい。その点で今年はライダーも戦隊もオッケー。
 そのまま流れで仮面ライダー剣(ブレイド)に。こっちは先週2ちゃんでオンドウル祭りが起きていたが、今日もまた見事なオンドウル語っぷり。
 てな事を言っていたら、クウガのグロンギ語みたくアンデッドもオリジナル言語を喋っている。しかもカリスはそいつと会話してるし。なんか、カリスの方がカッコイイぞ。いっそ来週から「仮面ライダーカリス」にしてはどうか。

 その後、グランセイザー・セーラームーンとノルマをこなす。HDD-DVDレコーダーを買ってから、毎週録画が極端に増えた。ざっと三十番組以上を毎週録画している。平日はそうそう見ているヒマがないので、どうしても週末にまとめて見ることになる。中には、見ることもせずDVD-RAMに突っ込むだけのモノも。金色のガッシュなど、もう十話近く見ていない。
 今日もレコーダーのHDD整理に追われる事になった。中でも、ドールハウス三話分のビットレート変換が時間を食った。この作業は高速ダビングと違って実時間が必要なため、三話分だと二時間半ぐらいはかかる事になる。もっともその間、こっちはPC部屋にこもって別のことをしていたが。

 そのPCが何だかヤバい。起動すると電源あたりから強烈なビビリ音がする。音のするあたりを指でグッと押さえると、音がしなくなった。電源の冷却ファンがいかれているのだろうか。ここんとこ貧乏なので、PC買い換えなんて事は勘弁して欲しい。

 昼食は、昨夜の鍋で残った汁を使ったうどん。出汁がタップリと出ていて、美味い。一気に食って、ツユまで飲んでしまう。高血圧気味だというのに、困ったもんである。

 CLIEのバッテリーを放電させるために LAST EXILE のサントラを聴きつつ、ベクターで日記を公開するのに便利なツールはないかと探す。貧乏人なのでフリーソフトに限定。古いソフトなどは作者の個人ページが消滅しているものもある。今でも作者のページがあって、ある程度自由がきいて、本体以外にVBだのMSデータアクセスだのをインストールしなくても良いもの……。色々うるさいと思われそうだが、それだけ「もう作者のページがない」「簡単だと自由がきかない」「本体以外にVBだのMSデータアクセスだのをインストールする必要がある」ソフトがゴロゴロしている、という事である。
 最終的に、Fumy Web Diary というソフトを使うことにした。過去ログページなどは自分で作る必要があるが、それでも以前のように全てのHTMLファイルを自力で書くよりはマシだろう。

 晩酌のオツマミはキムチチャーハンとカレーチャーハン、ハンバーグ、蟹かまサラダ、それに数の子のわさび漬け。
 仮面ライダークウガの十話を見ながら。息子が最近、クウガを気に入っているらしい。これだって放送が始まった当初は「子供番組らしくない」「話が複雑」などと言った批判があった気がするが、今こうして見てみると「いやー、シンプルな仮面ライダーだな」という気がするから不思議。わずか四年、されど四年。
 登場人物が持っている携帯のほとんどがストレートタイプというのも、555とは違っている。今じゃほとんどの携帯が折り畳めたりねじれたりするから。

 何の気ナシに女房に LAST EXILE の一話を見せたら、すっかり鷲づかみ状態。そのまま一気に六話まで見てしまう。本当は録画しておいた新撰組を見る予定だったのだが、こっちは期待したほどでもなかったのでパス。

2004年2月2日(月) くもり :真っ白に……
 夜中の三時頃、腹痛と吐き気で目が覚める。喉元まで酸っぱいモノがこみ上げてきているのだが、気合いでそれを飲み下して強引に眠る。
 朝になると、腹痛は多少マシになってはいるものの、それでもやはり痛い。仕方がないので今日は一日休むことにした。
 職場に電話をかけ、休む事を伝える。

 先週の木曜日ぐらいから、食後三時間もすると猛烈に胃が痛くなる症状が続いていた。何かを食べると痛みが治まるので、とにかく何かを腹に詰め込む。ダイエットしようとしている最中にこんな症状が出るのでは、呪われているとしか思えない。何だか、BSE騒動で牛丼が売れなくなる事への打開策として鶏肉丼を開発したら鳥インフルエンザが流行したみたいな感じである。

 寝てるだけでは治るとも思えなかったので、近所にある内科と小児科が一緒になった病院へ行った。小児科もやっているせいか、それとも病院はどこもそうなのか、待合室はまるでイクラの軍艦巻きみたくミチミチ状態である。しばらく待たされることを覚悟していたのだが、十分かそこらで名前を呼ばれた。

医「どうしました?」
玲「食後三時間ぐらいで、猛烈な空腹時と同じぐらい胃が痛くなるんです」
医「じゃ、そこに横になって」
 言われるままに診察台の上に寝転がる。服の裾をあげて腹をさらすと、医者が腹部に手を当てて少しずつ体重をかけてくる。
医「力を抜いてくださいね」
 ところがこの時私は、猛烈な尿意に襲われていた。こんな膀胱パンパンの状態で腹を押されている時に、力を抜いたらどんな悲劇が待ち受けていることか……。しかし、脱力しないと不自然に思われる。
 やむを得ず、胃の上あたりを押されたときにちょっとだけ痛かったのを、大げさに訴えることにした。
玲「あ、痛たたた……。そこ痛いです」
医「ん〜、胃潰瘍かな〜」
玲(かな〜って……)
 もし誤診だったとしても、文句は言えない。

医「とりあえず、胃の検査をしましょう」
玲「はい」
 てな事で、その病院には設備がないので別の病院への紹介状をもらえる事になった。
 待合室でホゲホゲしていたところを、看護婦さんに呼ばれる。
看「胃カメラって言われました?」
 胃カメラとは、やたらと怖い話が聞こえてくるあの胃カメラの事だろうか。体験者の話を聞くと誰も彼もが「苦しくてねぇ」と言う、あの胃カメラだろうか。
玲「あ、いや……。胃カメラとは言われてないですけど。単に胃の検査って」
 私としてはこの「胃カメラとは言われてない」という部分で切実な気持ちを読みとって欲しかったのだが、どうやらそれは無駄な努力だったらしい。
 看護婦さん、ちょっと奥に引っ込んでからまた出てくると、こう宣告した。
看「胃カメラですね。明日の午前九時半からの予約となります。今日の午後九時以降は、何も飲んだり食べたりしないでください」
 あぁ、胃カメラ……。苦しいんだろうな。そう思うだけでもう、胃潰瘍になりそうな気分だった。

 病院で渡された説明書を読み、ついでにWebで胃カメラの事について調べたりする。いやはや、悶絶七転八倒している体験記とかがあり、否が応でも気分が盛り下がる。
 喉の麻酔を使うので当分は車の運転が出来ないとか、喉の周囲が麻痺しているので術後一時間はヨダレもうかつに飲めないとか(間違って肺に入っちゃったりするんだそうだ)、色々と書かれている。
 明日も休むことになるので、職場にそれを伝えるために電話をかけた。
 電話に出たのは、私の席の近くにいる同僚だった。
玲「玲ですけど。課長います?」
同「すみません、良く聞こえないんですけど……」
玲「あーのー、かーちょー、いーまーすー?」
同「あ、ちょっとお待ち下さい。今替わります」
課「ども」
玲「あの、明日胃カメラを飲むことになりまして」
課「はっはっはっは」

 なぜ笑う?

玲「それで、明日も休むって机に書いといて欲しいんですけど」
課「え? 良く聞こえないんですけど」
玲「あーしーたー(以下省略)」

 良く聞こえないのは、職場の電話に問題があるのか、それとも我が家の電話がおかしいのか。何にせよ、相手に悪気がないと分かってはいても「良く聞こえない」と言われると気分が悪い。何でだろう。

 昼は卵かけご飯にシラス干しとキュウリの浅漬け、わかめとエノキの味噌汁。
 昼食を済ませた後、前日の日記を書く。トップページに本文を載せるのは昔からのスタイル。結局このページ、タイトルが変わるだけで中身はずっと同じなのである。
 サーバーにファイルをアップしてから ReadMe! に登録してあるページタイトルを変更しようとしたのだが……。ReadMe! のサーバーにトラブルがあったそうで、登録してあるタイトルが変更できない。となると、更新報告を出すと昔のタイトルが出てきてしまうわけだ。ん〜、それはイヤだな……。
 仕方がないので、更新報告の時に書き込みが出来るコメント部分に新タイトルを書いて乗り切ることにした。

 そしてサーバーにアップした自分の日記を見てびっくり。いきなり日付が間違ってるよ。
 慌てて修正版をアップする。やはり久しぶりだからか、リハビリが必要なようだ。

 夕方のニュースで、「センターGUY」なる不思議な生物の特集をやっていた。
 ガングロ女子高生みたいに肌を焼いて、化粧をし、女子高生の服を着て渋谷センター街を闊歩する青年達がいるらしい。それがセンターGUYなのだそうだ。確かに気持ちの悪い生き物だが、一番最初にやった奴はたいしたもんだと思う。
 しかし体力的にはボロボロのようだ。スポーツジムにセンターGUYを連れ込んで体力測定をしたら、酷い結果に。彼らを見るインストラクターの目が、病人を見るようだったのが印象的だった。ジムの人がまともな身体に戻るためのアドバイスしていたが、女モノの服が着れなくなると言われると「それは譲れません!」と即時却下なセンターGUY。早死にするぞ。とか言われても、十代の頃は実感わかないんだよな。我々のように四十の声を聞いて、身体のあちこちに不調を感じるようになるとやっとそこで「死」というモノが実感できるようになってくるんだろう。

 晩酌を九時までに終わらせなければならないので、六時半頃から飲み始める。胃カメラを飲む前日だというのに晩酌するあたり、我ながらバカかも。つまみはお稲荷さんとホッケの焼いたの、それにカニ蒲鉾サラダとシュウマイ。

 アニマックスで、初代ガンダムの第一話をやっていた。
 何だか、音声がヘン。アムロやフラウボウの声は大きいのに、テム・レイだの死に損ない艦長の声が小さくて聞き取りづらい。しかしTV版だから映画版みたく音声リニューアルしたわけじゃないはずだし。リモコン片手にたえず音量を大きくしたり小さくしながら見ていたので、疲れた。

 十二時頃、水も飲めないんじゃ起きててもしょうがないので寝ることにした。何だか、減量中のボクサーみたいな気分である。

2004年2月3日(火) くもり :胃潰瘍ではなかったが……
 朝、息子の「それじゃ行ってくるね」の声で起こされた。どうやら両親がちっとも起きてこないので、自分で朝食を用意して食べたらしい。なんと不憫な……。と言うか、駄目っ親っぷりを発揮しすぎな俺様である。

 今日は胃カメラを飲むので朝から断食断水。それでも昨日食った分が出るのでトイレへ。その時ついうっかり、一条ゆかりの「女ともだち」を持ち込んだのが良くなかった。すっかり夢中になり、肛門が乾燥してひび割れるまで読み込んでしまう。気が付けば、予約時間まであとわずかである。慌てて尻を拭き、着替えて家を飛び出す。

 前日にさんざん恐ろしい話を読んでいたのが逆に効いたのか、あまり恐怖感はない。病院の受付で紹介状を渡し問診票を書き込んで、静かに待合室で順番を待つ。
 ふと目に入った本棚を見ると、新書版サイズのゴルフ関連本がずらっと並んでいる。これは院長の趣味が反映されているのだろうか。そういえば八潮団地に住んでいる頃に通っていた歯医者では、待合室につのだじろうとさいとうたかをのマンガがそろえてあったっけ。あの歯科医はきっと、ひらがなペンネームな人が好きだったのだろう。

 自分の番になり、診察室に入る。簡単なやり取りのあと、診察台の上に座らされた。
 まずは「胃の内部にある泡を取り去る薬」というのを飲まされる。白濁した液体で、なんとなく子供用風邪薬を思い出す。それを飲み下すと今度は、喉の麻酔である。細長いノズルがついた霧吹きを使って、喉の奥に何度も麻酔薬を吹きかける。喉の奥というのは、霧を吹きかけられる程度の刺激でも吐き気がするらしい。シュッシュッ、オエッと、なんだかリズミカルである。オェッとなるたびに、直前に手渡された肝臓型プールみたいな容器に、ダラダラとヨダレを垂らす。唾液を飲み込んでしまうと、さっき飲んだ薬が無効になってしまうのだそうだ。
 三回ほどシュッシュッオエッを繰り返すと、しばらく横になっているようにと指示される。麻酔が効くのを待つのだろう。その間、頬に押し当てた肝臓型容器の中にダラダラとヨダレを流し込む。不思議なもので、こうしてヨダレを垂らしているとただそれだけでもう、人間として駄目になった気分になる。
 しばらくして看護婦さんがやってきて、カメラを飲む時の苦痛を和らげるために鎮静剤を打つとの説明があった。左腕、肘の内側をさすられる。しかし私の腕は血管が分かりづらい作りになっているらしい。これはもう小学校の頃からで、私に注射や点滴を打とうとする医師や看護婦はみな、その技術を試されるハメになるのだった。かつて盲腸で入院したときは、フロア中の看護婦がこぞって挑戦し、敗れ去っていった。頭に来た婦長さんが病院内で最も細い針を持ち出したがやっぱり駄目で、最期には外科医が登場し、やっと正しい位置に点滴の針が埋め込まれたのだった。
 今回も案の定、血管の位置が分からないらしい。こすったり叩いたり、しまいにゃ蒸しタオルで暖めたりしたが、やっぱり血管の場所が分からない。こりゃ最細針の登場か、と思っていたのだが、その予想はアッサリと裏切られた。

看「腕の血管、分かりづらいですね。仕方ないので、手首に打ちます」

 思い切りの良い看護婦である。もっとも、自分が痛くない限りにおいては誰だって思いきりが良くなりそうではあるが。

 看護婦さんは私が抗議する余裕も与えず(麻酔で舌が回らなくなっているから、抗議したくても出来なかったが)、左手首親指側の骨がゴリゴリしてるあたりにブスッと針を刺した。いやはや、痛いのなんのって。注射や点滴の針を刺すときに、肉がタップリある部分を選ぶのはこういう事だったのか、という真理を見いだした。ついでに言うと、戦争中に特高警察に捕まった共産党員みたいな気分である。

 しかし、さすが鎮静剤である。あっという間に頭がボーッとして来る。気分もゆったりした感じになり、胃カメラぐらい楽に飲み干せそうな気がしてくる。ただし、手首は相変わらず痛い。

 マウスピースをくわえさせられ、医師がやってきていよいよ、という段階になる。
 この時点でもう、私はほとんど寝ていたような気がする。途中で二回ほど、グリッと胃カメラを押し込まれた時に猛烈なゲップが出たような気がするが、後は何も覚えていない。世間一般で聞く話では、医師の説明と共にモニターを見せてもらえるはずなのだが、そんなの全然ナシ。
 ふと気が付けば点滴の針が抜かれ、胃カメラも引っこ抜かれ、全てが終わっていた。そして、検査中の記憶が何もない。
 どうやら私は、とても苦しいと言われている胃カメラでの検査中、ずっと眠ってしまっていたらしい。
 何だか微妙な気分である。ありていに言えば、ソンした気分。
 まぁ、苦しくなかったから良しとするか。

 検査の結果、胃潰瘍ではなく十二指腸潰瘍である事が判明した。あと、ピロリ菌がいる可能性があるらしい。
 十二指腸潰瘍については、前に一度かかって治癒した痕跡があるという。そう言われても、当人にはそんな治療をした記憶が、さっぱりないのだが。
 ピロリ菌の検査は、まず検査用の袋に息を吹き込む。そして薬を飲んで二十分待ち、もう一度別の検査用袋に息を吹き込む。検査結果が出るのは一週間後だそうだ。

