【10月16日(土)】


 朝から点滴。今日は生理食塩水100mlだったので30分で終了。点滴はこれで打ち止めらしい。あとは飲み薬だけでなんとかなるでしょう。まだノドは腫れてるけどな。

 SFマガジンの原稿を書きはじめる。エッセイ特集「現実とはなにか?」(ってなに)用。「フェッセンデンの宇宙」あたりから、人工現実SFの系譜を……みたいな注文だったんですが、フィッツ・ジェイムズ・オブライエン「金剛石のレンズ」とか読み返しはじめたら止まらなくなり、往年の名作短編紹介原稿になりそうな勢い。もはや軌道修正してるヒマはないしなあ。
 昨日見た『ビッグオー』の話が枕になってるあたりいかにも泥縄である。

 横溝賞の評価表を書いて原稿をもとどおり箱に詰め、ヤマト運輸に電話して集荷に来てもらう。
 ホラー大賞一次の箱4個、スニーカー大賞二次の箱2個が玄関前に積み上がってて、段ボールが合計10個という悲惨な状況だったんだけど、とりあえずこれで4個返したからあとは6個。まだ二週間あるので楽勝でしょう。

 小森健太朗『ネヌウェンラーの密室』を解説用に再読。オレが解説を書くというだけでネタバレな気がするが、まあ考えオチだからだいじょうぶか。と思いつつネタを考えてると、『世界ふしぎ発見』でなんかエジプトネタをやってる。ツタンカーメン殺害犯はだれか? だって。これで前フリが決定。って解説のメイキング書いてどうする。

 紀田順一郎『第三閲覧室』は地味だけど楽しく読めました。この手の稀覯本ミステリのおたく版はできませんかね。喜国さんが書くとか。ミステリ稀覯本ミステリ。本好き、ミステリ好きにはたまらない感じの(笑)。アニメでやる手もあるんですが、それは雑破業が書くらしい。




【10月17日(日)】


 朝起きてメールボックスを覗くと、意外な人からのメールが二通。ひとりは京大SF研でオレの一年下のN木N隆。いやあ驚いた。もう15年ぐらい会ってない気がしますが、
「生きてます。元気ってほどじゃないですが。」だそうです。ということで関係者各位に伝えてください。あ、SF研のメーリングリストに呼べばいいのか。

 もう一通はさらに驚愕のメール。発信人は『Jの神話』『匣の中』の乾くるみ氏。いや、乾さんからメールをもらっただけならそんなに驚かないけど、なんとその正体は……っていきなりバラすのもアレなので秘匿しますが、とにかく大森がよく読んでるウェブサイトの主宰者だったんですねえ。今年のオレ的驚きのツボは、「意外な犯人」ならぬ「意外な作者」かも。この事実を知ると腰を抜かして驚く人が(ミステリ系ウェブサーファーの中には)けっこうたくさんいるのでは。叙述トリックだよな。すっかりだまされたぜ。
 まあ、近々ご本人にお目にかかれそうなので、くわしい話はまたそのときに。

 ひきつづきSFマガジン。アスキーの新雑誌《3D GRAPHICS》に載る『巷説百物語』クロスレビュー原稿。アニメージュとは違う話。
 週刊現代に『カムナビ』の書評を書かなきゃいけないんだけど(締切は昨日)、本が届かない。ゲラは来たのに。角川の本ではありがちなパターンですが、たぶん売れてるってことでしょう。『不夜城』の時なんか、書評用で届いた本は二刷りだったもん。
 ってことは店頭在庫もないかもな、と思いつつ明和書店にワンセットあったはずだと買いにいくと下巻しかない(笑)。文教堂書店、書泉西葛西も品切。あとの書店はほとんど見るだけ無駄だと思いつつ一応あちこち回ってみるが当然見つからない。
 もしやと思って、北口の古本屋、BOOK ISLANDを覗くと、新刊コーナーに「店長おすすめ」のカードつきで、『カムナビ』上下セットが。最近の書籍流通問題の縮図みたいでしたね。いや、古本屋と言っても、出たばっかの古本は2割引ぐらいにしかならないんだけど。
 ようやく本が買えたので、ぱらぱら再読しつつ書評に着手。SFMの原稿はなんとか枚数を消化するメドが立つ。明日のお昼までならだいじょうぶでしょう。

