狂乱西葛西日記98年10月25日〜10月31日


【10月25日(日)】


 アニメージュの書評をかたづけてから、WOWOWでセリエA。パルマ×ペルージャ。開始46秒で1点入ったときはどうなるかと思ったけど、パルマの決定力不足は深刻。交通事故で2点とられて負けちゃったのはかわいそうですが、なんか今のペルージャは謎の勢いがある。中田は……まああのぐらいがふつうでしょ。

 SFマガジン2月号の50年代SF特集のために、スタージョンの短篇集をぼちぼち読む。Sturgeon in Orbitとか。化石のような朽ちかけたペーパーバックばかりなので、埃っぽくてかないません。
 飽きると『火星物語』のつづき。中盤わりと退屈かも。

 午前4時半から、ユベントス×インテル。ロナウドは全然ダメ。調子悪すぎ。あれじゃインテル勝てないよね。後半早々、ジダンのレッドカード一発退場でふたたび遺恨試合か――と思ったら、10人になってからのユーベのがんばりがすごい。あのPKはかなりダイブくさいけど、それを言うならジダンの退場もイエローぎりぎりだったんで、ユーベの勝ちは順当でしょう。
 退場になったジダンが控え室の安い椅子にすわってじっとテレビを見てる姿がときどき映る中継映像は傑作でした。あんなことにカメラ入れていいのか。



【10月26日(月)】


 伊藤典夫師匠に呼ばれて、「海外SFに親しむ会」@渋谷ルノワール。
 をを、なるほどこういう会だったのか。まるで大学のゼミみたい。いや、京大SF研時代、原書の読書会みたいなことはちょっとだけやってたんだけど、せいぜい3回ぐらいしか続かなかったような。あ、英文科の読書会はもっと長く続いてましたね。若島さんがやってたやつ。でもオレが出たのは5,6回だったと思った。つまりオレが不真面目なだけか。
「海外SFに親しむ会」はもう4年も続いているそうなのでたいへんなものである。
 伊藤さんの訳し方を聞いているだけでも勉強になりますが、しかしオレならあそこは「後方視界画面」じゃなくて「バックミラー」と訳すと思いました。

 一時間ほどで勉強会が終わり、あとはフリートーク一時間。主に昔話とか。二次会はこないだSF者オフで行った天狗。浅暮三文大兄に芝居関係の話をいろいろ聞く。タニグチリウイチの「まさかのとき用名刺」をもらう。でももうちょっと立派なのをつくらないと真剣味に欠けるだろうと愚考。

 終電前に帰宅して、さあこれからアジアユースの韓国戦だね。と思ったら、なんで? なんで今日だけ8時からなの? 当然ビデオもセットしてなくてしおしお。まあ例によって例のごとき試合だったみたいだからいいんだけどさ。



【10月27日(火)〜28日(水)】


 アニメージュF.F.Nの原稿をまとめ、リテレールのベスト原稿を書く。
 伊藤さんにリストをもらったので、スタージョンの50年代未訳短篇リストをつくり、持ってない短篇集をチェック。bibliofind.comで見つけたGraham Holroyd Books(http://www.grahamholroydbooks.com/ )で、THE STARS SRE THE STYXほか3冊のペーパーバックを注文する。ポール・ウィリアムズ編の5巻本全集、The Complete Stories of Theodore Sturgeon もじつは買ってないのだが、50年代未訳短篇に関してはほとんど役に立たないことがわかったので、今回は見送り。

 佐藤正午『Y』(角川春樹事務所)はタイムトラベル・ラブロマンス。というか、設定は「酔歩する男」とほとんど同じ。「わたしたちはかつて親友でした」と名乗る見知らぬ男からの電話ではじまるし、18年前にもどって女を助ける話だし。
 時間SFのツボはわりと押さえてるんだけど、佐藤正午なので奇怪な時間理論が開陳されることは当然ない。テイスト的には東野圭吾『秘密』系列か(北村薫よりはひねりがある)。けっきょく、『リプレイ』の最大の功績っていうのは、SF畑じゃない作家がSFネタを書く書き方の例を示したことにあるのかもしれない。
『Y』はかなりよくできてて、梶尾真治の時間物ファンは必読でしょう。しかし佐藤正午がねえ。



【10月29日(木)】


 午後3時15分、ユニジャパンでツイ・ハークの「ノック・オフ」。編集がでたらめでとてもツイ・ハークが撮ったとは思えない。カットがつながってないぞ。自主制作みたいなカメラワークだし。話がでたらめなのはともかく、アクションもなあ。ジャン・クロード・ヴァン・ダムにジャッキー・チェンみたいなアクションは無理でしょう。CIAはなにがしたいのか全然わかりませんね。途中ちょっと寝ちゃったせいだろうか。

