【1月1日(金)】


 あけましておめでとうございます。
 ってことで、狂乱西葛西日記が迎える4回目のお正月は、だらだら夕方起きて年賀状を眺め、あとはテレビの正月特番。筋肉バトルとかどうして見ちゃうかな。

 新年最初に読み終えたのは、田中哲弥『やみなべの陰謀』(電撃文庫・もうすぐ発売)。よくもまあこんなたいへんなことをやりますな。味のある名文。しかし我孫子さんの「売れそうもない」に一票。だいたいどういう話なのか説明のしようがないではないか。「酔歩する男」と並ぶ、この世でもっともへんなタイムトラベルSFに認定したい。

 ところで書くのを忘れてましたが、29日のC塚パティオ忘年会で話題沸騰してたのが「田中哲弥の、仕事に明け暮れる日々について」。うちの妻もファンですが(大森の日記なんかより、あの日記を本にしたほうがいいと主張している)、我孫子夫人、由香ちゃん河内さんも愛読してるそうです。めちゃめちゃ女性にもててますな、日記は。田中啓文「ふえたこ日記」も同様に人気が高く、実物を見たことのない女性陣のあいだでは、「どんな人なんだろう」と妄想がふくらんでいる模様。これは三馬鹿カルテット東京公演を企画するしか。やっぱりSFセミナーの合宿かな。というか、今度東京に来るときは連絡してください。



【1月2日(土)】


 お昼に起きて池袋。さいとうよしこがパルコで福袋を買うのにつきあい、西武の食品館で食糧買いだし。さわらの粕漬け、銀むつの西京焼き、うなぎの蒲焼きとか。
 大荷物を持って埼京線で川越。今日は小浜家新年会なのである。駅ビルのコージーコーナーでバースデーケーキ買って(今日はさいとうよしこの誕生日でもある)、タクシーで小浜家へ。すでに宴たけなわ。
 参加者は添野知生・雅美夫妻、山本和人・さとみ夫妻、中原尚哉・七苗夫妻、野口誠・洋子夫妻、尾之上俊彦、深上鴻一、あと幼女2名。
 中原が焼いたローストビーフを食い、買ってきた魚を焼く。

 小浜家のコップはうちとおなじパイレックスなのだが、なぜか色違い。上品な飴色。
大森「いやあ、おなじデザインで色違いがあるとは知らなかった。ふうん。へえ」
三村「うるさい。うちは小浜がコップ洗う係なんだから、小浜に言って」
 ほんとうに色違いだと信じていたのはさいとうよしこですが、その後、自分で小浜家のコップを磨き、本来はうちと同じ透明度のガラス器であることを確認した模様。インスタントコーヒー入れてるとああいう色になるのか。うちも試してみよう。

 コミケで買ったカプリコン1のビデオを見たり、幼女と遊んだりしているうちに夜中になり、日帰りの人々が帰途につく。残った山本夫妻とうちと小浜夫妻の6人で、厳寒の川越を歩いて近所のカラビニへ。といってもゴダールとは関係なくてカラオケ+コンビニ。隣接するコンビニで買ったものを自由に持ち込めるシステムで、意外とべんりかも。

 午前4時まで歌って小浜家に戻り、始発で栃木に帰る山本家を見送ってから、本の部屋のふとんに潜り込んで寝る。




【1月3日(日)】


 お昼過ぎに目覚める。いやあ、本の部屋はゆっくり眠れるな。
 ダイニングで三村美衣とお茶飲んでると、さいとうよしこが起きてくる。洗面所に立つさいとうよしこ。三村美衣との会話。
「泊まるつもりじゃなかったから、化粧品なんにも持ってきてないや」
「ひととおりのものはそこにあるから使って」
「化粧水ないの?」
「そのへんにあると思うけど」
「ないよ」
「ええと、これは……わっ、どうしてここに修正液がっ」
 三村美衣はホワイトで化粧するらしい。

 とかやってるうちに3時になり、てくてく歩いて川越駅。小浜夫妻と別れて埼京線に乗り、大宮まで引き返してから東北新幹線。駅からPHSでIP接続して掲示板のログと各種日記をひととおり落とし、それを読んでいるうちに宇都宮に着く。川越から宇都宮は近いのだった。
 さいとう弟と妹一号がクルマで迎えに来てくれるというので、パセオ2Fの喫茶店コーヒー倶楽部で休憩。コーヒーにお菓子が付属。CHOCO WICHという名称なのだが、キャッチコピーが秀逸。欧風珍味。でも中身はただのチョコレートウェハースだったり。