 撮影した写真を受け取り、昨日行った病院へ向かう。そして今後は、今日行った病院の方で治療するという事になった。
 診察が終わるとき、せっかくだからその胃カメラの写真を携帯のデジカメで撮らせて欲しいと頼んだ。そうしたら医師は「じゃ、あげます」と言ってそれを封筒に入れてくれた。何でも言ってみるものである。
 というわけで、これが私の十二指腸である。


2004年2月4日(水) 晴れ :ちょ〜セクハラ
「しっとりと濡れたピンクのヒダヒダが写った写真を見たくはないかね? その奥にある穴ぼこまで、くっきり写ってるぞ」
「やめて下さいよ、気持ち悪い」
 昨日もらった胃カメラの写真を持って職場に行ったのだが、職場のメンツに見せる前から不評である。なぜだろう。せっかく、期待感あふれる紹介文まで考えたと言うのに。やはり、一昨日の時点で胃カメラを飲む事を職場に連絡したために、何の写真かばれているのが敗因か。
 せっかく勇気を振り絞って医者から巻きあげた写真だと言うのに、誰も見たがってくれない。悔しいので、ペーパースタンドにはさんで自席のPCの上に置いとく事にする。これなら通りかかった時にイヤでも目にする事になる。ざまーみろ。
 それにしてもこの写真、心底不評である。通りがかりにこの写真を見た人全てがこういうのだ。
「それ、置いとくだけでセクハラですよ」
 もはや私の十二指腸は、存在そのものがセクハラになってしまった。

 昼食は社員食堂で、とろろ納豆をかけた発芽玄米とひじきの煮物、それに味噌汁。ちなみにとろろと納豆はそれぞれ別売りだったものを勝手に合体させた。これらを全て丼の中で一緒にして、手首から煙が出るほどかき回す。ドロドロのグチャグチャになったのをすすると、これが旨いんだな。見てる方は気持ち悪そうだったが。

 夕方になって、昼に食ったひじきがもう出て来た。胃カメラを飲んだせいか、消化器の通りが良くなっているらしい。ろくに吸収してないのだろう。
 それでも全然痩せない。これはもう、呪いといっても良いんではなかろうか。

2004年2月5日(木) 晴れ :カレーなる日々
 普段は朝食をとらないのだが、今日は事情があって何か食べる事にした。で、何にしようかとコンビニで散々迷ったあげく、マルちゃんの「でかまる」というカップ麺に決めた。それもカレーラーメンである。パッケージのうたい文句によれば、皮つきの大きなジャガイモがセールスポイントらしい。
 職場についたら早速お湯を沸かし、カップ麺の蓋を開けて具とスープを入れ、お湯が沸くのを待つ。確かに大きなジャガイモが入っている。
 熱湯を、指定の線よりやや多めに注いで三分間。出来上がったカップ麺をすする音が、私以外に誰もいないフロアに響く。
 このでかまるカレーラーメン、麺とスープはトロッとしていて私の好みだったが、どうもセールスポイントである大きなジャガイモがイマイチである。その大きさが災いしたのか、三分ではちゃんと戻らない。外側半分はお湯を吸って戻っているのだが、内側の半分ほどは芯が残っているような感じである。
 恐らく、このジャガイモはお湯の上に浮いてしまうからこんな風にお湯を吸いきれずに芯が残るのではないだろうか。対策としてはお湯を入れる前に麺を取りだし、具をカップの下に敷き詰めてから麺を上にのせ、その上からお湯を注げば良いんじゃないかと思う。
 ただ、そうしょっちゅうカップ麺を食べる機会がある訳ではないので、次にこれを試すのはいつの事になるのか不明である。

 午後、自分の携帯に間違い電話があった。聴き覚えのない、若い女性の声である。
「あ、どうもすみませんでした〜」
 間違いだと判り、相手は礼儀正しくそう詫びて電話を切った。こちらもつい「どうも〜」なんて言って電話を切ってしまったが、良く考えるともったいない事をしたと思う。
「確かに電話は間違いですが、これも何かの運命です。少しお話をしましょう」
 と適当な事を言ってきっかけを掴めば、何か良い事があったかも知れないではないか。
 次からは、知らない番号から電話がかかって来た時は一度脳内でシミュレーションをしてから出る事にしよう。

 帰宅して風呂に入り、晩酌。ダイエットの事を考えれば本当は飲むべきじゃないのは良く判っているのだが、職場でストレスが溜まるとどうしても我慢出来ない。
 つまみはカレーライス。どうも今日は朝一番でカレーフラグが立ったようである。

 録画しておいた「相棒」と「ドールハウス」を見ながら飲む。
 「相棒」は、友人の「今シーズン一番のお勧め」という言葉に誘われて見始めたもので、最初は静かな水谷豊に違和感を覚えたが、今ではすっかりはまってる。それに、時折見せる激高した時のプルプルした演技が、十分に熱中な水谷豊を含んでいる。
 そして「ドールハウス」だが、こちらはTVブロスを読んでいて発見した番組である。「安達祐実が戦う」という情報だけで、無条件に録画フラグが立ったもの。私は、戦う安達祐実に弱いのだ。いまでも「聖龍伝説」は忘れられない。スカパーで放送してくれないものかと思う。
 で、ドールハウスの話。
 聞くところによると、キャストやエンディング映像がそのまんま「ナースのお仕事」なのだそうだが、私はそっちを見てないので無問題である。「安達祐実が好きなのにナースのお仕事は見てなかったのか」というツッコミがありそうだが、ナースのお仕事ではどう考えても祐実ちゃんが乱闘するとは思えないので、これも見なくて無問題。ついでに、大奥も同じ理由で見ていない。
 私が好きなのはあくまでも「戦う安達祐実」なのだ。だから、ガラスの仮面も途中から見なくなった。ではどうして最初は見てたのか。それは安達祐実が出てるからである。
 で、ドールハウスの話。これといいセーラームーンといい、TBSはどうして脚フェチ脇フェチ親父のツボを知っているんだろう、と言いたくなる作り。ドラマの内容についてはイロイロと注文もあるが、安達祐実が戦っている事と俺様的フェチ要素が満足されるというこの二点から、今期のマイベストドラマ決定である。

2004年2月6日(金) 晴れ :電波人間
 昨日遅くまで残業してたので、今日はのんびり出勤である。
 八時に起きてニュースを見ようとテレビをつけたが、この時間はニュース不毛時間帯である事が判明する。
 地上波がワイドショーばっかりなのは仕方がないとしよう。問題はスカパーである。
 二十四時間いつでもニュースをやっていると宣伝しているJNNニュースバードが、こんな時に限ってローカルトピックスだの海外テレビ局から買った特番だのを流しているのである。これはもう、視聴者にたいする裏切り行為と言って良いのではないだろうか。少なくとも、私は裏切られた気分である。

 おまけにこのニュースバード、私が帰宅してテレビをつける夜十時台も、やはり通常のニュースを流さない。こうなるともう、あいつら実は俺様の家にこっそり監視カメラをつけてて意地でもニュースを見せないようにしてるんじゃないかとか、そういった電波な考えがわき上がって来る。
 電波な考えを生む要素として被害妄想があると私は思っているのだが、その被害妄想自体もこうやって、誰も気付かないような、あるいは思いもよらない事象から心の奥底に積み上げられて行くものなのだ。そしてJNNニュースバードは当人達の知らないうちに、私にとっての「加害者」としての地位を築き上げてゆくのである。

 まてよ……。
 それって、私自身にもともと電波な要素がある、という事なのか?

2004年2月7日(土) 晴れ :必然
 今日は土曜日なので、朝食後、息子と二人で囲碁教室に向かう。息子は今、八級だそうだ。私は十六級。先週まで十七級だったのだが、三連勝したので昇級である。
 昇級した直後の対局というのがまた、たいていは敗戦となる。これはもうほとんどジンクスで、今日も正直言って対局するのが憂鬱であった。

 囲碁教室は土曜日の午前九時半から始まる。まずは教室のメンバーが採った棋譜を先生が解説する。それが終わると、級が同じ程度の人同士での対局である。その対局が今回は憂鬱だったのだが、今週は先生に指導碁を打って頂く事になった。これを期に、ジンクスを粉砕出来れば良いなと思う。

 碁の内容はこちら。SGFファイルなので、対応ソフトを使えば手順が再生出来る。
 こちらが黒の九子局にも関らず、アッと言う間に白地が増えて行く。あちらはプロなのだから当然と言えば当然なのだが。
 今回、三十八手目の一間飛びが誉められた。単に伸びるよりも良い手だと言われる。単純なもので、誉められると嬉しい。
 逆に良くなかったと注意されたのは五十二手目のケイマ。これを打つぐらいなら、最初からはねていたほうがマシ、との事だった。

 帰宅して、録画してあったグランセイザーを見ながら昼食。
 グランセイザーは、番組が始まる前は「十二人なんてヒーローが多すぎる」「イケメンそろえりゃ良いてぇモンじゃないだろう」等とケチを付けていたが、いやいや始まって見るとすっかりトリコである。まぁ、トリコになるベクトルが正当派でない事も確かではあるが。
 今回もまた、オイオイと突っ込みたくなる展開が火を噴いている。
 パイシーズ姉ちゃんと熊教授が親子なのは良いとしよう。その二人がお互いに相手を心配し、インパクター星人(このインパクター星人ってのも、重複表現のような気がするが)に捕まった娘を助けるために、あるいは、やはり同じようにインパクター星人に人質にされた父親を助けるために(この時点でもう、この親娘の存在そのものが地球の平和を妨げているのだが)、ガントラスの起動キーであるガントローラーをインパクター星人に渡してしまうのも良いとしよう。更に言えば、せっかく父親が気をきかせてガントローラーをすぐ壊れる様に仕上げてからインパクター星人に渡したのに、娘が父親を助けるためにちゃんとした部品の方を渡しちゃうのも良しとするしかないだろう。
 だが、である。
 そうやって自分達のせいでガントローラーがインパクター星人の手に渡り、そのあげくにガントラスという最強ロボットがインパクター星人に奪われてしまい、それを取り返せないままに戦闘が終わったにもかかわらず、エンディングが親娘のさわやかな笑顔っちゅーのはいかがなものか? おまけに天馬も天馬で、この二人のおかげでガルーダもリヴァイアサンもボロカスにやられたというのに、わざわざあの熊のぬいぐるみを届けてやるとは、人が良すぎるにも程がある。
 なんというか、はしょった説明をすると「銀河をまたにかけた親子ゲンカ」だったスターウォーズのスカイウォーカー親子同様、はた迷惑なお騒がせ親娘なんじゃないのか、こいつらは。
 でもきっと、可愛いから許されちゃうんだよ、パイシーズ。こんなこと書いてる俺様だって、文句言いながら楽しんでるんだし。
 文句を言いながらも実は楽しんでるというのは、宇宙戦艦ヤマトの頃からの、オタクな楽しみ方なのである。

 再開した日記を読み返して見ると、唐沢俊一氏の影響をモロに受けている事が判る。だいたいが、影響されやすい人間なのだ、私って奴ぁ。しかも、影響を受けてはいるが実力が伴わないから、ただダラダラと書き連ねただけの物になっている。
 久しぶりなので、自分の芸風を忘れているのだ。もう少し続けていれば、取り戻せるかもしれない。なにはともあれ「継続は力なり」である。

 で、女房の話によればこの日記、内容はともかくタイトルが不評らしい。どうしてだろう? 極めて論理的、かつ判りやすいタイトルだと思うのだが。

2004年2月8日(日) 晴れ :やっちまった人々
 日曜の定番となった、レコーダーのHDD整理をしていた時の事。またもや、失敗をしてしまった。
 最近十二国記を地上波で放送しているので、以前にBSで録画した物と入れ替えをしている。というのも、BSで録画したものは天気が悪かった日などは画面にメダカノイズが走って見苦しい。そこで、画像が汚いものは地上波で録画したものと入れかえることにしたのだ。
 ところがこの「画像が汚い物だけ入れかえる」というのがクセモノだった。三日に放送された四十三話について、BS版を確認したときには綺麗に見えたので、地上波版をレコーダーのHDDから消去した。それから改めてDVD-RAMに入っている四十一話から四十五話を確認したら……。
 四十三話がメダカノイズだらけなのである。入れ替えようにも、綺麗な四十三話はついさっき消してしまった。PCのHDDなら復活のしようもあるだろうが、モノはレコーダーである。手も足も出ない。

 というわけで、東芝のRDシリーズで先週の十二国記を録画した方がこれをご覧になったら、私のお友達になって欲しい。

 レコーダーのHDD整理をしつつ、フジテレビの「うちくる」を見る。今週は金子"ガオレッド"昇である。おまけにゲストは永井"タイムレッド"大だというから、これは見とかなきゃである。
 いや〜、金子昇がロカビリーな人だとは知らなかった。しかもデビュー前の口癖が「俺はいつかビッグになる」だったなんて。

 この「俺はいつかビッグになる」が口癖になっている人というのは大抵の場合、何の根拠もなくそう言ってるだけで、実際に「ビッグになる為の行動」は何もしないのが普通である。小説やマンガ等の場合、これが口癖なキャラというのはダメ人間と相場が決まっている。金子昇はそういった「ビッグの法則」を乗り越えた事になる。それだけでも彼はある意味「壁をうち破った男」と言っても良いだろう。

 その他にもイロイロと過去の暴露話があったが、一番強烈だったのは「金子はブス専だから」という台詞。これって、過去に金子氏とつきあった事がある、あるいは彼に惚れられた事のある女性全員に対する宣戦布告ではないか。
 ゲストのガオブラックが慌てて「いや、奥さんは美人ですけどね」とフォローしていたが、果たしてその程度の言葉で許してもらえるかどうか。
 そして最大の「やっちまった」は、金子氏本人がその爆弾発言にうなずいてしまった、という事に尽きる。
 この放送が奥さんをはじめとして、関係者の目に触れたら……。

 金子昇の無事を祈らずにはいられない。

2004年2月9日(月) 晴れ :あの時君は若かった
 出勤すると、机の上にA4版の少し痛んだ封筒が置いてある。今日から長期休暇に入ったKTさんから私宛の、引き継ぎ資料らしい。「らしい」というのは、コチラには引き継がなきゃいけない件があるとは思っていなかったから。しかし封筒にはしっかりと、私への宛名書きと「引き継ぎ」という文言が書かれている。
 封筒の中身を確かめるとこれが何と、昔から現在に至るまでの、私とKTさんが所属していた部署の名簿と住所録、それに席順表等である。右上に「平成7年度」なんて書かれた席順表を見ると、つい懐かしい気分になる。
 うちの職場は毎年度、組織名が変更になる。ついでに新年度は配置換えもあるので、部署を出ていく人もあれば入ってくる人もある。そんなわけで、席順表を見ると「そういえばこんな人もいたっけ」という名前をいくつも目にすることになるのだ。そんなモノを見ていれば、否が応でも懐かしい気分になろうと言うものである。
 一番凄かったのは、当時のシマ一つ分まるまる全員が今では会社を辞めちゃってる部署、なんてのがあった事である。みんな今頃、ドコで何をしているのやら。

 そんな書類に混じって、1996年の日付が入った写真が出て来た。まだ三十代前半のKTさんと私が写っている。KTさんは昔からあまり変わってないと思っていたのだが、こうして昔の写真を見るとちゃんと老けてるんだという事が良く判る。
 ちなみに、当時の私にはまだアゴがあった事も判明した。今じゃすっかり、ジャバ・ザ・ハットな俺様であるが。
 その写真を見た若い奴が言った言葉。
「昔はまだ、首吊りの出来る身体だったんですね」
 をいをい。ジャバ・ザ・ハットだってちゃんと、レイア姫に首を絞められて殺されたんだぞ。俺様だってその気になれば、今でもちゃんと首ぐらい吊れる。問題はただ、その場所が分かりづらいだけだ。

 深夜、「爆笑問題のススメ」という番組を見る。今まで見た事なかったのだが、唐沢俊一氏がゲストなので。
 今や立派な単位の一つとなった「へ〜」を全国的に広めたトリビアの泉だが、その元となる雑学について唐沢氏は何と中学時代からノートをとり、しかもそのノートを今でも手元に持っているという。これは正直凄い話だと思う。
 継続は力なり、とは言うが、三十年も続けるというのは並大抵の事ではない。意思が強いのか、それとも自然体を貫いているだけなのか。いずれにしても、やはりタダモノではない。

 ちなみに私も、中学時代から持っているものがある。それは、当時クラスの女の子からもらったカンペンである。別にその娘とつきあっていた訳ではない。ただ単に「誕生日プレゼント、何かくれ」とねだったら本当にくれた、というモノである。今頃どうしているのだろうか。
 もし私が今でも貰ったカンペンを持っていると知ったら、何と言うだろう。
「捨てて。今すぐ捨てて」
 そう言われそうな気がするのは、何故だろう?

