【5月19日(火)】

 MAG TIMEの「謎の店員一号」氏からディスクでもらったフリーウェアのMP3プレーヤーで遊ぶ。
 MP3はCD音質のデータが一曲3〜4MBになっちゃう驚異の圧縮方式。CD-Rに焼けば、一枚で100曲以上入るわけですね。compresserもあって、簡単にMP3化できるので、当然というかなんというか、インターネット上には著作権法に無頓着な人が自分のCDをMP3化したデータが大量にある。音楽業界的には、こういう状況を苦々しく見てるんじゃなくて、一曲300円とかでじゃんじゃん売り出してしまえばいいのになあ。ソフトの単価がじゅうぶん安ければ不正規ユーザーが(あんまり)問題にならないことは歴史が証明している。
 音楽CD買うと解除キーがついてて、サーバから同じ曲のMP3データがダウンロードできたりするのも可。この方式は本にも使えるけど、まあ本の電子データがほしくなるケースは少ないか。でもデータであれば、モノを安心して捨てられるわけだから、一種のサービスにはなるだろう。
 HDに100曲分ぐらい貯めて、MDプレーヤー持ち歩かなくても、パソコンからイアフォンでBGMが聞ける環境をつくろうかと一瞬思ったが、HD容量が空いてないのだった。
 
 先週の金曜日から来ているのにまだ一度も顔を会わせていなかったトーレン・スミス社長@スタジオ・プロテウスと西葛西駅の改札で落ち合い、哲学堂の久保書店へ。昆童虫さんの『ボンデージ・フェアリーズ』シリーズは、エロス・コミックスのManga Eroticaラインでもあいかわらず好調な売れ行き。
 あ、それで思い出したけど、エロスのこのサイトにあるMangaScript Generatorは傑作。適当に単語を入力すると、エロマンガのセリフが自動生成されるシステムなんですが、知り合いの名前とかSFな単語とか入力してつくるとかなり笑えます。英語だけど。

 久保社長と面談のあと、中野までもどってラーメン。こわくて食べずにいた最近はやりの「油そば」を初めて食う。意外とふつう。つけ麺の汁が最初からかかってるような。麺がうまい店ならオッケーでしょう。
 トーレンから聞いて驚いた話は、マーヴルの編集長交代。なんとクリス・クレアモント(Xメンのwriterだった人で、『暁のファースト・フライト』の著者)が編集トップになったそうで、「タイタニックの船長押しつけられたようなもんだよね」とかトーレンは言ってましたが、マーヴルの経営陣も、ようやく危機感をもって、まじめに建て直しをはかりはじめたらしい。
 とはいえアメコミバブルはとっくにはじけてしまって、業界全体の売り上げは93年の3分の1とか悲惨な状態。93年は大手三社のコミックが平均20万部の実売を誇っていたのに、現在はトップのSPAWNでさえ10万部切ってるんだとか。
 まあ93年ごろのバカみたいな売り上げは、「オランダのチューリップ球根投機ブームのようなもの」だったそうなので、読むためにコミックを買う人ばかりになった現状のほうが健全とも言える。が、しかし、ダークホースのMangaラインも、当然、業界全体の不振の影響は強く受けてるので、これからしばらく現在刊行中の日本マンガのキャンセルがあいつぐかもしれないとか。エロスのほうは、落ちたといってもまだ好調なんで、プロテウス的にはなんとか持ちこたえてるみたいですが。社長さんもたいへんだね。

 そのわりにダークホースにあんまり危機感がないのは、社長のマイク・リチャードスンが映画で儲けてるから、ということらしい。じつは「バーブ・ワイヤー」のほうが「マスク」より儲かったとか。もちろん映画としては「マスク」のほうがヒットしてるわけだけど、がめつい契約を結び、ビデオと海外配給からがっちりロイヤルティをぶんどったのが大きかったとか。コミックブックは流通が特殊なので、映画化されても本の売り上げにはほとんど貢献しないんだけど、原作を提供した場合、ビデオからの収益がおいしいということですね。


