【9月27日(日)】


 12時間寝て、夕方起きる。宴会ウィーク疲れでまだ社会復帰できない。
 とりあえず、ゲームウォーカー用に、SS版「機動戦艦ナデシコ the blank of 3 years」をはじめる。おもしろいじゃん。SS版前作とはくらべものにならないほどよくできてるし。デモはオープニングのあとに「なぜなにナデシコ」が入ってて、「サウンドノベル」って言葉を使って説明してますが、むしろ「やるドラ」ですね。「やるドラ」5本分なんで、シナリオ的にはお得。止め絵が基本だけど、越智さんが赤字覚悟でがんばったらしく、クォリティは上々。荒川脚本はアイドル物とか、バラエティもなかなか。最低5回は遊べるから、コストパフォーマンス高いのでは。

 10月に中公から出る予定の高野史緒の新作をゲラで読みはじめる。戯曲スタイルのサイバーバレエ物。「サイバー・スペース」「フリー・ウェア」のナカグロはとったほうがいいと思いますが、もう間に合わないか。

 服部真澄『ディール・メーカー』読了。ビル・ゲイツがディズニーを買収しようとする話。タイムカプセルにウォルト・ディズニー直筆の未発表キャラが……というネタは面白い。途中、スパイ大作戦になるとこも笑える。でもあいかわらずマンガ原作って印象が強いな。チャカチャカ読めて楽しめるけど。

 篠田節子『弥勒』も読了。国家レベルの『ゴサインタン』。でも『ゴサインタン』のほうが意外性があった気が。りっぱな小説ではありますが、予定調和になっちゃうのが惜しい。

 平野まどかさんところで教わった、「とほほのWWW入門・検索フォーム設置法」をもとに、検索用のCGIを設置してみる。でもファイル数が多すぎるせいか、time out続出。やはり日記は別ディレクトリにしておくべきだったか。ていうか、サーバのマシンに負担かけてるだけかも。緊急時以外は検索しないでください(笑)
 カウンタも同時アクセスを禁止するこわれないやつに改造しようと思ったんだけど、こっちはなぜかうまく動かない。うーんなぜだ。


【9月28日(月)】

 お昼に寝て夜に起きる。ナデシコのつづき。7回めにして堺脚本の「虚空の『遺産』」に到達。ユキナ出まくりでオレ的にはうれしかったり。ほうほう、これがあの完全変形トレーラーバリスですか。説明おばさん大活躍でどんどん説明される。ラストは堂々の本格SFで、思わず感涙。いや、おなじみのネタなんですが、アニメゲーのラストで黄金時代のセンスオブワンダーが炸裂すると感動するよね。アニメ界における堺三保の存在意義を積極的に認めるに足るシナリオでした。
 いや、アキハバラとかちゃんと見てないオレが悪いんだろうけどさ。

 倉阪鬼一郎の初長編『赤い額縁』(幻冬舎)を読む。のっけから、「世界でいちばんこわいゲームブック」を書いてる作家が登場して爆笑。アルバイトで新人賞の下読みやってる翻訳家とか、他人とは思えない人がばんばん出てくるし。モデルのひとりはオレもよく知ってる人物ですが、そんなに凶悪に書かれてるわけじゃないので。「せいぜい唾を吐くぐらいで害はない」とか。
 探偵役は吸血鬼コンビなんだけど、死ななくてヒマなので、20年後の古本屋開業をめざして、将来値段がつきそうな本を買い漁ってるという設定。パズラーのネタはいまいちなんですが、ホラー的には傑作。


【9月29日(火)】

 夜中に起きて「lain」最終回。わりと予定調和的。この「もうちょっとでSF」なとこが、堺とかは腹が立つんだろうな。合理的に説明する努力をなぜそこで放棄しますか。疑似科学的な説明のかわりに、オカルト的/ニューエイジ的な言葉/イメージであいだを埋める。現実の枠組みを壊しちゃうモチーフを導入しながら、そこから先に行かないって意味では、「NIGHT HEAD」なんかとも近いかもしれない。
 こういう微妙な差異にこだわるのがSF者なのか(笑)。「理屈抜きに面白い」ってのが許せないんだな、きっと。

 しかし考えてみると、「SFになりそうでならないもの」(『パラサイト・イヴ』とか)に対するSFファンの態度は、「本格になりそうでならないもの」(清涼院流水とか森博嗣の一部の作品)に対する本格ファンの態度と近いかも。でまあ、本格の人を見てて思うのは、「これは××じゃない」って怒りは、よそのジャンルの人にはほぼ理解できないってことで、(仲間内以外では)言ってもしょうがないんだよな。でも魂の叫びだから黙っていられないケースはままある(笑)。
 もっともオレの場合、小説以外のメディアに関しては、「SFかどうか」って尺度はあんまり気にならない。もちろん、「こうしてくれたほうがうれしかったのに」ってのはつねにあるけどさ。でもやっぱりエヴァよりはナデシコのほうがSF度高いと思うが……っていうのは、みのうら掲示板の議論に対する反応でした。
 なんか声優博士×堺三保対決を思い出すな。

