【12月18日(土)】


 月曜日に横溝正史賞の最終候補決定会議なので、あとから送られてきた未読分を消化。うちに来た一次の箱が異様にハイレベルだったことを確認する。例年、横溝賞はわりとアタリがいいのである。
 並行して、幻冬舎文庫解説のために山田正紀『螺旋』を再読。房総導水路建設所のウェブサイトを見に行ったりとか(笑)。時間があったら、近いことだし、東金線に乗って大網白里あたりを見学してこようと思ったんだけどなあ。




【12月19日(日)】


 UEFAチャンピオンズリーグが冬休みに入っちゃったなあと思ったら、今日はCXでペルージャ×ボローニャがあるんでした。サッカーは3−2の試合がいちばん面白いとか言うけど、それを地で行く展開。それにしても今シーズンのラパイッチはどうしたの。今日はまだましだったみたいですが、まあイブライム・バがいるからいいか。アモルーゾくんは……まあ仕事はしたね。
 ひさしぶりに見たシニョーリはひとりで目立っていた。ボローニャはうしろのほうをなんとかしないと。




【12月20日(月)】


 角川書店で横溝賞の会議。大森が一次で読んで二次にまわした4作のうち3作が最終候補に。一部、意外なものに人気が集まったりして驚いたけど、ほぼ満足のいく結果でした。
 茶木さんと蕎麦食って帰宅、『螺旋』の解説を書く。




【12月21日(火)】


 ファンタジーノベル大賞優秀賞と大賞の受賞作が届いたので、とりあえず優秀賞の『BH85』を先に読む。新潮社で吾妻ひでおをカバーに起用したのは、たぶんオレが担当したラッカー以来だと思いますが、四六判でこの造りはやっぱりインパクトあるね。表紙だけではなく、中身も草上仁系のユーモアSF。お笑い生物都市っていうか、ありがちなネタなんだけど一瞬で読めてそこそこ笑える。
 哀川翔でも會川昇でもない愛川晶の『夜宴』(幻冬舎ノベルス)は、リレー長編『堕天使殺人事件』にも登場した美少女探偵が主人公。メインの派手な物理トリックより、サブのトリックのほうがばかばかしくて笑える。しかし細かい処理に枚数を使いすぎでは。このへん、きっちり書こうとすると長くなるのはしょうがないんだろうけど、やっぱりちょっともたつく感じ。
 戸梶圭太『溺れる魚』(新潮社)は、『闇の楽園』ほど個性的じゃなくてかなりふつう。個人的にはもっとキレた小説を書いてほしいんだけど。ていうか、どうしてアレを出さないのか謎。
 ……とあわてて新刊を読んでるのは、年末進行で小説すばるの書評の締切がはやいせいですが、けっきょく、篠田節子の『第4の神話』(角川書店)に決定。どうせ届くの間に合わないよなと思って明和書店で買ってきたら、とっくの昔に届いた書評用見本が山の下にありました。申し訳ない。ていうか、ちゃんとみろ>オレ。
 『第4の神話』は、恩田陸『木曜組曲』(徳間書店)、若竹七海『遺品』(角川ホラー文庫)につづく、「すでに世を去ったカリスマ的な(架空の)女性作家」をめぐる、女性が主人公の、女性作家による長篇。ここまで共通点が多い本が一カ月のうちに三冊も出るとはね。『第4の神話』は、千四百本のマニキュアってネタがめちゃめちゃいいっす。構成は「市民ケーン」なんだけど、薔薇の蕾より直感的にわかりやすいイメージ。




【12月22日(水)】


 SFマガジンのベスト投票が締切を過ぎているのに気づき、あわてて候補をチェック。編集部から届いた99年度のSF/ホラー/ファンタジー新刊リストのうち、既読は内外合わせておよそ100冊。国産ミステリ系の新刊もだいたい100冊ぐらい読んでるので、合わせて200冊ですか。まあそんなもんかな。それ以外の新刊と99年に読んだ旧刊(チョンクォとかデル戦とかの既刊分とか)を合計してもたぶん100冊行かないでしょう。とくに今年は海外ミステリを全然読んでないのだった。
 SFMのベストは、98年11月〜99年10月なので、『エンディミオンの覚醒』が対象外、『順列都市』がギリギリで対象。奧付を11月1日にしておけば、イーガンの票割れが避けられただろうになあ。訳者は『宇宙消失』を統一候補にしたいらしいが、そういうわけにもいかない。
 悩んだあげく、大森の99年度SFベスト5はプロパー寄りに絞り込み、

●海外作品
1 グレッグ・イーガン『順列都市』(ハヤカワ文庫SF)
2 グレッグ・イーガン『宇宙消失』(創元SF文庫)
3 アラン・ムーア『WATCHMEN』(メディア・ワークス)
4 ダン・シモンズ『エンディミオン』(早川書房)
5 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『星ぼしの荒野から』(ハヤカワ文庫SF)

●国内作品
1 藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)
2 森岡浩之『夢の樹が接げたなら』(早川書房)
3 谷甲州『エリコ』(早川書房)
4 田中哲弥『やみなべの陰謀』(電撃文庫)
5 秋山完『ペリペティアの福音』(ソノラマ文庫)

 という結果。プロパーの数が多くて、ホラー系とファンタジー系は全然入りませんでした。




【12月23日(木)】


 西葛西のイタ飯屋、La Testa Duraで夕食。油断してたら異様に量があり、食べたあとは帰って寝るだけ、みたいな。ホラー大賞一次通過作をぱらぱら読む。




【12月24日(金)】


 今年はホラー大賞の最終候補選考会がさる事情から来年に延びてしまったので、ひさびさに仕事のないクリスマスイブ。
 年賀状作成用プリンタを買うため秋葉原へ。スピード重視でキャノンのBJ610Fを購入。ラオックスのザ・コンでは3万円切るぐらいでした。2000年を期にマシンも買い換えたいところだが、Windows2000プリインストール機待ちか。買うならDynabookSS3380のいちばん新しいやつ(12ギガHD内蔵)だけど。
 プリンタ抱えてタクシーで帰宅、La Testa Duraで予約してあったクリスマスケーキをひきとり、家で食べる。


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