2004年2月10日(火) 晴れ :一病息災
 午前中は仕事を休み、先週行った病院へピロリ菌検査の結果を聞きに行った。医師の話によれば通常の数値が2.1ぐらいで、酷い人だとその数値が20を超えるのだそうだ。そんななかで、私の検査結果は5.3との事だった。この程度なら除菌をしてもさほど結果は変わらないそうである。なので、とりあえずは先週貰った胃酸の分泌を抑える薬と胃壁を保護する薬だけで様子を見ることになった。

 ちなみに、数値そのものについての説明は、何もなかった。

 その後、食生活の参考にとの事で、採った方がよいものや避けた方がよいものが書かれたプリントをもらった。それによれば、ラーメンやウナギ、ハムや肉の脂身なんてものが良くないそうだ。空腹時のブラックコーヒーなど、もってのほかだそうである。
 ところがこのプリントをくれた医師、あまりそういったことをガチガチに守る必要があるとは考えてないらしい。
 プリントの「避けた方が良いもの」と書かれている方を指差して、こういった。
「こっちに載ってるの、好きでしょ?」
「えぇ……、まぁ」
「こういうのをね、まるっきり食べないでいると、ストレス溜まるんだよね。それでもって、時々、狂ったように食っちゃうからね。無理しない方が良いの」
 さばけた先生である。
 まぁ、何事も程々に、という事だろう。

 とりあえず、たまにならラーメン二郎を食っても良いと医者からのお墨付きをもらった、という解釈をする。

 一度帰宅してから背広に着替え、出勤する。職場に着いた途端、もう昼飯の時間である。
 昼食はマグロの山掛けと筑前煮に味噌汁をチョイスする。筑前煮には、もらった資料に「良いもの」と書かれていた鶏肉が入っている。よしよしと思っていたら、「避けた方が良いもの」に含まれるゴボウ、レンコンなどの繊維質が多い野菜も入っていた。これじゃ、行ってこいである。
 ちなみに赤身の魚は「少しは良いもの」という項目に入っていた。

 何だか、食い物に気を使ってアレコレ悩んでいると、それだけで胃潰瘍になりそうである。

 仕事中、何の気ナシにIT用語辞典で「blog」を調べる。それによれば私のこのページはblogに相当しない事が判明した。でもまぁ、「ホームページ」という単語だって日本じゃ間違って広まってるし、これぐらいの違いは大目に見てもらう事にしよう。

 細かいことにこだわっていると、潰瘍が悪化するかも知れないし。

 帰ってからニュースを見ると、秋葉原のヤマギワソフト館で火事。CDだのDVDだの、良く燃える(萌える?)モノが一杯だから、さぞや酷いことになったのではないだろうか。
 そんな状態にも関わらず、店員の誘導により全員が無事に避難してけが人がなかったというのが凄い。

 さすがはオタク、誘導されたり並んだりは得意分野なのだろう。

 明日は休みなので、夜遅くまで女房とラストエグザイルを見て過ごす。二十四話まで見て、残りあと二話である。ディーオは果たして正気を取り戻すのだろうか? 気になってしかたがない。
 早く寝なきゃ、と言いながら土曜日に再放送のあった新撰組を見始めてしまう。まぁオダジョーが見れりゃいいや、という程度の気持ちで見始めたのだが、本気で見てしまった。オダジョー、随分と渋い演技である。
 一度は我が家のレギュラー落ちをした新撰組だが、これで復活が決定した。

 そんなこんなで、寝床に入ったのは午前三時になってしまった。

2004年2月11日(水) 晴れ :理解困難なアレコレ
 IT用語字典によれば、blogの構成要素としてニュースサイトへのリンクがあるようだ。本来のblogとは、ニュース記事のページにリンクをはり、そのニュースに対して自分なりの意見を述べるものであるらしい。社会と自分との関連性を重視するのがblog、と言えるだろうか。
 それに対してこのページ、正直言って自分自身にしか興味がない俺様が書いているものなので、その時点でもうblog失格である。
 でもまぁリンクぐらいはれるだろうと、昨日の日記ではあちこちのページにリンクをはって見た。
 が、その作業もすぐに飽きてしまった。それに、文章に登場する単語のちょっとしたもの全てにリンクをはると、なんだか「なんとなくクリスタル Web版」みたいな感じで、自分が作るページとしては違和感を覚える。
 というわけで、リンクも程々に。

 社会の出来事にさほど興味のない俺様でも、今日の「牛丼終了祭り」は気にならずにはいられない。昼間のニュースでは、あちこちの吉野家から生中継で「最後の一杯」について報道していた。
 当然ながら、各店舗毎に「最後の一杯を食べた人」はカメラにとり囲まれ、箸の上げ下ろしをビデオに収められていた。中には憮然とした表情の人もいたが、このうちの何人かはきっと帰宅してからニュースをビデオに撮るんだろうな、と思う。
 これが自分ならきっと、DVD-Rに焼いて親戚知人に配りまくるだろう。

 牛丼を食い損ねて暴れる奴がいたのは予想通りだったが、捕まった後で「牛丼販売休止を知らなかった」と良い訳するとは予想外だった。これだけ各メディアで騒がれた事を知らないでいられるには、テレビ新聞ラジオ友人関係といった一切の情報源から遠ざかる必要があるだろう。
 まあスポーツ紙や夕刊紙を含めて新聞を一切読まないという人はいるだろうし、誰もがラジオを日常的に聞いるわけではないだろう。テレビだって、ニュースを見ない人はざらにいる。
 そう考えるとこの男、友達が一人もいなかった、という事だろうか……。

 Webを更新し、PCを再起動する。私のPCはWin98で、しかもアレコレとインストールしてあるせいか、長時間の安定動作が望めないのだ。
 しかし、まさかWeb更新をしたぐらいで「再起動したらSAFE MODEになる」とは思わなかった。しかもキーボード判定の直後に「HIMEM.SYSがありません。WINDOWSを終了します」と言われるとは。
 ダメ元でもう一度電源を入れると今度は「グラフィックドライバが適切な物ではありません」てな具合の事を言われ、16色640×480のモードで起動しやがった。起動後に画面のプロパティから色数を増やして再起動したら、またSAFE MODEに。そしてHIMEM.SYSが以下省略。
 さらにもう一度電源を入れると、今度は素直に立ち上がった。が、なぜかネットにつながらない。桜時計はサーバーと通信出来ないし、NetscapeはASAHI-NETのトップページを表示しない。
 コントロールパネルからネットワークの設定を調べる。まともに動いている女房のPCと比べて見たが、設定は全て同じである。念のためにOKをクリックしてOSのメディアをドライブに入れ、ファイルがコピーされるのを確認してから再起動したら……。
 直った。

 うんと進んだ科学技術は魔法と変わらない、という言葉があったが、中途半端な技術もまた魔法と同じぐらい気まぐれである。
 Windowsの動作の不安定さに比べれば、ラーメン二郎三田本店の味の方がよっぽど安定していると言える。

 夜、トリビアの泉を途中から見る。ちょうどトリビアの種が始まるところで、今回のネタ(タネ?)は「これさえあればご飯が何杯でも食べられるものベスト50」だった。
 ここで言う「これさえ」の「これ」とは、ご飯にかけたり混ぜたりするものを指すと思っていた。大根おろしとか納豆とかふりかけとか。実際、ランクインしている品目のほとんどが、そういったたぐいのモノだった。
 そんななかで微妙なのが、マーボー豆腐とカレーである。
 マーボー豆腐は単品でも立派な「メニュー」として成りたつものであり、「おかず」としての地位を築いている。ふりかけや大根おろし等とは、微妙にその立場を異にする。しかしマーボー豆腐をご飯にかけて食べる人はいるし、世の中にマーボー丼などというメニューもあることだから、とりあえずセーフとしよう。
 カレーも微妙である。カレーの場合、マーボー豆腐と違って「単品でおかず」という地位を獲得していない。というかカレーはライスと一緒になって一つのメニューとなる。ここらへんが、マーボー豆腐と微妙にシンクロしつつも完全には一致しない。ましてやふりかけや納豆等とは、完全に一線を画している。それでもまだ「ごはんにかけて食べる」という項目が一致するので、これもセーフとしよう。
 私が疑問に思ったのは、どう考えてもこのカテゴリに入らないはずの物がランク入りしていた事である。それは。
ト ン カ ツ

 少なくともトンカツは「ごはんにかけて」食べるようなモノではないし、ご飯の上にのせちゃうと「カツ丼」になってしまう。何よりトンカツは、ご飯と混ぜたりはしないだろう。
 これだけはどう考えても、ランク入りする事自体が変だと思うのだが……。

2004年2月12日(木) 晴れ :早い、安い、うま……
 これは友人から聞いた話。
 昨日のニュースで何度もとりあげられた、吉野家の「最後の一杯を客に出す映像」だが、これが実際はメディア向けに何度もくり返し行われた「撮影用の行為」だったらしい。

 店員が「お待ちどうさまでした」と言いながら丼を置くと、あちこちでいっせいにストロボが光りシャッターが切られる。そしてこう声がかかる。

「今、他社のマイクがかぶっちゃったんで、もう一度お願いします」

 客が丼に手をかけるヒマも与えず、また店員の手が丼を奪う。
 そしてもう一度、厨房から丼を持って現れ、客の前にそれを置く。

「お待ちどうさまでした」
「あ〜、こっちからの映像撮り損ねちゃったんで、もう一度」

 一片の肉すら口にする事を許されぬまま、また丼は店員の手に。

「お待ちどうさまでした」
「済みませんけどね、もうちょっと元気良くお願いしますよ」
「……」

 こうして、居合わせた取材陣の要求を全てこなし、やっとその「最後の一杯」を口にした時、丼の中身はすっかり冷めていた。自分が食べたかったのは、熱い牛丼だったのだが。
 それでも食うしかない。まだカメラは「最後の一杯を食べる瞬間」を求めて、己の姿を記録し続けているのだ。
 店に入った時の思惑とは微妙に異なる一杯を食べ終えた時、いっせいにマイクが向けられ、こう聞かれた。

「おいしかったですか?」

2004年2月13日(金) 晴れ :ニンニク
 出勤したら机の上にメタルチャームが置いてあった。携帯のストラップについてる飾りをそう呼ぶという事を、今日はじめて知った。それの入っていた袋にメタルチャームと書いてあるんだから、きっとそういう名前なんだろう。
 誰かが私にくれたものらしい。デザインを見てニンニクかと思い喜んでいたのだが、袋から取り出して見ると説明書みたいなものに「タマネギ」と書いてあってがっかりする。確かに、ニンニクにしては先っぽのくびれに乏しい。

タマネギメタルチャーム

 しかし、こんなもの携帯につけて、うれしいのだろうか? 少なくとも、これをペットボトルのおまけにしようと企画した人達は、「きっとみんな喜ぶぞー」と思ったんだろう。ん〜……。
 ニンニクなら嬉しかったんだが。

 夜は、うちの部署メンバーでの飲み会。今回のテーマは歓送迎会。最近うちの部署に入った人を歓迎し、辞めて行く人を送別する。
 という予定だったのだが、酒が入ればみんなアクセル全開である。話題はもっぱら、出て来た料理と酒の事ばかり。ちなみにメニューは以下の通り。

 飲み放題、モルツ小瓶。ワイン、その他。
 スモークサーモン、ハム、クラゲのサラダ。
 鍋:トンコツスープ、トムヤンクンスープ、タイチーマーク型鍋。
 具:牡蠣、豆腐、キノコ、ハルサメ、野菜、ラーメン
 点心:蒸しギョウザ、ショウロンポー
 トッピング:ニンニク、辛い味噌

 飲み放題なのは良いが、出て来るモルツの小瓶が本当に小さい。すぐにカラッポになってしまうので、店員が通りかかる度に注文するのがわずらわしい。いっそピッチャーにしてくれると、私のようなビール好きにはありがたいのだが。

 鍋は内部でタイチーマークの様な仕切りのついたユニークなもので、片方にトンコツスープが、もう片方にトムヤンクンスープと思われるものが入っていた。トンコツスープについては店員に「この白いスープは何?」と聞いたので、間違いなくトンコツスープ。赤い方は見るからに辛そうで、実際のところ毛穴が全開になるほど辛かったので、多分トムヤンクンだと思う。こっちは店員に聞かなかったので正解かどうか自信がない。

 鍋の具は自分達で好きなように入れる方式なのだが、この構成だとほとんどの人が辛い方を選ぶようだ。私のいたテーブルでも、トンコツスープは「とりあえず味を確認するため」という程度の具をいれるだけで、大部分は辛いスープで煮ていた。

 残念だったのは、最後に出て来たラーメンを全部、この辛いスープに入れられてしまった事である。せっかく擦り下ろした生ニンニクもあったのだから、これはトンコツスープに入れて欲しかった。あの辛いスープでは、ニンニクの風味が感じられない。
 職場のみんなは私の二郎好きを知っているので、トッピングのニンニクを全部私にくれる。こちらも調子にのってニンニクを放り込むが、スープの辛さに負けているので、ついもっと入れてしまう。仕舞いには隣のテーブルにあったニンニクも使ってしまい、都合八人分のニンニクが全て私の胃袋におさまった。
 ふと気が付けば、周囲のみんなが微妙に私から遠ざかろうとする。
「どうしたの?」
「イヤ、こっち向かないで下さい。すげー臭ぇ」
「そんな冷たい事を……」
 スープの辛さで体が温まり、汗も出てくる。この汗がまた、微妙な香りを放つ。暑さのあまり扇子で自分を扇ぐと、その風下から絶叫が上がる。
「や〜め〜て〜! 扇がないで〜!」
 もはや人扱いされない。単なる「異臭を放つ物体」である。いわば、酒を飲むラフレシア。それが私である。
 おかげで、うちの部署の飲み会では定番の席替えタイムが来ても、心のマドンナの隣に行くことが出来ずにいた。

 何だか、性悪女に翻弄されるバカ旦那みたいだ。でも、ニンニクの魅力には逆らえない俺様なのである。

 ここでニンニクに関するオマジナイを一つ。
 探し物をする時、「ニンニク〜、ニンニク〜」とつぶやきながら探すと、なぜか良く見つかる。特に、はさみやカッターなどの刃物を探している時には、効果てき面である。
 お試しあれ。

2004年2月14日(土) 晴れ ::湯河原旅行一日目
 今日は、いつも通っている囲碁教室を休んで、湯河原へ行った。今年の秋にある、とあるイベントの為の下見という名目である。もっともそれは名目で、実際は泊りがけの宴会が目的なのだが。こんなゆるんだ心がけでは、イベントスタッフ大失格である。
 昨日が飲み会だったため、前もって荷造りを済ませておくことが出来なかった。慌ててディパックに荷物を詰めるが、ファスナーが閉まらない。息子の部屋から一回り大きなディパックを持ち出して詰め直し、どうにか荷造りを済ませた。湯河原は寒いかと思ってトレーナーを詰め込んだのだが、これさえなければ最初のディパックで問題なかったという事が後で判明する。まぁ、たいていこう言ったことは後で判明するモノなのだ。