 小説すばるの書評を『赤い額縁』で書き、ゲームウォーカーのレビューをナデシコで書く。
 中野善夫はとっくに送っちゃったらしい晶文社の原稿(オンライン書店について)を書きはじめる。
 東さん@幻想文学企画室から、Horror Waveでレイモンの短編の翻訳を載せたいんだけど……っていう電話。風間賢二氏の推薦で、「たしかナイト・ヴィジョンに載ってたPop-upって短編がよかった」とか。ローカスのインデックスで調べてみるとそれはMop-up。しかもノヴェラ(笑)。50枚ぐらいまでって話なので、ショートストーリーじゃなきゃだめでしょ。Mop-upの初出はナイト・ヴィジョンの7巻で、これにはあと4本ばかり短編が載ってるんだけど、オレは持ってない。白石朗に電話したけど、やっぱり持ってないそうで、Book Searchesへさがしにいく。やっぱりハードカバーしかないらしい。ちっちゃい古本屋でいくつかひっかかったけど、なんか海外との商売は慣れてなさそうなとこばかり。
 たしかレイモンは豪華本の短篇集もあったような……と思ってファンサイトのビブリオを確認すると、600部限定のshort story集が出てますね。こっちは35ドルの古本がPowelsで見つかり、1週間ぐらいで入手できそうなので、3秒考えて注文する。
 ……という話を晶文社の原稿で書けばいいんだな。しめしめ。


【9月30日(水)】

 午前1時起床。TVつけたままウェブを巡回してたら「ベルセルク」がはじまって、つい見てしまう。すげえ。でもこれが正しい深夜アニメの表現って気がしなくもない。原作読んでないから話はよくわかりませんが、ただならぬ迫力。
 そういえば、こないだたまたま見た「アキハバラ電脳組」も、なんかすげえシリアスな話になってて、ウテナかと思ったことである。そのうちまとめてビデオ見なきゃ。

 10時15分から、五反田のイマジカで「アルマゲドン」の試写。前半30分は傑作。ニューヨークに流星雨が降り注ぐシーンとか、じつにいいっす。でも打ち上げ以降はギャグだと思って笑うしかない。小惑星のCGIは、ほとんど「宇宙からのメッセージ」。最近の日本のアニメのほうが、よっぽど科学的に正確なのでは。
 赤い線青い線のお約束まで出てきたのは大笑いでしたね。でも「ディープ・インパクト」よりはおもしろいかな。宇宙に行っても「コン・エア」だったと。

 試写には渦中の人・I倉局長@宝島社も来てて、ちょっと立ち話。スカートの陰に茶木さんは隠れてませんでした。『このミス』サイドにつくように強く求められる(笑) いや、座談会には出ますけど。

 終了後、高橋良平氏と軽く昼飯。映画版「ニューローズ・ホテル」はすでに完成しているらしい。しかも映画祭で上映済みで、その話が朝日新聞に載っていた(笑)って話ですが。

 伊達虔『G 重力の軛』(双葉社一八〇〇円)を読む。オビ裏の紹介文だと、いかにも「地球が収縮して重力二倍で大災害」な話みたいですが、重力が二倍になる理由は、じつはホワイトホールらしい(仮説は提示されるが検証されない)。
 じょじょに重力が増えてくあたりの描写は、『日本沈没』の前半みたいでけっこう面白いんだけど、ディザスター物になっちゃう後半はスケール感に乏しい。まあ、崩壊過程が書いてあるって意味では、『終末のプロメテウス』より派手かもしれないけど。
 文体や構成はあまりにも古くさく、しかも誤字誤植がやたらに多くて、細部に無神経なのが難。
 笠井潔『天啓の器』(双葉社)を途中まで読む。『天啓の宴』は、どこが面白いんだかよくわかんなかったけど、いやあ、今度のはめちゃめちゃ面白いっす。竹本健治の一人称で笠井潔を描写するという荒技。『ウロボロス』二冊と『虚無への供物』と『天啓の宴』を読んでないとなんのことやらって感じかもしれないが、ほとんど笠井潔の書いた『ウロボロス3』なので、竹本ファンは必読。塔晶夫/中井英夫ファンも必読。あと宇山ファンも、かな(笑)。


 倉阪鬼一郎『赤い額縁』発売を記念して(?)、hot linksに古本コーナーを特設。こたの写真満載の、マンガ家・国樹由香の「こたくんといっしょ」など、さらにいくつか新着リンクがあります。
 ライトノベル関連論争が盛り上がってますが、京大SF研うらおもて掲示板がなぜか休止中なので(ってオレのせい?)、読むと楽しいのはみのうらゲストブックかなか堂・人狼城ララバイかな。

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