【12月13日(月)】


『DEAD OR ALIVE』と『日本黒社会』ですっかり反省して、三池監督旧作消化に突入。『新宿黒社会』が見つからないのでとりあえず『極東黒社会』。オール台湾ロケ(前半は台北)の異色作。珍しく父子モノで、ちょっとパターンにハマってるところはあるけど、出来は水準以上。やっぱりちゃんと観とかなきゃいけなかったよなあ。ちなみにこの映画でも、哀川翔はパソコン使ってます。いっしょに逃げる娼婦のおねえちゃんなんか自前のウェブサイト持ってて、そのサイトの掲示板をヤクザに利用されちゃったりするのだ。高飛び前にはHDD初期化が必須らしい。
 もう一本の『不動』は、マンガ原作物らしい仕上がりだが、随所に三池節が炸裂。必殺技描写が冴えまくり、『男組』とか撮ってほしい感じ。子供モノもかなりいけそう。シリーズ物ですが、2以降は監督がかわるのであまり期待できない。ていうか、ふつうにつくるとどうしようもなさそう。

 竹本健治《パーミリオンのネコ》の第二弾、『タンブーラの人形つかい』のハルキ文庫版解説を書くために、シリーズ四冊をあらためて一気読み。一巻目の解説で福井健太が基本的なネタはぜんぶ書いちゃってるので頭が痛い。
 しかたないので「竹本健治とSF」みたいな話を書いてたら、「竹本健治は小説界のOパーツである」という結論に(笑)。ほんとかよ。




【12月14日(火)】


 2時、両国のシアターXで「WAS」の舞台。脚色・演出は山本健翔。原作はジェフ・ライマン『夢の終わりに…』。訳者の古沢嘉通を筆頭に、元担当者の嘉藤景子以下、三村美衣、河野佐知、ヤマサキセイヤなど各氏が集合する。
 芝居のほうは、原作にほぼ忠実ながら、複数プロットを同時進行させる入り組んだ構成。二十名以上のキャストは最初から最後までほぼ舞台上に出ずっぱりという演出で、暗転を使わず場面をシームレスに切り替えていく。ドロシーが六人いたり、役者と役柄の関係を固定しないシステムで、言葉で説明すると混乱しそうなんだけど、舞台で観てる分には非常にわかりやすく、あれだけの原作が2時間の舞台にみごとに移し替えられている。原作知らない人はオリジナル脚本と思うんじゃないかというぐらいぴったりハマってました。芝居の出来としては、本多劇場あたりにかけてもおかしくない。
 後半わずかにダレるのと、「WAS」を全キャストが「ワズ」と発音しつづける(ワズではオズと語呂が合わない)欠点をべつにすれば、非常によくできた舞台でした。わざわざジェフ・ライマンを原作に選ぶだけのことはあるなあ。主演は小林宏史と大久保了。

 終了後、両国の喫茶店でしばらく休憩してから、新橋に出て、博品館経由で古沢迎撃宴会に突入。翻訳者、編集者を中心に十数人。二次会から、タトルのパーティ帰り組が合流、深夜零時過ぎに白石朗とタクシー帰宅。

 黒沢清『蛇の道』は、『蜘蛛の瞳』の前篇。後篇のほうだけ試写で見てて、傑作の誉れ高い『蛇の道』を見てなかったんだけど、なるほど、こういう話ですか。『CURE』とダイレクトにつながる映画っていうか、高橋洋脚本の異様さ爆発。話のすじは全然通ってないんだけど、これはこれで迫力が。『蜘蛛の瞳』は好き放題にやりすぎた観があったが、先にこっちを観てれば覚悟もできてたわけですね。いやはや。
 しかし、哀川翔はつくづく自転車の似合う役者だ。そこが竹内力との最大の違いかも(笑)。




【12月15日(水)】


 中野で津原掲示板オフというか忘年会。いきなり集合時間に遅れてくる主催者(笑)。ほとんど段取りが存在しないあたり、なかなか津原オフらしい。でも店はちゃんと予約されてました。ぱちぱち。
 一次会は主催者が仕切らないので、《恐怖の会》永久幹事というかMYSCON代表のフク氏が仕切る。
 月形龍之介ページで爆走中のマンガ家・中田雅喜さんとは今日が初対面。夫の人にはお世話になってます。いよいよ月形本は発刊の目途が立ったようですが、完売しても赤字らしい。発刊記念回顧上映イベントとかやると人が集まりそうな気がするのだが。
 すがやみつるさんとはすごくひさしぶり。なにしろ大ベテランなので、大昔のSF話を拝聴。オレ的にはほぼ伝説の時代の話だったり(笑)。さらに青山智樹氏を交えて、最近の架空戦記状況談議とか。いずこも景気はよくないらしい。
 一次会で最大の注目を集めたのは匿名希望の人でしたが、核心に触れる発言はないまま途中退場。のどかな年の瀬である。
 しかしこの日の最大のヒットは、某女性参加者の発言。
「うちの旦那も食事のときにコーラ飲むんですよ! おまけに背が高くて太っててガンダムおたくで。だから堺さんのとこが他人とは思えないんです!」
 そこまで一致してればほぼ同一人物でしょう。ちなみに奥さんのほうは重度の飛行機おたくで、青山さんと濃い話題で盛り上がってました。YS11を熱く語ったりとか。
 大森が、「高知空港は昔はわいえすじゅういちしか飛んでなくて、何十回も乗ったなあ」とか青山さんと話してると、
「でもほんとの読み方は『わいえすじゅういち』じゃないんですよね」
「そう、あれはもともと××さんが△△したので正しくは□□で……」
「そうそう、**に載ってたインタビューで……」
 とか、たちまちわけのわからない話に突入していくのが新鮮でした。