 集合は、東京駅八重洲地下中央口に十一時、である。遅れると何を言われるか分からないので、慌てて家を出る。十時に我が家を出て、どうにかギリギリといったところ。
 そんな時に限って、神様は意地悪をする。
 新宿駅の中央線ホームに降りたところで、人身事故により電車が遅れているというアナウンスが流れている。この時点で十時四十分ちょっと前。東京駅に着いてから八重洲地下中央口まで歩く時間なども考えると、電車が遅れているのでは絶望的である。
 そう思って誰かの携帯に連絡を入れようかと思ったとき、ちょうど東京行きの電車が来た。どうやら、この電車が本来ならもっと早く来ていたはずなのを詫びるアナウンスだったようである。

 無事に東京駅に到着し、約束の時間ちょっと前に待ち合わせ場所である八重洲地下中央口についた。ちょっと不安だったのは、そこから少し戻ると待ち合わせで有名な銀の鈴がある事だ。しかし、改札口近くにあるロッカーの前で今回のイベントの実行委員長であるYPPKさんが待っていたので、ここで間違いないと安心する。
 ところがそれが甘かった。このYPPKさん、何故か待ち合わせの相手と遭遇できないというジンクスの持ち主なのである。そのYPPKさんと私がちゃんと会えたと言うことは、私は他のメンバーと合流できないという意味である。
 案の定、十一時になっても他のメンバーが現れない。不安になって、同じ八重洲口でも地上の改札を見てこようかと思ったとき、現れないメンバーの一人から携帯に連絡が入った。なんでも、もう改札を出て大丸の中に入っちゃったそうである。
 これはどう考えても私やYPPKさんの問題ではないと思うのだが、内容はどうあれ結果として「YPPKさんが待ち合わせの相手に会えない」というジンクスだけは守られたのだった。
 しかもこのジンクス、この後も強力に作用するのである。

 この時点で合流したのは、男性メンバーの私とYPPKさん、それから女性陣のYKさん、RMNさん、KMKさんの合計五人。最終的には、男五人女性六人の豪華メンバーになる予定である。

 昼食は、メンバーのYKさんが以前から目を付けていたというリゾット屋さんで。メニューを見ると、あと五分程度でランチタイムである。
「じゃ、五分間こうしてようか」
 と、もうお冷やも出てるというのに非常識なメンバー達。
 とはいえ、本当にそうしていると営業妨害になりそうなぐらい狭い店である。念のためにランチを頼めるかと尋ねたところ、快くオッケーしてくれた。
 そんなお店側の気配りにもかかわらず、ランチのメニューが「地鶏のトマトソース煮」だという事でYPPKさん、いきなり「じゃ僕もそのインフルエンザ・ランチを」と言って顰蹙を買う。
 店の人が慌てて「産地が違いますから」と言ってこちらの不安を払拭しようとしていたが、そういう時は本来こちらが叱られてもおかしくないハズ。つくづく、良い人がやってるお店である。

 昼食を終えて、酒のつまみを確保しようと買い物に出かけた。今夜泊まる宿は持ち込み自由なので、メンバーそれぞれが酒やつまみを持ち込む事になっているのである。
 メンバーの一人がワインを持ってくると言っていたので、それならチーズもいるよね、という話になった。地下街の地図を見ると、おあつらえ向きにワインとチーズのお店がある。そこで女性陣はチーズを買い、YPPKさんは電車の中で飲むビールのつまみとしてハムとチーズの盛り合わせを買った。

 一通り買い物も済ませ、後から来るメンバーと合流するため改札の中へ。ここで女性陣の一人AMNさんと落ち合う事になっていた。RMNさんの携帯に連絡があり、もうすぐ到着するという。
 ところが、何分経っても一行にAMNさんが現れる様子もない。おかしいと思って電話すると、何と我々の前を通り過ぎて改札を出てしまったというではないか。五人であれだけ騒いで待っていたというのに、全然気づいてもらえなかったらしい。これもやはり、YPPKさんの呪いだろうか。
 何はともあれ、ここでAMNさんが合流して合計六人となる。

 向かうは湯河原、快速アクティーでひとっ飛びである。9番ホームに向かい、12時33分発のアクティーに乗るために行列する。この時、二両目の真ん中のドアが来る位置を選んだのだが、もっと後ろに行けば良かった。という事もやはり後から判明する事の一つであった。

 もうすぐアクティーがやって来る、という時に、東京駅での最期の待ち合わせメンバーである女王様がやって来る。別にSMクラブで働いているわけではないのだが、みんな彼女のことはごく自然に女王様と呼ぶ。
 ただ、世間の目があるところで呼ぶのはいかがかと思うのだが、KMKさんはそんな事お構いなしに思い切り大きな声で「女王様ぁ〜!」と声をかけた。
 ちょっと恥ずかしそうに笑った女王様は、小走りにこちらへ駆け寄って来る。そこへKMKさんの追い打ち。
「走らなければ、周りの人にはばれなかったのに〜」
 をいをい……。

 やがて来たアクティーの車両は、後ろ側がボックスシート、我々が乗る前の方はベンチシートとなっていた。これでは、酒を飲みながら旅行気分を満喫するのは難しい。
 KMKさんが「あっちに走ろうか?」と言うが、ホームを見渡すと我々と同じように温泉地に向かう善男善女でミチミチである。とうてい、まとまった席が確保できるとは思えなかった。
 やむを得ず、ベンチシートに横並びで湯河原まで向かうことにした。
 それでも我らがYPPKさんである。座席に座るなり「さぁ、飲もう」と言いだしたではないか。こちらは、品川から合流する予定のMRBRさんの席を確保するのに気が行ってて、とても飲む気にはなれない。ましてやベンチシートである。
 YPPKさんはそこらへんを気にする様子もなく、楽しそうにビールを飲み始めた。もちろん、ハムとチーズの盛り合わせも忘れるはずがない。

 電車は新橋に止まり、荷物を使って一人分余計にシートを占領している私は「どうか誰も乗ってきませんように」と祈るばかりである。幸い、新橋で乗り込んできたのは二人。しかもちゃんと他の場所に席が空いてたので問題はなかった。
 ところが電車が品川に滑り込んだとき、私は十二指腸潰瘍が悪化するのを実感した。ホームに、軍艦巻きのイクラみたくミッチリと人があふれているのである。
 ドアが開き、ドバドバと人が乗り込んでくる。みんなでキョロキョロとMRBRさんを探すが、乗り込んできた人の群れの中に彼女の姿はない。しかも我々の前にも、席にあぶれて吊革につかまっている人が出始めた。
「じゃぁ、仕方ないね」
 という事で、荷物を膝の上に乗せて、確保してあった席を解放する。そこにちっちゃなお婆さんが座ったその時だった。
「お待たせ〜」
 MRBRさんの登場である。
「ついさっきまで席をとっといたのに〜」
 つい口調が責めるようなイントネーションになってしまう。あきらめて電車が空くまで立っていくしかないか、と思ったその時である。
 向かいに陣取った女性陣から声がかかった。
「MRBRさん、こっちつめれば座れるよ」
 私やYPPKさんが座ったのと反対側のシートに陣取った女性達は、各々の間に荷物を挟むように置いて座っていたため、それを膝の上に乗せると一人分ぐらいの隙間が出来るのだった。こうしてMRBRさんは無事に座る事が出来た。

 てぇ事は、俺様の苦労は何だったんだろう……?

 電車が品川を出たところで、私もやけ酒である。YPPKさんからハムを没収し、ビールをあおった。

 そこからは特にトラブルもなく、電車は無事に湯河原に到着した。
 ここで、NKJさんと合流。昔は熊のプーさんみたいに愛らしい体型をしていたNKJさんだが、最近ダイエットに成功しやがったらしい。すっかり裏切られた気持ちである。ちっちゃな人間になりやがって……。

 ここで本格的な買い物をする事に。
 駅前の商店街にあった小田急百貨店に入る。百貨店という名前の割には、単なるスーパーみたいである。
 とりあえず、つまみ類をゴッソリ買う。乾き物、ハム、その他モロモロ。最期に、ついバナナをカゴに放り込んでしまった。バナナはおやつに入らないから良いのだ。
 ここには酒が置いてなかったので、もう少し先に行ったところにあるマインマートで酒を調達する。
 ビール五百ミリ缶六本入りを三パック、三百六十ミリ缶六本入りを一パック。缶チューハイが四本に、ウーロン茶やオレンジジュースなど。
 こうして準備万端整え、バス停に向かった。

 バスは十分間隔で出ているので、あまり時間を気にする必要もない。さすが人気のある温泉地である。
 とは言え田舎のバスなんてそんなに混雑するはずもないだろう、と失礼なことを考えていたのが大きな間違いだった。何だか知らないが、ミチミチに混んでいる。
 料金は後払い。乗るときに整理券をとり、降りるときに料金表で確認する方式である。ちなみに、目的地である「温泉場中央」というバス停までは二百二十円。時間にして二十分ぐらいか。途中、きついコーナーのある狭い道で路上駐車もあったりして、なかなかにスリリングな旅だった。

 宿はバス停を降りてすぐの所にあった。和風の落ち着いた感じである。ここで実行委員長でもあり今回の幹事でもあるYPPKさんにお金を渡し、チェックイン。入り口にある「歓迎」と書かれた看板を見る限りでは、今夜の客は我々の団体以外はあと一組だけのようである。可哀想に……。

 我々が泊まるのは三階だった。エレベーターがないので、ビールやバナナが詰まったキャリーバッグを持ち上げるのは正直辛かった。
 部屋に入ってすぐにビールを冷蔵庫に詰め込む。何も入ってない替わりに、自由に使って良いらしい。我々のような客にはありがたい事である。
 が、何だか冷蔵庫に違和感を覚える。よく見ると、冷えてない。慌てて冷蔵庫の裏を見ると、何とコンセントが入ってない。なかなか敵もやるもんである。

 一段落したところでYPPKさんが「女体盛りを作ろう」と言いだした。鞄から取り出したのは、水着姿の彩波フィギュアである。
 やはり持ち込みの皿の上にそれを仰向けに置き、金色のリボンを周囲に置いたところでYPPKさんの興味が尽きたらしい。飽きっぽいのだ。
 仕方なく、続きは私がやる。三種類ぐらいのハムを交互に並べ、プチトマトを置く。どうにかそれっぽくなったところで、車で直接来る事になっていたTKさんとNKJYさんが到着した。TKさんは、YPPKさんの依頼を受けて愛用のクーラーバッグをかついでいた。エレベーターもナシにここまでそれをかついできた苦労を思うと、涙が止まらない。

 一通り集合したので女性陣を呼び、酒盛り開始である。女体盛りは大人気で、みんなそれぞれにカメラにおさめている。ところが、メンバーの中で一番良いカメラを持ち込んでいるNKJYさんが微動だにしない。
「これ、撮んないんですか?」
 私が抗議する。
「いや、だってこれ、ライカで撮るにはちょっと……」
「なに言ってんですか。こーゆー被写体こそ、ライカで撮らなきゃ」
 NKJYさんは私の説得に根負けし、一枚だけライカで彩波を撮影した。写真の出来上がりが楽しみである。


 やはり温泉では射的でしょう、とYPPKさんが射的のテレビゲームを取り出したところ、これが受ける受ける。KMKさんなど、ハリウッド映画の射撃シーンのように中腰になって腰溜めスタイルで撃ちまくりである。
 結果は、持ち主としてのアドバンテージを活かしてYPPKさんの勝ちだった。

 五時過ぎにいったん風呂に入った。なにせ温泉なのだから、入っとかないと損である。
 ちょっと残念だったのは、午前零時まで大浴場が女風呂になっている事。最近の温泉宿では良くある話。まぁ明日の朝には男湯になっているのだからと、とりあえず小浴場に入る。
 しかしこの小浴場、変な狭さである。カランの数が八つぐらいで、そのうちシャワーのついてるのは半数程度。そのくせ、桶だけは豊富に用意されていた。

 風呂から出てまた少し飲む。そうこうするうちに七時となり、大広間で夕食となる。飲み物は持ってきてくださいとの事だったので、めいめい好きな物を持っていく。こういう方式は気が楽でいい。
 大広間は、本当にだだっ広い部屋だった。そこに、我々十一人分のお膳が並んでいるのは、まるで「すごく頭が大きいのに顔のパーツは中心に集まっちゃってる人」を思い出させる。そんな人を思い出すのは、私だけか?



 料理を食べ終え、ステージにあるカラオケが使えるというので歌い始めた。ついウケを狙って愛国戦隊大日本を歌ってしまう。他にも、明日の愛やアイアンキングなど、SF関連を何曲か歌う。

 部屋に戻ると、YPPKさん編集によるイベントの歴史ビデオが流れていた。聞いた話では、NKJYさんが薔薇の花に頬を寄せるシーンなどもあったらしい。美味しいシーンを見逃したものである。

 その後も飲み続け、布団に入ったのは夜中の一時を過ぎていただろうか。
 最期は、NKJYさんに向かって支離滅裂なことを言いながら布団に潜ったことだけは覚えている。私が言ったことに呆れたNKJYさんが「ねぇ、それってさっきの話とどうつながるの?」と聞き返してきたのをかすかに覚えている。

2004年2月15日(日) 晴れ :湯河原旅行二日目
 起きた時は割と普通だった。思ったほど二日酔いではない。相当酷い状態を覚悟していたので、ラッキーと思う。
 八時になり朝食が出来たと言われる。案内によれば、玄関を出て右側の別棟で朝食をとる事になっているらしい。玄関を出るのではスリッパはダメだろうと、浴衣に靴という出で立ちで部屋を出る。ところが玄関で仲居さんに「スリッパのままでけっこうですよ」と言われた。なら最初からそう言って欲しいものである。

 朝食のメニューは以下の通り。


ご飯・生卵・アジの開き・ヒジキ・ちくわ半切り+ワサビ・おしんこ・味噌汁

 正直言って、これで1,200円は高いと思う。後から聞いた話では、別に朝食なしで割り引きしてもらうのもアリなんだそうだ。だったらイベントの時は、朝食はナシにするに限ると思う。

 食べおわって部屋に戻ると何故か、今になって本格的な二日酔い状態に襲われる。まさか、遅れて来るとは思わなかった。筋肉痛かよ。
 とにかくひどい。胃がムカムカして、三回ほど吐く。
 女性陣は優しいので心配してくれるが、男性メンバーは「丼はペース配分を考えないから」ときびしいツッコミである。ちなみに「丼」とは私のこと。女王様と同じように、私も名前ではなくこの名称で呼ばれているのである。
 苦しんでる私の横で、YPPKさんがビールを飲み始める。その様子を見ているだけで吐きそうな気分になる。

 しかしいつまでもゴロゴロしてはいられない。チェックアウトも近いので、荷物整理をする。その時になって、女房から持たされたオツマミ(どこかのお土産)を発見する。もう間に合わないので、またディパックの奥にねじ込んだ。

 YPPKさんはこの時点で、重要な仕事を思い出した。イベントをここでやる時に絶対に必要になる、宿の図面をもらうことである。フロントにそれを問い合わせたところ、そういうモノはないと言われたYPPKさんは、ノートを持って部屋を出ていった。どうやら、全ての部屋を手書きでメモする事にしたらしい。
 すごい決断である。さすがは実行委員長。これを、昨日のうちにやっとけば完璧だった。

 仕事を終えたYPPKさんが戻ってきて、みんなで買ったモノの整理を始めた。
「ねぇ、バナナあるよ、バナナ。丼、食べなよバナナ」
 確かにそれは私が、レジで清算をしている最中のカゴに放り込んだバナナである。あの時は、どうしても食べたかった。というか、そんな気がしたのである。
 しかし、今は一切れのバナナだって喉を通らない。無理矢理通せば、マーライオン状態になるのは目に見えている。
 ろくに喋れないほど二日酔いが悪化してきたので、ゼスチャーで「今は勘弁して」という意思を伝えた。

