【5月22日(土)】


 小説すばる新人賞二次と書評用の読書。




【5月23日(日)】


 午後8時に起きて、ビルディで仕事。アニメージュの京都座談会のまとめと書評。ラインナップは、
●牧野修『偏執の芳香 アロマパラノイド』アスペクト
●大原まり子『見つめる女』廣済堂アテール文庫
●物集高音『血食 系図屋奔走セリ』講談社ノベルス
 ってところ。『アロマパラノイド』は、後半ちょっと物足りないところもあるんだけど、クローネンバーグ流にアレンジした『神狩り』、みたいな話。『神狩り』がSFならこれだってSFなのだが、逆の見方も成立しなくはないか。
『見つめる女』はやっぱり「妖怪デパート」でしょう。異形コレクションの『月の物語』に入ってる「シャクティ〈女性力〉」の姉妹篇ね。

 座談会のほうは、テープ起こしが400字×170枚ぐらいあるのを11枚に縮めないといけないので、脚色のしようもない感じ。どこを残すか悩ましい。

 12:00前に帰宅して、WOWOWでセリエA最終節。CXのほうはどうかなと思ってちょっと見たけど、青島アナの実況では見る気がしない。WOWOWに対する文句は、ハーフタイムにカメラをスタジオに戻しちゃうことかな。小さい窓でもいいから、現地映像は残してほしい気が。
 ペルージャ×ACミランは、予想通りミラン・ペースでたんたんと試合が進む。いちばん面白かったのはハーフタイムの発煙筒の嵐だったり(笑)。ラパイッチがいっしょうけんめい紙テープや発煙筒を片づけてるのが笑えました。しかしすごい音がするね。あと炎も。
 ラツィオにはご愁傷様な結果になりましたが、まあ、そうそう番狂わせはないよな。ペルージャは負けるがサレルニターナが勝てずに残留決定――という戦前の大森予想は的中し、中田の10点めのオマケもあって、めでたしめでたし。

 思いきりむなしいラツィオの最終戦を横目に、のびのびになってたHDD換装作業に着手。やっぱりWin95を一回はインストールしないとダメらしいので、前回つくったWin95CDインストール用のFDを発掘し、6.4ギガHDにインストール。この作業をちゃんと実行すると、めんどくさいことしなくてもFAT32になるんでした、ちゃんちゃん。日記を読んだ芋長さんって方から、Logitecのディスクフォーマッタ(http://www.logitec.co.jp/menu/driver.html)とか教えてもらってダウンロードしてあったんですが。

 Win95のシステムだけ入ってる6.4GのHDをとりだし、今度はPCカード経由で外付け接続。WindowsフォルダをWin_orgとかにリネームしてから、内蔵3.2GのWindowsフォルダとルートのファイル群を6.4Gにコピー。HDを入れ替えて起動すると、ちゃんと元通りの環境で立ち上がったので、今度は3.2Gを外につないで、残りのファイルすべてを6.4Gにコピー。なんだか知らないがまだ4ギガも空いている。
 よしよし。ということで、ずいぶん前に買ったまま封も切らずに放ってあった小学館の日本百科事典+国語大辞典と、ランダムハウス英和大辞典と、ぴあシネマガイドを次々にHDに落とす。小学館の百科事典は、テキストデータ(とサムネイル画像)のみフルインストールするモードがあって、国語事典込みの443MB。ランダムハウスのほうも同様で、こちらは277MB。便利になりました。一方、ぴあのほうは、HDにはなにもインストールしない仕様(笑)。携速95でHDに収容したら、315MBでした。この3枚で合計1ギガ、まだ3ギガも空いてるのでなんでも来いって感じ。とりあえず地図かな。




【5月24日(月)】


 午後8時起床。小説すばる用に、冷泉彰彦『トロイの木馬』(角川春樹事務所)、石田衣良『うつくしい子ども』(文藝春秋)、藤田宜永『転々』……と読むがいまいちぴんと来ない。
『トロイの木馬』は、Y2K物かと思ったら違ってて、文字コード問題もからんだコンピュータ業界物。ムーン・マクロ・システムズとか、わかりやすすぎる架空のネーミングはなんとかしてほしかったり。これなら実名でいいじゃん。後半はすっかり、「MSの独占をみんなで打ち破ろう」みたいなシンプルすぎる話になっちゃったり、現実密着型のわりに単純化が過ぎるのが弱点。ユニコード批判も短絡的な気が。
『うつくしい子ども』は、神戸の事件が下敷きで、少年Aの兄(中学生)がホワイダニットを調べていく話。この設定でこの結論に持ってこられても困っちゃうんじゃないでしょうか。だからそういうわかりやすい動機なんかないんだってば。
 と思う人は森博嗣の『黒猫の三角』(講談社ノベルス)を読めばいいわけですね。いや、『そして二人だけになった』でもいいけど。

 講談社ノベルスと言えば、『法月綸太郎の新冒険』は、やっぱり巻頭のやつが傑作でしたね。やっぱり鉄道ミステリが基本でしょう。これでさらさら長編書けばいいのに。




【5月25日(火)】


 アニメージュと小説すばるの原稿を書き、小説すばる新人賞二次の箱を読みつづける。けっこうあたりが多くてうれしい。最終に残っておかしくないのが5本ぐらいはある感じ。




【5月26日(水)】


 3時間寝たら目が覚めてしまう。
 午前9時から日劇でエピソード1の試写。無理すりゃ行けなくもなかったが、腹が立つのでパス(笑)。まさかこんなにはやくマスコミ試写やるとはなあ。担当編集者は見に行ってるんだけど、ライターは意地で見ないのである。いいもん、オレはもっと音のいい劇場で土曜に見るんだい。ふん。
 と思ってたら、劇場を出た柳下毅一郎から11時過ぎにPHSに電話。
「あれ? どこにいるの?」
「……家だよ。ふん」
「なに、行かなかったの? ストーリー教えてやろうか」
 うるさいやつだなまったく。シナリオもノベライズも封印してるんだってば。ちぇ。