 関連キャラスレッドでも人気の(笑)織嬢は、初対面の人が多いせいか今日はおとなしめ。いや、衝撃が大きすぎたせいか(笑)。

 中野からタクシー帰宅はちょっとつらいので、一次会で抜けて終電帰宅。今日はこのぐらいでセーブしとかないと、年末までもたない。

 WOWOWで『借王3』と『借王4』をつづけてやってたので、つい見てしまう。原作のマンガは全然読んでないんですが、銀行員(哀川翔)と刑事(志賀勝)とクラブのママ(夏木陽子)が、それぞれ莫大な借金を返済するためにチームを組み、悪いヤツから悪銭をぶんどるというシリーズ。ナニワ金融道+百万ドルをとりかえせ+仕置き人+スパイ大作戦とか、そんな感じ。さすが人気シリーズだけのことはあってよくできてます。和泉聖治監督の『4』は、『スティング』ノリのネタもあったりしてなかなか楽しい。哀川翔が弱い役なのも笑える。志賀勝は水を得た魚って感じ。




【12月16日(木)】


 黒沢清『復讐』二部作。『蛇の道』『蜘蛛の瞳』二部作につながる、同じ哀川翔主演の復讐物。こっちはもうちょっとふつうの設定で、第一部のほうは悪くない出来。第二部は設定に無理がありすぎ――というか、話がつながってないのでは。
 あとは傑作と評判の新作『カリスマ』を観なければ。




【12月17日(金)】


 本日は新宿で《恐怖の会》忘年会。詳細は永久幹事・フク氏の日記参照。ちなみに同日記によると、一次会参加者は、
山本和人+SF人妻、塵芥、倉阪鬼一郎櫻井清彦、藤元直樹、浅暮三文福井健太(デフォルト参加)、大森望、千街晶之、西崎憲、笹川吉晴、KIYOKA-CHAN、baud rate R.A.、中嶋千裕、木原浩勝、藪下明博、松本楽志、橋詰久子、細田均、迫水由季さん、飯森友美子、GAKU、G、治田豪和、シェヴァイク、岩井志麻子……の各氏だったらしい。
 岩井志麻子は、じつは熱心なWWW日記/掲示板ウォッチャーだと判明。しかし書き込みは担当編集者からかたく禁じられている模様。
「小林さんみたいに、掲示板にばっかり書いて、小説の原稿が全然進まなくなったら困りますから」とか。あれはあれで作品だと思うが、印税も原稿料も出ないしなあ。ホラー作家のイメージ戦略としては悪くないけど。
 しかしいくら書き込みをしなくても、あれだけ読んでたら時間的ロスは相当かも。
「あれが本物のホソキンかあ。いやあ、今日来てよかったなあ。ナマのホソキンを見られるとは」とかゆってるし(この日記はフィクションです)。
「櫻井さんは茶木則雄に似ている」説は、この日、強力に裏付けられ、シマコ様は「櫻井さん、ほんまにチャキ入っとる」と5回ぐらい言ってました。

 パセラ2次会からは、この半年間日記を更新していない東雅夫と日下三蔵が登場。欠席者が出たおかげで一次会の会費が数百円上昇したため、日下三蔵に文句を言ったところ、後日「非常に不愉快である」という文句返しメールが(笑)。まあ福井健太を送り込んだのは日下三蔵だったらしいので、会費的には帳尻が合っていた模様。
 2次会の歌部屋はなぜか70年代縛り。浅暮・倉阪コンビが炸裂したが、それはまだ全長でしかなかった。

 2次会が2時間で終了したあとは、パセラ居続け組とシダックス移動組に分割。シダックスではシマコ節が全開で下ネタの嵐。kazutoは生まれてこのかた一度も夢精をしたことがないという衝撃の事実(笑)が明るみに。東さんは夢精なんかしてるヒマがない――というのはフィクションです。
 岩井志麻子・島村洋子コンビは、叶姉妹に対抗して、《週刊大衆》のスーパー読者として大々的に売り出す計画を立てているとか。《映画秘宝》スーパー読者とか、ちょっといやかも。でもやっぱりアサ芸スーパー読者かな。竹内力系。

 ふたたびパセラにもどると、居残り組はつねに10曲満タン状態。次の曲番号の入力をめぐりリモコンの醜い奪い合いが。基本アニソンを入れまくる笹川吉晴に向かって、
「きみは入れ過ぎや。あと10曲は入れるの禁止」と指導する浅暮・倉阪両氏。しかしホラー評論家は聞く耳を持たない。をを、こうして伝統は受け継がれてゆくのか。

 わたしはさすがに疲れたので5時ジャストで切り上げてタクシー帰宅。

top | link | board | articles | other days