 みんなが荷物を持って部屋を出たので、私もディパックを担いで部屋を出る。と、その途端に猛烈な吐き気に襲われた。廊下で吐く訳にもいかないので、根性で喉を締め上げ、ロビー手前にあるトイレを発見するとそこに飛び込んで最期の一吐きである。これでどうにか胃の中は落ち着きを取り戻したようである。その後は一度も吐かなかった。

 チェックアウトを済ませ、玄関前で記念写真を撮る。NKJYさんはカメラで、YPPKさんがビデオである。写真は動いちゃ困るけど、ビデオは動きがないとつまらない。
「じゃ、上半身固定で下半身を回しますか」
 って、リオのカーニバルかい。本当にそんな状態で写真をとったら、どんな具合になったのかちょっと興味がある。実際は、みんなが微動だにしないビデオ映像を撮ってもらう事になった。

 その後、まっすぐ帰るのはもったいないというYPPKさんの発案により、少し観光する事になる。近くに「独歩の湯」というのがあるらしい。しかし地図が猛烈にアバウト。絵本レベルなので、距離も適当なら方向も大ざっぱだ。
 いったん宿に引き返し、フロントで場所を尋ねてやっと場所が判明した。

 現地に到着するとなにやら立派な看板があり、施設全体の図面と、風水とこの温泉と日本全体と京都の関係についてが書き連ねてあった。
 案内図に「風呂桶の滝」というのがあり、絵で見る限りではものすごく巨大なモニュメントの様な印象を受ける。しかし実物はそんなに大げさなものではなく、本当に普通の風呂桶レベルの大きさだった。
 当然ながら、中にはいるのは有料である。ただ、小さな柵で区切られているだけなので、中の様子は見放題である。今ひとつそそられるモノがなかったので、外から眺めるだけにしておく。ただ、若い娘さんのフクラハギがあんなに見られるのは、海水浴場以外ではここだけかも知れない。

 二日酔いで車に乗れそうもない私を気遣って、YPPKさんが駅まで歩いて行こうと提案してくれる。車で来たTKさんとNKJYさんは先に駅前まで行き、どこか適当な店で席取りをして待つことになった。。独歩の湯から湯河原の駅までの距離は、およそ三キロ程度らしい。一時間程度でつける距離だが、実際はそういかないのがこの一行らしいところである。
 それじゃぁ、とNKJYさんTKさんと分かれ、その次の瞬間にはもう漬け物屋に入っている始末である。この漬け物屋、中の店員さんが実に丁寧に商品を包んでくれるため、うちのメンバーが片っ端から買い物をするとそれだけで三十分ぐらい時間がかかる。

 それからしばらく歩くと、今度は湯河原厚生年金会館を発見する。別名(本名?)ウェルシティ湯河原という、綺麗なホテルである。看板によれば、夕食に二時間の飲み放題がついて一万二千円だそうである。昨夜我々が泊まったホテルは、持ち込み自由で一泊二食付き一万一千円。もちろん飲み放題なんてない。こっちの方が良いかもと、YPPKさんは中に入ってパンフをもらう。
 その間我々はホテルの前でYPPKさんを待っていたのだが、ふとホテルの前に架かる橋を見たところ、何とそこに神奈川県と静岡県の県境を示す境界線が引かれていた。当然ながらそこで、境界線をまたいで記念写真を撮る。


 そのホテルからさらに進むと、とある理容店の前に美容オイルが置いてあった。お試し用で御自由にお持ち下さいとあるので女性陣が持って行こうとしたら、いきなり店を出てきたここの店主に捕まって一講釈聞かされる羽目になる。ここの御主人、かなりこの油に自信があるらしい。かなり熱の入った講釈だったが、私は美容にさほど興味がないため、彼が何を喋っていたのか全然思い出せない。
 それでは女性陣には通じていたのかというと、それも怪しい。と言うのも、肌に塗るオイルだという説明だったのに、彼女たちの出した結論が「飲めばもっと効果あるかも」というモノだったからである。「だって、外側から効果があるなら、内部からの方がもっと効果があるでしょ」という事らしい。だが、そんな事を言ったら「じゃ、乳液を飲む人、いるかい?」という事になるんじゃないかと思うのだが……。

 そんなこんなで、やっと駅に到着。
 車で先行しているNKJYさんに連絡し、迎えに来てもらうことになる。待ち合わせ場所に例の小田急百貨店前を指定する。その場所を説明するのにYPPKさんが「昨日買い物をしたスーパー」と言うのだが、これがNKJYさんには全然通じない。それも当然で、NKJYさんとTKさんは昨日は我々と別行動だったのである。
 ところでこのスーパー、良く見ると「小田急百貨店」ではなく「小田原百貨店」である。何というか、ほかほか亭とほっかほっか亭ぐらい違う。


 どうにか無事にNKJYさんと合流し、デニーズへ向かう。
 私の腹の具合も少し回復したので、雑炊でもとメニューをめくる。何種類かあるかと思ったが、カニと青菜のリゾットただ一つだけ。これは意外だった。
 メンバーが全員で十一人だったので、壁際の六人席と四人席に別れた。私はその席の間の位置に。目の前にテーブルがなく、まっすぐに廊下が伸びている風景は、なんだか落ち着かない。ただ、アルバイトの可愛いオネーチャンたちの、制服のミニスカートから伸びた脚が見放題なのは眼福である。独歩の湯といいデニーズと言い、今日は脚に縁のある日だ。

 YPPKさんは、ビールを頼んだつもりがノンアルコールビールだったので悔しがっている。
 女性陣は一通りの食事が終わると「別バラ」と言う呪文を口にしてデザートのパフェを頼んでいた。
 YPPKさんがビールの件を悔やんでいたので、女性たちがパフェも頼んだからまだ時間があるよと説得して、ビールを注文させる。バイトの女の子が注文を取りに来た時にYPPKさん、「さっきこれ、間違って頼んじゃったんだよねー」と、返事のしようがない事を言う。案の定バイトの子は、「ビールは麒麟とアサヒがありますが」とYPPKさんの釈明を放置プレイである。

 最後にデニーズの駐車場で記念撮影をして解散となった。
 我々電車組は土産物屋に入った。私は職場向けに二十八個で八百五十円というリーズナブルな菓子を、家族向けにはカニ入りカマボコとアワビ入りカマボコのセットを買った。本当はカニ入りとワサビ入りが欲しかったのだが、この組み合わせでのセットは売ってなかったのである。バラ売りもなし。かといって、両方買う根性も財力もない。
 土産物屋を出たところで駅に直行、となるはずが、女性陣が今度は甘味処にひっかかる。なんか、無料サービスのお茶まで飲んでいる。
 ま、女性の買い物が長くかかるのは世の常なので、こちらはバス停のベンチに腰掛けてユックリ待つ事にする。

 ようやくみんなの買い物が終わりホームで電車を待っていると、割とすぐに上りがやって来た。
 我々が待っていたのは八両目が止まるあたり。ところがホームに滑り込んできた電車を見ると、先頭車両がボックス席でしかも空いてる事が判明。この時、今度こそはとKMKさんが猛烈な勢いで先頭車両へ向けてダッシュした。我々もそれに追いつくべく、必死でホームを走る。発車のベルと同時に電車に飛び込み、どうにかボックス席を確保する事が出来た。
 そうなれば当然、宴会モードへ。
 まずは飲みかけのワインが登場する。カップが配られ、乾き物のイカが匂いを漂わせる。
 一本目は飲みかけだったので瞬殺である。うちのメンバーがそんな程度で満足するハズがなく、当たり前のように二本目の白ワインが開けられた。これもまた、五人程度で飲むとアッという間になくなってしまう。
 私はまだワインを飲めるほど復調していなかったので、壁にもたれて爆睡したのだった。

 女王様が川崎で降り、MRBRさんが品川で降りる。こんな感じで順次解散となり、私は新橋で降りて浜松町に戻り、そこから大江戸線に乗って光が丘へ帰った。

 帰宅した時は心身共にボロボロだったが、それでも夜は一風呂浴びてサッパリし、ビールで晩酌をしつつ、あるある大辞典を見て寝たのだった。

2004年2月16日(月) 晴れ :期待のニューカマー
 遊び疲れで休みたいが、今日は当番があるので休めない。やむを得ず、我慢して起きる。とは言っても、当番業務の内容が遅番なので、ノンビリしたもの。十二時半に職場に到着していれば良いのだ。
 そんなわけで、起きたのは九時である。

 家を出るまで時間に余裕があるので、録画だけしてまだ見ていなかったデカレンジャーとブレイドを見る。デカレンジャーは今回が初回なので、どんな話になるのか興味があった。
 で、見終わってみればこのデカレンジャー、ツボ押されまくりである。
 久しぶりの「基地がある」「上官がいる」「組織としての出自が明確」な戦隊。これ自体はツボかどうか不明なところだが、やはりガオレンジャー・ハリケンジャー・アバレンジャーと「私的非合法組織」が続いた後での「合法戦隊」は新鮮な感じがする。
 また、見せ方のうまさもあるのだろう。ジュークンドーというのが出て来るのだが、これはガンアクションと殺陣の融合らしい。こいつがスローモーション混じりに見せられると、めちゃカッコイイのである。
 このジュークンドー、後で2ちゃんで見たら元ネタがあるらしいのだが、まー良い。自分はその元ネタを見ていないので、寛大である。
 また、キャストにも驚かされた。アナザーアギトな木野さんに、クウガん時の上官、そしてなによりインパクトがあったのが石野真子である。
 最近、特撮出身で一般売りに成功した例は良く見るようになったが、元アイドルで特撮に来た人は珍しいのではないか。しかも狼なんて怖くない石野真子にとって、犬のお巡りさんなど屁でもないだろう。

 幸い先週の番組予告も残っていたので、デカレンジャーはRAM保存が決定した。

 湯河原の土産を持ってポテポテと出社する。職場には十二時ちょっと過ぎに到着。まだひる休みである。
 PCを立ち上げていたら、昼飯を食いおわった友人からクイズのような問題を出された。
 非対称型の56Kモデム(下り56K、上り36K)同士を繋げたら、通信速度はどうなるか、というもの。
 片方にとって上りになるものが、反対側モデムにとっては下りになる。基本的に通信は「スペックの低い方に合わせる」事になるはずなので、この場合は36Kでつながる気がするんだが。
 歳をとって好奇心が薄れてしまったので、特にネットで調べるなんて事もせず。互いに「謎だねぇ」と言いあってこの件は終わる。

 2ちゃんを見ると、デカレンジャー大好評である。ただし、終盤ボロカスに言われていたアバレンジャーも初回は大好評だったので、まだ油断は出来ないと言う冷静な人もいた。
 言われて見れば確かに、アバレンジャーの初回で介さんとえみぽんが途中まで変身してエラーで弾かれたあたりは、当時かなり評判が良かった様に思う。
 さて、デカレンジャーはどうなる事やら。

 当番勤務の終了が午後九時のため、家に帰り付いたのは十時半過ぎになる。
 帰ってから血圧を計り、セーラームーンとグランセイザーをRAMにコピー。
 パソコンでセーラームーンを見ながら、ステッパーを踏む。午前零時になってしまったので、いったんそこで終了。普段は番組二本分、約四十五分ほど踏んでいる。それでもなかなか痩せないのは、やはり晩酌が良くないのだろう。わかっちゃいるけど、止められないんだなコレが。
 風呂に入って、それから日記の更新をすると、何だかんだで一時半だった。

2004年2月17日(火) 晴れ :少年老いやすく、オタク学成りがたし
 やはり金曜日の飲み会→土曜日の湯河原チキンレース飲み→日曜日二日酔い+三キロハイキングで疲れが溜まっていたらしい。朝、どうあがいても起きあがれない。仕方がないので一日休む事にした。

 女房は取材があるとかで、私のために味噌汁を作ってくれた後、急いで出かけて行ったようである。ようである、と言うのは、こちらの意識が朦朧(もうろう)としていて、良く覚えてないからである。
 取材の相手はインテリアデザイナーだそうで、インタビューの前にまず美容院に行かねばと昨夜言っていたっけ。

 こちらは十二時頃にのそのそと起き上がり、誰もいない家で卵ご飯とシラスにワカメとエノキの味噌汁でブランチ。その時HDDレコーダーの整理もかねて、見たら捨ての名探偵コナンを見始める。

 そのまま勢いでレコーダーのHDD整理が始まる。まず、唐沢俊一氏が出た「爆笑問題のススメ」をRAMに保存。これは以前、永瀬唯氏がBSマンガ夜話に出た時のものを保存したRAMに同居させた。まぁ、と学会つながりという事で。
 それから、ドールハウス・巷説百物語・ウルトラマン・鋼の錬金術師といったレギュラー物をRAMに収める。
 こうして見ると、アレコレと見ているもんである。

 そうこうしているうちに三時頃、息子が学校から帰って来る。今日は帰ったら一人で留守番=ゲームやりたい放題、という目論見(もくろみ)が私の存在で粉砕されたためか、露骨にがっかりした顔をする。我が息子、なかなかにストレートな奴である。

 その息子、親に隠れてチョコレートの大食いでもしたのか、クシャミをした拍子に鼻血を出す。それも、やけに大量に出る。そう言えば自分も子供の頃は、よく鼻血を出していた物だった。
 大人になると出なくなるものなんだろうか、鼻血って。もう何年も鼻血を出していないような気がする。
 いや別に、鼻血を出してみたいとかいう訳ではないんだが。

 夜、録画しておいた「大映特撮映画予告編大特集」を見た。まずはガメラ編という事で、制作された年の順にガメラ映画の予告編が流される。当然最初は白黒のガメラで、やがて平成ガメラ三部作が出て来るのだが、驚いたのはその平成三部作の直前に流れた予告編である。
 まずタイトルが出て来る。思い切り「宇宙怪獣ガメラ」と書かれている。いつからガメラの産地が宇宙になったのか、という疑問はあるが、まぁ昭和後期の怪獣映画は作られる度に設定が変わるなんて事は良くある事なので、良しとしよう。
 次に「主人公」というテロップが入り、その文字に続けて現れたのはなんと、

マ ッ ハ 文 朱

 である。しかもそのマッハ文朱、まるでスーパーマンのような格好をしている。全身をピッチリと包むタイツみたいな服を着て、マントまでなびかせているのだ。
 それだけでは止まらない。
 画面には宇宙空間が広がり、そこにどう見てもスターウォーズの初っぱなで出てくるスターデストロイヤー級ソックリの宇宙戦艦が出てくる。もちろん登場の仕方も同じで、画面の上部を延々と前方に向けて飛んでいる。
 そんなもんで驚いていてはいけない。まだこれは実写特撮部分だ。
 何とこの映画でガメラは、銀河鉄道999や宇宙戦艦ヤマトと共演しているのである。セル画の999やヤマトの前を、ガメラは堂々と横切っていくのだ。
 これって、ウルトラ水流や仮面ライダーとウルトラマンの共演よりもよっぽどトリビアだと思うのだが、どうだろう。

