【12月28日(月)】


 午後5時、ヤマハホール入り。階段は大行列。なんでも午前10時から並んでいた人もいるらしい。今井由香、川澄綾子目当ての声優おたく系な人々が多いことであろ。
 東京公演なので関係者多数。A部@早川書房とか、N崎@角川書店とか、添野知生@SFオンラインとか。WOWOWの海部プロデューサーもあいかわらず元気。生まれついてのプロデューサーっていうか。

 ロビーで煙草吸ってたら、バンダイビジュアルの渡辺繁社長が社員を引き連れて登場。どうもごぶさたしてますという挨拶もそこそこに廊下をずんずん歩いていく渡辺社長。
「あ、控え室はその奥ですよ。森岡さんとかもそこに……」
「いや、それはあとで」
 と引き返してきて、なおもずんずん反対側の廊下へ歩いていく社長。しばらくしてまたずんずんもどってくる。謎の行動。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、トイレに」
 部下の社員が「こちらに場内の案内図が……」とか言ってるんだけど、どんどん歩く社長。とにかく行動の人である。
「トイレならたしか上の階に……」
「階段がないぞっ!」
「ええと、階段は……」
「そうだ。こっちだ。よし、思い出したっ」
 しゃ、しゃちょう……。

 長岡監督は大阪からもどったあと風邪で寝込んでたとかで、なんだかぼうっとしている。控え室でしゃべっててもときどき意識がとぎれている。だいじょうぶかっ。今井由香嬢も風邪だそうで、ときどき咳き込む。綾子ちゃんは元気。いいねえ、若い子は。

 今日のMC担当は熱血星界ファンの水本アナウンサー。最初からテンションが高い。
「森岡先生っ。わたし、先生の紹介を考えたんです。『森岡先生の頭の中には銀河が広がっています』っていうんですけど……いいでしょうか?」
「はあ……銀河ですか」と沈黙する森岡浩之。
 横で聞いてた赤井さんと、「そらやっぱり圧縮されて詰まってるんでしょうな」「解凍せんとあきませんな」「それに時間がかかるわけで」とか勝手なことをしゃべる大森。水本さんはひそかにむっとしていたのか、結局この紹介は使いませんでした。
 まあでも、第一声がいきなりお風呂ネタ(「わたしは《星界》シリーズの大ファンで、お風呂に入るときも、原作の文庫本をビニール袋に入れて浴槽で読んでいるくらいです」とか)だったので、やはりただのアナウンサーではないのである。

 トークのほうは、まあ二回目だし適当に……と例によって打ち合わせなし。「今井・川澄両嬢にジントとラフィールの掛け合いをWOWOWのラジオCM調でやってもらう」ことだけ決めて本番。
 冒頭のゲスト紹介で、「最近また、めっきり増長指数が上昇しているようで」と森岡さんに振ったら、いきなり前のほうの客がどっと湧く。おたく率が異様に高いノリ。ちょっと濃いネタにはいちいち反応してくれるので非常にやりやすい。おかげでどんどんおたくいじりな方向に行ってしまって、はたしてこんなんでよかったんでしょうか。まあでもK山さん@早川書房お気に入りの六話冒頭入浴シーンネタも盛り上がったし、長岡監督もがんがんとばしてたし(飛ばしすぎて、「脚本の方が、最終話はどうしても一時間で行きたいとおっしゃったんで、現場はたいへんです」みたいな責任転嫁発言まで出てしまい、うしろで聞いていたシナリオの吉永さんは、「この男、いっぺん殺したる」と怒り狂っていたらしい(笑)。一時間にこだわったのは監督のほうだったそうです)、水本アナもキャラ立ちまくりだったし、まあよかったんじゃないでしょうか。

 それにつけてもありがたいのは、おたくなお客様。プレゼント抽選会もすげえ盛り上げてくれて、大阪公演のときとは大違い。いや、大阪のほうがふつうの試写イベントで、こっちはもうほとんどSF大会ノリでしたね。カプリコン1の星界ライブPartIIみたいな。