【5月20日(水)】

 日本ファンタジーノベル大賞の一次選考を終わらせて、段ボール4個を送り返す。あとは小説すばる新人賞の二次が1箱か。
 朝っぱらからバッティングセンターに行ったり、ミストラルで仕事してたら白石朗一家がやってきたり、ひさしぶりのエグザスでのんびり『邪馬台国はどこですか?』(創元推理文庫)を読んだり……のだらだら生活。どうも原稿読んでると仕事した気になって、原稿が書けない。アニメージュと小説すばるの書評かかなきゃいけないんだけどなあ。早起きなのが悪いのかも。
 しかし『邪馬台国』はけっこう面白かったな。小森健太朗のライバルかも(笑)。


【5月21日(木)】

 温泉帰りのトーレン社長と池袋で待ち合わせ、江古田の真鍋譲治邸へ。ドラクゥーン3巻の原画を返却し、4巻の原画をもらって、例の餃子屋、LEEで社長と食事。チーズベーコン餃子がやっぱりうまいかな。今回もチョコレート餃子は注文できず。ほら、ダイエット中だし。
 池袋でトーレンと分かれて、パセラのカラオケに合流。メンバーは斉藤友子、喜国・国樹夫妻と昆童虫夫妻。喜国さんはずっとhide追悼モード。さいとうよしこはTV取材のためカラオケより美容院を選択し欠席(笑)。とか書くと怒られるかも。
 放送は来週火曜日(26日)深夜。23:55からの「寝ないで ワンダフル」かな。午後10時に来るとかいって、けっきょくクルーが来たのは11時半とかだったらしくて、これならカラオケ行けたのに〜とか怒ってました。


【5月22日(金)】

 アニメージュと小説すばるの原稿を書く。アニメージュは20周年記念号だったのに、すっかり忘れていつもどおりの原稿を書いてしまった。ゲラで直すか。

 宮部みゆき『理由』を読む。『火車』系列だけど、ドキュメンタリー風。このリアリティはすごいね、しかし。小説なんだから当然、あらゆる人物配置だの時間設定だのは恣意的に決められるわけですが、結果として生まれたものに恣意が見えないっていうか。

 SFオンラインでは堺三保のゴジラ日記が完結。SFセミナー特集の5月号もぼちぼちですな。
 C塚嬢の顰蹙猿楽町日記も更新されてます。第七回はここ。こっちでも福井健太ネタが炸裂してます(笑)。
 福井健太ページによれば、「文章中に他人の名前を出すには相応の覚悟が必要だと考えているので、当人の知らないうちにオープンな形でネタにしちゃうのはなあ……と思わないでもない」そうですが、猿楽町日記における福井健太のほうがキャラ立ってると思うね。
 ちなみに福井健太日記では、オレの日記を読んだ感想として、

 ただ「言ってることと書いてることが違うじゃないか」という批判に対して、一応のスタンスを示しておくと、口頭で喋るのと文章を書くのは全くの別物だと思っているわけで。だから(何について書くか、という点も含めて)表現が違ってくることも当然ありうるし、それぞれに対する批判は甘んじて受けるとしても、全く同じじゃないからといって怒るのは違うんじゃないなあ。両者をうまく融合させられない下手さ加減を批判するのはOKだとしても、原理的に否定というのはむしろ危険な考え方じゃないかと思うんだけど。
 とありますが、オレは、「しかし福井健太も、ふだんしゃべってる悪口の十分の一でも自分のホームページに書けば、たちまちアクセス殺到するのになあ」と書いただけなので。 「全く同じじゃないからといって怒る」ってのはだれの話でしょう。そりゃ「全く同じ」だったら面白いとは思うけどさ。考えてみるとこれは三村美衣とか白石朗についても言えることだな(笑)。
 それと反対に、本人は温厚な小心者なのに文章では戦闘的になる人もいて、読む側からするとそっちのほうが面白かったり。福井健太の場合、口で言ってるのとおなじことを書けばウケるだろうとは思うが、それが本人にとってプラスかどうかはまたべつの話。
 しかし、「言うまでもないことだけれど、現代思想の安っぽい考え方を無節操に導入して、何も知らない人々をはぐらかすのが「新しい評論」だとは思わないしね。」というような無防備発言には、日常のしゃべりの一端があらわれているので、WWW上では「融合」方向に向かいはじめているのかも。「一応のスタンスを示しておくと」みたいなフレーズにもキャラがにじみ出てますね。
 このあたりの「攻撃誘発性」をライターとしてのウリにすることは可能なのか。「基本的には誰とも争いたくない」と言ってるようでは、まだまだ道は険しい。

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