 もっとも、人によってはこの程度の事は「基礎知識」「一般教養」のレベルなんだろうなぁ。まだまだ学ぶ事は多いと、改めて実感させられる今日この頃である。

2004年2月18日(水) 晴れ :犯罪王国
 何かの容疑者にされる夢を見た。

 捕まった時、なぜか日本語が通じなかった。相手(多分警官か刑事)は英語と思われる言葉でまくしたてるのだが、何を言われているのかサッパリ分からない。ただ、こちらが一方的に不利な状況に追い込まれている事だけは分かる。
 かつて雑誌で読んだ「そんな時は『私は壁抜けが出来ない』と英語で主張しろ」というアドバイスを思い出し、必死で "I can't ……" としゃべり出して「壁抜け」を英語で何というのかが思いつかず、黙り込んでしまう。
 アリバイはあるのだが(そしてその内容はまさに、超能力による壁抜けでも出来ない限り私が犯人ではないというものなのだが)、私を捕まえた刑事は何がなんでも私を犯人にしたて上げるつもりらしい。
 その後、道路に面した交番でキュウキュウと絞り上げられている。自宅の電話は止められている様子。ちなみに一人暮らしで、結婚はしていない設定らしい。
 どういう訳か、交番の電話を使って実家の母親に連絡をとっている。母は、風呂にも入らず一生懸命調べていると言う。しかし風呂上りの母の姿が映るあたりが、いかにも夢らしい。
 自宅の電話をとめられた事について、誰かと会話をしている。「あいつら、容疑者になった段階で電話とめちまうんだよ」と私に説明している人がいる。
 その後、被害者の家族が交番にいるシーンになる。なぜかゴリラ。そしてどういう訳か、私がそのゴリラにお茶を入れてやりながら「あなたは容疑者が欲しいだけだ」と責めている。ゴリラは聞く耳を持たない様子。
 そのすぐ後に、女房が「そろそろ起きる?」と声をかけてきて、手元の携帯電話が鳴るシーンがあって、それがきっかけで目が覚めた。
 ぼんやりした頭のまま隣の女房を見てると、実に良く寝ていた。

 職場で、ダイエット話に花が咲く。
 その時に出た結論が、「禁煙とダイエットは、永遠に『明日から始まる』ものである」というものだった。確かに。
 私の場合、とりあえず禁煙には成功したが、ダイエットの開始だけはいつでも「明日から」という事になっている。

 帰宅すると、生協から届いた「ダイエット」という名前の発泡酒が待っていた。製造元はサントリーで、どういうわけか生協のマークが入っている。このマークが入ると、少し安くなるんだろうか。
 とりあえず冷やして飲んでみる。


 まー、悪くないかな、という味。昔に飲んだサントリーの発泡酒(ホップスだっけ?)は二度と飲まないと思ったものだが、これはそこまで嫌う事もないだろうという味。
 ただ、やはり発泡酒は麒麟の端麗生が一番美味いと思う。

 今週の相棒、犯人はおぼろさん。しかも予告によれば、来週は香川教授が出てくるらしい。
 それにしても、どちらも芝居が変わらないなぁ……。

2004年2月19日(木) 晴れ :そろそろReadMe!の登録タイトルを変更したい
 どうも私は、エビとかカニに弱い。いつも財布は火の車だというのに、社員食堂のメニューに「エビフライセット」なんて書いてあるともう、他に何があるのか確かめもせず、おまけにエビフライセットの値段も確認しないまま、エビな列に並んでしまう。
 というわけで今日のお昼は、豪華エビフライセットである。


 自分でもバカだなーと思うのは、自分がエビやカニのアレルギーであるっぽいにも関らず、こういった物を貪り食ってしまうところだ。今日も案の定、夜になってから全身が痒くなった。
 ダイエットで有名なキトサンを飲んだ時も同じように、全身が痒くなる。あれには、カニの甲羅が粉末になって入っているらしい。
 とはいえ、このアレルギーについて病院で診断してもらった、とかいう事ではない。ただ単に、経験則で「エビカニ類を食う→全身が痒くなる」という事に気付いただけである。

 エビとかカニ、止められないよなぁ……。痒くなんない方法、ないかなぁ……。

 唐沢さんの日記、うちと同じペースだと思って安心していたら、いきなり追いぬかれた。十九日に十八日の日記が載っている。
 うちのページは、十九日の深夜に十八日の日記をアップするから、それが世間の目に触れる二十日の時点での最新が十八日の日記、という事になる。見た目では二日遅れになるのだ。
 ん〜、頑張って当日の日記は当日深夜にアップするか……。

 夕方、背後の席で鳴った電話をとった後輩がいきなり、私を呼んだ。
「外人から電話っす。ご指名ですよ」
「へ? 俺に?」
「はい。モロに名前呼んで、いますか? って……」
 いや〜な予感がする。しかし、後輩が向こうさんに私の事を、いるって言ってしまった以上、出ない訳にはいかない。
「Hello」
「Hi! How are you!?」
「いやちょっとその……。I can't speak English」
「Oh! OK! アイティ、ジンザイハケンガイシャ。OK?」
「あー、その……。I can't understand」
「OK! Bye!」
 ……って、なんか元気なガイジンさんだなぁ。

 で、どうして私宛にその「アイティジンザイハケンガイシャ」なる人物から電話があったかと言うと、私の背後の席に座っている後輩がかつて同じように名指し電話攻撃をくらったのがきっかけだった。その時彼はとっさに、他人のフリをして「彼はもう帰った」と言ったのだそうだ。そしたらそのガイジンさん、いきなり「で、キミの名前は?」と聞いて来る。仕方がないから私の名前をかたった、のだそうだ。
 で、それから数ヵ月が過ぎ、もうほとぼりがさめたと思ったんだろう。その時にメモった名前の相手に電話したらそれが私だった、という訳である。
 いやはや、なんとも……。

 ちなみにこのページ、今のタイトルになる前は「英語erになろう!」というタイトルだったのだが……。しかも、今でもReadMe!での登録タイトルは、そのまんまなんである。
 まったくもって、お恥ずかしい限りである。

2004年2月20日(金) くもり晴れ :××と畳は……
 ソーテックで今月末日まで、「分割二十回まで金利手数料タダ」というキャンペーンをやっている。そろそろPCを買い替えたいなー、と思っていた私にとって、まさに福音のようなキャンペーンではないか。

 私が今使っているPCも、ソーテックである。Micro PC Station 366D というモデルで、当時としては DVD-ROM ドライブがついたモデルとしては最も安かった物だ。
 OSはWin98で、SEですらない。買ったのは確か二月頃だと思う。という事は99年だろうから、まる五年の間使っている事になる。
 その間、空いていた5インチベイにCD-RWドライブを追加し、IDEケーブルと電源ケーブルを交換してHDDを増設し、DVD-ROMドライブをDVD-RAMドライブに交換しと、あれやこれやと拡張して使ってきた。
 今までよく頑張ってきてくれたと思う。

 ソーテックと言えば、故障しまくりでサポートがダメダメという評判があるみたいだが、私の買ったPCに関して言えばハードウェアの問題は一度も発生していない。さすがに最近は起動すると電源あたりから異様なビビリ音がする時があるが、これはもう寿命だからだろう。それだって、音がするのは週に一回程度である。
 だから今のところ、ソーテックに対して、悪い印象は持っていない。

 今でも元気に動いている366Dではあるが、さすがにCPUのクロックが366MHzでは、最近のソフトをインストールしようと思ってもその要求スペックを満たせない。それに、クロック三倍の法則というのがあって、エントリーマシンのクロックが手持ちマシンの三倍を越えたら買い替え時、なんだそうだ。
 使い道と言えばWebでエロ画像を集めたりエロDVDを見たりするだけだから今のマシンで十分なのだが、それでもやっぱり新しいマシンが欲しいのである。

 というわけで、ポチッとな。
 狙いは、PC STATION PG2250C である。やはりDVDは欠かせない。いや、ドライブは持っているから構わないが、DVD再生ソフトが付いてくるのが重要なのだ。
 他にも色々とソフトが付いてくる。「ホームページNinja」なんてのもあるから、いずれはこのページも、少しは見栄えが良くなるかも知れない。

 分割払いについては、ソーテックと提携している信販会社との契約をすることになる。オンラインショッピングの入力フォームにも、信販会社が使うものと思われる情報を入れる欄がある。
 そこらへんもサクサクと入力して、ほれポチッとな。

 全ての入力と送信が終わり、プロバイダのWebページからメール送受信の確認をして「注文確認メール、キター!」と一人で騒ぎ、一通りの興奮もおさまってすっかり全てを忘れ去っていた午後五時過ぎの事……。

 ミーティングで席を外している私の席に、電話がかかってきた。昨日の日記に登場した、私の名前を騙った後輩が出る。電話の向こうの声は、女性のものだった。
「ワタクシ、STOと申しますが。玲さんいらっしゃいますでしょうか」
 どうやら信販会社が、申し込みフォームに入力した「勤務先電話番号」の確認をするために電話してきたらしい。しかしもう一人の私(違)は、そんな事は知らない。
「ただいま席を外しておりますが。どういったご用件でしょう?」
 なかなかにアグレッシブな受け答えである。
 それに対してかの女性は、こう答えたそうだ。
「それは……、プライベートな事ですので申し上げられません。失礼します」
 そう言って電話を切ったという。

 後からその話を聞いた私は、あぁ信販会社の確認だなと思ったのだが、周囲のみんなはそう思わなかったらしい。

「プライベートな用件で電話をかけてきた女性」

「玲一文の浮気相手」

 という図式が、いつのまにか出来上がっていたのである。
 何というか、みんなの私を見る目が冷たい。まるで、汚らしいモノでも見るような目で、そっけなく「さっき女の人から電話ありましたよ」と、吐き捨てるように言う。
 違う! 違うんだぁ〜! 信じてくれぇ!

 これはもしかして、長年連れ添った366Dを捨てようとする事への、天罰なのだろうか?

2004年2月21日(土) 晴れ :我慢できない俺様
 久しぶりの囲碁教室である。石を持つのは二週間ぶりになる。勘も鈍ってるだろうこの復活戦の相手が何と、研究熱心なIWMさんである。この方、いつも石倉九段の本を手に、盤上に石を並べて研究しているという。復活戦の相手としては、ちょっと怖い。級位は現在のところ、私と同じ十五級との事だった。
 以前に二度ほど打って、二度とも私が勝っているとはいうものの、正直言って苦手な相手である。何しろ、こちらが先行するつもりで大場に打つと、しばらくしてからこっちの守りの甘さを鋭く突いてくる。
 今回もやはり、酷い目にあった。何度も大石を殺されそうになり、そのたびに苦し紛れで打ち返す。すると、自分でも不思議なことに今度はこっちが相手を攻めている形になっている、という事の繰り返し。
 結局、こちらの蓋いっぱいにアゲハマをいただき、中押し勝ちという事になった。

 終局図はこんな感じになった。私が白、IWMさんが黒である。


棋譜


 勇猛果敢に突っ込んできては返り討ち、というIWMさんの戦い方に、思わず「二百三高地みたいですね」と失礼なことを言ってしまった。

 対局を終えて売店で囲碁未来を買い、棋院を出て川向こうのマクドナルドへ。今日の昼食はたまごダブルマックである。本来、潰瘍持ちが食って良いシロモノではなさそうだが、新聞の折り込みチラシでこれの存在を知って以来、食べたくて仕方がなかったのである。

 構造としては「クラウン・たまご・ベーコン・ミート・ミート・ヒール」となっているが、「クラウン・ミート・たまご・ミート・ベーコン・ヒール」でも良いんじゃないかと思った。ミートが二枚入っているのはボリューム感タップリで良いのだが、せっかくだから分散させてはどうか、と思うわけである。
 恐らく、商品開発の時点でそんなのはとっくに試されているんだろうが。どうして候補から落ちたのかな〜、この構造は。

 食べ終えてから有楽町線で有楽町に向かい、ビックカメラへ。先週の温泉旅行で撮った写真をプリントするためである。というのも、今夜そっち関連の飲み会があるので、そこで披露する必要があるからだ。

 デジカメのプリントといえば大きく分けて二種類になる。一つは全てセルフサービスとなるプリント機で、こちらは一枚五十円かかるかわりに、その場でプリントが手に入る。もう一つは、データを一度コピーして受付表をカウンターに出し、三十分から一時間後に出来上がると言うもの。こちらは時間がかかる代わりに、一枚あたり三十円〜三十五円と安上がりになっている。
 プリントする枚数が四十枚と、差額が一枚あたり二十円なら合計八百円となってしまうので、当然安い方を選ぶ。
 ところがここでちょっとした行き違いがあり、有楽町ビックカメラの地下にあるDPEの受付でこのサービスをやってないと思いこんでしまった私は、デジカメプリントをやっているDPEのお店を探して有楽町の町中を三十分以上も彷徨してしまったのだった。

 探し方が悪かったのだろうが、DPEのお店は一軒も見あたらず、再度ビックカメラのDPEカウンタオーを覗いたら、下の方にちっちゃく「デジカメプリント」と書いてあった。もっとでかく書いてくれ>ビックカメラ。

 プリントの注文をしたあと、PC周辺機器を売っているフロアに向かう。スマートメディアやSDメモリカードなどをPCに読み込むためのカードドライブを探すためである。
 今、私が持っているこの手のメディアはスマートメディア・SDメモリカード・コンパクトフラッシュ・PCMCIAフラッシュカードの四種類である。
 これらを全てあつかえるカードドライブを探したのだが、置いてない。フラッシュカードだけが対象外となっているドライブばかりなのである。もうフラッシュカードは過去のメディア、という事なのだろうか。
 やむを得ず、その場にあったドライブで一番安いUSB接続のカードドライブを購入する。

 そのまま職場に向かい、信販会社からの確認電話を待つ。昨日は不倫相手と間違えられたアレである。
 午後四時ちょっと前、昨日とは違う名前の人が電話をかけてきた。昨日の人はどうだか知らないが、今日かけてきた女性は凄く可愛い声である。あまりにも可愛い声だったので、「差し支えなければ携帯電話の番号をお教えいただけますか」と言われたとき、ついつい教えてしまった。こう言うとき、普通は断るものなのだが。
 購入した商品や値段、分割の支払方法や住所、生年月日などを確認し、どうやら手続きは終わったようである。後は信販会社が自宅に送ってくる書類に必要事項を記入して、返送するだけ。それが向こうに届けば、新PCが我が家に向かって発進、となる。
 待ち遠しい限りである。

 てな事を書くと現PCがスネるので、内緒である。

 夜七時から高田馬場で飲み会なので、その直前にラーメン二郎高田馬場店に行く。胃カメラを飲むちょっと前からずーっと二郎断ちをしていたので、もう我慢の限界点に達していたのだ。
 店の前に到着したのが六時五分前。予想より列は短く、私の前は四人程度。並んですぐに、店の入り口にさしかかる。ここらへんで店内から「食券見せてください」と言われるので、あらかじめ小豚の食券を購入する。
 やがて順番待ちは私の番となり、店の奥から食い終えた人が出てきて「奥へどうぞ」と言われる。高田馬場店はカウンター以外に奥の席がある、というのは知っていたが、実際に入るのは今日が初めてだ。
 カウンターでむさぼり食っている人達の背中と壁に挟まれてカニ歩きをしながら店の奥に入ると、小さなテーブルがあった。これに三人ほどが相席となるらしい。
 しかし驚いたのはそのテーブルの小ささではなかった。床が異様に滑りやすいのである。ただ立ち止まっただけだというのに、私の質量を減速させるエネルギーを受け止められないほど摩擦係数が低くなった床の上で、スッ転びそうになる。
 この床、いつか死人を出すんじゃないだろうか。

 席について五分ほどすると、もうトッピングコールである。見込みで麺を茹でているので、ここらへんのオペレーションは潤滑に進む。私のトッピングコールは当然ながらニンニクダブル。二郎と言えばニンニク、ニンニクと言えばダブルである。
 やがて、通常の二倍の量を誇るニンニクが乗せられた小豚ラーメンが目の前に置かれた。


 久しぶりの二郎を堪能し、六時二十分頃に店を出た。
 全身からニンニクのオーラが出ているのが、自分でも分かる。これでもう今日の飲み会は、女性の隣に座るのをあきらめざるを得ない。
 この過ち、先週の金曜日にやったばかりである。もしかすると私は、学習機能がオフになっているんだろうか……?

