【12月26日(土)】


 実家のオレの部屋は、ほぼ高校時代のまま保存されているので、ハヤカワ文庫JAの100までとか、最初の萩尾望都全集とか、70年代後半の《野生時代》とか、日本作家単行本とかがタイムカプセル状態で並んでいる。
 その合間に、親が買った本がときどき混じってるんだけど、これがけっこう謎ですね。香山リカの『自転車旅行主義』とか、立花隆の『インターネットはグローバル・ブレイン』とか、西澤保彦の講談社ノベルス群はまだわかるが、なぜここに小森健太朗『ネメシスの哄笑』が。変わった趣味だなあ。それとも遺伝なのか(笑)。

 読んでなかった立花隆をぱらぱら拾い読み。ほほえましい本。けっこう雑なところもあるけど、まあそれも愛嬌ですか。

 外出時には今もつねに携帯している喘息の吸入薬を家に忘れてきて(忘れてばっかりだな、しかし)、まあだいじょうぶだろうと思ってたんだけど、朝がた発作が出そうな気配になってきたので、早起きして追手前高校近くの病院へ。
 22年前のオレのカルテが出てきたのは驚きました。
「ひさしぶりやき、身長と体重も測っちょこうかねえ。だいぶ変わっちゅうろう」
 ってそりゃあたりまえです、先生。ついでだからと検尿と血圧測定と膝蓋反射検査までしてもらい、スメトリンをもらう。

 帯屋町をぶらぶら歩き、オビサンロード(だっけ?)の《ファウスト》でモーニング。名古屋と違ってピーナツつきませんが、高知の喫茶店もコーヒーのあと日本茶が出る。ゆで卵、マカロニサラダ、トーストがついて380円。
 食事をしつつ高知新聞を読む。毒薬ネット通販連続自殺事件は「そしてだれもいなくなった」的展開。いますぐ一本書けますね。インポケットの法月綸太郎ネタとか。
 和歌山保険金詐欺事件の原稿を書いたとき、毒薬ページはいくつか巡回したんだけど、プロバイダから削除を求められたりとかしてるんでしょうか。難儀なことである。

 古本屋を3軒まわり、着替えを買うために服屋を覗き、大橋通りの角に新しくできた《おひろめ市場》を見学。大橋通り商店街各店の出店スペース……なのかな。
 帯屋町の島内書店に寄って、奥さんに浸水被害の話を聞く。20年前の台風のときより、帯屋町の被害は大きかったらしい。というか、今回は急だったのと、しばらく水害がなくて油断してたせいで、事前に商品を移動してなくて、床上五十センチまでの本がすべていかれてしまったとか。濡れた本はどうしようもないもんなあ。奇特な出版社は義捐金がわりに浸水した本すべてを入金扱いにしてくれたそうですが。

 帯屋町アベニューの喫茶店で700円のお弁当(コーヒー付き)を食べつつ仕事。Remakeをようやく再開する。まとめてやれば二日で(入力は)終わる分量なのだが。

 14:40から、高知東宝で「Xファイル ザ・ムービー」。蜂とトウモコロシ畑のイメージはいいんだけどなあ。シナリオをもうちょっと練れば、TVシリーズと切り離しての評価に耐えるSF映画になっていたかも。クライマックスの南極は真冬の栃木県ぐらいの寒さなのか。ふつうあそこで脱出しても凍死すると思うんですけど。まあしかし、全体的にはよくがんばったほうではある。

 5時、追手筋をはさんでワシントンホテルの向かいにある《磯の茶屋》で、西澤夫妻と合流。今夜は西澤夫人の同僚のT嬢といっしょに食事してカラオケ――という予定だったところへ、オレがいきなり乱入したわけです。どうもすいません。
《磯の茶屋》は、東京から編集者が来ると西澤さんが必ず連れていく店なんだそうですが、オレははじめて。鯖寿司は絶品でした。鰺も鱚もうまくてどんどん食べる。こんな店があったのか。

 満腹したところで中央公園わきのボックスでDAM2時間。T嬢はSPEEDとかCoccoとかTMRとか。オレもその系統。西澤さんはひとり独自路線を貫き、仮面ライダーシリーズはじめ男らしいアニカラで攻めつづける。
 予約時間終了とともに追い出されたんだけど、まだ歌い足りない(西澤さんは呑み足りない)ってことで、はりまや橋電鉄ビル地下のラファドでさらに二時間。