 さいとうよしこが水玉螢之丞夫妻と阿佐ヶ谷で焼肉を食うと言うので、病後の栄養補給のために付き合うことにする。なぜ阿佐ヶ谷かというと、「焼肉のさかい」の店があって、Mr.さかいがいるかららしい。そんなにMr.さかいに会いたいか。なぞ。
『カムナビ』を再読しつつ阿佐ヶ谷に着いたのが午後7時。そのとき、ふと違和感が。そういえば今日って、なんか家に帰る用事があるんじゃなかったっけ。
 そう、今日は五輪アジア予選のタイ戦だったのである。くー。今から引き返しても間に合わない。「さかい」が満席で並ばなきゃいけないのをいいことに、離脱して近くの電器屋で立ち見。40分立ってたけど、よかったのは俊輔くんが三人抜いてシュートした場面ぐらいですか。やれやれ。
 携帯で呼ばれて、ハーフタイムに焼肉屋へもどる。肉はけっこううまい。Mr.さかい登場。ジャンケンして勝つとなんかもらえるらしい。真剣になるさいとうよしこ。まあ東京横断してきてますからね、このために。
 さいとうは無事勝利をおさめ(さすが鈴木清順にジャンケンで勝った女は違うね)、Mr.さかいトランプをゲット。
 タイ戦の途中経過は柳下毅一郎からPメールで教えてもらう。とほほ。後半の頭だけ見ればよかった。

 カラオケのため高円寺で降りたさいとうよしこと別れて西葛西にもどり、MAG TIMEで仕事。帰ってからインテル×ヴェネチア。名波はふつうにやっている。今年のインテルは強いと聞いてたのに、今日の試合を見るかぎりではちょっと。




【10月18日(月)】


 10時に起きてミストラル。SFマガジンの原稿を仕上げてメール送稿。いやあ、25日発売(23日ぐらい見本?)の雑誌の原稿を18日に入れるっていうのはスリリングですね。
 もう十年以上前からSFマガジンに原稿書いてきてますが、こんな時期に原稿を送ったのは初めての体験。そうか、堺三保や日下三蔵は毎月こういうスリルを味わってるのか。ま、オレは一回だけでいいや。

 つづいて『カムナビ』の書評と毎日中学生新聞(ネタに困ってブギーポップ)。これで締切を過ぎてる原稿はアニメージュと『ネヌウェンラー』だけか。

 スニーカー二次の箱を開ける。




【10月19日(火)】


 12時起床。寒い。ので寝床でスニーカーの原稿読み。
 3時からミストラルで仕事。ネヌウェンラー解説とアニメージュのコラムに着手。トイレに入ってたら、携帯に電話。ホリプロの人。一瞬スカウトかと思ったけどそうじゃなくて、ホリプロが製作してるフジテレビの夜中の情報番組で、マジック:ザ・ギャザリングをとりあげたいという話。

 夜、河内さんに電話して、アニメージュの新連載コラムの打ち合わせ。書評欄からコラムにリハウスするんですが、最初のうちはやっぱり本の話が中心かも。




【10月20日(水)】


 アニメージュの新コラム「わるものオーバードライブ」(ってなに?)の第一回を書く。ネタは『入神』。

 体調のほうはほぼ回復。週末は山岸宴会とプレMYSCONなので、コンディションを整えておかねば。

 角川から本が届く。やっと『カムナビ』か――と思ったら、とっくの昔に買った(まだ読みかけ)飛鳥部勝則『バベル消滅』と、とっくの昔に読み終わった新世紀「謎」倶楽部『堕天使殺人事件』。送っていただくのはありがたいんだけど、これでは書評用の意味をなしていないのでは。

 6時半、歌舞伎町で河内さんと落ち合って、ロフトプラスワンの《月光の囁きナイト》へ。喜国雅彦×松沢呉一のトークを見物する――というのが主目的だったんですが、イベント的には女王様のSMショウが圧倒的にメイン。オランダ進出予定のローズ女王様はたいへんな迫力でしたね。仕切りはビターズ・エンドらしいんだけど、これが『月光の囁き』の世界なのかっ(笑)
 かぶりつきで写真を撮影して、女王様のロウソクに火をつけてあげたりしたのでわりと満足。剃毛あり緊縛ありマジック(?)ありのサービスで、ショウ的にはかなりお得だったんじゃないでしょうか。どうしても見たいという人のために一応置いておきますが、こんなのとか、こんなのとか。耐性のない人は、たぶんこれは見ないほうがいいかも。
 ちなみにステージ上で踏まれてうれしそうな喜国さんのほほえましい写真はこちら。トークのほうでは、喜国さんが家庭内の性生活を赤裸々に語るので、オレのとなりで聞いてた由香ちゃんが赤くなったり青くなったりして、そっちのほうが面白かったかも。はあ、喜国家の場合はそうですか。
 しかしお題がSMでもやはり古本の話に脱線するのは爆笑。わざわざ聞きにきていた彩古さんも満足だったに違いない。

 客席には喜国夫妻のお友達のマンガ家関係も多数。清田さんがプレゼントした紗月フィギュア(ハイヒール入り)は傑作でしたが、この写真ではわかりにくくて残念。原型はジェニーちゃんのお友達です。



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