 自分が思うよりも匂いは強かったらしく、飲み会では女性どころか男性も私のそばに寄ってこない。みんな、私と自分との間にATフィールドを張り巡らせている。
 楽しい飲み会だったけど、ちょっと寂しかった。

2004年2月22日(日) 晴れ :妄想爆裂
 八時頃にいったん目が覚めたのだが、トイレに行った後また布団に潜り込んだ。本格的に起きたのは、いいとも増刊号が終わる頃だった。
 さすがにこれだけゆっくり寝れば、二日酔いもほとんど治まっている。もっとも昨日は飲む前に胃袋を二郎でコーティングしてあったから、その油が胃壁を守ってくれたのかも知れない。いつも、空きっ腹にビールをガンガン流し込むから、ひどい二日酔いになるのだ。

 だが、飲み会前の二郎が二日酔い予防に良い事が判っても、あの匂いを考えると躊躇してしまう。なにしろ二郎を食うと、翌日いっぱいは全身から二郎オーラ(主成分:ニンニク)が漂っているのが自分でも判るほどである。
 今日も、息を吐く度にほのかに二郎の香りが漂っている。かつてこの状態を「二郎はゲップも美味い」と言った人がいるが、けだし名言だと思う。

 とりあえず次回は、飲み会の前にどこかで蕎麦でも食う事にしよう。

 遅い朝食(というか昼食)をとりながら、デカレンジャーを見る。相変わらず良い感じ。今回は合体ロボの御披露目である。
 この手の話ではお約束な、「はじめての合体は不安が一杯」という展開なのだが、デカレッドの強引さが突きぬけてて良い。レッドが乗ったマシンからアームが伸びて、ピンクとイエロー(どちらも女性)が乗ったマシンを鷲掴みする。そのままヒョイと持ち上げて、ジョイント部分を合わせようとするのだが、一発では決まらない。
「んもう、強引ねぇ〜」
「い〜からい〜から」
 と、何だか村上ミオか森山塔のマンガみたいなズッコンバッコン描写に、大きなお友達の妄想は爆裂である。
 その後の、ヤロー連中の合体は一発オッケー。そこで手間どっても誰も喜ばないので、適切な演出と言えるだろう。

 面白いと思ったのは、ここ数年は「合体シーンはCGで、戦闘シーンは実写で」というパターンだったのが、デカレンジャーはその逆で「合体シーンは実写で、戦闘はCGで激しくアクション」という展開を見せた事。
 ジュークンドーも面白かったが、この「ロボットによるガンアクション」がカッコ良いというのもポイント高いのでは。

 流れで仮面ライダー剣。こっちで今回特筆すべきはただ一つ。
 いたいけな少女の顔に粘液がハァハァ以下省略……。

 こんな感じで、午後一杯はいつも通り、レコーダーのHDD整理で終わってしまった。

 夜になって、日記の更新をする。
 棋譜のJPGファイルが思いのほか大きなサイズになってしまうのにビックリ。これでは、いくらASAHI-NETでの一人当りの容量が百メガとはいえ、すぐに一杯になってしまいそうである。
 しかしまぁ、あまり心配しても仕方がないか。囲碁の話は文章だけで伝えるのが難しいし、自分にはまだそんな力量もないし。以前にやっていた日記と違って、今回は写真や図を多用して判りやすいページを目指しているので、容量の件については一杯になってから考えよう。

 晩酌時、スカパーで録画したエヴァンゲリオンを見ながら。
 当然これはRAMに保存してある。各話ごとにタイトルサムネイルを決められるのだが、この番組ほどその画像が判りやすいのも珍しいかも知れない。


2004年2月23日(月) 晴れ :懐古趣味
 実家がコンベンションの会場になった夢を見る。その夢の中の設定では、場所は確かに私の実家なのに、実際には存在しない広い納屋みたいな部屋がメイン会場になっている。床はコンクリ打ちっぱなし。そこでせっせとオープニングの準備をしている。椅子なんかなくて、運動会の様にゴザやシートを敷いて場所取りをする事になっていた。
 やがてオープニングが始まる。会場にはガイナックスの武田氏の姿も見える。
 自分の部屋に戻ると(何しろ自分の家だから)、ラジカセが目につく。オープニングで使われてたマイクとこれで、夜中にカラオケ企画をやろうかと悩んでいる。やはり近所迷惑だから止めようか、とも思う。
 場面はいつのまにか変わっていて、、地下鉄の駅に向かって歩いている。背広を着て鞄を肩から下げた通勤スタイルだが、なぜか丸い爆弾型の目覚まし時計を持っている。なにより地下鉄の駅がある場所が長谷戸のバス停あたりという、極限まで茅ヶ崎ローカルな夢だった。

 カラオケの事で悩む件(くだり)はきっと土曜日の飲み会で、秋のイベントに武田氏を呼んでその目の前で大日本を歌いたまえ、と言われた事が影響しているのだろう。
 イヤがるだろうなあ、そんな事されたら……。あぁ、考えただけでも胃が痛い。

 背広に着替えてコートを羽織り、外に出る。ずいぶんと暖かくなった。コートは余計だったようだ。この後ずっと、ダラダラと汗をかくハメになる。

 仕事中、唐突に天井のスピーカーから「ポーン」という音がする。良くデパートなどで迷子のお知らせをする時に鳴る、あの「ポンポンポンポーン」という音の一発目だ。この音が鳴ればやはり、その後に何かお知らせがあると思うから、つい天井を見上げて話を聞く体勢になる。
 ところが、待てど暮らせどスピーカーは何とも言わない。心が前のめりになっていただけに、ちょっとつんのめった感じである。しかもこの心のつんのめりが、あと二回もあったのだからたまらない。すっかり集中力を失ってしまった。

 午後、女房がくれた板チョコを食べようと、ブロックの形にそって割ろうとするが、フロアの気温が高くてすっかり柔らかくなってしまい、ぐにょ〜んと曲がるばっかりでちっとも割れない。
 これではいかんと、冷蔵庫にしまう。その時に包装紙に自分の名前を書いといたのだが、それを人に見られてしまった。手に持ったチョコの包装紙に名前が書いてあるのを見て、「盗りませんよ誰も、そんな食べかけのチョコ」と言われてしまう。ありがたいやら、悲しいやら。

 帰宅して郵便受けをチェックするが、信販会社からの書類は届いてなかった。ちょっとガッカリ。
 書類に必要事項を記入して返送し、それが届いた時点で受付完了である。品物が発送されるのは当然その後なのだから、書類の到着が一日遅れる毎に荷物の到着する日が一日引き伸ばされる、という事である。
 土曜日の午後には確認の電話をしてるんだから、早めにたのんますよホント>信販会社。

 風呂から上がり、晩酌の発泡酒を飲みながら録画しておいた「オールリクエストさだまさし」の出だし部分を見る。まっさんの紹介をかねて、グレープのデビューから関白宣言のヒットぐらいまでが当時の映像とともに紹介されていた。
 この映像を見た時、私は永年の疑問だった「関白宣言を聴いた主婦は、どうしてあんなに本気で怒ったのだろうか」という問題が解けたような気がした。
 あの当時、さだファンからしてみればこれほど明確なラブソングもないだろうと思っていた関白宣言だが、当時の映像を見るとまっさんて「エラソーな小僧」にしか見えなかったのだな。そんな小僧(当時確か、二十七歳ぐらい)に「先に寝るな」だの「飯は美味く」だの「綺麗でいろ」だの「浮気は覚悟しとけ」だのと言われたら、あの当時の主婦がコメカミから血の吹き出るほど怒ったとしても、不思議はない。ちなみに今の主婦なら、鼻で笑って終わりだろう。

 ただしこの歌、今もし福山雅治やタッキーが歌ったら、案外ウケてしまうかも知れない。歌って、そんなもんじゃないすかね。

2004年2月24日(火) 晴れ :潰瘍にも優しいラーメンライス
 午前中は仕事を休み、病院へ。例の胃カメラを飲んだ医者に経過報告である。
 私の病状が軽いためだろうが、診察は非常に淡白なものだった。

「どうですか、調子は」
「そうですね〜、薬を飲み忘れると調子悪いって感じで……」
「じゃ、お薬出しときましょう、二週間分ね。じゃ、お大事に」
 これで終わりである。カルテを見ると「薬を飲み忘れると……」と、私が言った事をそのまんま書き写している。ドイツ語とか、書かないのね。
 その後に続けて「再」って書いて丸で囲っていたのはきっと「再度投薬」ぐらいの意味なのだろう。しかし、そう考えるとカルテって判じ物の世界である。こんなの、他の医師が見た時に内容が判るんだろうか?

 という訳で、会計を済ませて処方箋をもらう。これだけで六百円ちょっと。その後の薬が、千と六十円。なんというか、もうちょっと「六百円らしい診察」がしていただけたらなー、と思う。

 家に帰り、背広に着替えて出勤。出がけにポストをチェックするが、やはり信販会社からの書類は来ていなかった。ちょっとガッカリ。

 職場に着くと、我が職場のJFC(二郎ファン倶楽部)会長から、週末の活動について報告があった。何と土曜日には一之江、日曜日にはめじろ台と連チャンだったとの事。うらやましい限りである。しかも一之江は、一時期の松戸店のごとき乳化具合だそうで、それを聞くだけでも仕事を放り出して食いに行きたくなる。
 こちらも土曜日に食べた高田馬場について報告する。特に、床の滑りやすさは要注意、と伝える。
 ちなみに、野菜増し掲示板で「一之江にニラが入った」という話題が出たが、ガセだったようだ。

 そんな話をしたせいか、夕食で久しぶりにラーメンライスをやってしまった。炭水化物の嵐のようなメニューである。

 ところでこのラーメンライスだが、どのように食べるのが「普通」だろうか?
 私はラーメンライスといえば「男おいどん」で出て来たように、ライスを問答無用でラーメンの中にぶち込む、というのが「正しい食べ方」だと信じていた。子供の頃にそれをまねてみたが、麺と米粒が混在していると食べづらいという事が判り、今では先に麺をたいらげ、しかる後スープの中にご飯を入れて雑炊もどきの状態にして、それをレンゲで食う、という方法を採用している。
 もちろんこの食べかたが亜流である、という自覚はある。ただしそれはあくまでも「男おいどん方式が正統派」というスタンスに立っての話である。

 ところが、世間一般ではそうではないらしい、という事に最近気付かされた。
 普通の人はご飯茶碗を手に持ち、ラーメンをオカズというポジションに置いて食べるらしい。つまり、丼から麺を適量つまみあげ、ご飯の上に軽く乗せ、両方を合わせてちょうど一口サイズになるぐらいの量をいただく、のである。

 これを知らされてから、私もちょっと真似をしてみた。しかし、ちっとも美味いとは思えなかった。これはもう慣れとか習慣の問題だろうから、頑張っても仕方ない。
 というわけで、即刻いつもの方法に切り替えたのだった。

 家に帰ると、信販会社からの書類が届いていた。仕事の疲れも吹き飛ぶ、魔法の封筒である。すぐさま封を切り、書類を確かめる。
 Web通販に書いてあったように、必要事項はほぼ記入済みの状態になっていて、後は署名と捺印をするだけである。便利な時代になったもんだ。

 返信用封筒に書類を入れてから、改めて我が家に届いたほうの封筒を見る。
 何か違和感があると思ったら、送られて来た封筒に切手が貼ってある。こういった企業関係の封書、それも直接にお金が関る企業で、切手を貼った封筒が送られて来たのは初めてではないだろうか。たいていこういった物は、料金別納になっていたと思う。
 それとも、切手を貼った方が経費としては安上がりなんだろうか? だとすると、本当に不景気なんだなぁ。

 そこらへん、どう思います?>小泉さん

2004年2月25日(水) くもり晴れ :肉への欲望
 朝の電車の中で、久しぶりに本を読んだ。ずっと読みかけだった、小松左京の「まぼろしの二十一世紀」という集英社文庫の本である。奥付を見ると、昭和五十四年十一月とある。この時点での、「埋もれた作品」を集めたものらしい。時期的には、日本沈没の後ぐらいか。

 あらためて小松左京の凄さ、というモノを見せつけられたような気がする。博学でありつつエンターテイメント性に優れ、その考察になるほどと思わせられる。そして小説だけでなく博覧会の牽引役にもなれる程のバイタリティがある。
 今のSF界(に限らなくても良いが)の中で、この小松左京氏のポジションに入り込める人がいるのだろうか。誰かがこの位置にいないと、日本のSF界は寂しいモノになってしまうんじゃないだろうか。

 小松左京氏と言えば、出雲のSF大会での事。
 夕食の宴会場で偶然にも、斜め前に小松左京氏がいた。メニューにあった一人用鍋の肉を食べきれないと思った小松氏は、近くにいた我々にその肉を分けてくれたのだった。
 その夜、私は知り合いに会うたびにこう言った。

「俺さ、小松左京の肉を食っちまったんだぜ」

 数日前、知り合いからこのページについて「Blogですか?」という問い合わせがあった。一応タイトルとしてBlogと付けてはいるが、質問した人がこの単語をどういう意味で使っているかによって答えが変わってくる。
 てな感じでお定まりのやり取りをしたのだったが、さて世間ではBlogという言葉をどうとらえているのだろうと思い、ちょっと2ちゃんねるを覗いてみた。
 Blogについてのスレを見る限りでは、現時点で万人が納得するような定義はない、と言えそうである。
 一番印象的だったのは、「ブログブログ言うけど、要するに日記だろ?」という簡潔な定義である。もう、それで良いんじゃないか、という気さえする。「Web上のLog」が縮まってBlogになったのであれば、Webの上に転がっているLogは全てBlogと言えるだろう。

 もう一つ面白かったのは「もう、何時に誰と何を食ったか、という事を写真入りで読まされるのはゴメンだ」という愚痴だった。
 なるほどなー、と思う。
 しかし、書く方としてはこれって案外、芸を必要としないから楽なのだ。

 という訳でこれが、今日の昼に食った「鳥の唐揚げ・薬味ソース」である。


2004年2月26日(木) 晴れ 電脳紫の上
 職場で新しいPCが配られた。年度末なので予算消化の意味もあるのだろう。
 今回は、使っているCPUのクロックがギガに届かないPCを使っている人たちが配布の対象となったようで、すでに1.7GHzのマシンを使っている私は対象外だった。

 配布されたのはDELLのSX270というビジネス向けモデルで、Pentium4の2.6GHzが搭載されている。メモリも512メガ搭載なので、私が買ったマシンより高スペックである。悔しい。

 とにかく筐体が小さい。ノートPC用のマザーボードに筐体を被せただけ、という感じで、資料の山が築かれた机の上にとっては救世主のような存在である。おまけに、液晶ディスプレイも支給されたので机の上は広々。今まで書き物作業は広い場所を探してた人も、これでバッチリである。
 うらやましい。

 新PCが届けば当然やるのはセットアップとデータの移動、環境設定である。データについては、LANでデータがやり取りできるので苦労はない。
 問題はアプリケーションのインストールと環境設定である。こういった作業は普通、PCが来た時に一度しかやらないものなので、覚えていない事がいろいろある。
 たとえば右ALTキーだけでIMEがONになる設定など、どうやって実現していたのか全然覚えてなかったりする。

 それでもやっぱり、みんな楽しそうだ。
 新しいPCが来て一番楽しい事といえば、やはり環境設定だろう。メーカー出荷状態からコツコツと手をかけて自分好みの環境を作り上げていくこの作業こそが、PCをいじくりまわす醍醐味である。
 その作業が終わってしまうと、あとは使うだけなので今ひとつ面白くない。そう思うのは私だけだろうか。

 環境設定といえば、昔はHP100LXやNECモバイルギアの環境をコツコツと作っていたものだった。どちらも同じPCカードで使いまわせるように、AUTOECEX.BATやCONFIG.SYSを工夫し、モバイルギアなどはメニューを降りてDOSむき出しの状態から日本語フォントをロードしてLXのコネクティビティパックのメニュー画面が出るようにしたものだ。
 これも今では、どうやって作り上げたのかさっぱり覚えていない。
 ただ、こういった作業をしている時が一番楽しかった事だけは良く覚えている。

 さしずめ、電脳版光源氏、といったところだろうか(違)。

2004年2月27日(金) 晴れ 皿の上のバトルロイヤル
 十二指腸潰瘍が全然治らないというのに、今日もまた身体に悪そうなメニューが私を誘惑する。
 何と、エビフライ+ヒレカツ+豚汁セットである。果たして何メガカロリーあるのやら、見当もつかない。社員食堂のメニューにはカロリーが併記されているのだが、このメニューだけはそれがなかったように思う。
 どう考えても、健康には悪そうなメニューに思えるんだが、社員食堂のスタッフは密かに私を暗殺しようとしてるんじゃないだろうか?