 SWのかわりに、ポニー・キャニオンから届いたネオランガ第一シーズンのLDをえんえん見つづける。見逃してる回をチェックするだけのつもりだったのに、一話が短いからつい見てしまうのだった。
 第二シーズンの最近の展開はけっこう心配なんですが、どうなんでしょう。おっぱいポロリはなあ。

 午後2時、ラピュタビル地下のザムザ阿佐谷で、月蝕歌劇団『少女革命ウテナ』のゲネプロを観劇。幾原邦彦プロデュースで、脚色・演出は高取英、音楽はもちろんJ・A・シーザー。ウテナ役は一ノ瀬めぐみ、アンシー役は野口員代。
 舞台は最初のミュージカル版とは好対照で、生徒会編をすっとばし、大胆に再解釈した黒薔薇編(根室記念館がらみの話がメインだけど、舞台オリジナルのキャラが続々登場)のあと、鳳暁生編というか、最終回のエピソードに突入。
 もともと月蝕のアニメ化みたいな企画だけあって、月蝕の舞台は違和感なくハマる。プロット的にはアニメよりわかりやすくなっていたのでは。
 ロウソクを多用するオプチカルな視覚効果は上々。しかし火を使いまくるのでかなりスリリングですね。最前列は蝋がとびまくりでたいへん(笑)。最初の群舞でウテナの衣裳に激しく蝋が散っちゃって、それをずっと着てなきゃいけなかったり、ゲネプロで顕在化した問題点はけっこうあったかも。あと、靴のサイズがでかすぎてめぐみちゃんは気の毒でした。立ち回りと音響と歌はちょっとつらい。
 あと、七実役を成宮観音がやってるんだけど、これは壮絶な芝居でした。動物が出ないのが惜しい(笑) 野口嬢の芝居はアンシー萌えな人必見でしょう。一ノ瀬めぐみのウテナも、アニメとはキャラが違うけどよかったす。
 公演は6月1日までなので、ウテナファンはぜひ劇場へ。

 ゲネプロ終了後、ラピュタビル2階のティールームでお茶。幾原監督もやってきて、パルコ木下氏、さいとうよしこ、ガンジスのO場嬢、ムービックのS見などと雑談。幾原邦彦×パルコ木下の「ロボっ子ビートン」話とか、アニメおたくネタが爆笑でした。なぜここにパルコ木下がいるのかは内緒らしい。しかしどうせなら幾原さんも舞台に立てばよかったのに。オシリス役とかどうですか。

 おたく話がつづくテーブルを先に抜け出し、高田馬場のアトリエサード。RPGマガジンがリニューアルで《ゲーム・ギャザ》に変身するんだけど、そこでギャザな人インタビューシリーズをやれという話。
 朱鷺田祐介、岩田恵と軽く打ち合わせしてから、タクシーで代々木のホビージャパンに行って、ゲーム・ギャザのH野編集長に紹介される。豪華ゲストの名前ががんがん挙がってますが、はたして実現するのか。

 ふたたびサードにもどり、三村美衣も交えてM:TGポータルの三国志エキスパンションでちょっと遊ぶ。蜀の構築デッキはあまりにも単純すぎて考える余地がない。まあポータルだからなあ。
 サードの人々と寿司を食いつつ、RPGマガジン最終号用の対談を朱鷺田祐介と。M:TGの話をしてギャラがもらえるとは長生きはするもんだなあ。でも現行デッキのことはさっぱりわからない。ウルザ以降のカードが全然わからないのでなんとかしていきたい。

 12時ごろ帰宅したら眠けに負けてチャンピオンズ・リーグ決勝の中継を見損ねる。まさかあんなすさまじいことになっていようとは。くそ。しかしオレの中ではバイエルンが勝った試合なので。




【5月27日(木)】


 SETI@homeネタでアスキーのコラムをでっち上げ、これで出発前の原稿締切はクリア。ようやくちょっと時間ができたので、髪を切りに行く。
 夜は『リメイク』用のビデオをしつこくチェックし(『市民ケーン』とか(笑))、小説すばるの二次の箱の残りをかたづける。




【5月28日(金)】


 小説すばるの原稿の箱を集荷に出して、これで原稿読みの日々も一段落。やれやれ、やっと本が読める。と思ってアメリカで読む本を集めたら10冊を越えてしまった(笑)。

 宅急便で突然ビデオ15本入りの箱が届く。差出人は東京在住の知らないガイジン。あやしい。あやしすぎる。ラベルは1、2、3……と番号が振ってあるだけ。なんだこりゃ。ととりだして眺めてると、いちばん最後の一本に、「千秋楽」の文字が(笑)。
 トーレンが知り合いの東京在住ガイジンに頼んでとってもらったスモウ中継のビデオらしい。つまりこれをサンフランシスコに持ってこいってこと? まったく、スモウおたくの考えることは……。

 有楽町に出かけてパスポートを受けとり、喫茶店で『リメイク』の映画一覧と訳注のゲラをチェック。
 それから早川書房に寄ってゲラ直し。添野知生@SF Onlineも合流、データの整合性をとる作業をつづける。添野と飯食ってから十時過ぎに帰宅。やれやれ、これで明日はサンフランシスコだ。


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