 トーク終了後、近所のインド料理屋にくりだし、SF組で勝手に忘年会。三村美衣、添野夫妻、さいとうよしこ、深上鴻一、雑破業に、星界のイベントだからとメールで召喚したみのうら嬢も合流。ホールでの合同取材と写真撮影を終えた森岡さんと編集者トリオ(K山、A部、N崎)もあとから加わって、総勢12人で午後11時の閉店まで食いまくる。
 三村・みのうらは某掲示板と某掲示板のネタで意気投合していた模様。まあ路線的には似てますわな。




【12月29日(火)】


 1時に起きて、タクシーで東京ビッグサイト。運転手の人いわく、「今日はビッグサイトまで行くの、もう3回目ですよ」。
 道はがらがらなので、カタログをぱらぱら見ているうちにあっというまに会場到着。東ホールの裏に着くのですごく簡単。
 とりあえず、河内実加さんとこの島田倉庫に寄って、『あびこくんと愉快な仲間たち2』を受けとる。セブンイレブンでコピーしてたら、うしろに並んだおばさんが盛大に咳払いするので、150部の予定が30部しかつくれず、あっという間に完売してしまったんだそうですが、登場人物の特権で一部拝受。大森は「わるもの」((C)アランジアロンゾ)キャラですっかり定着したらしく、ついに表4にまで進出している。名誉なことである。こうなったらやっぱり『あびこくんと不愉快な仲間たち』をつくるしか。絵は根本さんに描いてもらうとか。
 それにしても『仲間たち2』の需要は大きかったらしく、コミケ会場で三人の人から、「もらったんでしょ。見せてください」と言われました。

 甲影会のスペースに顔を出し、発行人の福井良昌氏から《別冊シャレード》新刊4冊をいただく。今回は、『司凍季特集』『光原百合特集』『津島誠司特集』『有栖川有栖特集2』と、(最後はべつにして)異様に渋いラインナップ。次回は、はやみねかおるもやるらしい。乾くるみと鯨統一郎も出してほしいことである。

 小森健太朗氏の《それぞれの季節》では、なぜか竹本健治氏が売り子をしている。なんでも朝いちばんにやってきてあちこち見てまわり、類子&智久本を購入。すっかりくたびれていたらしい。サインを求められたり貢物をもらったりでたいへんだった模様。変装してもすぐばれるからしょうがないですね。

 つづいて、うちの伝言板に、「新刊あげます」の伝言があった、《傾城傾国》へ。星☆嬢、尾瀬はやみ嬢とは初対面。森本再録総集篇のオフセット新刊『まちがい消去』と、コピー版新刊『有限と微小のドーナツ』を拝受。理系ネタに反応した4コマが多く、他の森博嗣サークルとは一線を画してて、オレ的にはかなり好み。SFネタがちりばめられた対談・座談会も笑えます。
 ちなみに新刊が『有限と微小のドーナツ』になったのは、『時空ドーナツ』のせいらしい(笑)。ラッカー本出してSFに進出するというのはどうですか売れませんかそうですか。コンピュータ系のところで出すと売れそうな気もするが。ハリー・ガーバー攻のジョー・フレッチャー受。違うか。

「写真撮ってもいいですか?」と言われたので、「はいはい、こんなもんでよければ」とフレームにおさまる。シャッターが押され、フラッシュが光る。とたんに笑い声。
「やっぱりカメラ目線だあ」
 ってそらそうですわ。くそ。街で指さして笑われる芸人ですかオレは。まあネタにしてもらえるうちが花ですが。ってメフィスト読んでないとわからないネタですみません。

