【9月19日(日)】


『カムナビ』読了。『宇宙消失』がホワイダニットなら、こっちは史上最大スケールのハウダニット。このネタだけはすばらしい。いや、細部にこだわらなければB級伝奇SFとして楽しく読めますが。やたらくりかえしが多いし、時間がかかったわりに文章が荒っぽすぎ。作中に引用される論文のメモが梅原書簡文体なので笑ってしまう。
『水霊』と一部ネタがかぶってますが、まあ全然似てないのでだいじょうぶだ。




【9月20日(月)】


 Darwin's Radioの第二部まで校正を終えてメール送稿。あと100ページ。
 毎日中学生新聞の原稿を『水霊』で書き、『山崎家』解説に着手。




【9月21日(火)】


 正午、渋谷のDCIトーナメントセンターで《ゲームぎゃざ》のインタビュー。まさか仕事でDCIに来ることになろうとは(笑)。
 今月のゲストは声優の陶山章央さん。サクラ大戦の大神一郎とか、ちびまる子ちゃんの山根くんとか、ライディーンの雷とかのひと。10月からWOWOWでやる大地監督の新作にも出演するそうです。『星界の紋章』にも途中まで出てて、めちゃめちゃ気に入ってたとか。今度の新番は今井由香と小西宏子なのでこれは見るしか。
 ……という話は余談で、熱いギャザ話を聞く。

 インタビュー後、東急文化会館のフルーツパーラー西村で仕事。なんか映画祭のときみたい。5階で『アイズ・ワイド・シャット』をやってるので、校正に飽きたところで観にいく。まあ一応。なんか最近の乱歩映画みたいな雰囲気でしたね。現代でやるのは無理がありすぎ。まあ眼鏡のニコール・キッドマンはわりとツボなので許そう。

 ソノラマから回ってきた10月の新刊、藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』がすばらしい。宇宙塵に載った遠藤慎一名義の中編「レフト・アローン」(ファンジン大賞受賞作)とおなじ世界の話なんですが、堂々の本格火星SF1300枚。今年のSFベストワンはこれで決まりだ。




【9月22日(水)】


 今日は日本ファンタジーノベル大賞と江戸川乱歩賞の授賞パーティ。またしても同日開催になってしまって忙しい。なんとかしていただきたいものである。
 ファンタジーノベル大賞は、主催の片方が三井不動産販売から清水建設にバトンタッチしたので、会場も霞ヶ関三井倶楽部から半蔵門のなんとかクラブに変更。鈴木光司以外の全選考委員が顔を揃え、今回は多士済々。井上ひさし氏のスピーチはさすがに面白いなり。

 H川@幻冬舎とタクシーに乗って帝国ホテル。とりあえず河内さんにおーもりTシャツを着てるところを見ていただく(笑)。柴田よしき氏と小林泰三の心の闇について語る。柳下毅一郎から、映画史を塗り替える名著『コリン・マッケンジー物語』を拝受。と言っても、映画史を塗り替える記録映画『コリン・マッケンジー』を先に見ているので、いちばん感動するのはやっぱり蓮實重彦御大の帯でしょうか。これはもうキネ旬とかで特集してもららわないとね。
 それにしても、あの名匠アラン・スミシーにこんな親族がいたとはなあ。ぜひ日本に呼んで講演とかさせたいものである。主催は文部省。
 文部省と言えば、こないだのアエラの新学習指導要綱弾劾特集で文部省側の担当者として悪の権化のように書かれていたのが寺脇研だったのが感慨深いことである。いや、話をしたこととかないんですけど。
 アエラと言えば、桐野夏生さんとも久しぶり――なんですが、雑誌やTVでしょっちゅう一方的に見てるのであまり久しぶりな気がしません。噂の真相とニュースステーションの愚痴を聞く。有名になるのもたいへんです。
 噂の真相と言えば、最新号のグラビアページは開いても開いても知り合いばっかり写真に映っているので驚いたことである。噂の真相的文壇は、オレの知ってる文壇とはかなり世界が違うので新鮮。信頼性は東スポ並みだってことはちゃんと理解されてるんでしょうか。まあしかし、関係ない第三者として目伏せを施されてグラビアに映るような事態だけは避けたいものだと思った(笑)。
 桐野さんと言えば、直木賞受賞が決まったのが7月16日だったんですが、その翌日の麻雀名人戦では綾辻行人氏が苦節9年目にして悲願の優勝。というわけで今は綾辻さまじゃなくて綾辻名人なのである。直木賞を受賞した作家は珍しくないが、麻雀名人戦で名人になった作家は花登筺以来、数十年振りの快挙とか。
 その綾辻さんはダイエットで9キロ痩せたとかで見違えるよう。さすが名人は違うね。
 田中啓文はヒゲがもじゃもじゃに生えているがあまり見違えない。帝国ホテルでは目立つかも。ライバルは梅原克文やね、わっはっは、とかそういう話をする。しかも田中啓文は駄洒落つながりで流水系なのである。そういえば清涼院流水と梅原克文はなんとなく近い気もするので、みんなで流水大説派になるのはどうか。
 綾辻さんは『カーニバル』を結局読んでしまったらしく、「あれはどう見てもSFだよね。もうミステリじゃないから。SFにあげるよ」と言ってましたが、あげるならサイファイでしょう。でも日常から出発しないか。
 角川のS戸さんからは、『カムナビ』を誉めろと恫喝される(笑)。いや、SFネタで誉めるところはたしかにあるんですが、あそこは大多数の読者には関係ない――というか、むしろ邪魔かも。だいたい、細部の粗に関しては編集部のチェックが足りないのではないか。と思いきり文句をつける。
 岩井志麻子さんの受賞作以外ぜんぶ書き下ろし短編集は原稿が上がって、予定通り出る模様。