 トレーの上には二匹のエビフライとヒレカツ、それに大振りな器に入れられた豚汁が三つ巴の戦いを繰り広げている。まるで「ゲソラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」である。そういえばアレも、美味そうな怪獣ばかりだったっけ。

 エビフライはちゃんと見た目の通りな海老が入っているし、ヒレカツは柔らかく仕上がっている。
 豚汁は、戦う相手が悪かった。エビフライとヒレカツがリングに上がると、やはり影が薄い。ただ、ちゃんと美味しかった事は確かである。

 で、夕方にもまるっきり同じセットがメニューのショーケースに並んでいた。これは珍しい事で、たいてい夕食は昼の残りか翌日の食材を前倒しで使っての創作料理が出てくるものなのだ。
 という事は、このバトルロイヤルメニューは「余りまくった」という事になる。ん〜、さすがみんな健康に気を使っているな。
 私も、いくらなんでも二連発でこれに挑戦する気力もなく、無難に蕎麦を選んだ。

 仕事が終わって帰るコールをする。夜のお楽しみと言えば、風呂上りのビール(本当は発泡酒)である。
「今日のつまみは何?」
「ヒレカツ〜」

 どうやら今日は、ヒレカツフラグが立っていたらしい。こんな事なら、夕食もヒレカツを食って全食ヒレカツコンプリートすれば良かった。

2004年2月28日(土) 晴れ 漢(おとこ)のラーメン、漢のPC
 起きたらものすごい胃もたれ。昨日あれだけヒレカツだのエビフライだのを食ってるのだから、当然の報いか。

 囲碁教室、今日はいつもの先生がお休み。代打で登場の先生は、平日に有段者向けの講師をしている方だそうだ。
 布石の手順を書いたプリントと、手筋の問題が書かれたプリントが一枚ずつ配られる。いつもと違った方法で、新鮮な感じがする。
 ちなみに手筋の問題は四問あって、簡単に解けたと思った四問目を間違えた。油断大敵である。しかも、その後の対局でも油断しまくって、中押し負けになってしまった。

 対局は、こちらが白を持っての二子局
 はじめのうちは、大きく展開してこちらが有利な感触があった。ここで素直に打ち続けてればよかったものを、不正確な形勢判断で相手を減らしにいこうと思ったのが間違いの元だった。

 まず三三に入る。入るのは良いが、そこで死んでしまったのが敗因その一である。普通、死なない。
 下の図、白9で広げようとしたのが失敗だった。ここで素直に白12と打っていれば、生きられたものを。


 次に、相手がこちらを消そうと戦闘を仕掛けて来た。応戦するも、大ピンチ。二眼つくれるか微妙なところだったが、辛うじて「あと一手で二眼できる」というところまで持ち込んだ。そこで相手に「ここ、生きちゃいましたね」と言われ、それを鵜呑みにしたのが大間違いだった。
 次に相手が打った手は、単純に「一目でも敵の地を減らしたい」という以上の狙いはなかった。にもかかわらず、私はその手を受けて継いでしまい、もっと大事な「生き死にに関る目」を欠け目のままにしてしまった。
 そこをすかさず突かれ、大石が全滅してしまった。
 さすがに二箇所も大石を殺されては回復は不可能である。ここで投了した。

 傷ついた心を慰めるため、都営新宿線で一之江に向かう。目的地は、ラーメン二郎環七一之江店である。
 地下鉄の駅をでていつものコースで二郎に向かう。黄色い看板が見えて、あとは陸橋を渡れば到着、というところまで来た時だった。
 
陸橋、工事中。

 この陸橋、前後にある信号のちょうど中間地点ぐらいに位置しているので、どういうコースを選んでも同じ結果になる。どうせなら後退するより前進だと、前方にある交差点を目指した。
 信号を渡ってぐるっと引き返すかんじで二郎に向かう途中で、ラジコンショップを発見してしまう。結婚前はラジコンに入れ込んでた事もあり、微妙な意味での「身の危険」を感じる。

 店に入ると、五人待ち。昼飯時にしてはラッキーである。
 店に入るまでは小豚にしとこうと思っていたのに、気がつくと指が大豚のボタンを押している。何てこった。


大豚ニンニクトリプル

 一之江店は開店当時、「麺がデロデロ」と野菜増し掲示版で文句を言われたぐらいに柔らかい麺を出していたのだが、最近はすっかり普通になってしまった。私は開店当時の柔らかい、トロッとした食感の麺が気に入っていただけに残念である。
 席があいて食券をカウンターに出す時に麺柔らかめコールをしたが、それでも開店当初のトロ味麺にはならなかった。おそらくあのトロ味は、茹で時間ではなく麺の成分比率から生み出されるものなのだろう。

 とはいえ、美味い事に変わりはない。トッピングコールでニンニクトリプルって言ってもほとんど増量されないけど、それでもやっぱりこの店の味はお気に入りの一つである。
 途中、食べきれないかと思ったが、気が付けば固形物完食スープ半飲である。これで身体に良い訳ゃないよ。
 店を出て、カクヤスでクロレッツを買って駅に向かう、といういつものコース。そこから新宿線で岩本町にでて秋葉原へ、というのもまた、いつものコース。

 まずは書泉ブックセンターで特撮エース購入。
 次に、まだ届いていないPCのためにメモリを買おうと、朝のうちにネットで調べておいた安売りランキング一位の店に向かう。パーツ類のあるフロアに行き、レジカウンター前に貼り出された価格表を見ると、確かにノーブランド512メガが七千円弱で売り出されている。
 早速「PC2700の512メガメモリ下さい」と言うと、何と店員さんがオンドゥル語使いだった。

「三種類ございます。ノーブランド、Jナンチャラ(聞きとれなかった)規格準拠と、サムスンになります」

 と言ってるらしい。少なくとも、私にはそう聞こえた。普通に話すと七秒から十秒ぐらいかかるこの台詞を、彼は五秒以下で言ってのける。

「それって、それぞれどう違うんですか」
「ノーブランドは極限まで部品を削ってコストダウンしてありますのでまともに動くという保証がございませんその点Jナンチャラ(やっぱり聞き取れない)はそういった事がないので相性問題の発生が減りますサムスンのメモリは相性問題がほとんど発生しません当店ではノーブランドのメモリはお勧めいたしません」

 じゃ、売るなよ。てゆーか、客引きのエサだったのかよそれ。
 こちらも店員さんのオンドゥル語に慣れて来たので、話を聞きつつ料金表をチェックする。おおざっぱに言って、Jなんちゃら準拠はノーブランドの五百円増し、サムスンはさらに五百円増しという感じ。
 値段的にはノーブランドだが、万が一の時に交換してもらえるためには五百円の割増料金がかかる。しかし八千円に消費税を加えては予算オーバーになる。

「じゃ、その準拠品下さい」

 自分では妥当な判断だと思ったのだが、店員さんは驚いたようだ。すぅっと目を細めると、私がアンデッドかどうかを見極めようとするかのように、小さな声でこう言った。

「こちら、品切れになっております」

 そーゆーラウズカード出すかー!
 てゆーか、客をなめとんのか、こいつは。

 しかしオンドゥル語使いにミスは付き物。隣にいたベテランライダー(違)が在庫有りだと教えてくれる。どうやら、封印されずに済んだようだ。
 オンドゥル君はメモリーを梱包しレジに金額を打ち込む間、まるでスーパーの特売アナウンスの様な抑揚でこう言った。

「こちら〜準拠品とはなっており〜ますが〜完全に〜相性問題が〜排除されたわけ〜ではございま〜せんメーカー品の場合は問題のない事が〜多いですが〜一部ショプブランドPCの場合などや〜はり相性問題が発生する場合が〜ございます当店ではこのような商品のご購入はお勧め〜いたしま〜せん」

 何度も練習したのか、この台詞はオンドゥル語ではなく日本語で、まさに立て板に水という感じで滑らかである。
 オンドゥル君は私から予算オーバーとなる八千円強を巻き上げ(消費税入れたら越えちゃった)、なおかつ不安な気持ちを植え付ける事に成功した。新米ライダー(違)としては手堅い勝利と言えるだろう。
 私は、ベルトのバックルが開いたアンデッドみたいな半封印状態で店を出たのだった。

 次はあきばお〜壱号店へDVDメディアを買いに向かう。三月もスカパーでアレコレと放送されるので、メディアの補充は必須なのである。
 我が家では定番のラディウス両面殻付きDVD-RAM五枚組とメーカー品のDVDーR五枚組、それからPCが届いたらリカバリーディスクを作る必要があるのでCD-R十枚組も購入する。

 店を出て路上の隅でディパックの中を整理し、次に向かう先はヒロセ無線である。詳しい説明は避けるが、まぁ女房子供と一緒に行けるような店ではない、とだけ言っておこう。
 ここで、以前からネットで調べて目を付けていたDVDタイトルを探す。二階、三階、四階と、三つのフロアにDVDがみっしり詰め込まれていて、しかも棚の構成がメーカー毎だったりジャンル毎だったり値段順だったりして、何だか判りづらい。
 結局、お目当てのタイトルは見当たらなかった。
 しかし、ココでくじける私ではない。通りを渡り、ロケット5号店へと向かう。ここもやはり複数のフロアにDVDがミッチリ、なお店なのだが、棚の構成がヒロセ無線より判りやすい。いや、私には馴染みやすい、と言った方が正確か。こちらもやはり、メーカー毎ジャンル毎に分けてあるのは同じである。ヒロセ無線とロケットの棚にどういった違いがあるのかについては、今後じっくりと研究していきたいと思う。

 お目当てのタイトルも発見し、さらには昔欲しかったけど値段が高くてあきらめていたタイトルも大幅値下げされたのを発見、早急に保護する。
 しかし、さすがはロケット。変身物というジャンルに専用棚を設けるあたり、明確にオタクをターゲットにしてると思われる。変身物はレンタル市場に出てこないので、購入する以外に見る手段がないのである(ここらへん、何が書いてあるか判んない、という人は放置)。

 欲望がパンパンに詰め込まれたディパックを背中に、帰路につく。途中、女房から携帯メールが入り、内容を確認したところ、こう書かれていた。

「 キ タ ー ! 」

 あぁ、夫婦だなぁ……。まぁ、携帯なんでこの程度で済んでるが、もしPCでのメールならきっと以下省略。

 何はともあれ、無事にブツが届いたわけである。ついに母親の居場所を知ったマルコの様な気持ちで、イソイソと家に帰る。玄関を開けると、本体と液晶ディスプレイ二つの段ボール箱が私をお迎えする。
 当然ながら家族も出迎えてくれるわけだが、それはまぁ後でゆっくり、という薄情な俺様である。

 まずは新PCの場所を作るため、旧PCをどかす。そして、新PCを展開。
 改めて液晶ディスプレイの省スペース効率の良さに驚く。もっともこれまで、17インチのディスプレイの上にディスプレイ専用の棚を置いて(しかも二段構造)、そこにウルトラホークだのジェットビートルだのポケットティッシュだのを山盛り置いてたわけだから、その差は歴然としていて当然だろう。

 新PCの電源を入れ、嫌々ながらマイクロソフトの提示する条件に同意すると、そこにはもう俺様専用の Windows XP Home Edition が。
 SOTEC の Web からマニュアルの PDF をダウンロードし、荷物が届くまでの間毎日それを眺めていたので、最初に何をするべきかはよくわかっている。リカバリ CD の作成である。そのために今日、秋葉原で CD-R を十枚も買ってきたのだ。実際に使うのは六枚だが。

 リカバリディスクを作り終えると、次はDVDプレイヤーのパフォーマンステストである。記念すべき、新PCでの初DVD再生である。これはもう、「真! ゲッターロボ」以外には考えられない。
 液晶画面に、見慣れたバンダイのオープニングロゴ。やはりゲッターは良い。

 というのは置いといて。
 さすが、約八倍のCPU性能を持つだけのことはある。画面の解像度を落とさなくてもフルスクリーン表示が可能とは。以前のPCでは、解像度を1280×1024のままでフルスクリーン表示に切り替えると、画面が汚くなったものだが。

 さて、本当にゲッターを見ていると終わるまで一時間半ぐらいかかってしまうので、泣く泣く終了させる。
 そしてケーブル類をいったんすべて外し、筐体をあける。旧PCから取り出したDVD-RAMドライブと、オンドゥル君からゲットしたメモリを追加し、再度ケーブル類をつないで設置する。
 オンドゥル君の願いもむなしく(?)、メモリは何のトラブルも発生させることなくシステムが起動した。

 こうして、我が家で最強のマシンが出来上がった。
 この強力なマシンで何をするのかといえば、こうして日記を書いたりエロ画像を集めたり再生させたり……。

 ま、漢(おとこ)とは、そーゆーもんだ。

2004年2月29日(日) 晴れ カップヌードル三昧
 今日はお仕事。朝の八時から夜の八時まで、職場にカンヅメである。万が一妙なトラブルがあったりすると、帰りはもっと遅くなる。しかも今日は、うるう年の二月二十九日という、いかにもトラブルが好んでやって来そうな日である。
 しかし業務に関してはヨソでばらしちゃいけない、という契約書にハンコをついているので、ここでは書けない。絶対サポセン黙示録に投稿できそうなネタはいくらでもあるのだが、今ここで契約を失うわけにはいかないのである。

 職場に行く前に、食糧確保のためにコンビニに入る。昨日二郎を食ってしまった影響もあり、目指すはスーパーカップかカップヌードルのビッグサイズ。と思って棚を見ていたら、ビッグカップヌードルの棚に「トンコツ」の文字列を発見してしまった。これはもう、二郎ファンとしては買わないわけにはいかない。じゃぁ二郎はトンコツなのかと言われると、それはまた別の問題であるが。

 せっかくだからと、三食分の全てをカップヌードルで統一することにした。それと、カップヌードルだけでは足りないので補強食としておにぎりを三つ追加する。
 こうして、篭城の準備は整った。

 まずは朝食。
 せっかくだからと、トンコツをいただくことにする。そして、二郎ファンとしてはトンコツにはぜひとも欠かせないのがニンニクだ。という事で、組み合わせたおにぎりは「焼きおにぎり にんにく醤油」である。


 味のほうはといえば、まぁ「あぁ、カップヌードルだなぁ」という感じか。この手の商品の老舗だけあって、味が安定している。次回の当番の時も買ってみようかな、と思うだけの力はあると思う。

 そして昼食。
 トンコツを食べてからそんなに時間が経っていないので、食欲を刺激する意味でもカレーを選択する。相方は、玉子ごはん。


 カレーヌードルが出来上がったのを見るたびに思うのだが、カレー味の凝縮された粒が上部に来てしまうと、ろくに溶けないまま三分が過ぎてしまう。出来上がってからかき混ぜればよいだけのことなのだが、消費者の身としてはもっとこう「ふたを開けたらバッチグー」な世界を期待したい。
 というわけで、味は気に入っているのでここらへんの「ダマになりやすい味の粒」を工夫していただきたいものである。

 最後に、夕食としてシーフードヌードルの登場である。組み合わせたおにぎりは、とり五目。この組み合わせに関しては、特に深い意味はない。


 やはり塩味というのは、シンプルなだけに飽きが来ない。三食目のカップヌードルとしてはベストのチョイスだと思われる。

 というわけで今日は、カップヌードル三昧な一日を過ごしたのだった。
 どう考えても、身体に良い訳がないな……。

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