 家に帰って、9時ごろ寝る。



【10月30日(金)】


 夜中に起きて、矢の催促だったらしいセガサターンマガジンの「カレカノ」原稿を書き、1時半からU19アジア大会準決勝。またしてもわずか5分間に2失点。しかしとられたらとりかえすのがこのチーム。これでセンターバックに人材がいたらかなり強いのでは。

 眠くてぼうっとしてるが眠れないのでビデオを見る。「ジェネレーター・ガウル」4話の回想場面は異様にかっこいい。こんなネタが隠してあったとは。まあどう見ても初号機暴走場面ですが。
 やっと見た「カウボーイ・ビバップ」session#1は傑作。このエピソードからはじまってれば、TV東京の放送ももっと話題になったのでは。もったいないことである。でもWOWOW的にはこれでよかったのか。うちの場合、地上波はかすかにゴーストが出るので、画質もWOWOWのほうが若干よかったり。
「ポポロクロイス」は評判がいいのも道理。でもあんまり興味ない感じ。「バブルガム」はがんばってますね。FEATURINGのスペルミスはさりげなく修正されてました(第一話ではFEATUREINGになってたと思った)。
 しかしクォリティ的に今シーズンいちばん期待させるのはやっぱり「ガサラキ」か。問題はキャラ。

 けっきょく寝ないで小説すばるの書評を書き、エスタロン・モカの錠剤で目を覚まして、UIPに「アウト・オブ・サイト」の試写を見にいく。會川さんから、「「アウト・オブ・サイト」のヒロインがアニメのキャラみたいな性格なんで是非見てみてください」と推薦を受けてたんだけど、いやほんと、ジェニファー・ロペスのFBI捜査官はキャラたちまくり。
 ものすごく優秀なスタッフが実写で映画化した「キャッツ・アイ」っていうか。男女が逆転してるけどさ。
 原作はエルモア・レナードで監督はスティーヴン・ソダーバーグ。止めカットの使い方は妙に香港映画っぽかったり。カットバックで三つの時間が入り乱れるんだけど、処理の仕方が新鮮。ジョージ・クルーニーもこれが最高傑作だろうな。今年のベスト3には入れたい映画。

 家に帰って、持ち帰りの寿司を食いつつWOWOWでやってたチャンピオンズカップのスパルタク・モスクワ×インテルの試合録画を見てロナウドのゴールを確認し、西澤保彦『ナイフが街にやってきた』(祥伝社ノンノベル)を読む。今回は時間が止まった世界。しかしだれでも最初に思いつくであろう可能性が最後の解決のところまで指摘されないので納得がいかない。が、よく考えてみると、その可能性が指摘されない理由はちゃんとあるのか。

 エスタロン・モカが切れたとたん猛烈に眠くなり、10時ごろ寝る。



【10月31日(土)】


 夜中1時半に目が覚めて、『火星物語』のクエス編を終わらせる。2時半ごろ携帯が鳴り、なにごとかと思ったら関口苑生大兄。友成さんが来てて、家で飲んでる勢いで電話してきたらしい。昔はよく、新宿で飲んでる山田順子女史から真夜中に電話がかかってきたもんですが、こういう電話もひさしぶりだなあ。
 私生活に一大変化があったらしい友成さんとしばらくしゃべり、つづいて電話口にアルゴの細谷さんが出てくる。なぜ関口家に細谷さんが。
「いや、関口さんとは今日はじめて会ったんですけど、友成さんに連れてこられちゃって」だそうである。謎。

 午前5時ごろもう一度寝て、午後3時起床。
 ミストラルでお茶飲んで目を覚まし、渋谷パンテオンのジャックスカード東京国際ファンタスティック映画祭。オープニングなので超満員。本来なら避けたかった日なんですが、「ヴァンパイア」の試写を見逃しちゃったのでしょうがない。なにしろSFオンラインでは星五つだもんな。
 立ち見だろうなと思いながら入ると、ロケットつつい氏が今はヘラルドの宣伝やってるんだそうで、確保してある関係者席が余ってるからと座席整理券くれてラッキー。
 なにしろファンタのオープニングなので、試写がはじまる前にはいろいろイベントが。今年はいきなり、なんとかアクションクラブの人たちのクンフー・ショウで開幕。小松沢さんはデビルマンのひとにエスコートされて登場。ゲストはリンダ・リー(ブルース・リー未亡人)と「富江」の監督と原作者と主演女優。
 爆笑だったのは、鷲巣義明氏が撮ってきたジョン・カーペンターのインタビュー。「あなたはアメリカでより、ヨーロッパやアジアでのほうが人気がありますが、なぜだと思いますか?」とか、いきなり核心に触れる質問が(笑)
 オレのとなりにはあとからビール片手にやってきた樋口真嗣さまご一行が座ってたんだけど、いちいち大声で笑うのでたいへん。
 小松沢さんが挨拶で、「ファンタも、昔のように大騒ぎする異常なファンばっかりじゃなくなって、最近はおとなしい傾向が」とかゆってたけど、樋口さんが10人いれば全然オッケーだね。
「ヴァンパイア」の本篇がはじまってからも、カット割りの細かいギャグにとなりでいちいちウケるので超うるさい。途中から急に静かになったなあと思って横を見ると、すやすやとお休みでした。
 しかしまあ、中抜きで見るのが正しい映画ではあるね。なぜこれが星五つ>添野。冒頭と、マスター8人が目を覚ますシーンはかっこよかったけど、あとはただのカーペンター。だいたいあのラストはないでしょ。嫌いじゃないけど、まあ☆☆☆かな。