 一次会終了後は例によって最上階のレインボールーム。末國くんと最近のミステリの話とか。深夜零時で閉店後、会社にもどってたC嬢(モントリオール帰り)と再合流して銀座のDAM。午前5時解散。




【9月23日(木)】


 夕方起きたら風邪を引いていた。やれやれ。いまこじらせると真剣にまずいので薬をむさぼり食ってひたすら眠る。




【9月24日(金)】


 朝から台風。東京はたいしたことない模様。
 ミストラルで仕事して、馬場の芳林堂で生物学関係の資料を購入。
 4時、新宿パセラでLOVE & PlayStationたこあしマル秘トークの収録。
 今日のゲストは仙台エリ嬢。なんだそれはとお思いのかたもいらっしゃるでしょうが(とくに野尻抱介氏)、たまには絵になるゲストがほしいという編集サイドの希望もあったりするのでしかたがない。
 一応ちゃんとした「お仕事」なので、劇団ひまわりのマネージャーさんも同席。
「まあ、これがカラオケボックスですか。わたしこういうところはじめてです」とおっしゃっていました。なんかものすごいベテランの人らしい。さすが劇団ひまわりって感じっす。
 仙台ページで連載(?)がはじまった「お仕事のこと」を読んだあとだったのでなかなか感慨深いものが。

 インタビューの詳細は来月のたこあしマル秘トークを読んでいただくとして(動画つきなので仙台ファンはmust seeでしょう)、一言で要約すると、
「どうせ並ぶなら、コミケに並ぶよりラフォーレのバーゲンに並べ」でしょうか。いや、思いきり無駄なアドバイスだと思うけど(笑)。

 終了後は、パセラ横の台湾料理屋で食事。野尻さんにも声かけてたんだけど、台風で来られず。というわけで、仙台さんとふたりで野尻さんに挨拶する写真を撮影しておきました(ちなみに映ってるAIBOは小林さんの私物)。
 仙台さんはわざわざ一昨日電話かけてきて、「あさってはやっぱり眼鏡かけていったほうがいいでしょうか?」とご下問になるほど野尻さんのことを気にしてたのに。(そのあと、「いや、野尻さんいじるのにやっぱり眼鏡はあったほうがいいかと思って」と言ってたのはひみつだ)。
 野尻さんのかわりに召喚されたのが會川さんで、あいかわらずとばしてました。面白すぎ。
 しかし、食事の席のスターは、さいとうよしこのポケステ『どこいつ』のトロ。トロのセリフを仙台さんがいちいち朗読するのでポイント高し。パセラにはちっちゃいスパイがたくさんいて、うっかりそれを目撃すると日下三蔵と結婚するうんめいらしい。おそろしいことである。
 しかし黙々とボタンを押してトロをいじめつづける會川昇の姿は鬼気迫るものが。こわいから写真を載せるのはやめておこう。

 食事のあと、會川さんが帰り、仙台・小林・大森・さいとうの箱根組でカラオケ2時間。




【9月25日(土)〜26日(日)】


 Darwin校正の最後の追い込み。アニメージュF.F.N.山田正紀×京極夏彦対談のまとめと書評原稿。やってもやっても仕事が終わらない。絶望的。



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