 森本と言えば、森博嗣氏ご本人もいました。
「ども、ごぶさたです。今日はK木さんといっしょじゃないんですか?」
「いや、今日は家族といっしょにお忍びで」
 しかし、周囲は十重二十重にファンがとりまいているので、すでにこのへんのエリアではいちばん目立っているのだった。遠くのスペースでも、「ねえ、あれ」「えーっ、ほんと」「ぜったいそうよ」とかささやきつつ指さす少女多数。ひとりで歩いてればバレないっかもしれませんが、これでは。
 ちなみにお嬢さんはビジュアル系の同人誌が目当てだそうで、
大森「どのへんですか?」
森「ええと。なんだっけ。名工大の卒業生がいる……。あのバンド、なんていうんだっけ?」(と、周囲の若者にたずねる森先生)。
若者「ラルクでしょう」
森「そうそう、ラルク・アンド・シェル」
若者「先生、そうじゃなくて……l'Arc〜en〜Ciel」(笑)
森「そう、ラルク・アン・シエルね。妻は違いますよ。妻はおばさん系で、スマップ・ジュニアだったかな」
若者「先生、それはSMAPじゃなくてジャニーズJr.です」

 それで思い出したけど、カタログ見てると喜×国本サークルあり。なんだろうと思ったら、喜多見×国分なんですね。なるほど。喜×国やってる子は、書店で喜国さんの本を見るたびによこしまな気持ちになるんだろうか。喜国の『傷だらけの天使たち』とか。すげえよこしまかも。

 着いた時間が遅かったので(午後2時前)ろくにあちこち見てまわるヒマもなくお開き。買ったのはJDC本とかメルカトル本とか類子&智久本とか。
 竹本・河内・千織・小森・鷹城宏・小浜夫妻・さいとうよしこ及び甲影会の人々とコルドンブルーで休憩。爆発的に腹が減ったのでついカレーを食ってしまう。夜はC塚パティオのちゃんこ宴会なのに。
 河内組5人が先に赤坂の宴会場に移動。小浜夫妻とうちは、5時過ぎまでコルドンブルーでだらだらしてから、ゆりかもめで新橋、銀座線で溜池山王。宴会の人数には入ってないだろうと、とりあえずとなりのVELOCEに落ち着いてから様子を見にいくと、C塚嬢が気をきかせて、追加四人分の席を用意してくれていたのでした。
 すいませんさっきカレー食ったばかりなんであんまり食べられませんといいつつ合流するが、鍋物なのでつい体が反応してがんがん食ってしまう。冬はやっぱり鍋でしょう。
 メンバーは、C塚・喜国・国樹に竹本・河内・千織・小森・鷹城のコミケ組と、大森・さいとう・小浜・三村の四人、さらにあとから京極さんが加わって総計13人の大所帯。お座敷だと忘年会ムードが盛り上がりますな。

 8時で店を追い出され、ふたたび全員でVELOCEにもどって一服。明日に備えて喜国・国樹・小森・鷹城が引き上げ、残り9人でタクシーに分乗、神楽坂のカーニバル2。
 大部屋に入って、けっきょく最後まで歌わないまま、《このミス》と《メフィスト》ネタでえんえんバカ話。話題の中心は、我孫子武丸、千街晶之、福井健太。
「いまから電話して千街くんと福井くん呼びましょうか」
「でもその場にはいたくないなあ」
「ほんとに呼びますか?」
「福井くんが来たらオレは帰るよ」
「だから二人だけべつの部屋に閉じこめて」
「外からガラス越しに覗く」
「朝になって、生きて出てきたほうが勝ち」
「蠱毒ですかそれは」(笑)
「だったら我孫子さんとか茶木さんも閉じこめないと」
「笠井さんや苑生さんも入れて」
「最強のミステリ評論家をつくる」

 明日もコミケなので午前零時に解散。小浜夫妻とタクシーで帰宅。三村美衣に「ソニック・ザ・アドベンチャー」と「ゼルダの伝説 時のオカリナ」を与えて寝る。

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