【12月27日(日)】


 10時ごろ起きて、一階の喫茶店で仕事。
 2時に家を出て、大橋通りで買い物してから、14:56発の南風に乗る。昼間の大歩危小歩危を見るのもひさしぶり。瀬戸大橋を渡るのも、か。
 岡山で《ひかり》に乗り換えて18:31新大阪着。在来線で大阪駅にもどり、迷路のごとき梅地下を抜け、フコク名店街……じゃなくてパレッタだっけ……B1のトレビでKSFA(関西海外SF研究会)というかTHATTA友の会の例会。何年ぶりだろうと過去日記を検索したら、3年半前の日記にも同じフレーズが書いてあってとほほ。
 今日の出席は、水鏡子、古沢嘉通、大野万紀、米村秀雄、池原宏治の各氏と、てらさん、かおるさん、ようこさん(あとから帰省中の藤元くん合流)。二十年以上前から毎週日曜日に梅田に集まっている人が多数派という恐ろしい例会である。わたしがこの例会に毎週出ていたのは、二十年のうちのわずか四年に過ぎないという事実は銘記しておきたい。岩郷重力といっしょに18歳ではじめてこの例会に行ったときは緊張したけどなあ。
 毎週のタイムテーブルにしたがい、19:15に旭屋梅田店へ移動、20:00に中華料理屋の桃花園。京フェスの感想戦、SFM50年代SF特集その他の話題。二十年前とたいしてかわりません。例会の話題についていくために一生懸命SFマガジンを読んでいたころがなつかしい……(うそ)。

 21:30に解散し、梅田から阪急京都線22:00発の特急で四条河原町。タクシーで綾辻邸へ。引っ越して一カ月の綾辻さん(整理整頓・きれい好き)は、本の整理をはじめたらとまらなくなって、やっと終わって寝たのが夕方六時とか。いきなり押しかけて起こしちゃって申し訳ない感じ。お詫びのしるしに高知みやげを渡し、すでに消滅したドクター・キリコ診察室の掲示板ログを閲覧に供する。
『このミス』関連のネタでしばし雑談のあと、北山のSKYLARKで食事。綾辻さんは朝ごはん、オレは夜食。ニガリ豆腐とか、和食系のメニューが充実しているのに驚く。東京では、すかいらーくはほぼ駆逐されてしまったんでは。いつのまに欧文になったんだろう。

 午前2時、ふたたび綾辻邸にもどると、昼ごはん(?)がすんだ法月さんが合流。最近はすっかり平和で家庭的な日々を送っている模様。ミステリ系各種火種の話を聞き、お返しに梅原克文状況についてブリーフィング。といっても、おおむねここにある情報ですが。  とりとめなくしゃべりつづけて、お開きは午前五時。コーヒーしか飲んでませんが、夜中なのでミスタードーナツにはいきません。



【12月28日(月)】


 10時起床。だらだら起きてたんで、けっきょく寝たのは2時間ぐらい。高野の喫茶店で綾辻さんとモーニング食べてから別れ、タクシーで北大路駅に出て、駅前の本屋をちょっと覗いてから地下鉄で京都駅。11:05に新幹線の改札についたら、ちょうど11:10の《のぞみ》があったので、券売機で切符買って飛び乗り。
 キム・ニューマン『ドラキュラ戦記』を読み終えたら、14:24にはもう東京。これがいちばん速いやつかな。

 アニメ版『星界の紋章』トークライブ東京公演まではまだけっこう時間があるので、新橋に出てセレクトインきむらやを覗く。PHSのFAXモデムカードがほしかったのに売り切れ。携帯のバッテリが危ないので、使い捨て充電池を購入。480円。

 椿屋にでも行くかとぶらぶらヤマハホールの前まで歩いたところで、そうだ、銭湯があったよなと思い出し、眠気覚ましに《金春湯》。東京の銭湯はすごくひさしぶりかも。20円入れると3分動くドライヤーとか。昼間なのにけっこう客がいるね。ピンク色の謎の湯にゆったり浸かってああごくらく。しかし東京の銭湯は湯が熱いのだった。

 湯上がりタオルを肩にひっかけて椿屋に入り、アイスティーとミルクレープの優雅な午後。あー眠い。眠いので日記でも更新しよう。


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