 さいとうよしこをパセオに放し飼いにしているうちに弟妹が到着。さいとう姉妹はふたたびロビンソン百貨店に出撃。ロビンソンは「ロスト・イン・スペース」フェアとかやってるんじゃないかと思ったけどそういうことはないらしい。ロビンソン・ファミリーに愛がないのか。
 またしても福袋を持って姉妹が帰ってきたところで、クルマ二台に分乗し、餃子を食いにゆく。宇都宮に来たらやっぱり餃子でしょう。
 目当ての店が休みでかわりに行ったのが、餃子日本一の宇都宮の電飾看板がまぶしい《宇都宮餃子館》。傑作だったのは当店オリジナルのトンカツ餃子。
 餃子の中にトンカツが入ってるのかと思った人は考えが足りない。外見はあくまでもふつうのトンカツ。トンカツの横に餃子がついてるだけじゃ……と思いきや、トンカツのサクサクな衣の内側に、肉といっしょに入っているのは、まごうかたなき餃子の具。「餃子は餃子の皮で具を包むものである」という発想を逆転させて、トンカツの衣で餃子の中身を包んでるわけですね。これがうまい。トンカツの中に刻んだキャベツ。トポロジー的な食物なのである。
 売り物の舞茸餃子も秀逸で、メニューは豊富だし値段も安く、宴会にもけっこうおすすめ。チェーン展開してるみたいなので、宇都宮にお越しの節はぜひ。

 死ぬほど餃子食ってから、クルマ二台で芳賀町・祖母井のさいとう実家へ向かう。午後8時半到着。さいとう父に挨拶して、くじら肉(なんか千葉に行って買ってきたらしい)の焼いたのをつまみつつ、さいとう妹一号の夫の人から、《ツインリンクもてぎ》の話を聞く。NSXに同乗してコースをまわるアトラクション(正月は無料)が最高らしい。サイドbyサイドにも乗れるそうで、ちょっと心が動く。カート関係もやたら充実してるんで、モータースポーツ系の人は一日遊べるね。しかも、レースがない日はめちゃめちゃ空いてて乗り放題とか。
 デジカメで義理の姪姉妹の写真を撮り、ThinkPadの液晶に映して機嫌をとる。が、姉妹のあいだでパソコンのとりあいになり、わんわん泣き出す妹。さいとう弟がすかさずトトロのビデオを機嫌をとる。よくできた弟と言えよう。

 そのさいとう弟が、最終の新幹線でやってくる叔母を迎えにふたたび宇都宮駅までクルマを出すというので、ついでに同乗、上りの最終でオレだけ東京にもどったのは、主に猫の餌をやるためだったり。川越に出かけたときはそのまま栃木にまわる予定じゃなかったので、駄猫三匹の食い物を用意してなかったんですね。まあしかし、帰り着いてみると猫たちはさほど飢えた様子もなく、楽しく暮らしていた模様。



【1月4日(月)】


 寒いので家でだらだら。眉村卓『カルタゴの運命』を読んでいるうちに一日が終わる。まあそんなもんか。
 
 TBSワンダフルの枠で「日本一の男の魂」のアニメ版放映開始。この番組には異様にハマってますね。「三助」はさすがにまずい――というか、意味わかんねえんじゃないのってことで、「日本一の垢擦り男」になってましたが、深夜アニメなテイストでなかなか。キャラは喜国マンガそのものなので、アニメ的には「マサルさん」ほど爆発してないもののけっこういい感じ。しかしこの枠のアニメは録画に困るんだよなあ。しばらくはオンタイムでビデオに録るしか。

「ワンダフル」を最後まで見たついでに、テレ東の新番組「宇宙海賊ミト」を見る。頭は生活アニメでキャラはタイムボカンでテンポは往年の東京ムービーで宇宙はCGでネタは水戸黄門。しかも母子モノ? わけわかりませんがミト母バージョンはわりとツボ。「星界の紋章」とみくらべると吉。ってどこが。



【1月5日(火)】


 正月最初の催促は《本の雑誌》。すっかり忘れていたのだが、《不景気なんかぶっ飛ばせ》みたいな特集用に、「景気のいいSF」というお題の原稿を受注してたんでした。銀河おさわがせ中隊とか、そういうの? 裸一貫から成り上がって銀河を買い占める、みたいな話が望ましいらしい。『ノーストリリア』は地球を買うんだっけ。というわけで景気のいいSF募集。今日が締切だけど、まあ今週いっぱいはひっぱれるだろう、きっと。
 景気のいいSFをごぞんじのかたは、伝言板のほうへ是非。

 伝言板と言えば電子本ネタで盛り上がってますが、昔書いた電子本がらみの原稿を発掘してみました。
 SFマガジン《SF翻訳講座》から電子本関連ネタをリミックスしたのがこれ。前から置いてあった「テキスト・サーフィンの未来」もついでに若干見た目を修正しました。
 しかし5年前にはすぐにもオンライン出版の時代が来るような気がしてたのに、既存出版社の動きはのろすぎ。自社のバックリストのオンライン販売やってる大手出版社って、光文社電子書店ぐらいじゃないの? 小額決済システムが安い手数料で手軽に利用できるようになれば、むしろ作家が自作を自分のサイトでオンライン販売するほうが先に一般化するかも。

 冷凍ピザを解凍して食べてたら歯の詰め物がとれてしまったので新年早々歯医者へゆく。楽しいドリル。でも麻酔のほうがもっと楽しい。


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