 映画のあと、宮益坂のカレー屋で、堺三保、さいとうよしこ(買い物から合流)と飯食ってふたたびパンテオンにもどり、オールナイト。
 今度こそ席がないので通路にすわってたんだけど、添野くんのとなりの席が埋まらないので、映画はじまってから座席に移れてまたラッキー。
 ホラーナイトの一本目は「富江」。わりと「CURE」っぽい感じ。富江役の××××(って内緒なのか?)がめちゃくちゃいい。「どうせあたしはかわいいままだよ」とか、もう最高っす。話は若干つじつま合ってませんでしたが、まあ致命的な傷ではない。

 2本目は試写で見ている「ダーク・シティ」なので、パンテオンを抜けて渋東シネタワーに走り、「踊る大捜査線 The Movie」のオールナイトを途中から。昼間は立ち見だったそうですが、11:30からのオールナイトも8割がた埋まってる感じ。
 映画は評判通りよくできてます。しかしあそこはふつう救急車だろう。ThinkPadの表にInfoSeekのステッカー貼ってる女もいないと思うな。いや、湾岸署がInfoSeekから借りてるマシンなのかも。誘拐事件は全体に特撮映画っぽいテイストで、G2かパト2か、みたいな。領収書の話は身につまされますが、しかし5万ぐらいじゃな。
 まあ、殺人ページとかやってるやつには悪いやつが多いという映画でした。ってちがうか。でもどうせなら、使用許可とって実在のページを表示すればよかったのにと思ったことでした。

 最初の15分ぐらい見逃したので、休憩時間にこの日記を書きつつ、次の上映を待つ。どうせファンタのオールナイトの三本目がはじまるのはまだ先だし。

 というわけで午前3時に渋谷パンテオンにもどって、ファンタスティック映画祭初日オールナイトのつづき。3本めがもうはじまってると思ったら、新作宣伝合戦がはじまったところで、アルバトロス・フィルムのK氏がコンドーム帽子(わざわざ買いにいったらしい)をかぶって「キラー・コンドーム」の宣伝をしてるところでした。映画宣伝もたいへんです。
 さて、そのアルバトロス配給の「カルミーナ」はモントリオールが舞台のフランス語吸血鬼モノ。冒頭いきなり「サイレント・ムービー」みたいな字幕ギャグで笑かしてくれますが、ほんとはあそこから吹き替えにしないとね。
 ヴァンパイア少女と人間オルガニストとのラブコメなんだけど、ギャグがわりと破壊的でけっこういい。あれでおねえちゃんがもうちょっとかわいければなあ。ネタ的には「赤い額縁」とかぶってたり(笑)。しかしK氏が「どうってことない映画ですけど」と言ってたわりに、けっこう楽しいじゃないすか。ほとんど香港コメディ。80年代のキョンシー映画をもうちょっとおしゃれにした感じね。

「カルミーナ」が終わったのが午前5時。最後の一本はラッセル・マルケイの怪奇ミイラ男……じゃなくて「タロス・ザ・マミー」。ミイラ男の本体ではなく包帯に着目したアイデアは秀逸。しかしそれだけ。いや、それ以上かもしれないけど、6時まわったところで眠くなってきて、途中で席を立ってしまったのでよくわかりません。だいたいオレ、ミイラ男の映画って好きじゃないんだよな。

 あ、忘れてた。掲示板でも書きましたが、ワセミス主催の山口雅也さんの講演会があります。

11月3日(火曜日)文化の日
午後2時(1時半開場)〜4時
場所 日本出版クラブ会館

詳細はここ参照。入場無料。 起きてたらたぶんオレも遊びにいきます。


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